サブスク疲れを乗り越え、顧客との共創を!SkinCare-CX
パーソナライズスキンケアが拓く、新しい顧客体験
近年、DTCブランドの増加に伴い、サブスクリプションモデルが注目を集めています。しかし、一方で、「サブスク疲れ」や「ダークパターン」といった課題も浮き彫りになってきました。 真の顧客中心のマーケティングとは何か? 今回は、パーソナライズスキンケアブランド「COCO.Skin」を運営するSkin Code,inc.の三輪みゆき氏と、EC特化型マーケティングオートメーションツールを提供する株式会社シナブルの曽川雅史氏に、顧客体験(CX)の未来について語っていただきました。
顧客一人ひとりの肌に寄り添う、パーソナライズスキンケア
「COCO.Skin」では、一人ひとりの肌を科学的に分析し、最適なスキンケア製品を提案しています。三輪氏は、「お客様の肌の状態を深く理解し、その人に合ったスキンケアを提供することで、顧客満足度を高め、長期的な関係を築きたいと考えています。」と語ります。
データに基づいたパーソナライズCRM
曽川氏は、「従来のCRMは、顧客獲得や解約防止に重点を置いていましたが、これからのCRMは、顧客との長期的な関係構築に焦点を当てる必要があります。顧客一人ひとりのデータに基づいたパーソナライズされたコミュニケーションを通じて、より深いエンゲージメントを実現することができます。」と述べます。
本記事では、以下の点について深掘りしていきます。
- パーソナライズスキンケアが顧客体験に与える影響
- サブスクリプションモデルの課題と、その解決策
- データに基づいた顧客中心のマーケティング戦略
- コミュニティ型のCRMがもたらす可能性
- 顧客との共創こそが、これからのCX
顧客の多様なニーズに応え、真の顧客中心のマーケティングを実現するためには、単なる商品販売ではなく、顧客との共創が不可欠です。本記事では、パーソナライズスキンケアを事例に、顧客体験を向上させるための具体的な施策や、これからのCXのあり方について考察します。
【インタビュー】
Skin Code,inc. 代表取締役 三輪みゆき氏
株式会社シナブル 執行役員 曽川雅史氏
現状と課題整理
三輪氏
「COCO.skinでは、肌を科学的に理解し、一人ひとりの肌に合ったスキンケアを提供したいと考えています。そのため、31問のオンライン肌診断や、肌解析キットによる客観的な肌診断など、多角的なアプローチで顧客の肌データを収集しています。
しかし、顧客は自分の肌悩みを正確に把握できていないケースが多く、そのため、適切なスキンケアを選ぶことが難しいという課題があります。また、オンライン診断だけでは、客観的なデータが不足しているという声も聞かれます。
そこで、肌解析キットを導入し、自宅で手軽に本格的な肌解析ができるようにしました。これにより、顧客は自分の肌の状態をより深く理解し、最適なスキンケア製品を選ぶことができるようになります。」
曽川氏
「多くの企業が、サブスクリプションコマースに力を入れていますが、購入後の顧客との関係構築は、まだまだ改善の余地があります。
一般的なCRM施策としては、顧客セグメンテーションに基づいたパーソナライズされたレコメンドや、購入後のフォローアップなどが行われています。しかし、これらの施策は、顧客の行動履歴や購入履歴に基づいたものであり、顧客一人ひとりの個別のニーズに十分に応えているとは言えません。
また、顧客とのコミュニケーションは、メールやLINEなどのデジタルチャネルに偏りがちで、リアルな店舗との連携が不足しているケースも少なくありません。
より効果的なCRMを実現するためには、顧客のライフスタイルや価値観を理解し、それに合わせたきめ細やかなコミュニケーションが必要となります。具体的には、
パーソナライズされたコンテンツの提供: 顧客の興味や関心に合わせた商品や情報を提供する。
オムニチャネル戦略: オンラインとオフラインのチャネルを連携させ、シームレスな顧客体験を提供する。
顧客の声への対応: 顧客からのフィードバックを積極的に収集し、製品開発やサービス改善に活かす。
などが挙げられます。」
オンライン肌診断と顧客体験向上
三輪氏
「オンライン肌診断は、お客様一人ひとりの肌の状態を深く理解するための第一歩です。まるで、美容部員がお客様の肌をじっくりと診て、最適なスキンケア製品を提案しているようなイメージですね。
お客様へのメリット
- 自分自身の肌を深く理解: 診断結果を通じて、自分の肌質や悩みに対して客観的な知見を得ることができます。
- 最適な製品選択: 診断結果に基づいて、自分にぴったりのスキンケア製品を選ぶことができるため、満足度が向上します。
- スキンケアに対するモチベーション向上: 肌の変化を数値で確認できるため、スキンケアを継続するモチベーションが維持されます。
ブランドへのメリット
