田中なお
田中なお

物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

EC物流アウトソーシングのメリット・デメリット!おすすめ企業3選も紹介

物流代行 発送代行

EC物流は1オーダーに対し商品数が少なく、納品先が多い特徴があり、リソースへ大きな負担がかかります。事業が拡大すれば、オムニチャネルや波動への対応に限界を感じるときがくるでしょう。こうした事業者の間で、EC物流のアウトソーシングが進んでいます。

検討段階にある事業者においては、ハードルが高いと考えてしまうかもしれません。しかしアウトソーシングのコストを考慮してもメリットが出せる可能性は大いにあります。

当記事では、EC物流のアウトソーシングを簡単に解説したうえで、メリット、デメリット、おすすめのアウトソーシングサービスを紹介します。導入で十分なメリットを享受できるかなど検討にお役立てください。

EC物流のアウトソーシングとは?

画像出典:「EC事業者の受注・出荷業務」に関する実態調査

ECのミカタとロジレスの合同調査によると、EC物流のアウトソーシングを「現在利用している」「したことがある」EC事業者はアンケート対象者329社の約4割におよびます。

事業規模により、その必要性に差が出るものの比較的高い数値です。では、多くの企業が活用しているEC物流のアウトソーシングとはどのようなサービスでしょうか。

ここでは業務範囲やアウトソーシングサービスの代表例を解説します。

EC物流のアウトソーシングで委託できる業務範囲

EC物流のアウトソーシングで、委託できる基本の業務範囲は以下の通りです。

  • 入庫
  • 検品
  • 保管
  • ピッキング
  • 梱包
  • 出庫

中には次のようなサービスを提供している企業もあります。

  • 流通加工
  • 受注
  • 決済
  • カスタマーサポート

条件や対応範囲、料金体系はサービスによって異なります。

<関連記事>「ec物流 仕組み(公開予定)」

EC物流のアウトソーシング代表例

代表的なEC物流のアウトソーシングサービスといえば、フルフィルメント by Amazon(以下、FBA)を想像する方も多いでしょう。

たとえばFBAであれば、商品を入庫するために厳しい梱包要件があります。また、流通加工は対応していません。こうした条件を設けることで、スピーディーな納品に対応しています。

サービスによって強みにも違いがありますので比較検討してみましょう。

EC物流をアウトソーシングするメリット

EC物流には、アウトソーシングをするメリットが4つあります。事業に与える良い影響を想像しながらチェックしてみてください。

  • 割安運賃が適用される
  • 人材の採用・教育コストがかからない
  • リードタイムを短縮できる
  • 施策に注力できる

メリット1.割安運賃が適用される

一つ目のメリットは商品の発送にかかる運賃が割安になる点です。

運送会社の運賃表は、契約単位で設定料金が異なります。単体のEC事業者と運送会社間の契約では、まとまった物量の取り扱いがないケースがほとんどのため、高い運賃が設定されています。

一方、EC物流をアウトソーシングできる物流事業者は、1日に多くの物量を発送します。そのため割安の運賃表が適応され、委託するEC事業者もその恩恵を受けられるのです。

メリット2.人材の採用・教育コストがかからない

二つ目のメリットは、人材の採用コストと教育コストが削減できる点です。

セールや商品需要の変動により、必要なスタッフの人数は増減します。都度臨時スタッフを採用するコストが発生し、教育にも時間というコストがかかります。一方でその手間を惜しんで、定期採用にしてしまえば、閑散期には無駄な人件費がかさんでしまうでしょう。

EC物流のアウトソーシングは、基本的にピッキング1個あたりの請求になるため、人件費や採用、教育にかかるコストを意識する必要がありません。

メリット3.リードタイムを短縮できる

メリットの三つ目は、リードタイムの短縮が叶う点です。

物流の波動に対してスタッフの増減対応ができていない場合、出荷増加時には「夜遅くまで作業を行っている」というEC事業者の話を耳にします。それでも間に合わず、リードタイムを延長してしまっているケースでは、EC物流のアウトソーシングが効果を発揮します。

波動を吸収できる体制を整えている物流事業者を選定し、リードタイム面で品質向上を目指しましょう。

メリット4.施策に注力できる

メリットの四つ目は施策に注力できる点です。

発送に関わる単調な作業をアウトソーシングすれば、マーケティングや新商品の開発など、売上アップの施策に社内のリソースを当てられます。

売上を伸ばし続けるためには、余力を生み出すことも重要です。

EC物流をアウトソーシングするデメリット

EC物流をアウトソーシングするデメリットも知っておきましょう。

  • 物流ノウハウが社内にたまらない
  • 臨機応変な対応に限りがある

デメリット1.物流ノウハウが社内にたまらない

物流に関する知識、ノウハウが社内に蓄積されないことはデメリットのひとつです。アウトソーシングとはいえ、丸投げになってしまっては社内に物流を把握する人が誰もいない状況に陥る可能性も考えられます。

こうなれば、アウトソーシングサービスに依存してしまい、サービスや品質の良し悪しも判断できなくなってしまいます。工程ごとの流れや相場感、リスクへの対応などを理解したうえで、品質改善に一緒に取り組む姿勢が大事です。

デメリット2.臨機応変な対応に限りがある

臨機応変な対応に限りがある点は、EC物流をアウトソーシングする際に注意したいデメリットです。

出荷のキャンセルや数量の変更など、自社物流であれば出荷時間の間際まで対応できるでしょう。しかし物流事業者はさまざまな顧客の作業を並行して行っているため、取り決めをした締め切り時間を過ぎてからの対応は基本的に難しいと考えるべきです。柔軟性を最大限に担保したい場合には、物流の機能を自社に残すのも手です。

