オガミキヨ
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国内外のECをはじめ、リユース、美容・健康、音楽などあらゆるジャンルで執筆中のフリーランスライター。中国への留学経験を生かし、13年間、繊維製品や楽器、雑貨の輸入業務に携わる。現在はライター業のかたわら、個人で越境ECのセラーとしても活動中。

冷蔵倉庫を利用する3つ方法と大手おすすめ5選

冷凍・冷蔵物流
冷蔵倉庫を利用する3つ方法と大手おすすめ5選

共働き家庭の増加や、在宅ワークの増加により、手軽に調理できる冷凍食品の需要は拡大の一途をたどっています。冷蔵・冷凍が必要な商品を扱う企業が増えるなか、保管場所の確保が急務です。

本稿では、冷蔵倉庫の概要と、選び方、冷蔵倉庫を所有する大手物流会社のおすすめをご紹介します。

冷蔵・冷凍商品の販売をお考えなら、保管場所の確保も同時進行で検討していくとよいでしょう。

冷蔵倉庫とは?

冷蔵倉庫とは?

冷蔵倉庫とは、冷蔵・冷凍を含めた低温管理が可能な倉庫です。

冷蔵倉庫の温度帯は倉庫業法により、C3級からSF4級までの10段階に分かれています。

一般的に冷蔵倉庫は乳製品や精肉、生鮮食品などのチルド食品を保管するので、C1級からC3級までの温度帯を指すと考えておくとよいでしょう。

対する冷凍倉庫はF1級からSF4級までの温度帯で、冷凍食品やアイスクリームなどの保管に対応します。

区別

等級

温度帯

商品の一例

冷蔵倉庫

C3級

-2℃~10℃

乳製品、精肉、鮮魚、生鮮食品など

C2級

-10℃~-2℃

C1級

-18℃~-10℃

冷凍倉庫

F1級

-24℃~-18℃

冷凍食品やアイスクリームなど

F2級

-30℃~-24℃

F3級

-35℃~-30℃

SF1級

-40℃~-35℃

SF2級

-45℃~-40℃

SF3級

-50℃~-45℃

SF4級

-50℃以下

<関連記事>「​​3温度帯とは?4温度帯との違いや冷凍・冷蔵倉庫の温度について解説

冷蔵倉庫を利用する3つの方法

冷蔵倉庫を利用する3つの方法

冷蔵商品の保管に倉庫を利用するには、大きく分けて以下3つの方法があります。

  1. 自社で冷蔵倉庫を設置する
  2. 冷蔵倉庫をレンタルする
  3. 大手物流会社の冷蔵倉庫を利用する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自社で冷蔵倉庫を設置する

冷蔵倉庫を利用する方法で最初にお伝えするのは、自社倉庫の設置です。

常温の倉庫に比べ、初期投資が高額になります。冷蔵倉庫で必要な設備には、温度管理に欠かせないエアコンやドッグシェルター、高気密な扉などが含まれます。

また「オゾン層保護法」により、これまで冷蔵倉庫に使われてきたフロンガスの製造が規制されました。今後は二酸化炭素やアンモニアを用いた自然冷媒に対応できる設備も必要でしょう。 

自社で冷蔵商品を大量に扱う、もしくは今後も継続して冷蔵商品を扱う方針であれば、減価償却によって初期投資は回収可能です。

しかし時代の潮流やマーケットの変化が著しい昨今、冷蔵商品を定期的かつ長期にわたって取り扱うかどうか見通しが立たない企業も多いでしょう。その場合、自社で冷蔵倉庫を設置しても初期投資が回収できるとは限りません。

さらに冷蔵庫の自社運営には、24時間365日の管理体制が必須です。人件費や管理コストが増加するデメリットも念頭に置いておきましょう。

冷蔵倉庫をレンタルする

レンタル型の冷蔵倉庫には、おもにBTS型とマルチテナント型の2種類があります。

これまで冷蔵倉庫のレンタルでは、BTS型とよばれるオーダーメイドで建設した冷蔵倉庫を借りる形態が主流でした。近年の冷蔵倉庫の需要拡大にともない注目されつつあるのが、マルチテナント型の冷蔵倉庫です。大型の冷蔵倉庫に複数の企業がテナントとして入るスタイルで、デベロッパーによる開発計画が相次いで発表されています。

