
ECショップでよく耳にする「同梱」と「同封」。一見似ていますが、「何に入れるか」で使い分けが変わります。
「同梱」はダンボールなどの箱に商品や書類を入れる場合に使い、「同封」は封筒にチラシや案内を入れる場合に使うのが正しい用法です。
本記事では、この2つの違いをわかりやすく整理し、ECショップにおける同梱物の具体例や販促活用法、注意点まで解説します。
同梱とは?
「同梱」はShopifyや楽天市場といったEC運営や、メルカリ、ヤフオクなどの個人間EC取引でよく使われる言葉です。以下の内容を例文を交えて、わかりやすく解説します。
- 同梱とは|読み方・意味・言い換え表現
- 同梱を使った例文・使い方
同梱とは|読み方・意味・言い換え
「同梱」は「どうこん」と読み、注文された商品を1つの箱にまとめることを意味します。また、以下のように言い換えることも可能です。
- まとめて発送します
- 付属しております
- 添付いたします
- もれなく付いてきます
また、EC取引では「同梱不可」といった言葉もよく使われます。これは、複数の商品を1つの荷物にまとめて発送せず、個別発送になることを意味します。例えば、冷凍食品と常温商品を同時購入した場合は、配送方法が異なるため同梱不可となります。
その他、メルカリなどのフリマサイトでは、同じユーザーが複数の商品を購入しても、システムの仕様上、注文を一つにまとめることはできず、基本的に同梱発送は推奨されていません。(※フリマサイトにより規定は異なります)
同梱を使った例文・使い方
ECショップ運営でよく使われる「同梱」の例文をご紹介します。
- ご注文の商品に、次回購入で使える500円の割引クーポンを同梱いたします。
- 来月使える特別クーポンを商品に同梱してお届けします。
- 商品の使い方は、同梱のパンフレットをご確認ください。
同梱と同封の違いと具体例
同梱と同封の違いを整理し、実際の使用例も解説します。
- 同梱と同封は「入れる場所」が違う
- 同封物の具体例
- 同梱物の具体例
同梱と同封は「入れる場所」が違う
「同梱」と「同封」は、どちらも「一緒に入れる」という意味を持ちますが、入れる場所に違いがあります。「同封」は、「どうふう」と読み、主に封書(封筒)に書類や小物を入れる時に使う言葉です。
一方で「同梱」は、小包や段ボールなどの箱に商品やチラシを入れる場合に用いられます。
同封物の具体例
同封物とは、雑誌や会報誌、書籍などと一緒に封筒に入れるものを指します。具体的な同封物には、以下のようなものがあります。
- チラシ
- リーフレット
- クーポン券
同封物はチラシやリーフレットなど、封筒サイズに収まる比較的小さいものが対象です。会報誌や会員誌は年間購読者に定期的に送付されるため、ターゲット層に合わせたものを同封できます。
同封物は封筒に入れるだけなので、発送コストを抑えやすい点がメリットです。
同梱物の具体例
ECショップにおける同梱物とは、同時に購入した商品を1つの箱にまとめたものを指します。さらに、販促目的のクーポン券や商品サンプルなども同梱物に含まれます。
代表的な同梱物は以下のとおりです。
- サンクスカード
- 商品カタログ
- 取り扱い説明書
- 保証書
- クーポン券
- チラシ
- 商品サンプル
- ノベルティ
ECショップの同梱物は商品と一緒に箱に入れるため、内容物の種類やサイズの自由度が高い点がメリットです。注文した商品に合わせて新商品のサンプルや初回限定のノベルティを同梱でき、販売促進が期待できます。
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ECショップにおける同梱物の5つの役割
ここからは、ECショップにおける同梱物の代表的な役割を5つ解説します。
- リピート購入の促進
- クロスセルとアップセルの機会創出
- 顧客のファン化
- 定期購入の解約防止
- 情報収集
リピート購入の促進
顔の見えないECショップでは、次への購入へつなげる施策が欠かせません。商品が届いた時、購入者は喜びや期待感で満たされている状態です。
こうしたポジティブな気持ちでクーポン券やサンプル品を受け取ると、リピート購入の促進につながります。
クロスセルとアップセルの機会創出
クロスセルとアップセルの機会を創出できることも、ECショップならではの同梱物の役割です。
クロスセルとは、購入品と関連する商品やサービスを提案して、購入してもらう販売手法を指します。例えば、シャンプーを購入した顧客に同シリーズのトリートメントのサンプル品を同梱すれば、他商品への関心を高めクロスセルの機会を増やせます。
