オムニチャネルの課題とは?失敗しないポイント・成功事例まで解説


Written by  田中 なお


オムニチャネルは「あらゆるチャネルのリアルとオンラインの融合を目指す」戦略です。その特性上、取り入れるには大きく仕組みを変えなければならず、課題にぶつかり、なかなか施策が進まないと感じるEコマースや小売業の担当者もいるでしょう。

 

本稿ではオムニチャネルの課題を解説したうえで、失敗しないための取り組みのポイント、事例もお伝えします。

 

オムニチャネル戦略に向けての課題・問題点

ではさっそくオムニチャネル戦略の課題をチェックしていきましょう。ここではぶつかりやすい問題点を3つ取り上げます。

 

課題1.データの統合のシステム構築とそのコスト

オムニチャネル戦略に向けて1番の課題は、顧客データと在庫データの統合です。膨大なデータ量と各チャネル(SNS・LINE・ECサイト・店舗・アプリなど)を連携するには、時間とコスト、システム的な技術も必要となります。これまでオムニチャネルに力を入れてきたセブン&アイ・ホールディングスでは、2013年の段階で1,000億円の投資を行っていくと示していました。そもそもデータの一元化が大前提であるだけに、システム構築に向き合う必要があります。

 

課題2.チャネルを超えた売り上げに対する適切な人事評価

オムニチャネルは2つ目の課題は、チャネルを超えた売り上げに対する適切な人事評価が挙げられます。オムニチャネルの実現には、双方からの送客をシームレスに行うことが必須です。

 

実店舗スタッフは、在庫切れの商品や店舗で購入に至らなかった商品について、ECサイトなどの他チャネルを勧めなければなりません。もしのちに顧客が商品を購入しても、店舗の売上金としては加算されないでしょう。従来の人事評価が売上げ基準であった場合には、適正な評価がされず、オムニチャネル化が進まない可能性があります。

 

課題3.顧客に浸透しない

3つ目の課題は、企業側が思うようにオムニチャネルが浸透しないケースがあることです。

「続きはWebで」といわれても見られない

「ポイントカードがアプリに変わります」と促してもポイントカードを使い続ける

 

といったように施策の通りに、顧客が行動してくれるとは限らないのです。そのため、システム構築ばかりに目を向けてしまっては時間とコストの無駄になりかねません。意識せずにチャネル間を行き来させ、コミュニケーションを重ねていく施策を考える必要があります。

 

オムニチャネルマーケティングで失敗しないポイント

では課題に対して、どのような準備や対策をすればよいのでしょうか。ここではオムニチャネルで失敗しないポイントをお伝えします。

 

構築されたシステムの導入|優良システム会社との連携

オムニチャネルに力を入れているシステム会社の活用や、すでに構築されたシステムの導入が失敗しないポイントの1つ目です。

オムニチャネルの要であり、最大の課題でもあるシステム構築。自社の人員で0から開発するのは困難でしょう。富士ロジテックでは、システム会社と連携し、オムニチャネル全般に関する相談を承っております。顧客データ・在庫データの統合システム提供はもちろんのこと、オムニチャネル化されたデータのマーケティング分析や物流フルフィルメントサービスまで、対応できるアレンジメントサービスです。システムの連携が進まない課題には、こういったサービスの活用も一つの手でしょう。

 

社内体制の整備・連携|部門を超える仕組み作り

システム構築の次に大事ともいえるのが、社内体制の整備です。部門を超えた積極的な取り組みを推進できる仕組み作りをしなければなりません。1例としてアパレル業界での取り組みを紹介しましょう。店舗スタッフがInstagram(インスタグラム)を活用し、ライブ配信や投稿を通じて商品を紹介。ECサイトにリンクして、商品が購入されれば、経路を辿り、店舗スタッフの成績になるといった仕組みです。チャネル間における売り上げの奪い合いを解決する方法の一つといえます。またEC部門・接客部門などの連携を図るために、マーケティング部署を設置し、統括するのもよいでしょう。

