物流会社でEC発送代行のバックオフィス業務に従事する複業ライター。好奇心旺盛な性格で、過去に営業職や販売職、医療ソーシャルワーカーなどを経験。豊富な経験を活かして物流、医療・福祉、資格、ライフスタイル記事など幅広い分野の執筆を担当する。カテゴリー問わず、便利で使いやすい商品やサービスを求めて、ネットサーフィンを繰り返す日常を送る。趣味は旅行とレトロモダンなカフェ巡り。
同梱物とは、EC通販サイトなどで購入された商品に同梱するチラシやパンフレットなどのことです。
同梱物は、ECサイト普及以前のオフライン通販から活用されており、売上げを伸ばす有効な手段の一つです。特に「初回同梱物」は、会社やブランドの印象が決まるため、顧客にとって価値を提供する必要があります。
単品購入者をリピーターや定期コースに引き上げるために同梱物は有効とされており、リピーター顧客を獲得できるかによって、その後の売上げを大きく左右するでしょう。
本稿では、初回同梱物が通販の売上げを伸ばす理由を解説し、同梱物の役割・10のツール事例を紹介します。
同梱物とは?押さえておきたい3つの役割
EC通販において同梱物は、DM(ダイレクトメール)・アウトバウンドなど、オフラインでの顧客へアプローチする施策に位置しています。オンライン施策であるメール配信やWeb広告とは別のアプローチ方法として、通信販売開始当初より重視される施策の一つです。
ここからは、同梱物を効果的に活用するために、事前に押さえておきたい3つの役割を解説します。
- リピーターの獲得
- クロスセルの促進
- ファン化の促進
1.リピーターの獲得
同梱物の活用は、リピーターの獲得につながる大きな一歩となります。お得な特典が同梱されていると、企業に対して好感を持つ顧客が増えるなど、顧客満足度向上につながるためです。
たとえば、初めて購入したコスメBOXのなかに、コスメの使用方法を詳しく掲載した冊子や、おすすめメイクの例、メイク手順が記載された本が入っていたとしましょう。
「初めてで使い方がわからない」と困っている層は、こうした気遣いが嬉しいと感じるのではないでしょうか。
同梱物をうまく活用することで、企業への信頼感につながり、リピート購入につながりやすくなるのです。
2.クロスセルの促進
クロスセルとは、商品購入を検討する顧客に対して、関連商品を提案して同時購入を促す販売手法です。同梱物によるクロスセルの効果は、単価アップを狙うだけではありません。ニーズに合った提案によって、顧客満足度の向上にもつながります。
同梱物に、関連商品のSALE情報やセット価格が記載されたチラシを入れておくことで、新製品や関連商品に興味・関心を持ってもらえるきっかけとなるでしょう。
3.ファン化の促進
同梱物は商品の販売促進だけでなく、企業の想いを顧客に届ける手段でもあります。顧客に対して感謝のメッセージを記載した挨拶状やサンクスレターなどが多く用いられています。
さらに、サンプル品や特典などを同梱することで、顧客満足度が向上します。ブランド・企業に対しての好感度アップにより、ブランドのファンの増加が期待できるでしょう。
同梱物を活用して企業の想いを届け続けることは、顧客との信頼関係が構築される要因となり、ブランド価値を高めることにもつながります。
同梱物10種類のツール例
ここからは、以下10種類の同梱物を活用する目的・効果を具体的に解説します。
- お礼の手紙・挨拶状
- 商品パンフレット
- お客様の声チラシ
- お客様の声アンケート
- 関連商品の案内・商品カタログ
- 割引クーポン・キャンペーンチラシ
- サンプル品
- ブランドブック
- ニュースレター・会報誌
- 納品書
同梱物1.お礼の手紙・挨拶状
EC通販は、顧客と直接やり取りが発生しないため、感謝の気持ちを伝えることができません。そんなときに、お礼の手紙・挨拶状の同梱物が有効です。
長文にする必要はありませんが、感謝の気持ちが伝わりにくい定型文などは避け、手書き風の字体やブランドの想いを記載した一文を入れるなど、工夫すると目に留まりやすくなります。
同梱物2.商品パンフレット
商品パンフレットを同梱することで、商品の使い方・注意事項・利用時のポイントまで細かに案内が可能です。また、正しく使用してもらうことで、効果や効能を最大限に試してもらえるため、満足度向上にもつながります。
商品パンフレットは、初めて商品を購入した際でも、顧客が迷うことなく利用できるメリットがあり、配慮に長けた対応によって、顧客からの信頼も得られるでしょう。
同梱物3.お客様の声チラシ
実際に利用しているお客様の声を掲載したチラシは、顧客に対して、安心感や信頼感を抱いてもらいやすくなります。特に初回購入の方は、まだ体験していない状態のため、すでに利用している方の声は気になるものです。
掲載手法としては、お客様から届いたハガキやお手紙の写真を載せる、顔写真や氏名、年齢、居住地を載せられると、より安心感を与えられるでしょう。
また、実際に自宅に訪問してインタビューした内容をまとめて掲載する方法も有効です。
チラシを作成する際は、ネガティブな意見を排除しないよう注意しましょう。ポジティブな意見だけ載せてしまうと、不信感につながるおそれがあるためです。
