Part-04 「サブスク疲れ」 を招いている理由と「”シン”顧客体験重視」のCX とは 本当のコスメ開発とCXの成功ポイント

Part-04 「サブスク疲れ」 を招いている理由と「”シン”顧客体験重視」のCX とは 本当のコスメ開発とCXの成功ポイント

前回、Part-03 CRM+CXの重要なポイント 「情緒的ベネフィット」とは サマリー

D2Cビジネスにおける「情緒的ベネフィット」の重要性

この対談では、D2Cビジネス、特に化粧品などのビューティー業界において、商品そのものの機能性だけでなく、顧客の感情に訴えかける「情緒的ベネフィット」がいかに重要かについて議論されています。

**主な論点**

■商品力だけでは不十分:
競争の激しい市場において、商品力だけでは顧客の心を捉えるのは難しい。
■情緒的ベネフィットの重要性:
 商品の機能性に加え、デザイン、ブランドストーリー、使用感など、顧客の感情に訴えかける要素が求められる。
■K-Beautyの成功例:
韓国コスメは、見た目、質感、ブランドストーリーなど、多様な要素で顧客の心を掴み、成功している。
■日本企業への示唆:
日本企業も、K-Beautyのように、商品力だけでなく、情緒的な側面を重視したマーケティングを行う必要がある。

**成功するためのポイント**

■商品力と情緒的ベネフィットの両立:
 高い機能性に加え、顧客の心を動かすデザインやストーリーを盛り込む。
■ブランドストーリーの構築:
 ブランドの世界観を明確にし、顧客との共感を深める。
■多様なコミュニケーションチャネルの活用:
 SNSなど、視覚的な情報が伝わりやすいチャネルを活用する。
■顧客体験の向上:
 商品の使用を通じて、顧客に特別な体験を提供する。

**まとめ**

D2Cビジネスにおいては、商品そのものの機能性はもちろん重要ですが、それだけでは顧客の心を捉えることは難しいです。顧客の感情に訴えかける「情緒的ベネフィット」を重視し、商品を通して特別な体験を提供することで、顧客との長期的な関係を築くことができます。

D2Cビジネスの成功戦略を考える上で役立てば幸いです。より詳しく知りたい点があれば、お気軽にご相談・ご質問ください。

例えば、

  •  情緒的ベネフィットを高めるための具体的な手法は?
  •  K-Beautyが成功している理由をもっと詳しく教えてください。
  •  自社の商品に情緒的ベネフィットを加えるにはどうすればいいですか?

 

Part-04 「サブスク疲れ」 を招いている理由と「”シン”顧客体験重視」のCX とは


ファシリテーター:吉村 典也(以下:ファシリテーター)

曽川さんにお伺いしたいのですが、先ほどから出ていますが、私たちは、「単品リピート通販」の古い時代からの変遷を知る世代で、大儲けをしたという時代のメーカーさんをよく知る中で言うと、今は、だんだん競争が激しいというか、それに伴って「消費者」も疲れてますと、それは俗に「サブスク疲れ」と言われるところがあったりしています。

競争が激しくなかったので、俗に言うRF分析をしながら、ステップメールは有効だ、CRMとして有効だという風に言われてましたけど、昨今、多分すごい事情が変わっていると思うのですけども、この点についてお話をお伺いしてもよろしいですか。

曽川 雅史 様(以下:曽川さん)

昔は、それこそもう、昔と言っても10年前とかですけども、いわゆる「リピート通販」、定期購入をしたらですね、大体3回か4回は続けると。なぜなら、まず、そもそもLPで試しに購入したら、3回縛りになっているので、そもそも「解約」できないとか、「解約」しようと思うと、ウェブ上でできなくて、電話をしないといけなくて、それで、その際に、めちゃくちゃ、「解約阻止・防止」のコールを受けてですね、「では、来月は半額にします」なんて言われて、「それじゃ、続けてみようかしら」ということになっていました。
あの手この手で、続けさせる、止め難い環境だったのですけども、 逆に、消費者庁で問題になったりとか、消費者が、「もうそういうのはおかしい」と。
それはなぜかっていうと、化粧品以外の分野での「サブスク」ですよね、例えば、NetflixとかAmazonプライムに代表されるようなサービス系のサブスクだと、本当にウェブ上で簡単に解約ができるというのと比べた時に、非常に、「なぜでやめにくいんだ」みたいな、そういう仕組みに、やはり消費者の方がやはり「おかしいな」という風になってきています。

