物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

「発送代行を検討しているけど、費用ってどれくらいかかるの?」
「相場が分からず、見積もりの良し悪しが判断できない……」
そんな悩みを抱えるEC事業者や個人事業主の方に向けて、発送代行サービスの料金体系や相場感を解説します。基本費用からオプションまで、「何にいくらかかるのか?」がひと目で分かるよう整理しました。
費用への考え方やサービス品質とのバランスにも触れているので、初めての外注にお役立てください。
発送代行サービスにかかる費用の内訳と相場

発送代行の費用は大きく固定費と変動費に分かれます。固定費として毎月かかる基本料金(システム利用料や事務管理費)があり、それに加えて物量に応じた変動費として入庫費用、保管費用、配送費用・出庫費用が発生します。
以下は各費用項目と相場の目安です。
- 基本料金:月額約1〜3万円程度
- 入庫費用:1点あたり15〜20円程度
- 保管費用:1坪あたり 月額4,000円〜
- 出庫費用・配送費用:60サイズ 600円台
それぞれの内訳とサービスによる料金の違い等を詳しく解説します。
基本料金(システム利用料・事務手数料)
基本料金とは、発送代行サービスを利用するために毎月固定で支払う料金です。多くの場合、システム利用料や事務手続き料が含まれています。
基本料金の相場は月額約1〜3万円程度です。
EC向け発送代行は、基本料金が設定されていないサービスも多い傾向ですが、その他の費用にあん分されていると考えるとよいでしょう。
入庫費用(商品の受け入れ・検品)
入庫費用は、仕入先や工場から発送代行業者の倉庫へ商品を納品・受け入れする際にかかる費用です。荷下ろしや検品作業などを含め、1商品あたりで料金が設定されるのが一般的です。
入庫費用の相場は1点あたり15〜20円程度です。
数量検品が必要な商品1点あたりで換算されます。まとめて梱包して納品すれば、コスト削減につながるわけではないので、注意しましょう。
保管費用(在庫の保管にかかるスペース利用料)
保管費用は、商品を倉庫で保管するためのスペース利用料です。料金体系は発送代行サービスにより様々ですが、一般的には使用する保管スペースの広さや在庫の大きさによって計算されます。
請求単位別に保管料の相場は、次の通りです。
- 1坪あたり 月額4,000円〜
- 1パレットあたり 月額3,000円〜
- 60サイズの商品あたり 日額1円〜(月額約30円/個)
単位によって見え方が異なりますが、おおよそ同程度の保管費用となります。
なお、上記の例は関東近郊、常温保管の相場です。保管料は倉庫の所在地や温度帯(常温・冷蔵・冷凍)によっても変動し、都市部の倉庫ほど高額になる傾向があります。
配送費用・出庫費用(送料・ピッキング・梱包)
配送費用は、宅配便などでお客様へ商品を届ける送料です。加えて、ピッキングや梱包にかかる出庫費用もここに含まれていることが多い傾向です。多くの発送代行業者は大手宅配業者と法人契約を結んでおり、個人で送るより安い運賃が適用になるメリットがあります。
配送費用は、荷物のサイズによって異なる料金体系が一般的です。相場は次の通りです。
- ポスト投函便 300円台
- 60サイズ 600円台
- 80サイズ 700円台
- 100サイズ 800円台
- 120サイズ 900円台
一部では、配送エリアごとに異なる料金表を提示している発送代行サービスもあります。配送費用は業者ごとに異なるため、自社の商品サイズを加味して、比較検討することが大切です。
発送代行サービスのオプション作業に伴う追加費用

基本的な発送フロー以外の付帯作業を依頼する場合、以下のようなオプション料金が発生します。
- 追加ピッキング費用:1点あたり10~30円程度
- ギフト包装費用:1件あたり100~300円程度
- シール・ラベル貼り費用:1枚あたり10~30円程度
- セット組作業費用:1セットあたり20~30円程度
サービスの内容について詳しく解説します。
追加ピッキング費用
追加ピッキング費用は、1注文内で商品点数が複数になる場合の追加ピックアップ作業料です。2点目以降の商品について、1点あたり10~30円程度の追加料金が課されるのが一般的です。
ギフト包装費用
ギフト包装費用は、プレゼント用途のラッピング対応を依頼する場合の費用です。簡易なギフト包装で1件あたり100~300円程度が相場です。必要な資材により、価格帯が変動します。そもそも、対応できない発送代行サービスもあるので、必要であれば事前に必ず確認しましょう。
シール・ラベル貼り費用
シール・ラベル貼り費用は、商品へのバーコードラベル貼付やシール添付作業(輸入品に添付する日本語ラベルなど)にかかる費用です。1枚あたり10~30円が相場です。
セット組作業費用
セット組作業費用は、複数の商品をまとめてセット商品を作る(セット組み)作業に対する費用です。作業内容にもよりますが、1セットあたり20~30円程度が相場です。
セット用の専用箱詰めや包装が必要な場合は、別途梱包資材費が加算されることもあります。
各費用とも、実際の料金は委託する商品や数量、作業内容によって変動します。上記の相場と各サービスの公式サイト情報を参考に、自社のニーズに合ったサービスを選定するとよいでしょう。
発送代行の費用は「ただのコスト」ではなく「時間と利益を生む仕組み」として捉える