冷蔵倉庫をレンタルすれば賃貸料はかかるものの、初期費用、メンテナンスコストを自社で負担する必要はありません。

マルチテナント型においては、BTSのように原状復帰して返す必要がなく、物流拠点を移転しやすいメリットもあります。一方デメリットとして、他のテナントの商品の臭いが移る可能性があることや、冷蔵倉庫での作業人員の確保などがあげられます。

物流会社の冷蔵倉庫を利用する

冷蔵倉庫を利用する手段として最後にお伝えするのが、物流会社の冷蔵倉庫を使用する方法です。

物流会社を利用する場合は倉庫レンタルとは異なり、業務委託契約に商品のピッキングやデバンニング、検品等を含む物流業務も含まれます。業務の委託範囲にもよりますが、利用料として在庫管理のシステム料、倉庫保管料、入出荷料、配送料などが発生します。

物流代行会社に委託すれば物流作業を丸投げできるほか、冷凍・冷蔵配送ができるトラック、専門知識を持つスタッフを自社で確保する必要もありません。作業の効率化や人件費の見直しが可能です。

デメリットとしては、冷蔵倉庫を所有している業者が少なく、拠点や用途を考慮すると選択肢が限られることがあげられます。

<関連記事>「コールドチェーンとは?3つのメリットと課題を徹底解説【市場規模は拡大傾向】

失敗しない冷蔵倉庫を選ぶポイント

失敗しない冷蔵倉庫を選ぶポイント

冷蔵倉庫を利用するうえで最もハードルが低いと思われるのが、物流業務から人員確保まで任せられる物流会社の倉庫を使用する方法です。物流会社を選ぶ際に確認しておきたいポイントを3つご紹介します。

  1. 自社商品の取扱い実績があるかどうか
  2. 冷蔵倉庫に必要な設備があるかどうか
  3. 委託したい業務に対応可能か

以上のポイントを踏まえたうえで、コストとのバランスを考えながら物流会社を選定しましょう。それぞれ詳しく解説します。

自社商品の取扱い実績があるかどうか

冷蔵倉庫は商品によって最適な温度帯が細かく分かれているため、まず自社商品の温度帯に対応しているかを確認する必要があります。自社で扱う商品の取り扱い実績がある倉庫を選べば、より安心です

冷蔵倉庫に必要な設備があるかどうか

冷蔵倉庫には温度を調整するためのエアコンやドッグシェルターはもちろん、冷蔵室との通報設備、温度計が必要です。ほかにも、結露や霜を発生させないよう防熱・防湿対策が講じられているかを確認しておくとよいでしょう。

委託したい業務に対応可能か

物流会社の冷蔵倉庫を利用する場合、業者によって請け負える作業範囲が異なります。業者選びの際は、自社で課題となっている工程を洗い出し、委託したい業務を把握しておきましょう。

冷蔵商材は食品が多いため、細かい梱包作業や、製造日や生産ロットに基づく在庫管理に対応しているかどうかも確認が必要です。

<関連記事>「食品ECで失敗しないコツとは?課題と成功事例を紹介!