CXで言うと、スキップ制度は、簡単にウェブからワンクリックでできるんであれば顧客は続けるでしょうし、それが「解約」しかないのであれば、解約してしまうということです。

それで、「サブスク疲れ」というものに他の業界と合わせるように、消費者の人が声を上げてきたといういう結果だと思ってます。

実際、日本以外の国だと「定期購入」はあまりうまくいってなくてですね、欧米なんかでも、「まとめ買い」の方が主流だったりします。
そういう意味では、例えば、「まとめ買い」が有効なところでは、非常に、メールマーケティングとかは有効だと思うのですけども、毎月購入するということは決まっている中で、商品の価値が良くて、提示された値段を払う価値を感じてたら、普通に、毎月買っていくはずなんですよね。

私は、コスメはその商品作りが、大事だと思ってるんですよ。ブランド世界観を作るとかですね。
メールでうまいこと言ったから、じゃあ「定期」続けようとはならない。
ステップメール受信したから続けるかっていうと、そういうものでもない。

例えば、美容ニードルパッチいいなと思って購入して使ってみても、あまりにも痛かったらやっぱ続けないと思いますよね。
それに、メールで「こう痛いけどそれが効果です」と言っても、もうものすごく痛かったら多分やめると思いますし、 あとはどういう方が買うかという設定にもよりますけど、その価格帯によってやはり続けるのが難しいとか、そういうことがあるとやめますよね。

もし、それに効果感じてないのに、やめようとしてるところを、例えば、ステップメールで送ったから、 「解約」は止めれるかっていうと、それはちょっと違うかなという話であって、商品の価値、良さを感じているブランドが、LPで、こういう価値を感じて、コンテンツはメールにも載ってるので読むのが楽しいとか、 同梱で届く「チラシ」とか「会報誌」も同じような世界観で、その世界観に染まれてるっていう感じがあるので、そのブランドに浸っていこうと思うのだと言えます。
ステップメール送るから「解約」が止めれるというのとはちょっと違うという観点があるかなと思っています。

ステップメールも、結局その順番通りに今読まれないことも多いので、なんというか、やらないよりはやった方がいいのですけども、その中で、売り込みだけしかしないとかであれば、もう同梱だけでいいんじゃないかという風潮にもなってます。
実際、ステップメールやっていらっしゃらない大手のリピート通販の会社様もたくさんありますので、それが必須ではないとは思います。

ファシリテーター

ありがとうございます。そうするとですね、 俗に言うステップメールみたいなところの、昔ながらの「定期通販」の「縛り」とか、そういった色々な昔ながらの施策は聞かなくなったということなのですけれども、もうちょっと詳しく、こうお話をお伺いしてもいいですか。

曽川さん

これは、多分このカテゴリー業界の方はよくご存知で、業界外の方ご存じないことも多いのですけども、いわゆるこう「定期縛り」ですよね。
ランディングページで、1ヶ月分980円でお試しで買えますと、そうすると、実はちっちゃく注意文言で、「定期3回お約束でお願いします」と書いていて、買う人からすると、980円と思ってたら、実際支払い総額が3万ぐらいになっていたということはですね、昔は非常によくあることでしたね、これが、「定期通販」が非常に伸びたということの理由だと考えてます。
今現状、これやると、実は「景品表示法」違反になります。「ダークパターン」なんて呼ばれ方をしています。非常に好ましくないし、消費者庁に見つかり、指摘されると、行政指導を受けるような内容になってます。
実際は、いわゆる「販売」の名で伸びていくブランドさんというよりは、本当に、「世界観」とか、「ビジョン」とか、「中身もいいもの」、「情緒的価値」がしっかりと感じられていて、そういうしっかりした商品作りをされている企業さんが本当に伸びていると感じます。
小手先だけじゃない、要は「販売の技術」だけで売れる時代ではなかなかなくなってきてるのかなと感じています。

