国内外のECをはじめ、リユース、美容・健康、音楽などあらゆるジャンルで執筆中のフリーランスライター。中国への留学経験を生かし、13年間、繊維製品や楽器、雑貨の輸入業務に携わる。現在はライター業のかたわら、個人で越境ECのセラーとしても活動中。
バックエンドという言葉は聞いたことがあるものの、具体的にどのような業務を行うのかはっきりと分からない方も多いと思います。
本記事では、EC事業を新規で立ち上げたい方や企業のEC担当者になった方に向け、
- ECバックエンド業務とは何か
- フロントエンドとの違い
- 問題点と業務効率化のポイント
について分かりやすく解説します。
業務の内容を理解し、ECサイトをスムーズに運営しましょう。
ECサイトの運営におけるバックエンド業務とは何か
ECサイトの運営において、バックエンドは販売を支える裏方のようなポジションです。
業務内容は、商品登録や受注対応、在庫管理といった顧客からは見えにくいものと、カスタマーサービスのように顧客と直接コミュニケーションを取るものがあります。
EC運営の全体の業務フローについては、以下をご参照ください。
EC運営全体の業務フロー |
商品企画 ↓ 仕入れや製造 ↓ ECサイト制作、改善 ↓ マーケティング・集客 ↓ 受注・顧客管理 ↓ 出荷・配送 ↓ アフターサービス |
フロントエンドとバックエンドの業務の違い
EC運営の業務は、フロントエンドとバックエンドに分けられます。それぞれのおもな業務内容は、以下の一覧の通りです。
フロントエンド |
バックエンド |
● 商品企画 ● 商品の仕入れ ● ECサイトの制作、改善 ● 集客 |
● 商品登録 ● 受注対応 ● 在庫管理 ● 出荷・配送 ● カスタマーサービス |
販売を裏で支えるバックエンドに対し、フロントエンドはおもに顧客になる前の消費者も含め、一般ユーザーの目に触れる部分の業務を担う違いがあります。
たとえば商品の企画や仕入れ、自社ECのビジュアルやコンテンツ制作、改善などがあげられます。
集客もフロントエンドの重要な業務です。
ECサイトへのアクセス解析や、マーケティング施策の立案・実行などが含まれます。具体的にはSNSやブログ、Web広告、DMやメルマガ、TVコマーシャルなどを利用し、ターゲットに合わせた最適な方法で集客をします。
ECのバックエンド業務の流れと仕事内容
ECのバックエンド業務を細かく分けると、以下1〜7の流れになります。
- 商品登録と管理
- 商品の受注対応
- 入金の確認
- 出荷の手配
- 梱包作業と商品発送
- 後払いの入金確認
- アフターフォロー業務
それぞれの内容について、詳しく解説します。
商品登録と管理
はじめに販売する商品情報をシステムに登録し、ECサイトにアップロードします。
商品登録は、顧客の購買活動につながる重要な業務です。
写真の見栄えに考慮しながら商品情報を、正確かつ迅速に登録するスキルが求められます。とくにアパレルの商品登録は煩雑で、「ささげ」と呼ばれる作業のために専門のスタッフを雇用する企業も少なくありません。
ささげとは、「撮影」「採寸」「原稿作成」の頭文字をとった言葉です。実際に商品を試着できないECでは、ささげ作業のクオリティーが売上を左右するといっても過言ではないでしょう。
商品の受注対応
バックエンドの2つめの業務は、顧客から注文が入った際の受注対応です。
多くの場合、商品の注文を受けたら顧客に自動返信メールが送信されます。その後受注内容を確認し、倉庫や配送など各部門と連携をとりながら在庫を確保します。
同時に顧客にお礼と受注確定メールを送る作業も、バックエンドの仕事です。
入金の確認
次に、顧客が選択した決済方法に基づき入金を確認します。
決済方法には、クレジットカード、銀行振込、後払い、コンビニ決済などがあります。決済方法により異なった受注・入金処理が必要です。
たとえば、クレジットカードや後払いに関しては与信が必要です。与信通過後の入金確定になります。一方、銀行振込やコンビニ決済は顧客からの入金が確認できた後に確定します。
出荷の手配
入金が確認できたら、次は在庫の引当てと出荷指示をします。
出荷遅延や受注後の在庫切れは、顧客の信頼度を著しく低下させます。そのようなトラブルを防ぐためには、倉庫や仕入れ担当のバイヤーとも密に連携をとり、引当て可能な在庫数を正確に把握しなければなりません。常に実在庫を確認しながら受注数を差し引くといった、細かい管理が必要です。
在庫の引当てができたら、受注リストから送り状や納品書を作成し、出荷の手配をします。
梱包作業と商品発送
作成した納品書や領収書、チラシなどの同梱物とともに商品を梱包します。
受注データをもとに発送作業が完了したら、顧客にメールで発送完了の報告をします。
後払いの入金確認
顧客が後払いを選択している場合、この時点で後払いの入金を確認します。
後払いの入金が確認できたら、受注から納品までの一連の流れはいったん終了です。
アフターフォロー業務
納品が完了したあと、カスタマーサポートとして顧客のフォローを行うのもバックエンドの仕事です。
