Part-01 スキンケアなどのビューティー業界 事業企画、参入整理するべきPoint 本当のコスメ開発とCXの成功ポイント
日本のスキンケア&コスメマーケットにはいくつかの課題
事業計画・商品開発のポイントについて「松崎 淳」様から、「顧客体験:CX」とCRMについては、「曽川 雅史」 様から、問題→課題→実行のポイントについて事例を交えながらご対談・説明いただいております。
先ずは一般的に提示されている「課題」の整理です。
課題1. 少子高齢化と国内市場の縮小
日本の少子高齢化は多くの産業に影響を及ぼしており、化粧品業界も例外ではありません。若年層の人口が減少しているため、購買力のある消費者層が減り、国内市場の成長が鈍化しています。
「ザ・通販」企業の平均顧客年齢は、70歳を超えています。
課題2. 国際競争の激化
日本の化粧品はアジアを中心に高い評価を得ていますが、韓国や中国などのアジア諸国からの競争が激化しています。
特に韓国のK-Beautyブランドは、価格競争力とトレンド感で若い層を中心に人気を集めており、日本企業にとって競争力の維持が課題となっています。
課題3. デジタルシフトへの対応
デジタルシフトが急務となりましたが、「サブスク疲れ」への対応が遅れている企業もあります。
オンライン販売やデジタルマーケティング見直しが「ダークパターン」も含めて求められています。
課題4. イノベーションのスピード
化粧品業界は技術革新が速く、新しい成分や技術を取り入れるスピードが求められます。競争力を維持するためには、迅速な研究開発と市場投入が必要ですといわれています。
OEMからODMなどを「商品開発」の頼りにしていくだけで実施して上手くいくのか。
本来は、事業者が「ブランド」となるためにするべきことは
課題5. 多様性とインクルージョンの不足
多様な肌タイプやニーズに対応する製品が求められていますが、まだ十分に対応できていない部分もあります。
特に、男性用化粧品やシニア向け製品がこれからの成長マーケットといわれているが実態は。
課題6. 規制と安全性への対応
化粧品の安全性や品質に関する規制が厳しくなっており、これに対応するためのコストや時間が増加しています。
特に、海外市場への展開時には各国の規制に対応する必要があります。
課題7. サステナビリティへの対応
環境への配慮が求められる中、サステナブルな製品開発やパッケージングが重要視されています。消費者の意識も高まっており、企業は環境負荷を減らす取り組みを進める必要がありますといわれているが本当か。
これらの課題に対処することで、日本のスキンケアコスメマーケットはさらに成長する可能性があります。どの課題に特に興味がありますか?
また、具体的な質問があれば教えてください。
Part-01 スキンケアなどのビューティー業界 事業企画、参入整理するべきpoint
ファシリテーター:吉村 典也(ファシリテーター:吉村)
早速ですが、松崎様にお伺いします。
スキンケアなどの、ビューティー業界は、競争の激しいマーケットになってます。
マーケットに参入される創業者とか、企業の新規事業部門、あるいはブランドの、目的も、目標も、様々であると思います。
他のカテゴリーのコマース事業(デジタル・オムニチャネルなど)と同じように、事業としての「企画」、市場参入、成長のため必要な基本的にしなければいけないこと、整理するべきことがいっぱいあります。
私は、これが意外とおざなりになっていると捉えています。今、あらためて「D2C」ブームが去っていますが、この事業面のポイントについて、松崎さんからお話を伺いしたいと思います。
松崎 淳 様(以下:松崎さん)
はい、ありがとうございます。
そうですね。我々も、商品企画開発に色々と携わらせていただいてる中で、特に「経営層(CXO)」の方であれば、それは当たり前ではないかと思われることですが、意外と「きちん」とマーケットの整理ができていなかったり、事業プランができていないことがあります。どのような部分かというと
まず、そもそも事業として「売り上げ」、「利益」を、 どのぐらい見込んでいくのかっていう「縦軸」の話と、時間軸「横軸」で言う、何年でどれくらいの規模にしたいのかという、「定量的」なゴールとしてしっかりと設計される必要があります。
その一方で、「定性的」なところでは、その事業自体がどのような「ビジョン」を持って、どのような社会とか消費者の方にどのような価値を提供するのか、いわゆるビジネスの上流の部分が、商品から入ると後付けになってしまっています。
そもそも、そこが事業が始まった後になっても決まっていないケースも結構多いです。
基本的な考え方としては、上流の部分をしっかり決めていただいて、それを常にトレースする形で、今開発している商品がその目的としっかりと合っているかどうかを、行ったり来たりしながらターゲット設定とか4Pの深掘りをしていく順序になります。
先ずは、事業としてあるべき姿とか、ブランドとしてどうあるべきかを、しっかりと言語化して、プロジェクトに参加するメンバー全員が、理解して腹落ちしている状態とを作っていくことが必要だと思っております。
ファシリテーター:吉村
ありがとうございます。そこを、突っ込んでいきたいのですが、事業目的がはっきりしないまま参入してしまう人が多いのは何故でしょうか?