ファシリテーター

ありがとうございます。
少し、お話が逸れるんですけども、例えば僕たちが、昔ながらで言うと、その顧客分析、顧客データの分析をするときに、先ほどあったように、 F3など購入回数がいくつまでいくとその最初のCPAの部分が回収できて、それからロイヤルカスタマーに変換していくには、F4からF5へのコンバージョン率が80何パーセントになるとロイヤルカスタマーとして定義するというような、その指標設定をやっていたのですけども。
100億ぐらい売っていらっしゃる会社さんでも、今分析すると、本当のロイヤルカスタマーになるまでにF8とかF10の時代になってきたりしてるので、そういったところでもやはりお客さんが、「商品はいいと思っているけど」、そんなにFの回数が伸びないというのは、なぜなのかなを考えると良いですね。
逆に言うと、折角、いい商品を作っても伸びない。このポイントについてもう一度、商品とのCXの関係とかについて、松崎さんにお話が聞ければと思います。
よろしくお願いします。

松崎 淳 様(以下:松崎さん)

そうですね、これはかなり主観的な 意見になるかもしれませんが、成功されてる企業様で、特にグロースフェーズですね、立ち上がりのところで言うと、結構やはりその社員さんがですね、インスタライブ
とかで、自分たちの商品を一生懸命紹介していたりですとか、そのような通ったマーケティングをされているイメージがあります。これは、きちんとデータを取っていないので私の感想になってしまうかもしれませんが。
その商品を作るときに、自分たちがこの会社で、このブランドで、 どういう人たちの悩みを、どう解決していこうみたいな形で、本気で商品作りが行われている。
それをですね、社員さんも顔出しでしっかりと商品を訴求したりですとか、あるいは デジタルなので顧客接点が少ないという点では、お客様からここをちょっとこのように変えてほしいみたいな話を取り挙げていくとか。
触れなくてもいいという部分もはあります。が、しっかりとその顧客の声を集めて、 次の商品開発、リニューアルに活かす、あるいはアップセル、クロスセルの商品で、よりその本品が効果が発揮される、前後の商品を、一緒にクロスセルとして提案する。
そういった活動をしっかりとされているということが重要なのかなと思っています。
正直ですね、日本のOEMの会社さんは、皆さんすごく技術力が高いので、悪い商品というのはそんなにないとは思います。
ただ、「本気でそこまで考えて作られているか」、で言うと、例えばもうローンチの日が決まっていて、試作1、2回でそのまま、発売してしまうみたいなこともあります。
やはりその手前の部分と、販売後の中でどういった思いみたいなものがしっかりと商品として反映されてるかという部分は 重要かなと思いますし、そういう意味でも、CRMという領域は、その販売した後にお客様のリアルなコミュニケーションを含めて「1番お声が集まる」、 あるいはCRMにどう反応されているということが、商品がどう評価されてるかということにも繋がっていくと思います。
今までは、どちらかというとマーケティングイコールどれだけ新規取ってくるかみたいな話がありましたけれども、私はどちらかというと、商品作りも含めて、その後の部分が非常に重要になってきているのではないかと捉えています。


ファシリテーター

そこで、新しく商品を作られて、商品をバージョンアップしていく。それは逆に言うと、CRMとコミュニケーションの接点を含めて、どうコミュニケーションしていくかということの両方だと思います。
例えば、一般的に新しく商品を作って半年とか1年で売り切れるような、多分もっと言うと、3か月ぐらいで売り切れる、皆さん事業計画を立てています。

そこで計画とおりに売り切れなくて、商品を、CRMを回していく中で、 もっとこのように、お客さんがこう望んでるから、成分だとか配合だとか、あとは五感の部分を変えていかないといけないねというところがあるのですけど。
そういったところに、例えば松崎さんみたいな、コンサルと言いますか、アドバイザーを雇って、お客さんとのディプス・インタビューをしていきながら、処方を変えていくというところはやるべきなのでしょうか。
または、顧客がついているから、やってはいけないのでしょうか。
1年間ぐらいはしっかりと、最初に思ってたようなお客さんに刺さるようにコミュニケーションレベルを変えていく方がいいんですかね。