納品後数日が経過した時点で、顧客にメールや電話などで対応や商品に問題がなかったかを確認する企業もあります。顧客からのクレーム対応も、カスタマーサポートの仕事です。
カスタマーサポートは顧客満足度に直結する業務です。対応の良し悪しで、リピーターになってもらえるかが決まるといえるでしょう。
<関連記事>「EC物流とは?EC物流の3つの改善点や倉庫の選び方のポイント5選を徹底解説」
ECのバックエンド業務における問題点
ECバックエンドの業務内容がわかったところで、問題点についても以下の順に見ていきましょう。
- 煩雑な作業が多い
- 業務の多さに対してリソースが足りていない
- カスタマーサポートの負担が大きい
煩雑な作業が多い
バックヤードの業務は、煩雑なものが多く人的ミスが発生しやすいといえます。
たとえば受注・在庫管理では、正確性や数値の管理能力が問われます。とくに在庫管理は単純ですが細かい作業です。在庫の引き当てで数字や桁を一つ間違えるだけで在庫数に誤差が生じます。ECサイトと実店舗で並行して商品を販売する場合や、複数の店舗で在庫を共有する場合、管理がより煩雑になるでしょう。
商品登録は1商品につき撮影や採寸、商品説明の作成まで工程が多く、負担が大きい作業です。作業の煩雑さから、企業によってはそれぞれの工程に違う人員を配置することも珍しくありません。その分、人件費の負担も増えます。
業務の多さに対してリソースが足りていない
バックエンドの業務には、商品登録や受注、出荷対応だけでなくカスタマーサポートも含まれます。
業務内容が煩雑で多岐にわたるので、多くの人員が必要です。
出荷作業を例にあげると、ECはギフト梱包などの個別対応が必要なことから、作業の負荷が大きいという特徴があります。セールや季節のイベントなどの繁忙期には出荷量が増えるため、人員不足により商品違いや数量違い、配送先違いなどの問題も発生しやすくなるでしょう。
カスタマーサポートの負担が大きい
カスタマーサポートは顧客の満足度に直結する重要な業務である一方、精神的な負担が多い仕事です。
顧客からの要求やクレーム対応はストレスがたまりやすいため、高いコミュニケーションスキルや、忍耐力と客観性が求められます。
また対応件数が多いうえに、1回では解決できず折り返し対応することもあり、煩雑さの面でもスタッフの負担が大きい業務です。
バックエンド業務を効率化するポイント
先にお伝えしたバックエンド業務の問題を解決するには、業務の効率化が不可欠です。
ここからは、バックエンド業務を効率化するポイントを以下3つに分けて解説します。
- 自社で各種システムを導入する
- アウトソーシングサービスを利用する
- 物流代行会社に業務を委託する
自社で各種システムを導入する
予算に余裕があれば自社で各種システムを導入し、属人化している業務の一部、もしくは全てをデジタル化するのも一つの方法です。
バックエンド業務では入出庫データや在庫データ、ピッキングデータなど複数の重要なデータを管理します。これらのデータをシステムの導入により見える化することで、販売機会の損失やコストの増加を防げます。
たとえばWMS(倉庫管理システム)の導入で、過剰在庫や欠品、人的ミスの防止が可能です。ほかにも在庫管理システムにより、複数の店舗で在庫をリアルタイムに共有できれば、在庫の引当てミスも大幅に減らせます。
受注管理システムと倉庫管理システムを一体化すれば、受注から荷物が顧客に届くまでの一連のバックエンド業務の自動化も可能です。
<関連記事>「ECの発送の手間を簡素化!自動出荷システムで解決できることと代表的なシステムを紹介」
アウトソーシングサービスを利用する
バックエンド業務は、在宅ワーカーに任せやすい職種でもあります。
家のパソコンに遠隔で操作できるソフトをインストールすれば、在宅で業務が可能です。実際にカスタマーサポートや受注管理などを在宅ワーカーに業務委託する企業も増えています。
クラウドワークスやランサーズなど、在宅ワーカーが多数登録しているマッチングサイトを利用すれば簡単に募集がかけられます。
物流代行会社に業務を委託する
出荷量が増え自社のリソースや保管場所が不足していると感じたら、物流代行会社への業務委託も検討しましょう。
代行会社によって、対応可能な作業の範囲が異なります。
受注処理やカスタマーサービスも委託できる会社や、ささげ業務まで提供する会社などサービス内容はさまざまです。委託したい業務に対応可能かどうかを、あらかじめ確認しましょう。
また会社によって、それぞれ得意とするジャンルも違います。自社商材と同じジャンルの取扱実績が多いかどうかも、選定のポイントです。
代行会社を探す際には、自社の予算や抱えている問題によって委託する業務の洗い出しが必要です。物流コンサルティングを含めて対応できる代行会社もあるので、問題が大きくなる前にいちど相談してみるとよいでしょう。
<関連記事>「EC向け発送代行サービスとは?選び方とおすすめの発送代行業者を7社紹介」
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ライター
オガミキヨ
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