一方、アップセルとは、より高価でグレードの高い商品やサービスの購入を促す販売手法です。スキンケア用品などの化粧品分野では、美容効果の高い美容液やワンランク上のサンプル品の同梱により、アップセルを後押しできます。
顧客のファン化
ECショップの同梱物には、顧客をファン化させる役割もあります。商品やブランドのストーリーを伝えるリーフレットや、手書きのサンクスカードを添えると、企業に対して好印象を持ちやすくなります。
企業の心遣いにより、顧客は「このブランドは自分を大切にしてくれる」という特別感を感じ、ブランドへの愛着を深めるきっかけになるでしょう。ファンになった顧客がSNSなどで情報発信を行えば、ブランドの知名度が上がり、新規顧客の獲得にもつながります。
定期購入の解約防止
同梱物の活用により、定期購入の離脱を防ぎ解約防止につながります。例えば、以下のような同梱物が効果的です。
- 次回の注文で使える限定クーポン
- 次回配送物の情報をまとめたパンフレット
- 定期購入者限定のノベルティ
定期購入者だけに届く特別感を演出できるため、購入意欲が高まります。
情報収集
同梱物は、顧客の情報収集に欠かせない手法の一つです。例えば、アンケート用紙を同梱により、顧客の意見や商品に対する改善点を把握・分析できます。
顧客からのリアルな声は、新商品の開発やサービス向上のアイディアにも役立ちます。アンケート回答後に割引クーポンを渡せば、回答率を高めつつ再購入のきっかけにもつながるでしょう。
<関連記事>「初回同梱物が通販の売上げを伸ばすワケとは?役割と10のツール事例」
同梱物の活用による4つのメリット
同梱物を活用すると、以下のようなメリットが得られます。
- 高い開封率で確実に届けられる
- リピート購入につながりLTVが向上する
- 購入意欲が高い顧客にアプローチできる
- DMより低コストで効率的に販促できる
4つのメリットを具体的に解説します。
高い開封率で確実に届けられる
同梱物は購入商品と一緒に発送されるため、ほぼ確実に顧客の手元に届けられます。一方、メルマガなどのデジタル施策は開封率が約20~30%と低く、情報が埋もれてしまうケースもあります。
同梱物の場合は開封率に左右される心配がなく、自然な形で顧客との接点を作りやすい点がメリットです。
出典: Benchmark Email|メルマガ平均開封率レポート【2024年版】
リピート購入につながりLTVが向上する
同梱物によりリピート購入が増加すると、LTVの向上が期待できます。LTV(顧客生涯価値)とは、顧客がサービスを利用し始めてから終了するまでに企業が得られる利益の総額です。
例えば、新商品の案内を定期的に同梱すれば、顧客の関心を継続的に引き出し、購入につなげられます。加えて、クーポンやポイント施策と組み合わせれば、顧客とブランドとの関係を長く維持でき、一人の顧客から得られる利益が増えます。
購入意欲が高い顧客にアプローチできる
ECショップの購入者は、すでにその商品やブランドに魅力を感じている顧客です。そのような購入意欲の高い顧客に対して直接アピールできるのも、同梱物の魅力の一つです。
新商品の紹介やキャンペーン情報を同梱しても、押し付け感がなく自然に受け入れられるため、前向きに検討する可能性が高まります。
DMより低コストで効率的に販促できる
同梱物は、DM(ダイレクトメール)より低コストで効率的に販促できる点がメリットです。DMを送る場合、一般的な配送コストは以下のとおりです。
- はがき:約70円
- 圧着はがき:約90円
- 封書:約80円
上記に加えて、印刷代や封筒代などの諸費用もかかります。一方で、同梱物は商品の発送に合わせてカタログやチラシを同梱できるため、追加の送料や資材費が不要です。
DMを単独で送るよりコストを抑えつつ、確実に情報を届けられます。
【目的別】おすすめの同梱物の送り方
次に目的別におすすめの同梱物の送り方を紹介します。
- 顧客満足度を高めたい場合
- リピーター獲得を図りたい場合
- ファン化を目的とする場合
顧客満足度を高めたい場合
顧客満足度を高めたい場合は、顧客の気持ちに寄り添った心遣いのある同梱物が最適です。商品を受け取った瞬間に「このショップでよかった」と感じてもらえるものを同梱しましょう。
具体的には、以下の同梱物がおすすめです。
- 挨拶状・メッセージカード
- 取扱説明書・商品ガイド
- FAQ・問い合わせ案内
画像付きの取扱説明書を送ると、初めての商品でもスムーズに使いこなせます。さらに、FAQ・問い合わせ案内を添えることで、商品の問い合わせ件数が減り、業務効率の向上につながります。
