国内外のECをはじめ、リユース、美容・健康、音楽などあらゆるジャンルで執筆中のフリーランスライター。中国への留学経験を生かし、13年間、繊維製品や楽器、雑貨の輸入業務に携わる。現在はライター業のかたわら、個人で越境ECのセラーとしても活動中。
日本のネット通販市場の規模は年々増加しています。
2021年の市場規模は2013年の11兆円のおよそ2倍、20兆円にまで達しました。
現在は個人も利用しやすいECプラットフォームが増加したこともあり、個人・法人問わず数多くの事業者がネット販売に参入しています。
参入者の増加にともない競争が激化したことで、
「新規に集客するのが難しい......」
「既存顧客をつなぎとめられない」
「客単価がなかなか上がらない」
などの課題に直面し、お悩みではないでしょうか?
この記事では、ネット通販における課題点とその対策、成功実例まで詳しく解説します。
始めてはみたものの課題への対策法がわからないという方も、これから参入を考えている方も、記事を読んで対策法や実例をご自身のビジネスにお役立てください。
ネット通販における5つのおもな課題
さっそく、ネット通販におけるおもな課題点を以下の通り5つご紹介します。
- 新規顧客の獲得が難しい
- リピーターを増やしにくい
- 購入までの離脱率が高い
- 客単価が低い
- バックヤードの負担が大きい
課題1:新規顧客の獲得が難しい
ネット上に数多く存在するショップの中から、ユーザーに自分のサイトを見つけてもらうのは至難の業であり、最初の課題です。
認知されている有名ブランドなどは、すでに顧客がいるためLP(ランディングページ)などからサイトへの導線を確保すれば集客ができます。
まだ認知されていない商品やブランドを販売する場合には、まず予算内で自社を知ってもらうための施策を講じ、サイトへの流入を考えましょう。
課題2:リピーターを増やしにくい
ネット通販ではリアル店舗よりも、リピーターの獲得が難しいといわれています。
なぜならユーザーは商品を購入する際、わざわざ購入したことのあるお店を検索して買うわけではないからです。
ユーザーの購買行動は、欲しいものがあればまずインターネット検索でいくつかのショップを比較し、安いショップから購入するパターンがほとんどですよね。
そのため、実店舗よりもネットショップのほうが同じ店から再度購入する可能性が低いのです。
課題3:購入までの離脱率が高い
ネット通販の場合は、とりあえずカートに入れて購入にいたらない「カゴ落ち」が頻発します。
理由はさまざまですが、最後に送料や消費税を計算した時点で「思っていたより高かった」「便利な決済方法がなかった」などの理由で離脱するケースも。
またサイト自体が分かりづらい、見づらい場合にもユーザーは簡単に離脱してしまいます。ネット上ならいつでも簡単に離脱できるのが、実店舗とは決定的に違う点です。
課題4:客単価が低い
客単価が上がらないという課題は、ネット通販の事業者に対するアンケートでも「集客」「リピート購入」に次いで3番目に多い悩みです。
実際の商品を眺めながら買い物をする実店舗と比べると、お目当ての商品以外にユーザーの目がいきづらいのはネット通販のデメリットでもあります。
ネット通販では、ユーザーが他の商品もついでに購入したくなるように誘導する施策が必要です。
課題5:バックヤードの負担が大きい
ネット通販では、梱包、発送、顧客管理から返品対応まで販売にともなうバックヤードの処理が煩雑になりがちです。
出荷数が増加するとこれらの処理に手をとられ、仕入れやマーケティングにまで手が回らなくなることもあります。
とくに少人数の企業や個人の事業者ではマンパワーが足りず業務に支障が出るため、早めの対策が必要です。
ネット通販における課題への対策法
ネット通販における課題については、前述の通りです。
ここからはそれぞれの課題に対する対策法を、以下のとおりそれぞれ詳しく解説します。
- SEO対策や広告を活用し潜在層にアプローチ
- フォローアップでサイトのファンを作る
- サイトの利便性を向上させる
- 顧客のメリットに着目したクロスセル・アップセル
- 梱包・発送のバックヤードを整備
対策1:SEO対策や広告を活用し潜在層にアプローチ
まずは新規顧客を獲得するために、自社サイトを認知してもらうことからはじめましょう。
具体的な方法としては、
- SEO対策
- SNS広告やディスプレイ広告、リスティング広告など
があります。
SEOとは検索エンジン最適化の略です。
ユーザーがキーワードで検索をかけた時に、自社サイトや自社のコンテンツ(ブログ記事など)が上位に表示されるような施策をします。
SEO対策は無料ではじめられるのがメリットですが、効果が出るまで数ヶ月以上かかるなど地道に記事を書き、サイト全体の評価を上げていく必要があります。いちど評価されると継続的にユーザーの目にとまるので、サイトの認知度が上がります。
予算に余裕があるなら、SNS広告やリスティング広告、ディスプレイ広告なども活用するとよいでしょう。
SNSでは個人の年齢や性別、興味や地域などの情報を利用して広告を出稿できます。ターゲットを絞って広告を出せるのが特徴です。
ディスプレイ広告は、アプリやウェブサイトの広告枠に掲載される広告です。多くの人の目にふれるので、まだ認知されていない新商品の宣伝や自社サイトのブランディングなどに向いています。こちらも年齢や性別などユーザーの属性を絞り、ねらったターゲットに向けて配信できます。
リスティング広告は、キーワード検索をしたときに検索結果ページ上部の広告枠に表示される広告です。キーワードに連動して表示されるため、商品を購入する目的を持ったユーザーに届きやすいのが特徴です。
