田中なお
田中なお

物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

EC物流の比較ポイントとおすすめ発送代行会社7選、その特徴

物流代行 発送代行

EC物流の比較ポイントとおすすめ発送代行会社7選、その特徴

EC物流の需要が加速し、発送代行会社も徐々に増えている傾向にあります。選択肢の幅が広がる一方、利用を検討する方にとって選ぶのが難しい現状があるでしょう。なぜなら料金体系が異なるうえに項目が細かく、さらに業者ごとに代行の対応範囲も変わってくるからです。

当記事ではEC物流代行業者を比較する際のポイント、おすすめの発送代行会社を紹介します。ぜひ、比較検討にお役立てください。

EC物流の発送代行会社、比較ポイント7つ

EC物流の発送代行会社、比較ポイント7つ

まずはEC物流の発送代行会社を比較する際に、注目したいポイントを確認しておきましょう。

  1. 配送リードタイムの比較
  2. 対応範囲の比較
  3. 費用の比較
  4. 運用面の比較
  5. 出荷数の上限を比較
  6. 対象商品の比較
  7. 保管拠点の場所を比較

1.配送リードタイムの比較

EC物流の発送代行会社を比較する基準として、1つ目に挙げられるのは配送の早さです。「すぐに商品が手元にほしい」需要は一定数あり、満足度に影響します。

全国各地に物流拠点を持っている企業では、地方への納品リードタイム短縮が可能です。一部の地域に対し、最短当日配送の仕組みを構築しているEC物流の発送代行会社もあります。

規模やネットワークの大きな代行事業者を中心に、配送リードタイムのメリットを享受できます。

2.対応範囲の比較

EC物流の代行業者を比較する基準として、2つ目に挙げられるのは対応範囲です。

対応範囲の基本となるのは入出庫、検品、保管といった物流業務。次のような業務を委託できるかは、業者ごとに異なります。

  • 流通加工
  • カスタマーサポート
  • 受注
  • 決済
  • ECサイトの運営代行
  • 他拠点展開

「契約した事業者がお願いしたい業務に対応していなかった」というような後悔がないように、業務拡大を見込んで対応範囲を比較しておきましょう。

3. 費用の比較

EC物流の発送代行会社を比較する基準として、3つ目に挙げられるのは費用です。理解しやすい配送料だけで安易に比較しないよう注意してください。EC物流を委託するには、配送料以外に以下のような料金がかかります。

  • 保管料
  • 入出庫料
  • システム管理料
  • オプション料

業者によって名目が異なっていたり、細かい料金が請求されないように見えて保管料に上乗せされていたりする実情があります。明確に比較するには、各社同条件での相見積もりが妥当です。

4.運用面の比較

EC物流の発送代行会社を比較する基準の4つ目は、運用面です。稼働が始まってから実感する部分であり、比較が難しい側面もあります。

しかし実務担当者と直接コミュニケーションを取れる環境下とコールセンターをまたがなければならない環境下では、対応の早さや伝達の正確性に差が出やすくなります。各社を比較する問い合わせ段階でどういった体制を構築しているか確認してみると良いでしょう。

5.出荷数の上限を比較

1日あたりにおける出荷数の上限も比較すべきです。

セールや新商品の発売、連休後など、出荷数に波があるのはEC物流の特徴といえます。売上が上がるほど、物量の波も大きくなりますが、発送代行会社の規模によっては対応しきれなくなるケースもあるのです。 

事業拡大も見込んで、出荷上限のキャパシティーに余裕がある発送代行会社を比較・選定してみてください。

6.対象商品の比較

比較する際に必ず確認しておきたい6つ目のポイントは、対応商品です。

  • 医薬品、医薬部外品、化粧品
  • 冷凍・冷蔵が必要な商品
  • サイズが大きい商品
  • 高額商品

上記の商品は必要な許認可、設備などの有無で取扱できない発送代行会社もあります。自社商品を取扱いできる条件を満たした倉庫を選びましょう。

<関連記事>「化粧品の発送代行も対応できるおすすめ業者を一挙紹介

7.保管拠点の場所を比較

保管拠点の場所にも着目して比較してみてください。発送代行会社によっては、関東のみ、関西のみといったように保管拠点の場所が集中しているケースもあります。

一方、必要に応じて現場視察も必要なため、EC事業者側の拠点と保管拠点は程よく近い場所が望ましいです。(多拠点展開する場合は、この限りではありません)配送リードタイムにも影響するので、チェックしてください。