松崎さん

そうですね、そこは先ほどの、その母数に対してコミュニケーションが取れてるかというお話があったと思うのですけども、 そのポイントもあるかなと思っています。
母数が少ない時にお客様の声に全部反応してしまうのは、その発売した後はですね、 1件、2件口コミが入るだけでもですね、心臓がドキドキします。
ネガティブな評価が入るとすぐそれにリアクションしたくなります。本当に、投資の値動きみたいな形でリアクションしてしまいがちなんですけれども、 ある程度母数が溜まるまでは、本質的にどのポイントがその商品の課題で、どこを解決してあげるとよりユーザーさんが喜んでくださるのかというのは
すぐには見えてこないので、ある程度こう辛抱強くですね、やっていただくことが必要です。
あるいはその 適切な使い方ができていないということに関しては、冒頭の方でもお話ありましたけれども、しっかりとその効果が発揮しやすい使い方 みたいなものを、寄り添って教育してあげたりですとか、何かしらのコンテンツとして配信することによって、使い方変えるだけで変わってきます。
あとは、タイミングです。変えるだけで効果、実感が変わりますので、そういった試行錯誤を繰り返しながら 商品を変えるかどうかというのを検討していただけると良いのではないかなと思います。

ファシリテーター

浮気をするようなお客さん、お客さんは、皆さんいい意味での浮気をされます。そういう人たちに惑わされることなく、本当に自分たちと一緒に向き合ってくれるお客さんを見つけるまでは、ちゃんとの自分たちのプロダクトだとか、情緒価値を訴求しけなきゃいけないということですか。

松崎さん

訴求していることに対して、明らかにその真逆の反応が多いですとか、あるいは、当初想定していた年代層の方には、例えば軽すぎる、重すぎる、テクスチャーのお話というのは、 やはりどれだけ準備をしても、そういった齟齬は起こったりします。
そのような時も、慌てずにですね、客観的事実をしっかりとデータとして収集する。あるいは、 ロイヤルカスタマーというか、たくさん使っていただいてる方にですね、実際にインタビューに行うことでて、メーカーさんが思いもよらないような使い方をして、とても効果を発揮している方とかもいらっしゃったりしますので、そういった方たちとコミュニケーション取ってですね、本当の課題というのはどこにあるのかというのを見つけていく。
あるいは、リブランディングも含めて大きく事業として方向性を変えなければいけないですとか、そのような経営判断に近いところまで検討すべきなのかというのは、データを集めながら検討していくことになります。

ファシリテーター
その期間は、やはり1年ぐらいはどうしてもかかりそうな感じですか。

松崎さん

そうですね。おそらく新規のマーケティングですとか、CRMもそうだと思いますが、大体最初の半年間ぐらいは、 広告費をコントロールしながら、いきなり大きな投資がなければ、テストマーケから始まると思います、そこである程度反応を見て、少しこう投資のアクセルを踏んで、もう半年間ぐらい見て、事業計画から刷新するのかどうかを検討します。

ファシリテーター

私とか、曽川さんが、昔、お付き合いしてたお客さんは、なんちゃってベンチャーさんも多かったので、1億円のお金をもらいました、そうすると、それを1年半ぐらいかけて10億に売上げを上げるのだという、事業シミュレーションや運用を一杯やっていました。
そういう時代ではもうないです。
やはり商品をお客さんの体験・体感とフィットしていかないといけないと、やはり、それなりの時間と資金的な余裕を持ちながらやっていくっていうことになります。


松崎さん

そうですね。資金の考え方は以前とだいぶ変わったと思います。どちらかというと、以前は当てる方法みたいなのがあったと思います。そこに支払うキャッシュをどれだけ用意するかというのと、製造ロットがいきなり上がってしまった時にキャッシュフローをどうするかということですね。
割とポジティブな悩みに対して、どうやって資金を調達するかという感じでした。
今は、持久戦を強いられることが多いので、中長期的なその資金の調達の仕方というのもしっかり考えておかないとですね。
無店舗型なのでお金がかからなそうと思う企業さんも多いのですけれども、マーケティング費用から様々なこうツールを導入していくと、 ある程度、固定費というのは積み上がってきます。
そういったことも、資金の部分というのも、事業計画の中で調達時期も含めてしっかり考えていただく必要があります。

つづきは

Part-05 商品・CRM・CXの Personalize:パーソナライズ とは 本当のコスメ開発とCXの成功ポイント

日本における単品リピートモデルのサブスク疲れ:原因と課題

単品リピートモデルは、一つの商品を繰り返し購入してもらうビジネスモデルとして、多くの企業が採用しています。しかし、昨今の「サブスク疲れ」と呼ばれる現象は、このモデルにも影響を与えています。

サブスク疲れが単品リピートモデルに与える影響

サブスクリプションサービスの増加に伴い、消費者は複数のサービスを同時に利用するようになり、経済的な負担や管理の煩わしさを感じています。この「サブスク疲れ」は、単品リピートモデルにも波及し、以下の様な影響を与えています。