 

チャネル間の導線設計|現状把握と効果の分析

顧客側の視点では、チャネル間の導線設計を行うのも重要なポイントです。商品や購入層の特性、緊急性などにより、顧客行動はさまざまです。

  • 現状ではどのチャネルから商品が購入されているのか
  • 競合のオムニチャネルはどのような導線設計をとっているのか

まずは調査を行い、仮説から組み立ててみましょう。

 

そして運用し、顧客とコミュニケーションをとる中で、効果を分析。調整を行います。ニーズに添い、導線設計の改善を繰り返していくことがオムニチャネルの効果を最大化させるのです。

 

オムニチャネル化の施策・事例

課題にぶつかりやすいオムチャネルですが、成功している事業もあります。具体的にどういった施策が取られているのか3つ紹介します。

 

ユニクロ

ユニクロは早期にオムニチャネルを取り入れ、成功している事例の1つです。

日本のあらゆる場所に店舗をユニクロですが、アプリの通販事業にも力を入れています。アプリから受けられるサービスは以下の通りです。

 

  • アプリだけの特別価格を案内
  • スムーズな在庫確認
  • 身長や体重の入力で適切なサイズの提案
  • オンラインだけのサイズ展開
  • ライブ配信によるスタイリングの提案
  • オーダーメイドサービス
  • 店舗受け取りによる送料無料サービス
  • 置き配

 

利用価値の高いアプリを提供し、2021年2月現在ダウンロード数は87万件に達しています。ユニクロ側はアプリから利用者の年齢・性別、購入データを収集。在庫管理や商品開発に活用しています。オムニチャネル化を実現しているアパレルの事例といえるでしょう。

 

イオン

スーパーマーケットのイオンは、オンラインとオフラインの融合に力を入れた取り組みを段階的に進めています。

ECサイト「​​AEON.com」ではキャンペーンデータと購入データを紐付け、商品の提案をパーソナライズ化。2013年にはオムニチャネル戦略店舗として、イオン幕張新都心店をオープンしました。アプリ内のカメラ機能でポップやチラシを読み取り、レシピの提案から購入につなげる「撮って!インフォ」は当時画期的といえたでしょう。

 

また新しい取り組みとしては、顧客自身のスマートフォンで商品のスキャンが可能なアプリ「レジゴー」や、自動倉庫を利用した商品直送サービスの開始が挙げられます。成功事例を残しながら、立ち止まることなく進化を遂げるイオン。もはやオムニチャネルではなく、OMOとも呼べるかもしれません。

 

オムニチャネルに続く、OMO戦略は「OMOとは?オムニチャネル・O2Oとの違いや施策事例をわかりやすく解説」の記事で解説しています。

 

 

資生堂

資生堂もまたオムニチャネルの施策に注力し、事例を残しています。

コロナ禍により、テスターの使用や接客がためらわれるようになった昨今。資生堂が行っているのは、オンライン上でのコミュニケーションにより、体験を提供していく取り組みです。

  • Zoomを使用したオンラインカウンセリング
  • ビューティーコンサルタントによるライブ配信

TwitterやInstagramといったSNSからECサイトへの導線も活用されています。

ECサイト内ではUX/UIの改善に取り組んでいます。データベースから検索結果を柔軟に対応できるサイト内検索エンジンが導入されました。

 

オムニチャネルの課題をクリアして売り上げ向上!

オムニチャネルの課題は社内、顧客、システムと他方にあり、段階的にクリアしていく必要があります。成功事例や競合の取り組みを参考し、1つずつ解決していきましょう。なお課題の中でもシステム面の問題は、サービス導入や外部委託で対応しやすい部分です。富士ロジテックでもオムニチャネル全般の相談を承っておりますので、ぜひ1度ご相談ください。

 

オムニチャネルの関連記事はこちら

「オムニチャネルとは?マルチチャネルとの違い・導入のメリット・デメリットも解説」