
アパレル物流は商品の種類やトレンドの移り変わりが激しく、一般的な物流とは異なる特徴があります。特に、物流面ではアパレル特有の課題があるため、効率的な物流システムの運用が求められます。
本記事では、アパレル物流の特徴や業界が直面する4つの課題を解説します。さらに、外部委託のメリットや適切な倉庫選びのポイントを詳しく紹介します。
アパレル物流の5つの特徴
アパレル物流には、以下のような特徴があります。
- 製品の種類(SKU)が多い
- 季節性とトレンドにより流通量が変化する
- 素材に適した湿度・温度で管理する
- 商品ごとに収納方法が異なる
- 商品の特性に応じた流通加工を行う
ここでは5つの特徴を具体的に解説し、スムーズな物流運営のポイントを解説します。
製品の種類(SKU)が多い
アパレル物流の特徴の一つは、取り扱う商品の種類(SKU)の多さです。アパレル商品は、同じアイテムでもサイズやカラーが異なるため、SKUの数が増加し、在庫管理が煩雑になります。
例えば、Tシャツの場合、4サイズ(S・M・L・LL)で6色展開では24SKUとなり、雑貨や食品に比べてSKUも多くなる傾向です。SKUが多い商品は、検品に時間がかかり、保管スペースも多く必要になります。
しかし、SKUが多くても、売れ筋商品を見極めて商品を絞り込むことは可能です。商品の売れ筋を分析し、適切な量を正確に管理することで、在庫管理を効率化できるでしょう。
<関連記事>「在庫管理におけるSKUとは?改善できる管理方法紹介」
季節性とトレンドにより流通量が変化する
アパレル物流は、季節やトレンドによって流通量が大きく変化します。特定のアイテムの需要が急増して欠品となることもあれば、需要が急落して過剰在庫となるケースもあります。そのため、欠品を恐れ過剰在庫になりやすい傾向です。
実際、アパレル業界では供給過多が指摘されており、全商品のうち20%が利益の80%を生み出しているというデータもあります。このような状況も踏まえ、在庫管理の最適化が求められます。
常に需要を先読みし、品切れや過剰在庫を防ぎ、適切な在庫量を確保することが重要です。
出典:衣料品の8割は赤字販売/全在庫の2割に利益を頼る構造露呈
素材に適した湿度・温度で管理する
アパレル商品を保管する際は、素材に適した湿度と温度の管理が不可欠です。例えば、ウールやシルク、革製品などの動物性由来の素材は、湿度が高いとカビが生えやすくなるため注意が必要です。
また、水に弱いレーヨン素材は、湿度の高い場所で保管すると、生地が縮みやすくなります。このように、素材の種類が豊富なアパレル商品は、空調設備が整った倉庫での保管が求められます。
<関連記事>「3温度帯とは?4温度帯との違いや冷凍・冷蔵倉庫の温度について解説」
商品ごとに収納方法が異なる
商品ごとに収納方法が異なることも、アパレル物流の特徴の一つです。例えば、Tシャツやカジュアルウェアは、比較的シワになりにくいため、畳んで収納できます。
一方、スーツやドレスなどの型崩れしやすい衣類は、ハンガーに吊るして保管します。さらに、靴やバッグは破損を防ぐため、専用ボックスや頑丈なラックによる安全な保管体制が必要です。
収納方法を誤ると品質低下を引き起こし、結果として顧客評価の低下につながるため、種類に応じた適切な管理が求められます。
商品の特性に応じた流通加工を行う
アパレル物流は、商品の特性に応じた流通加工が欠かせません。例えば、値札やサイズタグの取り付け、プレス加工、ギフトラッピングなどがあります。
このような流通加工を行うことで、より高品質な商品を消費者に届けられます。その結果、顧客満足度の向上や、リピート購入の促進にもつながるでしょう。
<関連記事>「流通加工とは?その種類と課題、物流倉庫に外注するメリット・デメリット」
アパレル物流の具体的な流れ
アパレル物流では、以下のような流れで作業を行います。
- 荷下ろし
- 入荷検品
- 返品対応
- 仕分け・保管
- ピッキング
- 流通加工
- 出荷検品・検針
- 梱包
- 積み込み
ここでは、荷下ろしから積み込みまで、アパレル物流の一連の流れを具体的に解説します。
荷下ろし
荷下ろしとは、メーカーや卸から到着した荷物を、トラックなどから下ろす作業です。
入荷検品
入荷検品とは、倉庫に届いた荷物の数量と状態を確認する作業です。
返品対応
返品対応は消費者からの返品を受け付け、商品の状態を確認したうえで、再販可能かを判断し適切に在庫管理を行います。
保管
保管業務は、入荷した商品をパレットや保管棚などの適切な保管場所に収納する作業です。属人化を避けるために商品の品番と個数、保管場所(ロケーション)を把握します。
ピッキング
ピッキングとは、注文に基づいて必要な商品を倉庫内から集める作業です。ヒューマンエラーを減らすため、アパレル物流では自動倉庫や棚搬送ロボットシステムを導入する物流倉庫もあります。