  • 購買意欲の低下:
    複数のサービスを解約したいという心理が働き、新たな商品への購入意欲が低下する。
  • 競合との差別化の難しさ:
    多くの企業が単品リピートモデルを採用しているため、自社製品の差別化が難しく、顧客の囲い込みが困難になる。
  • 顧客ロイヤリティの低下:
    他の商品やサービスに簡単に乗り換えられるため、顧客ロイヤリティが低下しやすくなる。

単品リピートモデルにおけるサブスク疲れの原因

単品リピートモデルにおけるサブスク疲れの原因としては、以下の点が挙げられます。

  • 価格の負担:
     複数の商品を定期的に購入することで、経済的な負担が増大する。
  • 不要な商品の積み重ね:
     必ずしも必要な商品ではないにも関わらず、習慣的に購入してしまう。
  • 選択肢の多様化:
     多様な商品やサービスが登場し、より良い選択肢があるのではないかという不安感が生まれる。

単品リピートモデルにおける課題と対策

単品リピートモデルが直面する課題と、その対策は以下の通りです。

  1. 課題: 顧客のニーズの変化に対応できない
    対策: 顧客の声を積極的に聞き、商品開発やサービスに反映させる。定期的なアンケートやヒアリングを実施し、顧客の意見を参考に商品ラインナップや購入頻度などを調整する。
  2. 課題: 競合との差別化が難しい
    対策: 自社製品のユニークな価値を明確にし、競合との差別化を図る。ストーリー性のあるブランド作りや、サステナビリティを意識した商品開発など、顧客に共感してもらえるような要素を取り入れる。
  3. 課題: 顧客ロイヤリティの低下
    対策: 顧客体験の向上に努める。パーソナライズされた商品提案や、顧客コミュニティの形成など、顧客との関係性を深める取り組みを行う。

まとめ

単品リピートモデルは、安定的な収益源として魅力的ですが、サブスク疲れという新たな課題に直面しています。この課題を克服するためには、顧客のニーズを的確に捉え、柔軟な対応を行うことが重要です。顧客との長期的な関係性を築き、ブランドロイヤルティを高めることで、持続可能なビジネスモデルを構築することができます。

今後の展望

単品リピートモデルの未来は、顧客との共創によって開かれるでしょう。AIやビッグデータを活用し、顧客一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズされた商品やサービスを提供することで、顧客満足度を高め、リピート率向上に繋げることができます。
サブスクリプション要素を取り入れたフレキシブルな購入プランを提供することで、顧客の多様なニーズに応えることも可能です。

  • サブスク疲れ対策:
    サブスク疲れ対策として、トライアル期間の設定や、不要な商品の解約を容易にするなどの施策が考えられます。
  • サステナビリティ:
    環境問題への意識の高まりを受け、サステナブルな商品やサービスを提供することで、顧客の共感を呼ぶことができます。

これらの点に留意して、コマースモデルのさらなる発展が期待されます。デジタルコマースでの利便性=自動販売機の機能をより充実させることです。

■トークゲスト

松崎 淳 様 プロフィール

松崎 淳 様 プロフィール

2014年に医薬部外品、化粧品、健康食品のOEM会社に営業としてジョイン。
OEMの枠を超え、新規で事業を立ち上げるスタートアップや異業種から参入するクライアントに対し、商品の企画はもちろん事業の立ち上げまで包括的にサポート。
部門長、執行役員を経て、2019年10月に代表取締役社長に就任した。

その後、化粧品、健康食品を販売するメーカーの取締役を歴任し、現在はD2Cを展開する企業の事業戦略、商品企画を支援するビジネスコンサルタントとして活動している。

お問い合わせご相談 ご連絡先

https://bit.ly/3UE5eDJ

曽川 雅史 様 プロフィール

曽川 雅史 様 プロフィール

株式会社シナブル
クライアントコミュニケーション&マーケティング部 部長

クラウドCRMベンダーにて法人営業でトップセールスを達成後、同社のWebマーケティングを担当し、子会社にて広告事業の立ち上げに奔走。
その後Webコンサルティング会社へ入社。大手企業への法人営業に従事。

2020年シナブル入社。これまでの経験を活かし、施策の自動化をベースとしたEC売上向上を支援している。

お問い合わせご相談 ご連絡先

https://bit.ly/3NRncyR

 