<関連記事>「EC物流アウトソーシングのメリット・デメリット!おすすめ企業3選も紹介

EC物流の発送代行会社おすすめ7選【比較】

EC物流の発送代行会社おすすめ7選【比較】

では次に、EC物流発送代行会社おすすめ7選を紹介します。差別化ポイントを中心に比較してみましょう。会社概要は規模感や実績の参考にしてください。

  1. 富士ロジテックホールディングス
  2. オープンロジ
  3. EC物流おまかせくん(SBSグループ)
  4. ウルロジ
  5. 三協
  6. イー・ロジット
  7. スクロール360

おすすめ1.富士ロジテックホールディングス

おすすめ1.富士ロジテックホールディングス

画像出典:富士ロジテックホールディングス公式サイト

富士ロジテックホールディングスは歴史と実績のある大手物流会社です。受注管理システム、在庫管理システム一体型の「ロジレス」や「コマースロボ」を導入しており、多チャネルにも対応しながら受注から発送までのほぼ自動化が実現します。Unboxing(アンボクシング、開封の儀)や返品対応の重要性を謳っており、ブランドの差別化も支援。全国各地に拠点があり、自動化にも取り組んでいるため、事業拡大にも対応できます。

倉庫保管料2ヶ月無料キャンペーン中。10月31日までのため、今がお得です。

費用

配送料(梱包、納品書発行、同梱を含む)

ポスト投函便320円〜宅配便160サイズまで1,300円

(別途離島料金、中継料)

入庫料

15円

保管料

3,000円(1パレット/月額)

商品ピッキング料

10円〜

同梱物ピッキング料

3円〜

シール貼り作業

10円〜

セット作業 

30円〜

返品作業料

150円〜

ギフト包装

袋タイプ 80円〜

会社概要

社名

株式会社富士ロジテックホールディングス

本社

東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル8F

設立

大正7年5月16日

資本金

3億円

従業員数

合計/811人(パート等含む)(2022年8月末現在、連結対象会社)

おすすめ2.オープンロジ

おすすめ2.オープンロジ

画像出典:オープンロジ公式サイト

オープンロジは12,000社以上の導入実績を持つ物流アウトソーシングのプラットフォームです。標準化とデータを活用した見える化、改善を繰り返し、誤出荷率0.002%以下の品質を誇っています。幅広いネットワークを活用し、冷凍・冷蔵、大型商材、海外発送など業種を問わずに対応しているのが特徴です。

費用

オープンロジの費用は従量課金制です。要問い合わせ。

会社概要

社名

株式会社オープンロジ

本社

東京都豊島区東池袋1丁目34-5 いちご東池袋ビル9F

設立

平成25年12月25日

資本金

1億円

従業員数

おすすめ3.EC物流おまかせくん(SBSグループ)

おすすめ3.EC物流おまかせくん(SBSグループ)

画像出典:EC物流お任せくん公式サイト

EC物流おまかせくんは物流だけでなく、EC構築運用支援やカスタマーサポートまでワンストップでお任せできるサービスです。物流DXに積極的に取り組んでいるため、物流の波動や事業の拡張などへの対応力も期待できます。国内外の拠点は700以上。総合物流企業としての実績を持つSBSグループが運営しています。

費用

EC物流おまかせくんの費用は要見積もりです。

会社概要

社名

SBSホールディングス株式会社

本社

東京都新宿区西新宿8-17-1

住友不動産新宿グランドタワー25階

設立

昭和62年12月16日

資本金

39億20百万円

従業員数

22,829名(うち正社員11,970名、2022年12月末現在、連結)