- 顧客データの深化: 顧客一人ひとりの肌の状態や悩みを詳細に把握できるため、よりパーソナライズされた商品やサービスを提供できます。
- 商品開発への貢献: 顧客のニーズを正確に把握することで、より効果的な商品開発に繋げることができます。
- 顧客ロイヤリティ向上: 顧客一人ひとりに寄り添ったサービスを提供することで、顧客との長期的な関係を築くことができます。」
曽川氏
「オンライン肌診断で得られた顧客データは、CRM(顧客関係管理)をより高度なものへと進化させます。
CRMへの影響
- パーソナライズされたコミュニケーション: 顧客の肌の状態や興味関心に合わせた、きめ細やかなコミュニケーションが可能になります。
- 顧客教育の強化: スキンケアに関する知識や情報を提供することで、顧客の理解を深め、製品への満足度を高めます。
- リピート購入促進: 顧客のニーズに合った商品を提案し、リピート購入を促します。
- 新商品開発への貢献: 顧客データに基づいた商品開発を行い、顧客のニーズに応える製品を開発することができます。
顧客体験の向上
- スキンケアジャーニーのサポート: 肌の状態の変化に合わせて、長期的なスキンケアプランを提案します。
- コミュニティ醸成: 他の顧客との情報交換や意見交換の場を提供することで、コミュニティを醸成します。
具体例
- 肌診断結果の可視化: 過去の診断結果と比較できる機能を提供することで、スキンケアの効果を実感してもらい、モチベーションを維持します。
- パーソナライズされた商品レコメンド: 顧客の肌の状態や過去の購入履歴に基づいて、最適な商品をレコメンドします。
- 季節やライフスタイルに合わせたスキンケアアドバイス: 季節の変わり目やライフスタイルの変化に合わせて、適切なスキンケア方法を提案します。
オンライン肌診断は、単なる診断ツールにとどまらず、顧客との長期的な関係を築くための重要なツールです。顧客一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズされた体験を提供することで、顧客満足度向上とブランドロイヤリティ向上に貢献します。」
購入後のCX:スキンコンシェルジュとコミュニティ型のCRM
三輪氏
「COCO.skinでは、お客様一人ひとりに寄り添ったサポートを提供するため、スキンコンシェルジュによるチャット相談サービスを導入しています。皮膚科学や処方開発の専門家が、お客様の肌に関する疑問に丁寧にお答えし、最適なスキンケア方法をご提案します。
従来のLINEでの相談に加え、ウェブサイト上でのチャット相談も開始することで、より多くの顧客が気軽に相談できる環境を整えました。お客様は、購入商品の使用方法だけでなく、様々なスキンケアに関する疑問を気軽に相談できます。
また、SNSの普及に伴い、美容情報は氾濫しています。お客様が正しい情報を得られるよう、商品の成分や製造過程など、詳細な情報を公開しています。さらに、肌質や生活習慣によって最適なスキンケアは異なること、そして、間違った情報に惑わされないように、専門家としての立場から正しい情報を発信することで、お客様の美容に対する不安を解消し、期待感を高めています。」
曽川氏
「スキンケア商品のEコマースにおいて、購入後の顧客体験が非常に重要になっています。従来のCRMでは、リピート率が5回から6回程度でしたが、近年では8回から10回にまで向上しています。
これは、購入前、購入中、購入後の体験を一体的に捉え、顧客一人ひとりに合わせたきめ細やかなサポートを提供することで実現しています。
CRMの進化
- パーソナライズされたコミュニケーション: 顧客の購入履歴や肌診断結果に基づいた、パーソナライズされた商品提案やスキンケアアドバイスを提供します。
- コミュニティの醸成: SNSを活用し、顧客同士が情報交換できる場を提供することで、ブランドへの愛着を高めます。
- データの統合: オンラインとオフラインの顧客データを統合し、より深い顧客理解を目指します。
従来のCRMとの違い
- 顧客との長期的な関係構築: 単なる商品販売ではなく、顧客の美をサポートするパートナーとして、長期的な関係を築きます。
- 顧客エンゲージメントの向上: 顧客とのコミュニケーションを活性化し、ブランドへのエンゲージメントを高めます。
- コミュニティの活用: SNSを活用し、顧客同士が繋がり、共感し合える場を提供します。
コミュニティ型CRMのメリット
- 顧客のロイヤリティ向上: 顧客はブランドに対して、単なる商品を提供する企業ではなく、美に関する悩みを解決してくれるパートナーという認識を持つようになります。
- 口コミによる拡散: 満足した顧客が、自発的に製品やブランドについて口コミをすることで、新たな顧客獲得に繋がります。
- ブランドイメージの向上: 顧客との共創により、ブランドイメージを向上させることができます。