ブランド マーケティングとパフォーマンス マーケティングのバランス

どのように取るのですか? それらは対立するものですか、それとも重なり合う部分が大きいでしょうか。

まずブランド認知度を高める必要があります。ブランド構築は、車を走らせる前に道路を舗装することでもあります。強力なブランド認知度がなければ、パフォーマンス マーケティングの効果は上がりません。
強力なブランド認知度を持つ高級ファッション ブランドは、認知度広告、オーガニック コンテンツ、従来の PR、インフルエンサー広告で道路を舗装しているため、顧客獲得コストを驚くほど低く抑えることができます。有料広告に費やす際の MER (メディア効率比) が向上します。これは、パフォーマンス マーケティングが長期的に効果を発揮するための基礎です。

パフォーマンス ブランディングの概念について

技術的には、すべての広告はブランド認知度を高め、ブランドのハロー効果を強化するのに役立ちます。パフォーマンス ブランディングは、Meta のエンリッチド カタログ広告です。白い背景の基本的な DPA 広告を掲載することもできますし、テクノロジーを使用して広告をエンリッチし、ブランド カラー、フォント、ロゴを追加して、有料支出から無料のブランド リフトを得ることもできます。

既存の支出を基にブランドを構築します。広告を最適化し、すべてのコンバージョン キャンペーンを実行する際にブランド イメージが常に第一印象に残るように微妙な調整を加えることが重要です。これは、広告、LP、メールなどを改良する作業から生まれます。すべてはクリエイティブとデザインにかかっています。

 

本当のコスメ開発とCXの成功ポイント シリーズリスト

Part-01 スキンケアなどのビューティー業界 事業企画、参入整理するべきpoint

スキンケアなどのビューティー業界 事業企画、参入整理するべきPoint

1. **事業計画の重要性**
- 多くの企業が基本的な事業計画を軽視している
- 定量的目標(売上・利益)と時間軸の設定が必要
- 定性的な「ビジョン」と価値提供の明確化が重要

2. **よくある課題**
- 商品開発が先行し、事業ビジョンが後付けになりがち
- 「儲かりそう」という理由だけで参入するケースが多い
- 長期的な事業の展望が不明確なまま進めてしまう

3. **CRMとCXについて**
- フェーズに応じた適切な施策選択が重要
- 顧客数が少ない段階での注意点:
- クーポン配布などの売上促進策は効果が限定的
- 基本的な顧客体験の向上を優先すべき

4. **すぐに取り組むべきこと**
- 商品の使用方法の適切な案内
- サイトの使いやすさの向上
- 顧客状態に応じたコンテンツの出し分け
- 顧客体験(CX)の基本的な改善

ビューティー業界での成功には、明確な事業計画とビジョンの設定、そして顧客数のフェーズに応じた適切なCRM戦略の実施が重要だということです。

Part-02「失敗事例」から学ぶ他社の成功事例は再現性”なし”

「失敗事例」から学ぶ他社の成功事例は再現性”なし”



1. **成功の再現性の難しさ**
- 他社の成功事例の単純な模倣では効果が出にくい
- 商品の成分や価格だけでなく、総合的なマーケティング戦略が重要

2. **ペルソナ設定の重要性**
- 商品に合わせて実在しないペルソナを作らない
- コアなターゲット層の深い理解が必要
- ユーザーの価値観や悩みに真に響く商品開発が重要

3. **商品開発のアプローチ**
- 「作ってからターゲットを探す」のではなく
- 先に「誰に、どう届けるか」を明確にすべき
- 「購入理由」と「継続理由」を事前に具体化することが重要

4. **ブランドコミュニケーションの一貫性**
- LP、CRM、メールなど全てのチャネルで世界観を統一
- 特にビューティー商品は「世界観」が重要
- 伝え方の角度は変えても良いが、クリエイティブのトーンは統一すべき

5. **情緒的ベネフィット**
- 機能面だけでなく、感情に訴えかける価値提供が必要
- ユーザーの価値観に響く要素を含めることが重要

これらの要素を総合的に考慮し、一貫性のある戦略を立てることが成功への鍵となります。

Part-03 CRM+CXの重要なポイント 「情緒的ベネフィット」とは

CRM+CXの重要なポイント 「情緒的ベネフィット」とは

1. **商品力の重要性**
- プロダクトレッドグロース(PLG)が基本
- 単なるパフォーマンスマーケティングだけでは不十分
- 商品力が顧客体験や感情に直結