松崎さん
そうですね、時代の移り変わりの中で、どういったところから入っていくのかは変わってくるとは思います。
「化粧品通販」とか。「サプリメント通販」は、新規参入で企業が多数参入していた時の理由は、事業としての魅力です。
「A社さんがすごい儲かってるらしいとか」、「このカテゴリーでやるとすごい売れるらしいよ」
といった話で、 とにかくその儲かりそうみたいなところから入って事業展開されるというケースがままあります。
それ自体は、間違っているということではなくて、その状態のままずっと進んでしまいますと、うまくいかなかった時に、その事業をどうするかという判断が、非常に難しくなってきます。
そういう意味では、目先のとか、周囲からの情報だけではなくて、 事業がしっかりとグロースした時にどのような姿、形になるのかを具体的にイメージしていただくというのはとても重要なことです。
ファシリテーター:吉村
ありがとうございます。
曽川さんにお伺いしたいのですが、よくある話ですが、「どこどこが成功してる施策とか」、「 どこどこの大手がやってるCRMだから御社もやらないと」いう傾向があります、やはりこれも、事業フェーズだとか、事業構造によって、「やらなけrばいけないこと」、「やってはいけないCRM施策、CXデザイン」があると思っています。
この点について、色々サポートされている中で、どのように感じていらっしゃいますか。
CRMとは
曽川 雅史 様(以下:曽川さん)
そもそもですね、CRMとは、「既存のお客様に対して事業者、ブランドとしてどのように関係性を深掘りしていくかというところです」ので、例えば、よくある既存のお客様に、「半年前しか買ってないお客様に対して、クーポンを送って売り上げ上げる」施策をよくやります。これは、所謂、「チラシ」を送っているのと一緒のことなのです。顧客数が少ない時は、当然、母数が少ないのであまり効果は出ません。
これは、ブランドですとか、製品もいっぱい出していたりとか、顧客数も増えてから、やるべき施策です。ブランドさんによってはそういったのはやらないと決めているところもあります。顧客数がある程度ないと成果が出にくい施策は、あまりやるべきではないと思ってます。
ただ一方で、「CX」とか「CRM」は、「顧客体験」という意味で言いますと、例えば、「商品を買った後に使い方をきちんと教えてあげる」コミュニケーションを、メールでしたり、LINEでしたりすることです。
しっかりと顧客行動の中で使い方を教えることは、これは「CRM」のポイントで、このようなことは絶対やるべきです。
あとは、サイトの使い勝手をよくするとか、できればブランドページに来ていただいた方が「どういった方」をサイト側でも認識をして、しっかりとお客さんを、「新規」なのか、「未購入の再来訪」なのか、「既存の●●の状態の顧客(購入顧客ステータス)」なのかで、メッセージやコンテンツを出し分けるとかはお客様が少ないうちからでもやるべきことだと思います。
お客様の数が多いか少ないかで成果が分かれる施策は、お客様増えてからするべきです。最初からするべきは、お客様にとって「いい体験」をしていただくためのサービスですよね、こういった体験施策は絶対にやっていくべきと思います。
つづきは
Part-02「失敗事例」から学ぶ他社の成功事例は再現性”なし”
4P分析とは、自社製品・サービスを4つの視点から分析する方法
<4P分析で用いる4つの視点>
- Product(自社の製品・サービス):どのような価値を市場に提供するのか
- Price(価格):いくらで提供するのか
- Place(販売場所・提供方法):どのような形で提供するのか
- Promotion(販促活動):どのような販促を行うのか
■トークゲスト
松崎 淳 様 プロフィール
2014年に医薬部外品、化粧品、健康食品のOEM会社に営業としてジョイン。