流通加工
流通加工とは、商品の付加価値を高める加工作業を指します。主に、以下のような作業があります。
- 値札やタグの取り付け
- 欠損部分の補修
- プレス加工
- 検針作業
- 包装・ラッピング
検針とは、服や小物にミシンの針や待ち針が混入していないかを調べる作業で、アパレルならではの流通加工です。
出荷検品
出荷検品では、汚れや破損、異物混入などの最終確認を行います。
梱包
梱包作業は、商品を安全に輸送するための作業です。商品のサイズや壊れやすさに適した梱包材で梱包し、必要に応じて緩衝材を使用します。
積み込み
積み込み作業とは、出荷準備が整った商品をトラックなどの車両に積み込む作業を指します。形状や重さを考慮し、荷崩れや破損を起こさないように積みつけます。
アパレル物流における4つの課題
アパレル商品は出荷するまでに細かな工程が必要ですが、その過程ではアパレル物流特有の課題があります。ここでは、アパレル物流が抱える4つの課題を解説します。
- 課題1.入庫から出庫までに時間がかかる
- 課題2.返品対応に手間がかかる
- 課題3.在庫管理が複雑化する
- 課題4.物流コストが増加しやすい
課題1.入庫から出荷までに時間がかかる
アパレル物流では、入荷してから出荷までに時間がかかることが課題です。これは、アパレル特有の検品や流通加工に時間がかかるためです。
アパレル商品はサイズやカラーの確認だけでなく、汚れやほつれ、異臭のチェックなど、細かな検品作業が求められます。また、流通加工ではミシンによるタグ付けや、アイロンでのプレス加工など、通常の物流業務に比べて手間がかかります。
特にセールや新商品の発売時期は、需要の高まりを見越してスムーズに出荷できるよう、早めの入荷体制を整えておくことが重要です。
課題2.返品対応に手間がかかる
アパレル物流は返品率が高く、返品対応に手間がかかることも課題の一つです。オンライン購入では、実物を手に取って確認できないため、「サイズが合わなかった」「イメージと違った」などの理由で返品が発生しやすくなります。
返品対応では、再販の可否を判断するための検品作業や、購入者からの問い合わせ対応も求められます。このように業務が煩雑になり、作業効率の低下を招く要因となります。
<関連記事>「返品・交換の物流構築が売上に繋がるワケ!顧客体験向上のメリットを解説」
課題3.在庫管理が複雑化する
アパレル物流では、在庫管理の複雑化が課題です。アパレル商品は、バリエーションが多く、季節やトレンドによって需要が変動するため、適切な在庫量を維持するのが難しい傾向です。
また、実店舗とオンラインストアなど複数チャネルを運営している場合は、店舗ごとに販売動向が異なります。適切な在庫配分ができないと、欠品による機会損失や過剰在庫によるコスト増加のリスクが高まります。
課題4.物流コストが増加しやすい
アパレル物流では、通常の物流業務に比べてコストが増加しやすい点が課題です。在庫管理やピッキング、流通加工は、どれも手間と時間がかかる作業です。
そのため、商品のSKUが多い企業ほど、人件費の増加につながります。また、ハンガー収納が必要な商品や季節の需要に応じたスペースの確保も、コストを押し上げる要因です。
このような物流コストの増加を抑えるため、物流業務を丸ごとアウトソーシングする企業も増えています。
アパレル物流を外部委託するメリット
アパレル物流を外部委託すると、以下の3つのメリットが得られます。
- シーズンごとの変動に柔軟に対応できる
- リアルタイムな在庫管理とオムニチャネルの一元管理ができる
- 物流コストの削減につながる
外部委託のメリットを、詳しく解説します。
シーズンごとの変動に柔軟に対応できる
アパレル物流を外部委託するメリットの一つは、シーズンごとの需要変動に柔軟に対応できる点です。物流倉庫では、繁忙期や閑散期に合わせて必要な人員や設備を調整できます。そのため、閑散期の人件費や保管場所の賃貸料の削減が可能です。
リアルタイムな在庫管理とオムニチャネルの一元管理ができる。
外部の物流会社では倉庫管理システム(WMS)を導入している企業も多く、在庫情報をリアルタイムで管理できます。そのため、在庫状況が明確になり、売り越しや売り逃しの削減につながります。
また受注管理システムと連携できる倉庫管理システムを採用している物流会社であれば、複数の販売チャネルの出荷も自動的に出荷指示がかけられます。受注増加にもスムーズに対応できるため、繁忙期の機会損失を防ぎ、安定した出荷体制を維持できるでしょう。
物流コストの削減につながる
アパレル物流を外部委託すると、自社で倉庫を運営するための設備投資や維持費、人件費を削減できます。さらに、従量課金型の料金体系を採用している物流会社では、取り扱う商品の量に応じてコストを調整できるため、繁忙期や閑散期の変動にも柔軟に対応可能です。