EC物流のアウトソーシングを検討するべきタイミング

事業開始当初からEC物流をアウトソーシングをするのは、あまり望ましくありません。物流のあり方を理解しないまま、丸投げ状態になってしまうからです。費用対効果やメリットを十分に感じられない可能性もあります。

月間の出荷件数が300件以上の事業規模になるタイミングが、EC物流のアウトソーシングを検討すべきひとつの目安です。物流に関わる作業に半日近くの時間を取られてしまうようでは、事業拡大の妨げになってしまいます。また事務所兼倉庫の場合、物量の視点でも保管しきれなくなる時期でもあります。

扱う商材やもともとのスタッフの人数にもよるため、物流に無理が生じたタイミングがアウトソーシング導入に適しているといえるでしょう。

EC物流のアウトソーシングサービスを選ぶポイント

次にEC物流のアウトソーシングを選ぶポイントについて紹介します。

  • EC物流の実績がある
  • 対象の商材を取り扱っている
  • 求めるポイントをクリアしている

EC物流の実績がある

EC物流の実績は重要です。toB向けの物流をメインに取り組んでいる物流事業者では、EC物流の波動や小ロットの対応に慣れていない場合があります。toC向けの実績がある企業では、EC物流を想定したシステムを利用しているため、受注からの連携がスムーズです。

WMS(倉庫管理システム)を使って、しっかり在庫管理をしているか。OMS(受注管理システム)や各ECカート、モールと連携しやすいWMSを利用しているか。これらのポイントは、事業が拡大してからも出荷に対応できるかどうかを判断する基準として覚えておきましょう。

対象の商材を取り扱っている

物流事業者を選ぶ際、取扱い可能な商材の確認が必須です。

化粧品や医薬部外品を保管、包装、ラベル貼りなどをする倉庫は「化粧品製造業許可」の資格を取得していなければなりません。食品は必要に応じた温度管理、賞味期限管理ができる倉庫である必要があります。アパレルであれば、タグ付けや検針が委託できるかどうかもポイントです。ささげもアウトソーシングするとなれば、対応できる物流事業者が限られます。

商材の取扱いと付随する業務への対応可否に注意しましょう。

求めるポイントをクリアしている

こだわりの条件をクリアできるアウトソーシングサービスであることも、サービス選定の際には重要です。たとえば次のような条件が挙げられます。

  • 納品の早さ
  • 流通加工
  • 波動への対応

納品の早さを求めれば、流通加工は対応できないかもしれません。小規模な物流会社で流通加工や出荷に際し、コミュニケーションが密に取れる代わりに、事業拡大の際の波動に対応できない可能性も考えられます。

絶対に外せないポイントを精査し、クリアできるサービスを選びましょう。

EC物流のアウトソーシングサービス企業3選

最後にEC物流に強いアウトソーシングサービスの企業3選を特徴別に紹介します。

【事業拡大のサポート実績、大手】富士ロジテックホールディングス

画像出典:富士ロジテックホールディングス

富士ロジテックホールディングスは創業100年以上の歴史を持つ物流会社です。食品、化粧品、アパレルなどのEC物流に対する実績も豊富。1日の出荷が10件〜100件ほどのアパレル事業者が、日に2,000〜3,000件の出荷に拡大する過程で、物流フローの再構築をサポートした事例もあります。

各種システム連携に対応し、OMOやオムニチャネルも可能。オリジナルの梱包を依頼できるため、ブランディング面でも優位に働くでしょう。全国に拠点をかまえており、複数拠点に分散できるメリットもあります。

2023年10月31日までに発送代行サービスを申し込むと、保管料が2ヶ月無料になるキャンペーンを実施中です。

【EC専業、ささげ業務も】アートトレーディング

画像出典:アートトレーディング

アートトレーディングが運営するのは埼玉県所沢市に倉庫をかまえるフルフィルメントサービスです。物流の委託業務のみならず、ECサイトの構築からサイト運営などの代行、コンサルティングも一貫して行えることが特徴です。

EC専業で物流体制を組んでいるため、ささげやラッピングなどの細かい対応も委託できます。受注代行プランと物流代行プランに分かれており、必要なサービスを選択できます。受注代行プランでは月1回のオンラインMTGを基本としているので、コミュニケーションも安心です。

【越境ECに強い】ウルロジ

画像出典:ウルロジ

ウルロジは越境ECに強い物流のアウトソーシングサービスです。EMS、国際eパケット、国際宅配便(DHL)が特別価格で利用可能。面倒なインボイス作成も委託できます。海外発送専門のペガサスグローバルエクスプレス社と業務提携もしているため、安心です。

都内3箇所に拠点を持ち、最新設備を導入することでミスの回避と低コストを実現。コミュニケーションの側面では「チャットツールを利用できて便利」との評判があります。

<関連記事>「EC 物流倉庫(公開予定)」

EC物流のアウトソーシングは委託先の見極めが重要!

EC物流のアウトソーシングは委託先の見極めが非常に重要です。「安いから」といって格安サービスに飛びついた結果、品質面や対応の幅に課題を感じ、労力とコストをかけて倉庫移転をするEC事業者も散見されます。

またEC物流の業務根幹を理解しないまま、アウトソーシングサービスを利用するのは失敗のもとです。まずはしっかりと物流を自社で運用し、必要な段階で導入を検討してください。必要性を感じた段階で導入すれば、享受できるメリットは大きいはずです。

さまざまな物流事業者の強みや特徴をチェックして、検討してみてください。

 

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田中なお

ライター

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物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

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