実際にネガティブな意見を頂いた際は、期待に添えなかった理由や、効果が出るまでの使用期間など、具体的な内容を含んだ対策を一緒に掲載するなどの工夫が必要です。
同梱物4.お客様の声アンケート
お客様の声を集めるアンケートを同梱物として入れておくと、顧客の意見を直接吸い上げることが可能です。
お客様の声アンケートの同梱は、リピート顧客の獲得や顧客満足度向上に直接的にはつながりません。しかし、頂いた貴重な意見を今後のブランディングの参考資料にしたり、お客様の声をチラシに掲載したりするなど、ブランド価値を高めるための取り組みに活用可能です。
同梱物5.関連商品の案内・商品カタログ
購入商品と関連する商品案内やカタログを同梱すると、他の商品に対しても顧客に興味・関心を促せるメリットがあります。
たとえば扱う商品がアパレル関連だった場合、購入商品を着用したコーディネート冊子なども有効です。気に入ったコーディネートがあれば、掲載された別の商品に興味を示してもらえる可能性が高まるでしょう。
ニーズに合わせて情報提供することで2回目以降の購入につながりやすくなります。
同梱物6.割引クーポン・キャンペーンチラシ
割引クーポン・キャンペーンチラシは、リピートを促すうえで有効な手段の一つです。
商品が手元に届いて開封するタイミングは、期待感からポジティブな感情が高まるといわれています。割引クーポンやキャンペーンなどのお得な情報を同梱することで、顧客満足度やリピート率の向上が期待できるでしょう。
同梱物7.サンプル品
サンプル品の同梱は、他の商品に興味を持ってもらう糸口になります。特に、購入商品と関連商品の同梱が効果的です。
サンプル品は、購入商品と併用するメリットやポイントを明記しておくと「こんな使い方もできるんだ」と認知してもらえるため、購入商品とは別の商品を購入してもらえるきっかけとなります。
また、定期コースを利用している顧客に対しては、お誕生日月などのイベント時や、数か月に一度のタイミングなどでサンプル品をプレゼントする方法も効果的です。
同梱物8.ブランドブック
ブランドブックとは、ブランドの誕生背景・コンセプト・世界観などを掲載した冊子のことです。
一般的には、社員向けにブランドの理念や方向性を共有する目的で制作されるものですが、近年では顧客に対してもブランドをより深く知ってもらうツールとして活用されています。
ブランドブックには、企業側の一方的な想いだけを掲載するのではなく、ブランドの価値をわかりやすく記載し、顧客が得られるベネフィットを提示できるようにしましょう。
ブランドの理解を深めるための訴求を行い、ファンを獲得することで継続的な売上アップが期待できます。
同梱物9.ニュースレター・会報誌
ニュースレター・会報誌は、創業ストーリーや制作の様子、社内の取り組み、スタッフ紹介などを掲載した冊子です。
どのように商品が作られているか、どのようなスタッフがいるかなど、冊子を同梱することで顧客に知ってもらえるチャンスとなります。
また、オフィスやランチの様子を映した写真を載せることで、親近感を持ってもらいやすくなるでしょう。
内容は全顧客一律ではなく、初回購入者には創業ストーリーや製品特徴など「ブランドの利用価値を知ってもらう」。定期購入者には日常の様子を中心として「より親近感を持ってもらう」など、ターゲットに合わせて掲載内容を変更すると効果的です。
同梱物10.納品書
納品書は、購入した商品名称や商品コード・色・サイズ・数量・サービスの内容・納品日・販売元の会社名・電話番号などが記載された書類です。
「別の商品が届いた」「数量が足りない」などの出荷トラブル時に、納品書が同梱されていれば円滑な対処が可能です。顧客に安心して購入してもらえるよう、納品書は忘れずに同梱しましょう。
「D2Cモデルで検討すべきフルフィルメント設計とインクルードアイテム設計のニューノーマル」の記事では同梱物の制作コストについても解説しています。
同梱物は初回が重要!EC通販の売上げを伸ばす理由
初回購入の顧客をリピーターや定期購入に促すには、同梱物の活用が重要です。購入商品を届けるだけでは、顧客へアプローチができないためです。
ここからは、初回が重要とされる理由、EC通販の売上げを伸ばすための3つの理由を解説します。
- 開封率がほぼ100%で手に取られやすい
- 低コストで効果が高い
- LTVが向上する
開封率がほぼ100%で手に取られやすい
同梱物はメールやDM(ダイレクトメール)とは異なり、ほぼ100%と高い確率で手に取ってもらえます。同梱物は顧客が頼んだ商品と一緒に送付されることで、開封と同時に目に入るためです。
特に、初回購入の場合は商品が届くのを心待ちにしている顧客も多くいます。「早く使ってみたい」「着てみたい」など、商品への期待値が高く、商品に関連する内容であれば、開封してもらえる可能性が高くなります。
商品への興味が高まっているタイミングで、同梱物を活用し訴求することで、定期コースへの誘因や2回目以降の購入へと促しやすくなるでしょう。
低コストで効果が高い
新規顧客の獲得と比較して、リピート顧客を増加させる施策を打つ方が、低コストで高い効果を得られます。