発送代行の費用を見ると、「1件あたり〇円かかるなら、自社でやった方が安いのでは?」と考える方も多いでしょう。たしかに単価だけを見るとそう思うかもしれません。
しかし、EC事業の成長を止めないためにも、発送業務の外注はただのコストではなく、「売上を伸ばすための投資」として捉えることをおすすめしています。ここでは、発送代行にかかる費用を「コスト」ではなく「余力と利益を生み出す手段」として見る3つの視点を紹介します。
- 発送作業にかけていた時間が「利益を生む時間」に変わる
- 固定費を変動費化することで、無駄なコストを抱えずに済む
- 物流トラブルが減少し、利益が残る運用になる
発送作業にかけていた時間が「利益を生む時間」に変わる
発送代行サービスを利用すると、「利益を生む時間」を創出できます。
商品の梱包・伝票出力・発送といった入出荷業務は、毎日積み重なるとかなりの時間を取られます。たとえば1日2時間を発送業務に使っていたとしたら、月に約40時間分のリソースが削られている計算です。
これを外注化すれば、その時間を新商品の開発、販促設計、レビュー対応といった売上につながる活動に回すことができます。発送代行への投資は、「集中できる環境を買う」側面もあるのです。
固定費を変動費化することで、無駄なコストを抱えずに済む
発送代行は「出荷した分だけ支払う」仕組みのため、閑散期には自然とコストが抑えられ、売上を安定させやすいのが特徴です。
これと比較し、自社で発送体制を持つと、倉庫代や人件費など、売れていなくても発生する固定コストが多くかかります。
物量に季節変動があるEC事業やスタートアップ段階では、固定費を持たずに済む仕組みが安心材料となるでしょう。
物流トラブルが減少し、利益が残る運用になる
発送代行業者の利用によってミスが減り、返品対応や再発送の手間がなくなった結果、利益が安定したというケースもあります。
EC事業では、物流のトラブルがキャンセルや不良在庫を発生させてしまうケースも少なくありません。「資産を守り、利益を増やせる仕組みかどうか」といった視点を持つことも重要です。
発送代行を利用するメリット・デメリットや委託できる業務内容は以下の記事で詳しく解説しています。
<関連記事>「【2025年版】発送代行•物流代行完全ガイド」
発送代行サービスを選ぶ際のコスト比較ポイント