冷蔵倉庫がある大手物流会社おすすめ5選

冷蔵倉庫がある大手物流会社おすすめ5選

ここからは、冷蔵倉庫を所有する物流会社の大手企業を5つご紹介します。

  1. 富士ロジテックホールディングス
  2. ニチレイ
  3. キューソー流通システム
  4. ホウスイ
  5. クールテックサガワ

富士ロジテックホールディングス

富士ロジテックホールディングスは、首都圏や大都市圏に複数拠点の物流センターを展開する大手物流代行会社です。

冷蔵・冷凍をはじめ常温、定温まで4つの温度帯に対応した倉庫を完備。温度帯の違う商品でも、物流作業を含めてまとめて委託できます

食品、健康食品、化粧品、アパレルをはじめとするEC物流の経験が豊富です。またWMS(倉庫管理システム・在庫管理システム)を利用し、賞味期限管理を徹底しています。

冷蔵食品やサブスクサービスに必須のギフト梱包、オリジナル梱包にもきめ細やかに対応が可能です。

委託範囲を自社のニーズに合わせて柔軟に指定できる、オーダーメイドのフルフィルメントサービスを提供しています。小ロットからでも受け入れ可能です。

富士ロジテックホールディングスの冷蔵・冷凍サービス詳細を確認する

ニチレイロジグループ

ニチレイは日本最大の冷蔵保管倉庫を所有する、低温物流のリーディングカンパニーです。日本全国、約80カ所に冷蔵倉庫を持つ物流拠点があります。

対応業務の範囲は国内作業だけにとどまらず、輸出入貨物の通関から検品・仕分け、解凍作業まで幅広く委託可能です。

最先端のデジタル技術を導入し、庫内作業や賞味期限の管理をすべて自動化し、業務の効率化を加速させています。

1日あたり3,000〜4,000台の車両を運行し、全国へ輸送できる強固な配送ネットワークも大きな強みです。

参考:ニチレイロジグループ公式HP

キユーソー流通システム

キユーソー流通システムは1966年の設立以来、食品物流に特化した事業を展開しています。北海道から九州まで、日本全国に58の物流拠点を配備。

4温度帯(冷蔵・冷凍・常温・定温)に対応し、食品の特性に応じた最適な温度での保管が可能です。運搬車両には庫内温度管理ができる車載端末を搭載し、冷蔵商品の品質管理を徹底しています。

また庫内作業に無線ハンディターミナル(HHT)・無線端末搭載フォークリフト(車載端末)を採用し、リアルタイムの指示による作業の効率化を推進しているのも特徴です。

参考:キユーソー流通システム公式HP

ホウスイ

ホウスイはC3級からF4級までの冷蔵・冷凍温度帯に特化した冷蔵倉庫事業を展開しています。

首都圏9カ所の拠点で冷凍冷蔵物流サービスを実施するほか、輸出入品にも対応できる体制を整えているのが特徴です。

在庫管理にはWebによる在庫照会システムを使用しており、リアルタイムで在庫照会が可能です。

冷蔵事業のほかに水産食品事業にも注力しており、海外や国内から買付けた海老・カニ・魚卵を中心とする海産物の卸売業を展開しています。水産食品の仕入れと冷蔵倉庫事業と合わせて利用できるのも強みのひとつだといえるでしょう。

参考:ホウスイ公式HP

クールテックサガワ

クールテックサガワは、福島県を拠点とする冷凍冷蔵倉庫業、製氷業および配送業を営む企業です。1959年の創業以来、冷蔵事業に特化した業務に携わり「クリスタルアイス」の製造にも力を入れています。

すべての倉庫にドックシェルターを設置し、コンピューターを使用した温度管理により品質維持を徹底しています。

委託可能な作業範囲は、仕分け作業をはじめラベリング、リパック作業、受注業務、事務処理の代行など多岐にわたるのが特徴です。

小ロットから大ロットまで柔軟に受け入れ可能で、自社で冷蔵倉庫を導入する前に必要性を確認したいニーズにも対応しています。

参考:クールテックサガワ公式HP

自社のニーズに合う冷蔵倉庫を選びましょう

冷蔵倉庫の需要は今後も拡大する見込みです。

それにともない、レンタル型の冷蔵倉庫や冷蔵倉庫を所有する物流会社の増加も予想されます。

冷蔵倉庫の形態が多様化するなか、自社のニーズに合う倉庫選びが重要です。富士ロジテックホールディングスでは、お客様が見直したいコストや業務をヒアリングし、ニーズに合わせた最適なソリューションをご提案します。

人件費や作業効率とのバランスを見ながら倉庫を選定したい方は、ぜひいちど弊社の無料相談をご利用ください。

冷凍・冷蔵庫発送代行サービスの詳細はこちら

<関連記事>「【2024年最新】クール宅急便・宅配便の配送料金比較!冷蔵冷凍で安い業者は?

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