これにより、無駄なコストを最小限に抑え、効率的な運営が実現できるでしょう。
アパレル物流の倉庫選びの3つのポイント
アパレル物流の倉庫選びのポイントは、以下の3つです。
- アパレルに対応した保管設備
- 品質の高い検品・検針作業
- 専門性の高い流通加工
アパレルに対応した保管設備
アパレル商品は、素材によっては気温や湿度の影響を受けるため、適切な保管環境が必要です。そのため、温度や湿度管理が整った倉庫を選ぶことが重要です。
また、商品の特性に応じた保管方法(ハンガー保管、ケース保管、ピース保管など)を採用しているかも重要なポイントです。アパレル商材は取り扱う商品によって保管方法が異なるため、自社商品に適した保管方法が提供されているかを確認しましょう。
品質の高い検品・検針作業
物流倉庫を選ぶ際は、品質の高い検品や検針作業の体制が整っているかも重要なポイントです。ハンディターミナルを採用する倉庫では、バーコードを読み取って検品するため、目視確認による検品ミスを防ぎます。
さらに、X線検査機を用いた検針作業では、より精密な検査が可能です。このような倉庫を選ぶことで、消費者に高品質な商品を提供できるでしょう。
専門性の高い流通加工
物流倉庫を選ぶ際は、アパレル特有の流通加工に対応できるかも重視したいポイントです。例えば、キャンペーン用の特別なラッピングや、特定のシーズンに合わせた商品のセット作業など専門性の高い流通加工のできる倉庫がおすすめです。
このような流通加工に対応できる倉庫なら、商品の付加価値を高め、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
アパレル物流倉庫おすすめ3選
アパレル物流を外部委託するなら、以下の3つの物流倉庫がおすすめです。
- 富士ロジテックホールディングス
- オープンロジ
- トミーズコーポレーション
それぞれの特徴を解説します。
富士ロジテックホールディングス|先進的な倉庫管理システム
富士ロジテックホールディングスは100年以上の歴史を持つ物流会社で、アパレル物流の実績も豊富です。自社開発の倉庫管理システムや最新のクラウド型OMS・WMS一体型システムを柔軟に利用し、精度の高い在庫管理を強みとしています。
また、X線検針・タグ付け・外し・洗濯ネーム付け・汚れ落とし・袋入れ・畳直し・ハングアップ・アソートなど、アパレル特有のニーズにも柔軟に対応可能です。返品物流にも対応しています。
オープンロジ|煩雑なルールに柔軟に対応
オープンロジでは70拠点のネットワークを活かし、事業の成長に合わせたさまざまなニーズに対応できます。EC向けの配送だけでなく、店舗や卸業者への取扱実績も豊富です。
保管や流通加工では、ハンガーラック保管、ロゴ入り梱包資材、異なる商品のセット組への対応など、煩雑なルールに柔軟に対応しています。初期費用が無料で、入庫保管費と配送料金の従量課金制となるため、効率的なコスト管理が可能です。
出典:オープンロジ
トミーズコーポレーション|アパレル物流29年の実績
トミーズコーポレーションはアパレル物流特化型の物流倉庫として、29年の実績があります。「多品種・小ロット」「季節性の波動」「流通加工」など、アパレル独自の物流に幅広く対応しています。
また、アパレル物流に最適化されたバーコードスキャンを導入し、スピーディーで正確な倉庫管理が可能です。倉庫内に物流加工専門の作業所を併設しており、ミシンによるブランドネーム付け、商品の補修業務、プレス加工など、細かなニーズにも対応できます。
出典:トミーズコーポレーション
アパレル物流をアウトソーシングするなら富士ロジテックホールディングスがおすすめ
アパレル物流は商品の特性上さまざまな課題が発生しやすい傾向です。しかし、物流を外部委託することで、倉庫内の業務を効率化し、コスト削減が図れます。
倉庫を選ぶ際は、受注処理から出荷、返品業務まで一貫対応できる富士ロジテックホールディングスがおすすめです。同社は倉庫管理システム(WMS)を導入しており、複数店舗の在庫管理を一元化できるため、物流業務の負担を軽減できます。
さらに、オムニチャネルやOMOのサポートとして、オリジナル梱包資材のカスタマイズやチラシの同梱サービスなど、ブランド価値を高める施策にも対応しています。
アパレル事業のさらなる成長のために、ぜひ外部委託を検討してみましょう。
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ライター
森恵
貿易事務と物流代行営業の経験を活かし、専門知識に基づいた記事作成を行っています。お客様に寄り添い、分かりやすく役立つ情報を提供します。
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