西間木 智
西間木 智

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

物流でITを活用するメリットは?IT導入の3つのポイントや活用事例を紹介

物流IT
物流でITを活用するメリットは?IT導入の3つのポイントや活用事例を紹介

物流にITを導入する点に関し、以下のようなお悩みはありませんか?

「物流にITを導入するメリットやデメリットとは?」
「失敗しないIT導入のポイントを知りたい」
「物流現場での具体的なIT活用例が気になる」

物流業界に関わる中で、こんな疑問を感じていませんか?

人手不足が深刻化し、EC利用が当たり前になった今、物流業務にIT技術を取り入れることは、もはや避けて通れません。

ITは業務を効率化し、サービスを高める力になりますが、導入には注意点もあります。

本記事では、物流でITを活用するメリットやデメリット、IT導入を成功させるための3つのコツなど、わかりやすく解説します。

この記事を読めば、物流IT化の全体像をつかみ、自社での導入を具体的に考えるヒントが見つかるはずです。

「ITの力で物流を変えたい」とお考えなら、物流代行サービス「発送代行365」にご相談ください。

物流でIT活用がおすすめな理由

物流でIT活用がおすすめな理由

なぜ今、物流業界でITの活用がこれほど重要視されているのでしょうか。

その背景には、業界が直面する大きな課題があります。

一つは、ドライバーや倉庫作業員などの「人手不足」で、働き手が足りない状況は年々深刻化しています。

もう一つは、「EC市場の急拡大」です。

ネット通販の利用者は増え続け、それにともなって宅配便の量も増加しています。

経済産業省によると、2023年の消費者向けEC市場規模は24.8兆円(前年比9.23%増)に達しました。

少ない人数で増え続ける荷物を効率よく処理する必要があるため、ロボットやシステムで業務を自動化・効率化できるITの活用が不可欠となっているのです。

出典:経済産業省 | 令和5年度 電子商取引に関する市場調査

物流でITを導入する4つのメリット

物流でITを導入する4つのメリット

物流業務にITを取り入れると、さまざまなメリットが期待できます。

  •         人手不足を解消できる
  •         業務を効率化できる
  •         配送を最適化できる
  •         サービスに付加価値をつけられる