一般的に新規顧客の獲得は、既存顧客の5倍のコストがかかるといわれているためです。(1:5の法則)
新規顧客へのアプローチは、商品・サービスの認知が重要です。商品名やブランド名を知ってもらうには、さまざまな場所で広告掲載やキャンペーン・イベントを行う必要があり、コストがかさみます。
一方で既存顧客は、すでに商品・サービスの認知があるため、訴求方法を割引キャンペーンなど、具体的な施策に絞れます。そのため、既存顧客へのアプローチは新規顧客獲得よりも低コストで効果が得られるのです。
LTVが向上する
LTVを向上させるために初回同梱物は大きな意味を持ちます。LTV(ライフ タイム バリュー)とは、顧客生涯価値のことです。LTVが高い状態は、商品をリピート購入してくれる顧客が多数存在する状態です。
もちろん、2回目の購入に促すことは容易ではなく、コストを投じ、さまざまな施策を展開する必要があります。
しかし、2回目購入に至った顧客は、その後、3回目、4回目と購入サイクルが続く傾向が高く、離脱しにくいといわれています。
そのため、2回目購入を促す施策に注力することで、その後の販促費を抑えつつ利益率向上が狙えるといえます。
効果的な同梱物の工夫
ブランド認知のための、商品パンフレットやブランドブックなどの同梱物も重要ですが、購入者が「また買ってみようかな」と思うきっかけとなるような、同梱物の活用も効果的です。
具体的には、誕生日お祝い専用割引チケット・継続特典用チラシなどが挙げられます。特別感のある特典をつけることで、リピート購入へ促しやすくなります。
また、定期コースなど、継続購入をしている顧客に対しては一定回数で、サンプル品やギフトをつけるなど、購入を続けているメリットを感じてもらうような同梱物も効果的です。
パッケージへの工夫もブランド認知度の向上に有効です。「D2C/P2C ブランドにとってパッケージングが非常に重要である理由」で解説しています。
同梱物施策を通販で行う際の注意点
同梱物は、リピート購入や顧客満足度の向上につながる有効な手法の一つですが、同梱物施策を行う際には次の2点に注意が必要です。
- 顧客情報の分類が難しい
- 発送代行が同梱に対応できない可能性
顧客情報の分類が難しい
顧客情報の把握と分類が難しいことが挙げられます。Web広告であれば細かなターゲティング設定が可能ですが、同梱物の場合は購入者の氏名から性別の判別までが限界です。
たとえば、40代女性向けにエイジングケアの化粧品のサンプルを同梱したいと考えたとしましょう。同梱作業をするにあたって納品書に記載されている氏名だけでは、年齢までは把握できません。
ターゲットに合わせた同梱物で訴求をするためには、ECカートシステムの導入が有効です。ECカートシステムとは、ECサイト上でユーザーが買い物をする際に使用するソフトウェアのことを指します。
ECカートシステムを導入していれば、氏名や年齢、過去の購買履歴などの顧客情報の把握が容易となり、ターゲットに合わせて施策を打ち出せるでしょう。
発送代行が同梱に対応できない可能性
同梱する指示内容が煩雑な場合、システム環境が整っていない発送代行会社では、対応できない可能性があるため注意しましょう。不慣れな発送代行会社であれば、同梱ミスにつながるリスクも懸念されます。
同梱物施策は、単品通販・定期通販において売上を向上させるために必要不可欠なもののため、煩雑な業務にも対応できる発送代行会社を選ぶとよいでしょう。
発送代行会社のなかには、受注管理~発送代行まで一括で対応できるフルフィルメントサービスの提供をする会社もあるため、EC事業者様はコア業務に集中できるメリットもあります。用途に合わせて選択しましょう。
同梱物をうまく活用し、EC通販の売上げアップ!
同梱物とは、購入商品に同梱するチラシやパンフレットなどの印刷物のことを指します。ブランドの歴史や想い、製造過程、利用価値を顧客に認知させる役割があり、リピート購入に結びつける重要な施策の一つです。
同梱物を活用し、ブランドのファンを増加させることでEC通販の売上げアップが期待できるでしょう。
富士ロジテックホールディングスでは、受注管理から発送代行まで対応が可能です。煩雑な同梱物の処理もシステムで一元管理できるため、ミスのない安定した発送がかないます。「同梱施策ができない」などお悩みのEC事業者様はまずはご相談ください。
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発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。
ライター
梅山茜
物流会社でEC発送代行のバックオフィス業務に従事する複業ライター。好奇心旺盛な性格で、過去に営業職や販売職、医療ソーシャルワーカーなどを経験。豊富な経験を活かして物流、医療・福祉、資格、ライフスタイル記事など幅広い分野の執筆を担当する。カテゴリー問わず、便利で使いやすい商品やサービスを求めて、ネットサーフィンを繰り返す日常を送る。趣味は旅行とレトロモダンなカフェ巡り。
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