アメリカ留学の経験を活かし、貿易事務員として9年間従事。商社・メーカー・フォワーダー・通関業者にて輸出入業務を経験。現在はIT系企業にて営業サポートとして働きながら複業ライターとして活動中。
3温度帯とは、保管や輸配送において温度を区分けして指定することを意味します。温度区分は商品の特性によって分けられており、品質を守るために重要なシステムです。
3温度帯がなければ、生鮮食品や冷凍食品などの温度管理を必要とする商品を遠方に届けることはできません。3温度帯は、ECにおいて一番大きな「食品、飲料、酒類」市場の商品保管や輸配送に必要不可欠な管理方法です。
本記事では、3温度帯の基本情報や4温度帯との違い、メリット・デメリットについて解説します。
3温度帯とは「輸配送や倉庫保管時の温度」を指定すること
3温度帯は、輸配送や保管時の温度指定のことで、保管温度帯とも呼ばれています。常温・冷蔵・冷凍をまとめて3温度帯と呼び、一般的な区分は以下のとおりです。
温度帯 |
管理温度 |
常温(ドライ) |
10~15℃(または20℃) |
冷蔵(チルド) |
マイナス5~5℃ |
冷凍(フローズン) |
マイナス15℃以下 |
3温度帯の基準や使用する倉庫は、各温度帯によって異なります。トラックによる輸配送や倉庫保管時に、商品に合わせて正確な温度を保つのが3温度帯です。
3温度帯と4温度帯の違いは「定温」を含むかどうか
3温度帯に似ているものとして、4温度帯という物流用語があります。
4温度帯は、3温度帯の常温・冷蔵・冷凍に「定温」が加わったものです。4温度帯における基本的な定温とは、10℃〜20℃の間で湿度が管理された状態を意味します。
しかし、温度区分は統一されていないため、取り扱い商品に合わせて変動します。
なお、定温と混同されやすい「常温」は、一般的に外気温と同じ温度を表し、湿度管理は行われません。季節によって温度や湿度が変わるのが、常温の特徴です。
取り扱う商品が温度や湿度の管理を必要とするかどうかによって、温度帯を決める必要があります。
3温度帯の温度基準と適した食品
3温度帯においては、以下のような温度基準で分類されています。
|
特徴 |
食品 |
常温(ドライ) |
・10℃〜20℃程度 ・低い温度管理が不要 |
・チョコレート ・米 ・マヨネーズ |
冷蔵(チルド) |
・マイナス5℃〜5℃ ・常温管理が難しい商品が対象 ・冷凍は不要 |
・乳製品 ・食肉 ・生鮮食品 |
冷凍(フローズン) |
・マイナス15℃以下 ・常温や冷蔵では品質維持が難しい商品が対象 |
・冷凍食品 ・アイスクリーム |
温度帯の種類は、生鮮食品や冷凍食品などの品質を保つために、倉庫業法によって以下のように細分化されています。
温度帯 |
温度区域 |
食品 |
C3級 |
10℃〜マイナス2℃ |
乳製品・練り製品・食肉など |
C2級 |
マイナス2℃~マイナス10℃ |
鮮魚類 |
C1級 |
マイナス10℃~マイナス18℃ |
・パン生地 ・冷凍食品 ・アイスクリームなど |
F1級 |
マイナス18℃~マイナス24℃ |
|
F2級 |
マイナス24℃~マイナス30℃ |
|
F3級 |
マイナス30℃〜マイナス35℃ |
|
SF1級 |
マイナス35℃~マイナス40℃ |
|
SF2級 |
マイナス40℃~マイナス45℃ |
マグロなど |
SF3級 |
マイナス45℃~マイナス50℃ |
|
SF4級 |
マイナス50℃以下 |
マイナス40℃以下でないと品質が低下してしまう冷凍マグロのような食品は、超冷凍と呼ばれています。
温度帯が細分化されている理由は、過冷凍によって商品が劣化することを防いだり、環境負荷を低減させたりするためです。また、電力料金の高騰に伴う保管料の値上がり対策でもあります。
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各3温度帯に合わせて使われる倉庫
3温度帯の管理は、それぞれの温度基準に合わせて以下の3つの倉庫が使われています。
- 常温倉庫
- 冷蔵倉庫
- 冷凍倉庫
一つずつ詳しく見ていきましょう。
1.常温倉庫
常温倉庫は、温度や湿度の調整を行わない倉庫です。季節によって倉庫の状態が変化するため、温度や湿度に影響を受けない荷物の保管に向いています。
常温倉庫での保管に適している食品は、以下のとおりです。
- 非常食
- 保存食
- 缶ジュース
- 缶詰
食品以外には、建築資材や紙製品・金属製品などの気温や湿度の変化に強い素材の荷物を保管しています。温度管理をしていない分、他の倉庫に比べて費用を抑えやすいのが特徴です。
2.冷蔵倉庫
冷蔵倉庫は、10℃以下の温度を保って商品を保管する倉庫です。主に保管されるのは生鮮食品で、特殊倉庫の一つとして分類されています。特殊倉庫とは、冷凍・冷蔵倉庫や危険物倉庫などの独自の機能を持っている倉庫のことです。