2. **競争激化市場での差別化**
- 商品が多すぎる市場環境
- 顧客の選択を獲得することが困難
- 実際の使用前に価値を伝える必要性

3. **感情に訴えかける要素の重要性**
- ブランドビジョンやプロミスへの共感
- パッケージデザインの魅力
- 商品の視覚的な特徴(2層式、伸びる質感など)
- SNSでの「映える」要素の重要性

4. **K-Beautyの成功例**
- ユニークで魅力的なデザイン
- 独自の処方・製法
- アイドルとのタイアップ戦略
- 原料の高配合とエビデンスの重視
- SNSでの効果的な情報拡散

5. **価格競争からの脱却**
- 低価格帯の一般商品との差別化
- 高価格帯商品を選んでもらうための感情的価値の創造
- 機能面と情緒面の両方からアプローチ

この内容から、日本のビューティー業界も商品開発とマーケティングの両面で、より戦略的なアプローチが必要とされていることが分かります。

Part-04 「サブスク疲れ」 を招いている理由と「”シン”顧客体験重視」のCX とは

「サブスク疲れ」 を招いている理由と「”シン”顧客体験重視」のCX とは


1. 定期購入(サブスクリプション)ビジネスの変化:
- 以前は3-4回の強制継続や解約困難な仕組みが一般的だった
- 現在は消費者庁の規制や消費者意識の変化により、そうした手法は通用しなくなっている
- 簡単に解約やスキップができる仕組みが求められている

2. 商品とマーケティングの重要性:
- 商品の価値とブランドの世界観が最も重要
- ステップメールなどの販売テクニックだけでは継続購入は難しい
- 商品の効果や価値を実感できなければ、マーケティング施策だけでは継続は困難

3. 顧客分析と商品開発:
- 以前より顧客のロイヤル化までに時間がかかるようになっている
- 成功している企業は:
- 社員が積極的に商品紹介を行う
- 顧客の声を真摯に受け止め、商品開発に活かす
- 効果的なクロスセル戦略を実施

4. 新商品展開と改善のプロセス:
- 新商品投入後、すぐに顧客の声に反応するのは避ける
- ある程度の母数が集まるまで(約6ヶ月)は辛抱強く待つ必要がある
- その後の半年で本格的な事業計画の見直しを検討
- 持続可能な事業展開のために、中長期的な資金計画が重要

5. 現代の事業展開の特徴:
- 短期的な売上目標達成よりも、顧客との関係構築を重視
- 商品とユーザー体験のフィット感を重視
- 十分な時間と資金的余裕を持った展開が必要

今日のビジネス環境では、単なる販売テクニックではなく、本質的な商品価値とカスタマーエクスペリエンスの質が重要となっています。

Part-05 商品・CRM・CXの Personalize:パーソナライズ とは

商品・CRM・CXの Personalize:パーソナライズ とは


1. デジタル時代のパーソナライゼーションについて:
- オンラインカウンセリングやアンケートを通じて顧客に最適な商品を提案
- 顧客の能動的な情報提供により、納得感の高い購買体験を実現
- 継続的な利用につながりやすい特徴がある

2. パーソナライズの仕組みと活用データ:
- 基本データ:顧客プロファイル(年齢、性別、肌質など)と購買履歴
- デジタルデータ:ウェブサイトでの行動履歴、閲覧時間、クリック情報など
- AIやテクノロジーを活用して自動的に最適なレコメンドを実施

3. 単品商品でのパーソナライズ戦略:
- コンテンツを活用したパーソナライズ(ブログ記事、顧客の声など)
- 顧客のライフスタイルや購入動機に応じたコンテンツ提供
- 共感を通じたブランドへの帰属意識の醸成

4. 商品ラインナップ拡充の考え方:
- 顧客視点を重視した開発アプローチ
- 既存商品の効果を高める関連商品の開発
- 顧客フィードバックに基づく商品改良や新商品開発

5. 総括的なメッセージ:
- 商品企画開発の重要性(上流工程の質が事業成長を左右する)
- 良い商品・ブランドづくりが基本
- マーケティングやCRMは、良い商品を広め理解してもらうための手段

このように、現代のビューティービジネスでは、データに基づくパーソナライズ戦略と、顧客視点に立った商品開発の両輪が重要となっています。