田中なお
田中なお

物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

オムニチャネルとは?マルチチャネルとの違い・導入のメリットデメリットも解説

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「オムニチャネル」はEコマースや小売業界でよく使われるマーケティング用語です。マルチチャネルやその他の◯◯チャネルといった用語が乱立し、混乱してしまうこともあるでしょう。

本稿ではオムニチャネルの意味、マルチチャネルや他の用語との違いを解説します。導入のメリット・デメリット、成功の鍵までお伝えしますので、最後までご覧ください。

オムニチャネルとは?

まずはオムニチャネルについての概要をお伝えします。


オムニチャネルの意味・概要

「オムニチャネル」とは、複数の販売チャネルを横断して顧客へアプローチするマーケティング戦略を指します。英語表記では​​「Omnichannel」。「すべての」を意味する「Omni」と「経路」を意味する「channel」をかけ合わせた言葉です。​​店舗、ECサイト、SNS、メールマガジン、アプリ、通販カタログ、コールセンターなどあらゆる購入方法と受け取り場所を、顧客が自由に選択できるよう一元化する施策といえます。


オムニチャネルが注目されるワケ

オムニチャネルが注目される背景には、販売チャネルの多様化による、顧客行動の変化が挙げられます。
  • 実店舗で商品を見てから、ECサイトで安い店舗などを検索し購入する「ショールーミング」
  • ECサイトで商品を検索し、実店舗で実物を見て購入する「ウェブルーミング」
などが代表的です。
こうした顧客の需要に基づき、在庫情報や顧客データを一元化する手法に注目が集まりました。各チャネルを統合して収集されたデータがマーケティングに活用できるのも、広まりを見せた理由の1つです。

オムニチャネルとマルチチャネル・その他混同されやすい用語との違い



オムニチャネルと似た言葉に「マルチチャネル」があります。
「マルチチャネル」もオムニチャネルと同様、様々な販売形態を持つマーケティング戦略です。オムニチャネルとの違いは、それぞれのチャネルが独立していて、情報の連携・一元化はされていない状態であるという点。例えば、以下のような違いがあります。

オムニチャネルの前段階の形態が「マルチチャネル」といってもよいでしょう。

その他混同されやすいデジタルマーケティング

その他混同されやすいマーケティング用語も簡単に解説します。

シングルチャネル

マルチチャネルの対義語ともいえる言葉に「シングルチャネル」があります。店舗だけ、ECサイトだけ、など一本柱の運営を指します。

クロスチャネル

オムニチャネルと同様、チャネルの同志データの連携を施した施策。ただし、それぞれのチャネルにおける顧客体験が均一になっておらず、ECサイトと店舗で価格が違うといったことが起こりえます。

オムニチャネルとOMO・O2Oの違いは別記事で詳しく解説しています。
OMOとは?オムニチャネル・O2Oとの違いや施策事例をわかりやすく解説

オムニチャネルのメリット



オムニチャネル化は、大きなメリットがあります。

1.販売機会損失の低減

オムニチャネル1つ目の大きなメリットとして、販売機会の損失を防ぐ効果が挙げられます。例えば、実店舗で商品を確認し、ECサイトで購入する顧客行動「ショールーミング」への対策です。
・実店舗とECサイトどちらでも利用可能なポイントにより、他店でなく、自社サイトを選んでもらえるよう差別化を図る
・実店舗から自社サイトへスムーズな導線を作り、顧客を逃さない仕組みを作る
オムニチャネル化により、着実に売り上げを伸ばす仕組みを構築できます。

2.マーケティングに役立つ

オムニチャネル2つ目のメリットとして、一元管理したデータにより、顧客行動を分析できる点も挙げられます。「誰が」「どこで」「何を購入したのか」チャネルの区別なく顧客データを収集することで、
  • 次の購買につなげるクーポンの配布
  • 購入履歴に紐づいたおすすめ商品の提案
などが可能になります。

3.適切な在庫管理で売り損じを防ぐ

オムニチャネルのメリットの3つ目は、欠品による、売り損じを防げる点です。
これまで、店舗では在庫があるのに、ECサイトでは品切れといったケースもあったでしょう。オムニチャネル化により、他チャネルの在庫も共有し瞬時、かつ明確に把握できれば、販売機会の増加につながります。

オムニチャネルのデメリット

オムニチャネルの導入にはデメリットも存在します。しっかり理解し、対策を練りましょう。

システム開発・導入の投資が必要

オムニチャネルを取り入れるために、システムの開発あるいは導入が欠かせません。
今までチャネル別で管理していた、以下のようなシステムに手を加える必要があります。
  • ポイントシステム
  • 顧客データ管理システム
  • 在庫管理システム
  • 予約・取寄せ管理システム
コストやリソースを割かなくてはならないため、オムニチャネルの戦略を取り入れるハードルといえるでしょう。

スタッフの教育が必要

システムが変われば、使用するスタッフの教育も必要です。どれほど良いシステムを構築しても、活用できなければ無駄になってしまいます。実店舗ではオムニチャネルを意識した接客を行わなければなりません。
ここでさらに問題になるのが、店舗スタッフの労働力であるにも関わらず、店舗受け取りやECサイトへの誘導は店舗の売上にならない点です。モチベーション管理も含め、スタッフの教育に時間をかけなければなりません。

オムニチャネルを実現・成功させる鍵は「基盤の構築」



オムニチャネルの実現には、基盤構築が成功の鍵となります。しかし構築は容易ではなく、すべてを自社で開発しようと思えば、ハードルがぐっと高くなってしまうでしょう。二の足を踏んでしまうのであれば、すでに構築されたシステムの導入や外注も1つの手です。

富士ロジテックでは、オムニチャネル/OMOに特化したアレンジサービスを提供しています。他専門企業と協業し、オムニチャネルを全方位から支援。
  • ECサイトの構築
  • 各チャネルのデータ収集・分析ツール
  • 交換・返品を最適化したフルフィルメントサービス
  • 在庫管理システム

まずはオムニチャネルの基礎を構築し、データの活用や分析に力を入れていくことが重要です。

サービスの詳細はこちらからご確認ください。
https://fujilogi.net/products/omo

マルチチャネルからオムニチャネルへ



スタンプカードでのポイント付与の時代から、気づけばアプリに移行しているように、すでに大手企業はマルチチャネルからオムニチャネルに変化しています。

顧客、在庫、ポイント情報の一元管理をすることで、CSの向上を図りつつ、データ分析もできる「オムニチャネル」。基盤の構築のハードルは高いものの、享受できるメリットは大きいでしょう。

小売業、Eコマースに携わるのであれば、オムニチャネルの導入を検討してみましょう。

下記の記事では、Eコマースがオムニチャネルを導入した事例を紹介しています。
【オムニチャネルコマース Tips Pop Up Shop編】D2Cブランドが集まるストア 「明日見世」・「CHOOSEBASE SHIBUYA」

小売業の販売戦略としてP2Cも注目を集めています。
P2Cとは?D2Cとの違い・インフルエンサーの成功事例も紹介

 

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