スキンケアEコマースにおいて、購入後の顧客体験は、顧客ロイヤリティ向上やブランド成長に不可欠です。スキンコンシェルジュによる個別相談や、コミュニティの醸成など、顧客との多様なタッチポイントを通じて、より深い関係性を築くことが重要です。」
今後のCXの展望
曽川氏
「CXを改善していく上で最も重要なことは、自社のブランドや顧客に合った施策を設計することです。例えば、オンラインカウンセリングを導入するにしても、その目的は、顧客に商品を選んでもらうためなのか、それとも、購入後のサポートを強化するためなのか、といったように明確な目的を持つ必要があります。
サブスクリプションサービスにおいては、『効果が出ない』『余っている』『お金に余裕がない』といった理由で解約する顧客がいます。このような顧客に対して、無理に継続を促すのではなく、顧客の状況に合わせて柔軟に対応することが重要です。例えば、効果が出ない場合は、より適切な商品を提案したり、一時的に休止できる制度を設けるなど、顧客視点に立った対応が必要です。
従来のCRMは、顧客獲得や解約防止に重点を置いていましたが、これからのCRMは、顧客との長期的な関係構築に焦点を当てる必要があります。顧客がブランドから離れる際に、より良い体験を提供することで、ブランドイメージ向上に繋げることができます。」
三輪氏
「CXにおいては、常に新しい試みやアイデアを取り入れることが重要です。特に、競合他社との差別化を図るためには、他社がまだ取り組んでいないような革新的な施策を展開する必要があります。
例えば、当社では、顧客のライフサイクルに合わせて、様々な施策を組み合わせることで、顧客満足度向上を実現しています。また、顧客のフィードバックを積極的に取り入れ、常に改善を続けています。
さらに、メーカーやブランドの枠を超えて商品を提供できるという強みを活かし、顧客のニーズに合わせた柔軟なサービスを提供しています。
これからのCXは、顧客との共創を通じて、よりパーソナライズされた体験を提供していくことが求められます。」
コマースピックインタビュー記事
単品リピートのステップメールだけでのCRMは、顧客が飽きている(疲れている)います。
本来の顧客の課題解決に寄り添っていくための、コミュニケーションとそこから生まれるデータでのパーソナライズが重要になってきています。
SkinCareは競争が激しいだけではなく、類似商品が数多く生まれては、パフォーマンスマーケティングで、売上収益を得ることを展開している業界でもあり、「顧客中心」ではないブランドが多いことでも知られています。
そのためもあり、消費者は商品選択の方法を間違えていることも多く見受けられます。
SkinCareカテゴリーをケーススタディとして、これからのCXについて、COCO.skin、をケーススタディとして探索していくことで、顧客の肌への関心についてとともにEC Intelligence を使った、メール・LINEだけではなく、コマースサイトの機能を活用した、双方向でのデータ収集・活用方法のインサイトをおとどけします。
パーソナライズとコミュニケーション主体のCRM:スキンケアブランドのデータ駆動型CX【Part1】
「スキンケアブランドにおけるデータ駆動型CX(顧客体験)」をテーマに、パーソナライズスキンケアブランド「COCO.skin」を展開する株式会社Skin Code代表の三輪みゆきさんと、EC特化型CRMツール「EC Intelligence」を提供する株式会社シナブルの曽川雅史さんにインタビューしました。スキンケア業界の現状と、顧客視点に立ったCXの革新についてお話を伺いしています。
購入前・購入中における購買体験のポイントは顧客プロファイルの共有:スキンケアブランドのデータ駆動型CX【Part2】
コマースピック記事
COCO.skin のオンライン肌診断は、顧客一人ひとりの肌の状態を深く理解し、よりパーソナライズされたスキンケアを提供するためのものです。
顧客とブランドの双方にもたらすメリット
顧客:
- 自分自身の肌を深く理解: 現在の肌の状態、課題、そして必要なケアを把握できる。
- パーソナライズされた商品提案: 自分の肌に合った商品を選べるため、満足度向上に繋がる。
- スキンケアに関する知識の習得: スキンケアの知識を深め、効果的なケアを実践できるようになる。
ブランド:
- 顧客データの蓄積: 顧客の肌質、悩み、行動パターンなどの詳細なデータを収集できる。
- 商品開発への活用: 顧客の声に基づいた商品開発を行い、顧客のニーズに合った商品を提供できる。
- 顧客とのエンゲージメント向上: 顧客との関係性を深め、ブランドロイヤルティを高める。
顧客データ活用の効果
- パーソナライズされたマーケティング: 顧客一人ひとりのデータに基づいた、最適な商品やサービスの提供が可能になる。
