物流における在庫管理

利益を得るためには、在庫を販売することが必要です。そのため、小売業や卸売業、物流業など商品を扱う業界において在庫管理が必要不可欠です。グローバル化やIT技術の進化、新型コロナウイルスなど外部環境の変化において需要変動が大幅に変動することが多く、物流において迅速な対応が求められます。そこで、普段から適切な在庫管理を進めることによりスムーズに対応ができるようになるのです。

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物流における在庫管理とは

在庫管理とは、必要なタイミングにおいて必要な量を供給することを目的として在庫数を適正な水準に保つことです。在庫管理はJISにおいて定義されており、さまざまな目的や方式があります。

在庫管理の定義

JIS(Japanese Industrial Standards、日本産業規格)での定義において、在庫管理とは必要な資材を必要なタイミングや場所、量を供給できるように適切な在庫商品や数などを確保することです。商品以外にも、原材料や仕掛品、部品なども在庫管理に相当します。経営効率と顧客満足をバランスよく追及するためのロジスティックな活動でもあるのです。

在庫管理の目的

在庫管理の目的として、顧客が必要としている商品の在庫切れがない状態にできるように適正に在庫を保つことがまず挙げられます。ほかには過剰在庫となることを防いで利益を最大化する目的もあります。

在庫管理の方式

在庫管理には次の2種類の方式があります。

  • 定量発注方式
  • 定期発注方式

定量発注方式

定量発注方式とは、在庫量が設定しておいた水準を下回ったときに決まった個数を発注する方法です。水準を基準とするため発注の間隔は一定ではありません。このため、品目を多く扱う場合に向いており、需要変動が少なく比較的安価な商品を扱う場合に活用されることが一般的です。この場合、在庫量をリアルタイムで把握していることが重要です。

定期発注方式

定期発注方式とは、発注する間隔を設定して発注する方法です。商品において現在の需要量や在庫量によって発注量を前もって計算するのが特徴です。そのため、今後の需要が読みやすい商品に対して向いています。期間をあらかじめ設定するため、品目ごとの管理による発注量の設定が重要です。需要が読めないようであれば、適切な在庫を発注できないリスクがともないます。

在庫管理のメリット

在庫管理をするメリットとして次の点が挙げられます。

  • コスト削減
  • 生産性向上

コスト削減

在庫管理を適切におこなうことで、過剰な在庫を防ぐことができます。このため、コスト削減につなげることが可能です。リアルタイムに在庫を把握していないと余分に発注してしまう可能性があるほか、在庫が欠品して販売機会を失うこともあります。

生産性向上

在庫管理を適切におこなうことで商品の発注や残り在庫数の把握、商品を置いている場所などを把握しやすくなり、業務の手間を減らせます。このことで、納期の短縮やヒューマンエラーの軽減などが可能になり、結果的に生産性向上につながるのです。

在庫管理の方法

在庫管理には次の方法が挙げられます。

在庫管理システム

近年在庫管理をする方法として在庫管理システムを活用することが一般的となっています。リアルタイムな在庫数や毎日入出庫された商品名や数など、データを蓄積できることから需要を掴むために活用できるのが特徴です。さらに、ロケーション管理をできるタイプもあり、在庫に必要な管理をすべておこなえます。

在庫管理表

在庫管理表は手書き、もしくはExcelに手入力して在庫管理をする従来の方法です。現在でも利用しているケースは少なくありません。人の手で入力するためヒューマンエラーが起きる可能性があることや、リアルタイムに在庫数を管理しにくい点がデメリットです。

ロケーション管理

ロケーション管理とはどの商品がどの場所にあるのかを管理することです。ロケーション管理を徹底しないと、商品を探すのに手間がかかってしまいます。また、在庫が残りすぎている場合や逆に足りない場合でも迅速に把握できない可能性があるのです。

ABC分析

ABC分析とは、売り上げや商品の金額などさまざまな指標の中からそれぞれの企業が重視する評価軸を決めて商品を分類する管理方法です。そのため、在庫を抱えるべき商品や、購入されてから発注する商品などに分類して優先度を設定することが可能です。

手作業でおこなっている場合は、商品が多いと大変な業務になります。しかし、在庫管理システムを活用することでABC分析がスムーズになるのです。

在庫管理における課題

在庫管理において次の点が課題として挙げられます。

  • ヒューマンエラー
  • 重複管理
  • 経営への影響

ヒューマンエラー

在庫管理において、伝票や商品、台帳などを目視で確認している場合、さらにデータをExcelに手入力している場合のように手作業をしているとヒューマンエラーが起きやすくなります。1つミスが起きると修復に時間や手間がかかる可能性があるのです。

重複管理

Excelをはじめとしたデータ管理と紙での管理の両方を活用している場合、在庫の状況管理が複雑になります。さらに、それぞれの担当者しか把握していないこともあり、業務効率化につながらないのです。拠点が複数ある場合は、リアルタイムにデータを共有できないことから連係ミスに発展しやすくなります。

経営への影響

在庫管理を効率的にできていない場合は、リアルタイムに在庫を把握できていない可能性があります。欠品していると販売機会損出につながり、仕入れ過ぎた場合は余剰在庫となり余計な費用が発生するのです。商品によっては長期間保管することで質が落ちることから、不良在庫になる可能性もあります。

これらのことから在庫管理を効果的に出来ていないと、経営圧迫の原因となり得るのです。

在庫管理ツールを使うメリット

在庫管理ツールを使うことで次のメリットが挙げられます。

  • 在庫データの一元管理
  • ヒューマンエラーの削減
  • ロケーション管理を実現
  • 欠品や余剰在庫の防止

在庫データの一元管理

在庫管理ツールを活用することで在庫データの一元管理ができます。リアルタイムで製品の在庫数がわかるため、どの倉庫に在庫やスペースがどれくらいあるのか、発注するタイミングはいつなのか、ほかの支店には在庫があるのかなど把握をできます。さらに、過去のデータを確認できるため、どの商品が売れ筋であるかどの時期に売れるのかなど、今後の対策にもつなげることが可能です。

ヒューマンエラーの削減

在庫管理において商品名や商品コード、個数などを手書き、もしくは手入力していると、間違える可能性があります。しかし、バーコードを読み取ることで在庫管理システムに自動的に反映されるので、商品名やコードを間違えることがありません。

ロケーション管理を実現

スムーズな在庫管理をするために、商品の在庫場所を把握することが重要です。このことで、商品を探し回る必要がありません。在庫管理システムを活用することで、ロケーション管理もスムーズにできます。

欠品や余剰在庫の防止

在庫管理システムでは、在庫データのほかにこれまでの入出庫データを蓄積できます。そのため、これらのデータをもとに顧客のデータを予測できることから過剰在庫や欠品を事前に防ぐことが可能です。リアルタイムに在庫数を把握できない紙ベースやExcelで管理をしていると、在庫がなくなっていることや過剰に在庫を抱えていることに気が付きにくい可能性があります。

まとめ

在庫管理とは、必要な商品を求められるタイミングや個数などいつでも供給できるようにすることです。適切な在庫管理をしていないと、余剰在庫や欠品、管理担当者の負担が増えるなどさまざまなデメリットが挙げられます。適切な在庫管理をすることで、在庫を一元管理して業務効率化につなげられるほか、余剰在庫や欠品在庫の防止、データを蓄積することで売り上げの予測ができるなど生産性向上も期待できるのです。

 

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<プロフィール>

株式会社富士ロジテックホールディングス  通販営業部 部長
西間木 智
富士ロジテックホールディングス 西間木智
物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービス の提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。
事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。