上記のメリットを理解し、IT導入の関心を深めましょう。

人手不足を解消できる

IT技術は、物流現場の人手不足を補う大きな力になります。

例えば、倉庫内で荷物を運ぶロボット(AGVやAMR)を導入すれば、運搬作業に必要な人員を削減できます。

また、在庫管理システムを使えば、これまで人が行っていた在庫数の確認や記録などの作業を自動化できるため、少ない人数でも正確な管理が可能です。

上記のメリットにより、人件費を削減できるだけでなく、従業員の負担も軽減されます。

人が行うべきコア業務に人員を集中させられるようになるため、限られた人材でより高い生産性を目指せます。

業務を効率化できる

ITは、物流業務全体のスピードアップと無駄の削減に貢献します。

倉庫管理システム(WMS)を導入すれば、商品の入出荷から在庫管理までを一元管理し、リアルタイムで正確な情報を把握できます。

そのため、探し物の時間や確認作業の手間の大幅な削減が可能です。

また、輸配送管理システム(TMS)を使えば、最適な配送ルートを瞬時に計算でき、配車計画の作成時間を短縮できます。

さらに、蓄積されたデータを分析することで、業務のボトルネックを発見し、改善策を立てることも可能です。

配送を最適化できる

物流のIT化は、配送品質の向上、配送スピードの向上など配送の最適化につながります。

配送ルートのシミュレーションや稼働可能なドライバーの人数の確認などができるため、より適切な配送計画の策定が可能です。

また、食品を販売する場合、温度や湿度などを適切な条件での保管や配送を行えるのもメリットです。

在庫管理システムの導入で、在庫数や販売数のデータを収集、分析し、商品の売れやすいタイミングや在庫数の効果的な調整もできます。

サービスに付加価値をつけられる

ITを活用すれば、単に「物を運ぶ」だけでなく、お客様にとってより価値の高いサービスを提供できます。

例えば、荷物追跡システムを導入すれば、お客様は自分の荷物が今どこにあるかをいつでも確認できるため、安心感を得られます。

ECサイトと連携すれば、注文から配達完了までの状況をメールなどで自動通知したり、返品・交換の手続きをオンラインで簡単にできるようにしたりすることも可能です。

また、IT化で業務効率を高めた結果、従業員の負担軽減、労働環境の改善によって人材定着にもつながります。

物流でITを導入する2つのデメリット

物流でITを導入する2つのデメリット

多くの利点がある一方、物流へのIT導入には注意すべき点もあります。

  •         IT導入時の現場の負担が大きい
  •         既存システムからのアップデートやDXが難しい

上記の課題を理解し、対策を準備しておくことが大切です。

IT導入時の現場の負担が大きい

ITを導入すると、業務フローが大きく変化し、現場の従業員の負担が高まるリスクがあります。 

新しく覚えることが増えたり、新しいシステムを正しく使用できるかわからなかったり、従業員が不安を覚える場合もあります。

物流にITを導入する際は、現場の不安と負担を取り除く工夫が必要です。

現場の従業員からヒアリングをしたり、導入するシステム・ロボットなどの説明を徹底したりなどが大切です。

従業員から不安や悩みの声が聞こえたら迅速に対応できるように、サポート体制を整えましょう。

既存システムからのアップデートやDXが難しい

既存のシステムからのアップデートが難しいケースがあるのもデメリットです。

老朽化が進んだ既存のシステムから新しいシステムに変更するには、高額なコストや手間がかかります。

また、社内の風土、体質が古いままだとIT化の価値や意義を経営陣や年齢層が高い従業員が理解できず、IT化が難しくなる場合もあります。

しかし、現在のシステムや仕組みのまま放置すると、今以上にシステムの更新や変更が難しくなるため、早めにIT導入を進めることが重要です。

効率的に物流でITを導入するための3つのポイント

効率的に物流でITを導入するための3つのポイント

物流へのIT導入をスムーズに進め、その効果を最大限に引き出すためには、いくつかのコツがあります。

  •        自社の課題と導入目的を明確にする
  •        ITを取り入れやすい業務からIT化する
  •        物流代行サービスを利用する

上記のポイントを押さえて、計画的にIT導入を進めましょう。

自社の課題と導入目的を明確にする

最初にすべきことは「自社の物流のどこに問題があるのか(課題)」、そして「ITを使ってその問題をどう解決したいのか(目的)」を明確にさせることです。

「在庫管理に時間がかかりすぎ」「配送ミスが多い」「人手が足りない」などの具体的な課題を洗い出しましょう。

その上で、「在庫管理を自動化して作業時間を半分にしたい」「誤出荷率を0.1%以下にしたい」のように、IT導入によって達成したい目標を具体的に設定します。

目的が明確でないと、導入するシステム選びで迷ったり、導入しても効果が出なかったりする可能性があります。

ITを取り入れやすい業務からIT化する

物流業務のすべてを一度にIT化しようとするのは、現場の混乱を招きやすく、リスクも高いためおすすめできません。

まずは、比較的IT化しやすく、導入効果を実感しやすい業務から始める「スモールスタート」がよいです。

例えば、倉庫内の在庫管理や、配送ルートの計画作成などは、専用システムを導入すると、比較的短期間で効果が出やすい分野です。

小さな範囲でIT化を成功させ、その経験や効果測定の結果をもとに、次にどの業務をIT化するかを検討していきましょう。

そうすることで、現場の負担を抑えつつ、着実にIT化を進められます。

物流代行サービスを利用する

物流代行サービスを利用すると、商品の保管や受注管理、配送、アフターサポートなどを委託できます。

IT化での業務効率化でIT人材が不足している場合は、物流代行サービスを利用するのがおすすめです。

物流代行サービスを利用すると、ITによる業務効率化を行いつつ、物流業務に関する自社の人材不足の解消も可能です。

また、物流代行サービスを選ぶ際は、豊富な実績があるか、スピーディーな配送が可能か、自社商品を取り扱えるかなどを確認し、自社にあったサービスを選びましょう。

物流代行サービスを詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
EC物流代行サービスとは?業者の選び方とおすすめ代行会社15選を紹介

物流でのIT活用事例5選

物流でのIT活用事例5選

実際に物流の現場では、ITがどのように役立てられているのでしょうか。

ここでは、注目のIT活用事例を5つ紹介します。

  •         ドローンを活用した配送
  •         倉庫管理システムを活用した商品管理
  •         荷物運搬ロボットを活用した運搬作業
  •         トラックでの無人隊列走行
  •         配送管理システムでの最適な輸送計画作成