- 顧客教育の機会: スキンケアに関する知識を提供し、顧客がより効果的に商品を活用できるように支援できる。
- 顧客との長期的な関係構築: 顧客のライフステージや肌の変化に合わせて、継続的にサポートすることで、顧客との関係性を深めることができる。
まとめ
オンライン肌診断は、顧客とブランド双方にとってメリットが大きいツールです。顧客は、自分の肌に合ったスキンケア製品を選び、より美しい肌を手に入れることができます。ブランドは、顧客データを活用することで、より効果的なマーケティング戦略を展開し、顧客との長期的な関係を築くことができます。
購入後の顧客サービス+CRMで本当の商品力を実感:スキンケアブランドのデータ駆動型CX【Part3】
コマースピック記事
COCO.skinのカスタマーエクスペリエンス戦略
COCO.skinは、顧客一人ひとりの肌に寄り添うためのカスタマーエクスペリエンス(CX)戦略として、以下の3点を重点的に行っています。
1. 専門家によるパーソナライズされたカウンセリング:
- * チャットによる気軽に相談できる環境づくり
- * 専門家による診断に基づいた個別カウンセリング
- * 顧客の肌状態や使用商品に合わせて、最適なスキンケア方法を提案
- * 正しい美容情報の発信により、顧客の不安解消と美容への期待感向上
2. データ主導のCRM:
- * 顧客データの統合と分析によるパーソナライズ化
- * リピート率向上のための施策の実施
- * 購入前・中・後の体験を重視した顧客との長期的な関係構築
3. コミュニティ型CRM:
- * SNSを活用した顧客とのコミュニケーション
- * 顧客同士の交流を促進し、ブランドへのロイヤルティ向上
- * オンラインとオフラインの顧客データ統合による効果的な施策実行
これらの戦略により、COCO.skinは、顧客満足度向上、リピート率向上、そしてブランドロイヤリティ向上を実現しています。**
まとめ
- 顧客とのコミュニケーションの多様化:
チャット、SNSなど、顧客が気軽に相談できる環境を整備。 - 専門知識の活用:
皮膚科学や処方開発の専門家によるアドバイスで、顧客の信頼を獲得。 - データに基づいた戦略:
顧客データを活用し、一人ひとりに合わせたパーソナライズ化を実現。 - コミュニティの重要性:
顧客同士の交流を促進し、ブランドへのエンゲージメントを高める。
COCO.skinの事例は、現代のEコマースにおけるCX戦略を考える上で非常に参考になるでしょう。
補足
- F数:
購入頻度を表す指標。F数が増えるほど、顧客のロイヤルティが高いことを示す。 - リシップメント:
定期配送のこと。 - リードナーチャリング:
見込み客を顧客へと育成すること。
これからのCXは「サブスクありき」から「コミュニティとコミュニケーション」へ:スキンケアブランドのデータ駆動型CX【Part4】
顧客体験(CX)を成功させるための3つのポイント
現代における顧客体験(CX)の設計について、COCO.skinの事例を交えながら解説しています。特に、顧客の解約というネガティブな側面にも目を向け、より深い顧客理解に基づいたCX設計の重要性を強調しています。
1. ターゲットに合わせたCX設計の重要性
- 顧客のニーズを深く理解する:
単にオンラインカウンセリングを開設するだけでなく、その目的を明確にすることが大切です。 - 顧客の行動を予測する:
効果が出ない、商品が余るなど、顧客が解約する主な理由を把握し、事前に対策を立てます。
2. 解約をきっかけとしたCXの再設計
- 顧客の視点に立つ:
効果が出ない商品を無理に継続させるのではなく、解約を提案することで顧客満足度向上に繋がるケースもあります。 - 顧客のライフサイクルに合わせた対応:
解約した顧客へのアプローチは、再購入を促すだけでなく、ブランドとの関係性を長期的に維持するための重要な要素です。 - サンセットプロセスの重要性:
解約した顧客へのメッセージ送信を停止し、他のチャネルで再接触する機会を設けることで、顧客の負担を軽減し、ブランドイメージを向上させます。
3. 革新的なCX設計のポイント
- 競合との差別化:
他社が実施している施策を単純に模倣するのではなく、独自の価値を提供する必要があります。 - 顧客フィードバックの活用:
リアルインタビューなどを通じて、顧客の声を積極的に聞き、改善に繋げることが重要です。 - 柔軟な商品提供:
顧客のニーズに合わせて、商品ラインナップを柔軟に変更できる体制を整えることが大切です。
まとめ
現代のCX設計においては、顧客のニーズを深く理解し、彼らの行動を予測することが重要です。特に、解約というネガティブな側面にも目を向け、顧客との長期的な関係構築を目指したCX設計が求められています。COCO.skinの事例は、顧客中心のCX設計の実践的なヒントとなるでしょう。