おすすめ4.ウルロジ

おすすめ4.ウルロジ

画像出典:ウルロジ公式サイト

ウルロジは小ロットの委託や個人事業主でも始められるEC物流の発送代行です。電話、メール以外にチャットツールを活用し、事業者と現場スタッフの円滑なコミュニケーションを図っている特徴があります。受注、カスタマーサポート、海外発送など柔軟な対応が可能です。都内に3つの自社物流拠点を保有。

費用

配送料(梱包、納品書発行、作業費込み)

A4サイズ以内300円〜

システム料+1ラック分の保管料(100サイズの段ボール20個ほど)

3万円/月

オプション作業(チラシ同梱、シール添付)

10円

会社概要

社名

ディーエムソリューションズ株式会社

本社

東京都武蔵野市御殿山1-1-3 クリスタルパークビル2F

設立

平成16年9月15日

資本金

342,591,000円

従業員数(連結対象会社)

おすすめ5.三協

おすすめ5.三協

画像出典:株式会社三協公式サイト

三協は誤出荷ゼロにこだわる関西地域の発送代行会社です。大阪に8拠点、奈良に1拠点を保有しています。自社WMS(倉庫管理システム)を構築しており、その機能の中でも「福袋自動作成システム」は特徴的。定価で販売できる可能性を注文の直前まで残すために、福袋販売分のみ、組み合わせを自動作成できます。

費用

三協への委託費用は要問い合わせです。

会社概要

社名

株式会社三協

本社

大阪府東大阪市今米1-15-11

設立

昭和43年

資本金

3,000万円

従業員数(連結対象会社)

300名

おすすめ6.イー・ロジット

おすすめ6.イー・ロジット

イー・ロジットはECの戦略立案から運用、発送代行まで幅広く支援するサービスです。EC物流の人材育成やコンサルティングも行っています。関東6拠点、関西2拠点を保有。トータルサポートを受けながら、社内の物流体制も強化したいEC事業者におすすめです。

費用

イー・ロジットへの委託費用は要問い合わせです。

会社概要

社名

株式会社イー・ロジット

本社

東京都千代田区神田練塀町68番地 ムラタヤビル5階

設立

平成12年2月14日

資本金

527,047,600円

従業員数(連結対象会社)

222名

おすすめ7.スクロール360

おすすめ7.スクロール360

画像出典:スクロール360公式サイト

スクロール360は780社以上の支援実績を持つEC・通販専門の発送代行会社です。物流の基本業務以外に、ささげを含む付帯作業、マーケティングのサポート、受注・決済業務も対応しています。まごころフルフィルメントをコンセプトに「このお店で、もう1度買いたい」と顧客に思わせるような支援を行っています。取引は法人のみ。

費用

スクロール360への委託費用は要問い合わせです。商材、配送サイズ、倉庫内の運用方法により変動。

会社概要

社名

株式会社スクロール360(Scroll360 Corporation)

本社

静岡県浜松市中区佐藤2丁目24番1号

設立

1986年3月1日

資本金

95,000,000円

従業員数(連結対象会社)

343名(2023.3.31現在)

<関連記事>「EC物流の仕組みとは?課題・改善策も分かりやすく解説!

EC物流の発送代行は比較検討を十分に!

EC物流の発送代行は比較検討を十分に!

EC物流の発送代行会社を比較するためのポイントは多岐にわたります。費用に関しては公開していない会社も多いため、他の条件で2、3社程度に絞れた段階で見積もりをお願いするとよいでしょう。

一方、費用以外の条件の合致が優先です。「一部の商品が委託できない」「加工作業が任せられない」「出荷数に制限がかかってしまう」などの困りごとが発生すれば、委託する効果を最大限に活かせません。

実績や歴史のある発送代行会社の中から、十分に比較・検討し最適なパートナーを見つけてください。

 

<関連記事>「EC物流倉庫の役割とは?特徴や委託するメリット解説

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発送代行完全ガイド

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発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。

田中なお

ライター

田中なお

物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

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