具体的には、冷蔵倉庫では以下のような食品の保管が向いています。
- 肉・魚類
- 乳製品
一般的に10℃以下で管理されている倉庫は、すべて冷蔵倉庫に分類されますが、わかりやすくするために冷蔵倉庫と冷凍倉庫と呼ぶ場合もあります。
3.冷凍倉庫
冷凍倉庫は、マイナス18℃以下の温度を保っている倉庫です。鮮度や長期保存を重視した荷物を保管するために使われています。
冷凍倉庫の保管に適している食品は以下のとおりです。
- 冷凍食品
- 肉・魚
- アイスクリーム
冷凍倉庫の中には、マグロなどの鮮度が重要な食品の保管に最適な、マイナス40℃以下を保つ超冷凍倉庫もあります。
近年は冷凍食品の需要が増加している一方で、冷凍倉庫の数が不足しているため、リソースの確保が課題です。
<関連記事>「冷凍品EC物流のパートナー選び!委託先の見極め方」
3温度帯で倉庫保管や輸配送を行うメリット
3温度帯で管理するメリットは以下のとおりです。
- 季節の変化に対応できる
- さまざまな商品を最適な状態で保管できる
一つずつ解説します。
季節の変化に対応できる
3温度帯で商品を管理することにより、季節の急激な温度変化に対応可能です。
気象庁のデータでは、2022年1月〜12月の日本の気温はマイナス3.5℃〜37℃と激しい温度差があったことがわかっています。
季節が変化しても商品に合わせて適切な温度を保てる3温度帯は、私たちの生活に欠かせません。
さまざまな商品を最適な状態で保管できる
3温度帯は、さまざまな商品を最適な状態で維持できることがメリットです。
常温管理では肉や魚の鮮度維持が難しく、適切な温度を保てなければ、品質だけでなく安全性も損なわれます。また、アイスクリームや冷凍食品も冷凍倉庫で温度を管理すれば、商品の状態を保ちながら保管が可能です。
最適な温度はそれぞれ異なるため、3温度帯で管理することでさまざまな種類の商品の品質を守れるメリットがあります。
<関連記事>「コ ールドチェーンとは?3つのメリットと課題を徹底解説【市場規模は拡大傾向】」
3温度帯で管理するデメリット
商品の品質を保ちながら保管や輸配送を行うには、以下のような課題があります。
- コストがかかる
- すべての物流工程で温度管理が必要
一つずつ見ていきましょう。
コストがかかる
3温度帯で管理する場合、温湿度管理に対応できる倉庫が必要なため、コストがかかります。
さらに設備の管理や維持、温度管理の知識を持っている人材の確保にも費用が必要です。加えて、冷蔵倉庫や冷凍倉庫は、霜や湿気対策も行う必要があります。
自社で3温度帯に対応する資金を準備するのが難しい方は、物流代行サービスの利用を検討してみてください。コストを抑えながら安全に温度管理を必要とする商品の輸配送が可能です。
<関連記事>「ECの商品発送業務を発送代行業者に切替えることでのメリット」
すべての物流工程で温度管理が必要
3温度帯は、倉庫での保管から輸配送のすべての工程において温度管理が必要なことが課題です。
倉庫だけでなく、トラックやコンテナなど、輸配送に関わる全工程で温度管理できる状態を保たなければいけません。どこか一部の工程だけでも温度管理ができなければ、商品によっては品質や安全性が損なわれてしまいます。
3温度帯で管理する場合は、いかに一つひとつの工程を一定の温度を保って繋げられるかが課題です。
3温度帯で必要な倉庫などにかかるコストの削減は「物流代行」の利用がおすすめ
3温度帯は、常温(ドライ)・冷蔵(チルド)・冷凍(フローズン)の3つの温度帯に分けて、保管や輸配送を行う方法です。温度や湿度の変化に影響を受けることなく商品の品質を保てるメリットがあります。一方でデメリットは、温度管理のための施設や技術を持った人材の確保にコストがかかることです。
コストを最小限に3温度帯で管理がしたい方は、物流代行を利用するのがおすすめです。
富士ロジテックホールディングスであれば、温度管理を必要とするさまざまな商品に対応できます。4温度帯での保管では、リアルタイムで温度をモニタリング。冷蔵車や冷凍車の手配も可能です。冷凍・冷蔵に適した梱包材をご用意して、商品の品質や安全性を保ったままお客様に商品をお届けします。入庫から梱包・出荷などを包括的にカバーするサービスを提供しているため、物流の困りごとは富士ロジテックホールディングスまでご相談ください。
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ライター
東ゆずほ
アメリカ留学の経験を活かし、貿易事務員として9年間従事。商社・メーカー・フォワーダー・通関業者にて輸出入業務を経験。現在はIT系企業にて営業サポートとして働きながら複業ライターとして活動中。
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