上記の事例を参考に、ITが物流をどう変えていくかを理解しましょう。

ドローンを活用した配送

ドローンを使った荷物の配送は、未来の物流として期待されています。

特に、山間部や離島などトラックが入りにくい場所への配送や、緊急性の高い医薬品輸送などでの活躍が見込まれているのです。

EC大手のAmazonは、米英伊の一部ですでにドローン配送を開始しています。

日本でもセブン-イレブンが店舗からの近距離配送実験を行うなど、実用化に向けた動きが活発です。

道路渋滞の影響を受けずに早く届けられるのが大きなメリットです。

参考:Amazon | Amazonがイタリアとイギリス、および米国内3か所目となる地域でのドローン配送の開始を発表

倉庫管理システムを活用した商品管理

倉庫管理システム(WMS)は、倉庫内の「モノ」と「ヒト」の動きを最適化するITシステムです。

入荷から在庫管理、ピッキング、出荷まで、倉庫作業全体をサポートします。

WMSを導入すると、商品の場所や数量などの在庫情報がリアルタイムかつ正確に把握でき、在庫切れや過剰在庫を予防できます。

また、バーコードやハンディターミナルを活用することで、ピッキングミスや出荷ミスなどの人為的エラーを大幅に減らせるのもメリットです。

作業の標準化にもつながり、新人でも早く業務に慣れられます。

荷物運搬ロボットを活用した運搬作業

広い倉庫内での荷物の移動は、作業員にとって時間と体力を要する作業です。

この負担を軽減するのが、AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)などの運搬ロボットです。

運搬ロボットは、指示された場所まで自動で荷物を運んでくれるため、作業員はピッキングなどの付加価値の高い作業に集中できます。

AGVは床のマーカーに沿って移動しますが、AMRは自ら周囲を認識して障害物を避けながら目的地まで移動するのが魅力です。

運搬ロボットの導入で、省人化や作業員の負担軽減、倉庫全体の生産性向上が期待できます。

トラックでの無人隊列走行

トラックドライバー不足の解決策の一つとして期待されているのが、トラックの「隊列走行」技術です。

先頭のトラックにだけドライバーが乗り、後ろのトラックは自動運転で追従する仕組みです。

車間通信で連携し、一定の車間距離を保ちながら走行します。

日本では、政府主導で高速道路での後続車無人隊列走行の実証実験が行われ、成功を収めています。

実用化されると一人のドライバーで複数のトラックを運行できるようになるため、ドライバー不足の緩和や輸送効率の向上、燃料費削減が期待できます。

参考:経済産業省 | 高速道路におけるトラックの後続車無人隊列走行技術を実現しました

配送管理システムでの最適な輸送計画作成

配送管理システム(TMS)は、荷物が出荷されてから届け先までの輸送・配送プロセス全体を管理・最適化するシステムです。

届け先の住所、荷物の量、車両の種類、ドライバーの状況、リアルタイムの交通情報などを基に、効率的な配送ルートや車両の割り当てを自動で計算し、輸送計画を作成します。

上記の機能により、配車担当者の経験に頼らずとも、誰でも最適な計画を立てられるのが魅力です。

結果として、配送時間の短縮、走行距離の削減によるコストダウン、ドライバーの負担軽減、事故リスクの低減などが期待できます。

ITを活用した物流なら物流代行サービス「発送代行365」がおすすめ!

ITを活用した物流なら物流代行サービス「発送代行365」がおすすめ!

物流業界が抱える人手不足やEC市場拡大などの課題に対応するため、ITの活用はますます重要になっています。

IT導入は、業務の効率化やコスト削減、サービス品質の向上につながり、企業の競争力を高める上で重要です。

しかし、導入には現場の負担増やシステム連携の難しさなどの側面もあります。

成功のためには、自社の課題を明確にし、スモールスタートで効果を見ながら進めていくのが賢明です。

ITを活用した物流なら物流代行サービス「発送代行365」がおすすめです。

IT導入にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

発送代行365|富士ロジテックホールディングス

 

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西間木 智

監修者

株式会社富士ロジテックホールディングス

西間木 智 / 通販営業部 部長

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

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