物流会社と運送会社の違いとは
運送会社は荷物を届け先に迅速に、効率的に配送することが目的です。対して、物流会社は入出庫から配送までの物流業務全般に対応しています。そのため、目的に合わせて依頼する会社を選ぶことが必要です。
インターネットやスマートフォンが普及した現在において、通販業務がこれまで以上に重要と考えられています。そこで、物流会社や運送会社に依頼することによって業務改善、また質の高い物流をおこなうことによって他社との差別化をしやすくなります。
物流会社とは
物流会社とは、入出庫や荷物の商品の保管、配送など物流業務において一貫して対応できるのが特徴です。物流のノウハウを持たないで物流業務をおこなうと、それぞれのプロセスにおいて必要なコストが不明確になる場合があります。そのほかにも、手間がかかりすぎたり多くの従業員が担当することで、ヒューマンエラーが起きる可能性が高くなったりします。
物流会社を活用すると物流業務を完全に依頼できることから、手間を減らし、同時に倉庫代や人件費などのコスト削減も可能です。さらに、専門家に依頼することで質の高い物流業務を提供することから顧客満足度を上げることもでき、他社との差別化にもつながります。
ロジスティックス(Logistics、効率的な流れを計画・実行・管理すること)と比較されることがありますが、ロジスティックスは物流プロセスを最適化することが目的です。そのため、物流業務はロジスティックスの一部となるのです。
物流会社の業務
物流会社の主な業務は次の5点が挙げられます。
- 荷物の保管
- 荷役
- 流通加工と包装
- 配送
- 管理業務
荷物の保管
荷物を物流センターや倉庫などに保管する作業です。荷物が届いた時点で倉庫に入庫作業をおこないます。一旦荷物を保管できる場所があることで、大量の発送業務に対応できます。物流会社によって保管できる設備が異なるため、倉庫の設備は物流会社を選ぶときの重要な基準の1つとなります。
荷役
倉庫に保管している荷物を倉庫から出庫し、仕分けをしたあと積み込み作業までおこなう業務です。物流会社によって業務の幅が異なりますが、主に荷揃えや積み付け(限られたスペースにうまく積むこと)、保管、仕分け、ピッキングをするのが一般的です。自社で物流をおこなうと、荷役のプロセスにおいてそれぞれ担当者が必要になります。そこで、物流会社に依頼するケースが増えています。
流通加工と包装
保管をしている在庫に値札貼りをしたり、送りものに対応するラッピングをしたりとニーズに合わせた対応が必要です。そのほかにも、冷凍やチルド、ドライなど商品の価値を上げるためにさまざまな加工業務があります。商品を安全に配送するために包装も重要です。
配送
物流業者によって拠点をさまざまな場所に構えています。拠点から届け先までの距離が遠くなるとその分だけ配送リードタイムが長くなり、結果的に荷物を届けるのが遅くなります。さらに、食品を配送する場合においても拠点の場所が重要です。
管理業務
物流業務はさまざまな業務内容があり、多くの担当者が存在します。そのため、それぞれの担当業務において連携ができていないとミスがおこりやすくなります。そこで、物流業務全体を管理することが重要です。トラブルがあった場合でも、物流業務全体の状況をつかんでおくことにより迅速な対応ができるようになります。
管理業務を効率的におこなうためには倉庫管理システムを活用することが一般的です。受注から配送までの一連のデータ連携ができるため、リアルタイムな在庫管理や依頼主ごとの配送状況の確認が可能です。
物流会社を活用するメリット
物流会社を活用するメリットには次の点が挙げられます。
- コスト削減
- 迅速な配送
- 充実した在庫管理
- 繁忙期への対応
コスト削減
物流業務を自社でおこなうと、さまざまな業務プロセスがあることから人件費が課題となります。さらに運送費用や倉庫費用などコストがかかります。そこで、物流業務をすべて物流会社に依頼することによって物流業の全体的なコスト削減につながります。
迅速な配送
物流会社は物流に関するノウハウを持っており、効率的に進めることが可能です。物流会社によっては全国に物流網を持っており、全国どこへでも届け先に商品を迅速に配送可能です。そのため、顧客に対する満足度を上げることができ、配送業務において他社との差別化が可能です。
充実した在庫管理
物流会社は配送業務に特化しているだけではなく、在庫管理においてもさまざまなノウハウを持っています。管理において無駄な手間や費用をかけることがないためこの点においてもコスト削減につながります。さらに、在庫の抱えすぎや欠品状況が続き顧客に迷惑をかけるといった状況も防ぐことが可能です。
繁忙期への対応
繁忙期に物流量が大幅に変わる場合、人員や設備の確保においてむずかしい面があります。通常の物流量に合わせていると、設備や人材が足りなくなります。そこで、物流会社に依頼することによって繁忙期をはじめとして物流量が異なる場合でも対抗可能です。
運送会社とは
運送会社は荷物を届け先まで配送するのがメイン業務ですが、倉庫内での仕分けや荷受けなどの業務も含まれています。トラックで運ぶ陸運がメインですが、ほかにも飛行機を使う空運や船を使う海運もあります。幅広いジャンルを扱う運送会社が一般的ですが、食品や貴重品といった特定の貨物に特化した運送会社もあります。
運送会社の特徴
運送会社は法人または個人から送料や手数料を受け取ることによって、人や物を運ぶ業務です。ほかにも運送会社には次のような特徴が挙げられます。
- 国の許可が必要
- 裏方作業が発生する
国の許可が必要
運送会社を経営するためには、貨物自動車運送事業法により国の許可が必要です。国の許可を受けている運送業者は、車両ナンバーが緑や黒になっているのですぐわかります。
裏方作業が発生する
運送会社は荷物を届け先に配送するのがメインの業務です。しかし、ほかにも配送に伴う保管や荷受け、仕分けなど倉庫における裏方作業が発生します。
物流会社と運送会社の違い
物流会社と運送会社には次のような違いが挙げられます。
- 目的
- 業務範囲
目的
物流会社と運送会社ではそれぞれ目的が異なります。運送会社は荷物を輸送することに特化しており、いかに安全にまた効率的に荷物を配送できるかを求めています。対して、物流会社では物流に関するすべての業務を対象としており、依頼することによって物流業務全体的に改善をすることが目的です。
業務範囲
運送会社が荷物を届け先に配送することを専門としていることに対して、物流会社は物流業務全体的に業務をおこないます。物流会社の業務内容は、荷物の保管や荷役、梱包、運送までが含まれています。輸送は物流業務のプロセスの1つであり、配送業務のみを扱う運送会社と物流業務を全般的に対応する物流会社といった違いがあるのです。
まとめ
運送会社は配送を専門としており、物流会社は物流に関する入庫から配送、管理業務などあらゆる業務が対象となります。物流会社に物流業務を依頼することにより、ノウハウや経験、充実した設備などを活用して物流業務をスムーズにすることが可能です。
通販業務のユーザーが増えている現在において、物流業務の質が顧客満足度に関連するといっても過言ではありません。物流会社によってもサービスが異なるため、ニーズにあった会社を選ぶことが重要です。
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