対策2:フォローアップでサイトのファンを作る
ネットショップのリピーターを増やしたいなら、購入後も顧客と接触する機会を増やす対策を施しましょう。
例えばメルマガ登録でセールなどの情報を配信したり、LINE登録でクーポンを配布したりなどの方法があります。
リピーター特典やバースデークーポンなども特別感があり、購買意欲を刺激する方法の一つです。
「初回同梱物が通販の売上げを伸ばすワケとは?役割と10のツール事例」の記事では同梱物施策でリピーターを増やす事例を紹介しています。
対策3:サイトの利便性を向上させる
購入前のユーザーの離脱を防ぐには、サイトの利便性を向上させましょう。
たとえば、ユーザーが申込みフォームに記入する手間を最小限にすることで、離脱率が下がります。
具体的には郵便番号から住所を表示させるなどの入力自動化や、入力する項目自体を減らすなどの工夫が効果的です。
ほかにも送料の記載をはじめから分かりやすく記載する、決済方法の選択肢を増やすなどの方法も即効性があります。
対策4:顧客のメリットに着目しクロスセル・アップセル
客単価を上げるには、顧客のメリットに注目したクロスセルやアップセルの施策が有効です。
クロスセルとは、購入商品と別の商品も購入してもらう手法です。
たとえば、レコメンデーション機能を使って購入する商品と関連の深い商品を表示させる方法があります。その際、関連商品の割引クーポンを用意するなど顧客にメリットのある提案をすると効果的です。
アップセルとは、購入商品よりも上位のものを提案する手法です。
たとえばセット売りの提案などが挙げられます。具体的な割引率を提示し、顧客にメリットがある点を見える化することも重要です。ほかにもアフターケアの充実などで、上位商品を購入するメリットを打ち出すのもよいでしょう。
対策5:梱包・発送のバックヤードを整備
出荷量が増えて手が回らなくなる前に、バックヤードの整備の対策も視野に入れておきましょう。
ネット通販業界では、翌日配送など購入者の利便性が増しています。そのなかで配送や梱包にかける時間が短く設定されていないと、競合に太刀打ちできません。
梱包や発送だけでも外注するなど、事業規模や予算に合わせて物流代行を利用するのがおすすめです。バックヤードの煩雑な業務を手放し新商品の仕入れやマーケティングに注力することで、売上の向上と業務の効率化が図れます。
「ネット通販の発送代行の対応範囲」の記事も参考にご覧ください。
売上をアップさせたネット通販の成功事例
ここからは、これまで解説したような課題の対策を実際におこない成功した事例を紹介します。
- SY32SWEET YEARS
- スマートキャンプ株式会社
- DIY FACTORY
- Amazon
事例1:SY32SWEET YEARS
画像出典:SY32SWEET YEARS
SY32SWEET YEARSは、スポーツテイストをベースにしたイタリアン・カジュアルブランドです。
リピーター獲得のためのメルマガ配信を始めました。ブランドを知ってもらうための福袋販売も功を奏し、新規顧客へのアプローチに成功しています。
決済方法にはAmazon Payを導入。支払い時の利便性を追求するなど積極的に施策を行った結果、昨年比541%の大幅な売上の向上に成功した事例です。
事例2:スマートキャンプ株式会社
画像出典:スマートキャンプ株式会社
こちらはネット通販とは形態が異なりますが、BtoBビジネスのマッチングサービスを展開する企業がSEO施策で成功した事例です。
キーワードリサーチを徹底し、ユーザーのニーズに合うコンテンツを増やしたSEO対策でリードの獲得数が2,000件アップしました。
事例3:DIY FACTORY
画像出典:DIY FACTORY
DIYに関する商品240万点を誇る、日本最大級の工具とガーデニング用品のネット通販ショップ。
梱包や発送のバックヤードの業務を外注し、消費者への配送時間の短縮に成功しました。
同時に作業の効率化ができたことで、社員の負担を大幅に軽減できています。
事例4:Amazon
画像出典:amazon.co.jp
Amazonのショッピングサイトでは、購入する商品に関連して「よく一緒に購入されている商品」を提示する機能を導入しています。クロスセルの代表的な事例です。
またAmazon Prime会員になると送料が無料になるサービスによるアップセルにも成功しています。
競争が激化するネット通販は独自の対策で売上アップを!
ネット通販業界は、今後も参入者が増加する見込みです。
競争がますます激化していくことが予想されるので、課題に対する自社に合った対策で、売上アップを目指しましょう。
出荷量が増えてきたら、物流の外注も選択肢に入れておくのがおすすめです。
富士ロジテックホールディングスでは、一部業務のみの代行から一括代行によるコスト削減など柔軟にカスタマイズして対応可能なので、何でもお気軽にご相談ください。
<関連記事>「通販物流の仕組みやポイントとは」
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ライター
オガミキヨ
国内外のECをはじめ、リユース、美容・健康、音楽などあらゆるジャンルで執筆中のフリーランスライター。中国への留学経験を生かし、13年間、繊維製品や楽器、雑貨の輸入業務に携わる。現在はライター業のかたわら、個人で越境ECのセラーとしても活動中。
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