複数の発送代行業者を比較検討する際、料金表の数字だけに惑わされず総合的に判断することが重要です。ここでは業者選定時に押さえておきたいコスト面のチェックポイントを紹介します。
料金の安さだけでなくサービス品質も確認
「費用を抑えたい」という思いから料金の安さに目が行きがちですが、極端に安い価格を提示している業者には注意が必要です。
相場より安すぎる場合、サポート体制が十分でない可能性があります。その場合、次のような懸念が考えられます。
- 在庫差異が頻発する
- 破損や紛失などトラブル発生時の対応が悪い
- 必要なサービス範囲が不足している
発送代行業者が低価格を実現するには、業務を標準化し、人手を減らす必要があります。そのため、基本以上の業務は請け負わないことで標準化を図っているサービスもあるでしょう。
長期的には、多少コストが上乗せになっても安定した出荷と顧客満足を実現できる業者の方が結果的に得られるメリットが大きい場合もあります。
複数社から見積もりを取り総合比較する
発送代行の料金体系は各社で複雑であるため、一社だけの見積もりで即決するのは避けたほうが無難です。必ず複数の業者から見積もりを取得し、比較検討するようにしましょう。
「配送費用」のひとつをとっても、配送料の他に梱包資材やピッキング料金などが含まれている場合とそうでない場合があります。「保管費用」も計算単位や日額、3期制(1〜10日・11〜20日・21〜31日)、月額といった請求単位で費用感が変わります。
見積もり時には想定される月次出荷件数や在庫量をできるだけ具体的に伝え、自社に合ったプランを提示してもらいましょう。また、見積もりを依頼する際の対応の迅速さや丁寧さも業者選びの判断材料になります。費用面だけでなくコミュニケーションの取りやすさや提案力なども総合的に比較し、最適なパートナーを選定してください。
失敗しない発送代行業者の選び方やおすすめの発送代行業者も以下の記事で解説しています。
<関連記事>「発送代行業者おすすめ20選!比較に必要な基本情報や選び方を解説」
発送代行サービスの料金表の例
当社富士ロジテックホールディングスでは、EC発送代行サービスを提供しています。
各種 ECモールやカートシステムとAPI連携できる仕組みを利用し、ECの自動化を支援。パーソナライズ施策に必要な条件にもとづいた同梱や、口コミを呼ぶオリジナル梱包、様々なニーズに応える流通加工に対応しながら、創業100年以上にわたる物流の実績と高い品質でEC事業の成長を支えます。
以下は、料金表です。参考にご参照ください。
|
費用区分 |
作業項目 |
料金 |
備考 |
|
入庫費用 |
入庫料 |
15円/個 |
入庫時の数量検品費用 |
|
保管費用 |
保管料 |
3,000円〜/パレット |
パレットサイズ:縦1.1m×横1.1m、拠点により異なる(税別) |
|
出庫費用 |
商品ピッキング料 |
10円〜/商品 |
棚から商品を取り出す作業 |
|
出庫費用 |
同梱物ピッキング料 |
3円〜/点 |
チラシ・ノベルティなどの同梱物封入作業 |
|
梱包費用 |
シール貼り作業 |
10円〜/枚 |
商品や資材へのラベル貼付 |
|
梱包費用 |
ギフト包装(袋タイプ) |
80円〜/個 |
簡易ギフトラッピング |
|
配送費用 |
ポスト投函便 |
340円〜 |
A4未満・厚さ2.5cm・1kg以内、離島・中継料なし |
|
配送費用 |
宅急便コンパクト |
600円 |
25×20×5cm、専用資材使用、離島+400円 |
|
配送費用 |
宅急便 60サイズ |
640円 |
3辺合計60cm・2kg以内、離島+700円、中継料実費 |
|
配送費用 |
宅急便 80サイズ |
720円 |
3辺合計80cm・5kg以内、離島+1,200円、中継料実費 |
|
配送費用 |
宅急便 100サイズ |
820円 |
3辺合計100cm・10kg以内、離島+1,700円、中継料実費 |
|
配送費用 |
宅急便 120サイズ |
970円 |
3辺合計120cm・15kg以内、離島+1,900円、中継料実費 |
|
配送費用 |
宅急便 140サイズ |
1,220円 |
3辺合計140cm・20kg以内、離島+2,400円、中継料実費 |
|
配送費用 |
宅急便 160サイズ |
1,320円 |
3辺合計160cm・25kg以内、離島+2,900円、中継料実費 |
|
オプション費用 |
セット作業 |
30円〜/セット |
複数商品のセット梱包 |
|
オプション費用 |
返品作業料 |
150円〜/個 |
返品検品・棚入れ作業 |
このほか、冷凍冷蔵向けの料金表もございます。
費用内訳を理解しコストとサービスの最適バランスを

発送代行の費用は固定費(基本料金)+変動費から成り立ち、その内訳と相場を把握することで適正なコスト感覚を持つことができます。安さだけを追求するのではなく、サービス内容や対応力とのバランスを考えることが重要です。
特にEC物流は顧客満足度にも直結する部分であり、信頼できる物流パートナーの存在が不可欠です。適正な費用で発送代行を活用し、物流業務の効率化とビジネスの拡大につなげていきましょう。
発送代行サービスの検討にあたって、不明点があれば遠慮なく問い合わせてみてください。複数社の話を聞く中で、本当に必要なコストと削減できるコストが見えてくるはずです。
富士ロジテックホールディングスは、サービス品質とコストの両立を図っています。
EC物流スタートアッププランでは、小規模事業者の方にご利用いただきやすいように、特別料金をご用意しています。全国の主要都市に倉庫があり、事業の成長に合わせた出荷件数に対応できるだけでなく、分散拠点も視野に発送代行サービスをご活用いただけます。お気軽にご相談ください。
殿堂入り記事
発送代行完全ガイド
発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。
ライター
田中なお
物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。
タグ一覧
カテゴリー