OEMの枠を超え、新規で事業を立ち上げるスタートアップや異業種から参入するクライアントに対し、商品の企画はもちろん事業の立ち上げまで包括的にサポート。
部門長、執行役員を経て、2019年10月に代表取締役社長に就任した。
その後、化粧品、健康食品を販売するメーカーの取締役を歴任し、現在はD2Cを展開する企業の事業戦略、商品企画を支援するビジネスコンサルタントとして活動している。
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曽川 雅史 様 プロフィール
株式会社シナブル
クライアントコミュニケーション&マーケティング部 部長
クラウドCRMベンダーにて法人営業でトップセールスを達成後、同社のWebマーケティングを担当し、子会社にて広告事業の立ち上げに奔走。
その後Webコンサルティング会社へ入社。大手企業への法人営業に従事。
2020年シナブル入社。これまでの経験を活かし、施策の自動化をベースとしたEC売上向上を支援している。
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本当のコスメ開発とCXの成功ポイント シリーズリスト
スキンケアなどのビューティー業界 事業企画、参入整理するべきPoint
1. **事業計画の重要性**
- 多くの企業が基本的な事業計画を軽視している
- 定量的目標(売上・利益)と時間軸の設定が必要
- 定性的な「ビジョン」と価値提供の明確化が重要
2. **よくある課題**
- 商品開発が先行し、事業ビジョンが後付けになりがち
- 「儲かりそう」という理由だけで参入するケースが多い
- 長期的な事業の展望が不明確なまま進めてしまう
3. **CRMとCXについて**
- フェーズに応じた適切な施策選択が重要
- 顧客数が少ない段階での注意点:
- クーポン配布などの売上促進策は効果が限定的
- 基本的な顧客体験の向上を優先すべき
4. **すぐに取り組むべきこと**
- 商品の使用方法の適切な案内
- サイトの使いやすさの向上
- 顧客状態に応じたコンテンツの出し分け
- 顧客体験(CX)の基本的な改善
ビューティー業界での成功には、明確な事業計画とビジョンの設定、そして顧客数のフェーズに応じた適切なCRM戦略の実施が重要だということです。
「失敗事例」から学ぶ他社の成功事例は再現性”なし”
1. **成功の再現性の難しさ**
- 他社の成功事例の単純な模倣では効果が出にくい
- 商品の成分や価格だけでなく、総合的なマーケティング戦略が重要
2. **ペルソナ設定の重要性**
- 商品に合わせて実在しないペルソナを作らない
- コアなターゲット層の深い理解が必要
- ユーザーの価値観や悩みに真に響く商品開発が重要
3. **商品開発のアプローチ**
- 「作ってからターゲットを探す」のではなく
- 先に「誰に、どう届けるか」を明確にすべき
- 「購入理由」と「継続理由」を事前に具体化することが重要
4. **ブランドコミュニケーションの一貫性**
- LP、CRM、メールなど全てのチャネルで世界観を統一
- 特にビューティー商品は「世界観」が重要
- 伝え方の角度は変えても良いが、クリエイティブのトーンは統一すべき
5. **情緒的ベネフィット**
- 機能面だけでなく、感情に訴えかける価値提供が必要
- ユーザーの価値観に響く要素を含めることが重要
これらの要素を総合的に考慮し、一貫性のある戦略を立てることが成功への鍵となります。
CRM+CXの重要なポイント 「情緒的ベネフィット」とは
1. **商品力の重要性**
- プロダクトレッドグロース(PLG)が基本
- 単なるパフォーマンスマーケティングだけでは不十分
- 商品力が顧客体験や感情に直結
2. **競争激化市場での差別化**
- 商品が多すぎる市場環境
- 顧客の選択を獲得することが困難