リピーター獲得を図りたい場合
リピーターの獲得を図りたい場合は、次回購入を意識させる同梱物が効果的です。例えば、以下のものを同梱すると、次回購入につながります。
- 有効期限付きのクーポン券
- 1つ購入でもう1つサービス
- 購入金額〇円以上で送料割引
- 定期便へのお得な案内
お得感を打ち出した同梱物は、顧客の継続的な購入を促せます。
ファン化を目的とする場合
ファン化を目的とする場合は、ブランドへの愛着が湧く工夫がポイントです。ブランドの歴史や理念をまとめた「ブランドブック」は、顧客のロイヤリティを高めます。
さらに、個別の手書きメッセージを添えれば、自分だけの特別なブランドとして親近感を持ちやすくなるでしょう。
<関連記事>「ecサイトでの同梱物・梱包資材の重要性とは?物流管理の視点から」
同梱物を送るときの注意点
同梱物を送るときは、以下の点に注意が必要です。
- 過剰な同梱物は避ける
- ECモールの規約に注意する
過剰な同梱物は避ける
過剰な同梱物は、開封はされても目を通さずに廃棄される可能性もあります。また、押しつけがましいと感じられ、ブランドの評価が下がる恐れもあります。
そのため、顧客の目に留まりやすい適切な量を同梱しましょう。
ECモールの規約に注意する
ECモールによっては、同梱物に関する規約が定められている場合があります。例えば、外部購入を促すクーポン券や他モールへの案内などURLの記載を禁止する場合もあるため、同梱物を入れる際は各モールの規約を事前に確認しておきましょう。
同梱物で効果を上げる3つのポイント
同梱物で効果を上げるには、いくつかのポイントがあります。
- 顧客のニーズに合わせて訴求する
- 期間限定で特別感を演出する
- スムーズな物流で高い品質を維持する
3つのポイントを押さえて、同梱物の効果を高めましょう。
顧客のニーズに合わせて訴求する
同梱物で成果を出すには、顧客のニーズに合わせた同梱物を選ぶことが重要です。同梱物に在庫処分の目的が出てしまうと、逆に顧客離れを引き起こす可能性があります。
顧客の購入履歴や年齢層を分析し、顧客の求める同梱物を入れて次の行動につなげましょう。
期間限定で特別感を演出する
クーポン券は期限を設けないと「あとで使おう」とそのままにされがちです。そのため、期間限定で特別感を演出すると次の購入を促せます。
1ヶ月以内の有効期限にすると顧客が次の行動に移しやすくなるので、早めの購入につなげやすいでしょう。
スムーズな物流で高い品質を維持する
同梱物は顧客一人ひとりの購入履歴や属性に対して、パーソナライズすることでより効果を発揮します。ただし、パーソナライズ施策は、「誰に何を同梱するか」が複雑化しやすく、実現には高度な物流体制が欠かせません。
具体的には、OMS(受注管理システム)が顧客データをもとに出荷指示を生成し、WMS(倉庫管理システム)がその指示を現場のピッキング・梱包作業に落とし込みます。両者が連携することで、初めてパーソナライズ同梱を正確かつ効率的に実現できるのです。
こうした仕組みを自社で整えるのが難しい場合は、OMS・WMSを導入済みの事業者へ物流業務をアウトソーシングするのも有効です。
<関連記事>「梱包代行のおすすめ業者12選!料金 やメリット、選定方法まで解説」
同梱物の業務負担はアウトソーシングで解決しよう
ECショップでは、同梱物を活用することで顧客との信頼関係を築き、自社ショップのファン化につなげられます。目的別に合った同梱物を取り入れれば、効率的な販促活動が実現できるでしょう。
同梱物は、顧客のニーズに合わせて適切な販促物を選ぶことが重要です。富士ロジテックホールディングスでは、システムを活用し、複雑な同梱作業にも対応しています。
例えば、「誕生日お祝い専用の割引チケット」や「継続特典用のチラシ」など、個別対応も可能です。さらに、物流業務を一括でアウトソーシングできるため、作業負担も軽減できます。
同梱物で効果を高めたい方は、ぜひ富士ロジテックホールディングスにご相談ください。現在、スタートアップ新規事業者様限定プランも提供中です。


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ライター
森恵
貿易事務と物流代行営業の経験を活かし、専門知識に基づいた記事作成を行っています。お客様に寄り添い、分かりやすく役立つ情報を提供します。
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