【物流コラムシリーズ】物流におけるサスティナブル



サスティナブルという言葉をよく耳にする機会が増えたましたが、サスティナブルの意味について調べてみると、「持続可能な」という意味で、自然にある資源を長い期間維持し、環境に負担をかけないようにしながら利用していくことを指しておいます。では、物流におけるサスティナブルを考えてみると、物流環境は労働人口の減少やドライバー不足、ネット通販の拡大による小口配送の増加などは宅配クライシスとも言われ、持続可能な物流インフラは重要な問題です。また、地球環境に負担をかけないようにトラック輸送などのCO2排出の問題には、トラックの積載効率を上げたり、モーダルシフトと呼ばれる、鉄道や船舶などトラック以外の輸送手段を使って効率的にモノを運んだりと、環境負荷の軽減にかかわるサステイナブルを実現するために物流の領域が深く関わっています。

なかでも、アパレルや食品などで問題となっている廃棄の問題については、モノを保管して運ぶだけの物流から、モノの企画から製造して販売するための戦略としてのロジスティクスやサプライチェーンでの領域で考えることで、必要なモノだけを必要の量だけ、必要とする場所に届けるといった、モノづくりから考えることで廃棄量を減らすことつながるのではと思います。

これまでの大量生産の時代は効率的にモノを作って流すだけ、販売するだけの流れから、需要にあわせて必要とするモノだけを生産するディマンドチェーンにシフトすることが求められています。これは「点」から「線」へ、消費者から製造へ情報をつなぐイメージです。それによって大量廃棄の問題解決のひとつになります。その消費者の情報を販売から製造までがデジタルによって、より早く・正確につながることも重要となってきます。これまでの縦割り組織での分業制から横断的に横の繋がりを構築する必要があり、まさに「点から線への変換」が求められています。

さらに、サスティナブルでは、作ったらおしまいではなく、その作ったあとの責任までを企業が考える必要があります。そこには上記でも触れた廃棄の問題だけでなく、Reduce(リデュース)と言われる、製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや地球環境に負担の少ない素材を使用、耐久性の高い製品の提供、製品寿命延長のためのメンテナンス体制の工夫を行います。あとReuse(リユース)は、使用済製品やその部品等を繰り返し使用するため、修理・診断技術の開発、リマニュファクチャリングなども取組のひとつです。最後は、Recycle(リサイクル)は、廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用すること。その実現を可能とする製品設計、使用済製品の回収なども企業には求められています。これは、直線経済から循環経済への変化を表しており、「線から円への変換」と言えます。循環経済はサーキュラーエコノミーとも言われ、資源を循環させる経済活動のひとつで企業の社会貢献が求められています。

点から線、線から円へと流通業における社会構造の変化が起きていますが、さらにそれをより広く実現するためには、円から面へと変えて行く必要があると考えています。その面とは、共同物流、共同配送となります。これまで個社で行ってきた経済活動を複数の企業で協力して実現する世界となります。先程の循環経済、サーキュラーエコノミーを実現するためにも、メーカー、小売、回収、リサイクル企業など幅広い業種の連携が必要になります。またこれまで競っていた企業か物流の領域において、お互いが協力して一緒にモノを保管したり、運んだりすることで、競争領域から共創領域による効率化や、CO2削減などにも貢献します。

実際には、味の素をはじめとする国内食品メーカー6社によるF-LINEプロジェクトは、食品物流の諸問題を解決するために発足しました。物流拠点の共同利用や、配送を集約してトラックの積載効率を高め、得意先までの輸送経路を高密度にする高密度エリア配送を検討しています。北海道エリアでスタートした共同配送では、平均積載効率の向上やCO2排出量の削減といった効果も表れています。これらの取り組みは、今後それぞれの会社が単独での配送に限界を感じており、食料品の安全な配送を維持し、持続的に届けるためには共同物流が必要不可欠と判断したことで実現した取り組みのひとつです。まさに、「ロジスティクスコラボレーション」と言えます。

サスティナブルやエコと言うと、オーガニック素材などの商品企画をイメージされる方も多いのではと思うのですが、サスティナブルの実現には物流含め、サプライチェーンそのものの構造からを見直す必要があり、企業の事業戦略に大きく関わっています。そうなると自社の社会的存在意義であるパーパスから考えることが重要になってきます。

これまでサスティナブルの活動は、企業にとって儲からない負担のかかる活動と考えている企業も多いのではと思います。実際に商品の素材開発から配達、回収までを考えるとなると、これまでの仕組みを大きく変える必要もあり、投資がかかる取り組みとなります。ただ、今また猛威をふるっているコロナ禍は、社会や消費者にとって必要な企業と、そうでない企業とふるいにかけられているようにも感じます。企業のサスティナブルな取り組みは、消費者から選ばれ続ける企業となるためにも大切です。をたんなる流行りとして捉えるのではなく、企業の社会的存在意義(パーパス)から考えるきっかきになればと思います。

【コラム連載】

株式会社リンクス 代表取締役 小橋 重信
https://www.linkth.co.jp/

アパレル会社在職中に上場から倒産までを経験し、在庫が滞留することの怖さを知る。その後IT企業での実務経験を経て、物流会社にて100を超える企業のEC物流の立ち上げや物流現場のマネジメントを行い、現在は、物流コンサルとし企業の物流戦略見直しや、物流会社の業務支援、オムニチャネル協会の 物流アドバイザリーやセミナー講師として活動中。企業ミッションは「物流ですべての企業を元気にする!」