- 実際の使用前に価値を伝える必要性
3. **感情に訴えかける要素の重要性**
- ブランドビジョンやプロミスへの共感
- パッケージデザインの魅力
- 商品の視覚的な特徴(2層式、伸びる質感など)
- SNSでの「映える」要素の重要性
4. **K-Beautyの成功例**
- ユニークで魅力的なデザイン
- 独自の処方・製法
- アイドルとのタイアップ戦略
- 原料の高配合とエビデンスの重視
- SNSでの効果的な情報拡散
5. **価格競争からの脱却**
- 低価格帯の一般商品との差別化
- 高価格帯商品を選んでもらうための感情的価値の創造
- 機能面と情緒面の両方からアプローチ
この内容から、日本のビューティー業界も商品開発とマーケティングの両面で、より戦略的なアプローチが必要とされていることが分かります。
「サブスク疲れ」 を招いている理由と「”シン”顧客体験重視」のCX とは
1. 定期購入(サブスクリプション)ビジネスの変化:
- 以前は3-4回の強制継続や解約困難な仕組みが一般的だった
- 現在は消費者庁の規制や消費者意識の変化により、そうした手法は通用しなくなっている
- 簡単に解約やスキップができる仕組みが求められている
2. 商品とマーケティングの重要性:
- 商品の価値とブランドの世界観が最も重要
- ステップメールなどの販売テクニックだけでは継続購入は難しい
- 商品の効果や価値を実感できなければ、マーケティング施策だけでは継続は困難
3. 顧客分析と商品開発:
- 以前より顧客のロイヤル化までに時間がかかるようになっている
- 成功している企業は:
- 社員が積極的に商品紹介を行う
- 顧客の声を真摯に受け止め、商品開発に活かす
- 効果的なクロスセル戦略を実施
4. 新商品展開と改善のプロセス:
- 新商品投入後、すぐに顧客の声に反応するのは避ける
- ある程度の母数が集まるまで(約6ヶ月)は辛抱強く待つ必要がある
- その後の半年で本格的な事業計画の見直しを検討
- 持続可能な事業展開のために、中長期的な資金計画が重要
5. 現代の事業展開の特徴:
- 短期的な売上目標達成よりも、顧客との関係構築を重視
- 商品とユーザー体験のフィット感を重視
- 十分な時間と資金的余裕を持った展開が必要
今日のビジネス環境では、単なる販売テクニックではなく、本質的な商品価値とカスタマーエクスペリエンスの質が重要となっています。
商品・CRM・CXの Personalize:パーソナライズ とは
1. デジタル時代のパーソナライゼーションについて:
- オンラインカウンセリングやアンケートを通じて顧客に最適な商品を提案
- 顧客の能動的な情報提供により、納得感の高い購買体験を実現
- 継続的な利用につながりやすい特徴がある
2. パーソナライズの仕組みと活用データ:
- 基本データ:顧客プロファイル(年齢、性別、肌質など)と購買履歴
- デジタルデータ:ウェブサイトでの行動履歴、閲覧時間、クリック情報など
- AIやテクノロジーを活用して自動的に最適なレコメンドを実施
3. 単品商品でのパーソナライズ戦略:
- コンテンツを活用したパーソナライズ(ブログ記事、顧客の声など)
- 顧客のライフスタイルや購入動機に応じたコンテンツ提供
- 共感を通じたブランドへの帰属意識の醸成
4. 商品ラインナップ拡充の考え方:
- 顧客視点を重視した開発アプローチ
- 既存商品の効果を高める関連商品の開発
- 顧客フィードバックに基づく商品改良や新商品開発
5. 総括的なメッセージ:
- 商品企画開発の重要性(上流工程の質が事業成長を左右する)
- 良い商品・ブランドづくりが基本
- マーケティングやCRMは、良い商品を広め理解してもらうための手段
このように、現代のビューティービジネスでは、データに基づくパーソナライズ戦略と、顧客視点に立った商品開発の両輪が重要となっています。