ネコポスが2023年10月から順次終了し、クロネコゆうパケットへ移行しています。ヤマト運輸のサービスの変更により、「どの配送サービスを利用すればいいのか」と迷う方も多いでしょう。
本記事では、クロネコゆうパケットのサービス内容を詳しく解説します。さらに、ゆうパケットとの違い、利用するメリット、注意点についても紹介します。
最適な配送方法を見つけるヒントとして、参考にしてください。
クロネコゆうパケットとは
クロネコゆうパケットとは、ヤマト運輸と日本郵便が協業する新たな配送サービスです。ヤマト運輸が荷物を集荷して日本郵便に差し出し、日本郵便の配送網を活用して郵便ポストに届ける仕組みです。
ヤマト運輸と日本郵便が協業した背景には、物流の2024年問題が影響しています。トラックドライバー不足や環境問題など物流業界が抱えるさまざまな社会課題に対し、両者のネットワークやリソースを活用して解決を目指す取り組みとしてクロネコゆうパケットが導入されました。
クロネコゆうパケットは双方の強みを活かしたサービスとして、注目されています。
参照:日本郵便「2024年問題に対する日本郵便株式会社の対応について」
クロネコゆうパケットのサービス内容
クロネコゆうパケットのサービス内容を以下の項目に沿って詳しく解説します。
- 利用対象者
- サイズ規格
- 発送できるもの
- 発送できないもの
- 配送料金
- 配送日数
- 梱包・集荷方法
- 追跡機能
利用対象者
クロネコゆうパケットを利用できるのは、ヤマト運輸と法人契約を締結している法人、各種団体、個人事業主に限られます。現在、個人利用には対応していないため、事業者向けの配送サービスという位置づけです。
クロネコゆうパケットは、2023年10月から一部地域において順次引き受けを開始し、段階的に対象地域を拡大しています。2024年10月1日現在、東京都を除くすべての都道府県でクロネコゆうパケットのサービスが利用できます。
2024年度中には、全国での利用が実施される見込みと発表されていましたが、ヤマト運輸が日本郵便に対し、配達の委託停止を打診しているとの報道があり、先行きは不透明です。
参照:ヤマト運輸株式会社「クロネコゆうパケット販売エリアのご案内」
サイズ規格
クロネコゆうパケットのサイズ規格は、以下のとおりです。
縦・横サイズ |
上限:3辺合計の大きさ60cm以内・長辺は34cm以内 下限:縦14cm以上、横9cm以上 |
厚さ |
1cm以内、2cm以内、3cm以内 |
重さ |
1kg以内 |
クロネコゆうパケットでは、1㎝、2㎝、3㎝の厚さに応じた3段階の配送方法です。重さは1kg以内と定められており、規定サイズに収まる荷物であれば配送可能です。
発送できるもの
クロネコゆうパケットで配送できるものは、以下が挙げられます。
書類・書籍・薄手の衣類・小物・CD・DVDなど
最大で3cmの厚さ制限があるため、郵便ポストに投函可能なサイズの荷物が対象となります。そのため、小型荷物の配送に適しています。
発送できないもの
クロネコゆうパケットでは、以下のものは発送できないため、注意が必要です。
- 冷凍(‐15℃以下)・冷蔵(0~10℃)で送る必要があるもの※常温保管が可能な食品は配送可能です
- 現金・小切手・手形・株券・その他の有価証券
- カード類(クレジットカード、キャッシュカードなど)
- 再発行が困難な重要書類(受験票、パスポート、車検証など)
- 再生不可能な原稿、原図、テープ、フィルム類
- 犬・ネコ、小鳥などのペット類
- 毒物・劇物類※バッテリーなど製品内に劇物類が含まれているものも対象
- 遺骨、位牌、仏壇
- 銃砲刀剣
- 発火性、引火性、揮発性のある物品または火薬類(花火、灯油、ガスボンベ)
- 一梱包の価格が30万円を超える荷物
- 衛生状態の悪い荷物
- 信書その他法令の規定または公序良俗に反する荷物
配送料金
クロネコゆうパケットの料金は、1cm、2cm、3cmの厚みに応じた料金が設定されています。全国一律料金となるため、配送地域に関係なく配送費の計算がしやすい点がメリットです。
配達料金は、契約内容や数量など条件によって単価が設定される仕組みです。そのため、大量発送を行う事業者にとっては、比較的リーズナブルな配送料金と言えるでしょう。
配達日数
クロネコゆうパケットの配送は航空機を利用せず、地上運送で行います。ヤマト運輸が荷物を預かり、日本郵便に引き渡して郵便ポストに届けるため、配達日数は3日~1週間程度が目安です。
なお、届け先の郵便受けに入らず、再配達が必要な場合、遠方や離島へのお届けの場合はさらに日数がかかることがあります。
梱包・集荷方法
クロネコゆうパケットでは専用資材はなく、市販の包装資材が利用できます。送り状を発行する際は、ヤマトビジネスメンバーズへの登録が必要です。
送り状は、ヤマトビジネスメンバーズサイトの送り状発行システムB2クラウドを利用して発行します。発送する際はヤマト運輸の営業所へ持ち込み、または担当セールスドライバーによる集荷を依頼してください。
大量集荷も対応できますが、事前連絡が必要です。ただし、コンビニエンスストアからの発送はできないため、注意しましょう。
追跡機能
クロネコゆうパケットでは、配送状況の追跡が可能です。ヤマト運輸と日本郵便の協業となるため、以下の2つのシステムで確認できます。
日本郵便へ引き渡すまでの配送状況:ヤマト運輸「荷物お問い合わせシステム」
日本郵便へ引き渡し後の配送状況:日本郵便「郵便追跡サービス」
クロネコゆうパケットとゆうパケットの違い
クロネコゆうパケットとゆうパケットはサイズや規格は同じですが、以下のような違いがあります。
- 利用者の違い
- 料金の違い
- 配達日指定・着払いの可否の違い
- 発送方法の違い
- 補償制度の違い
ここでは、上記の内容に沿って2つの違いを解説します。
利用対象者の違い
クロネコゆうパケットとゆうパケットでは、利用対象者に明確な違いがあります。クロネコゆうパケットは、ヤマト運輸と契約した事業者が対象です。そのため、コンパクトで軽量の商品を大量に発送する事業者に向いています。
一方、ゆうパケットでは利用者に制限はなく、フリマアプリやネットオークションなどの個人利用も可能です。
しかし、今後はクロネコゆうパケットでも個人間取引サービスの利用が予定されています。
料金の違い
クロネコゆうパケットとゆうパケットでは、料金設定にも違いがあります。ゆうパケットでは、以下のように3つの厚さごとに一律料金が設定されています。
1cm |
250円(税込み) |
2cm |
310円(税込み) |
3cm |
360円(税込み) |
一方、クロネコゆうパケットは発送個数など、一定の条件に応じて価格が変動する仕組みです。両者とも3段階の全国一律料金で、遠方への発送も運賃が高くなる心配はありません。
ヤマト運輸と契約すれば、ゆうパケットよりも送料を抑えられる点がメリットといえるでしょう。
配達日指定・着払いの可否の違い
配達日指定や着払いについても違いがあります。クロネコゆうパケットでは着払い、日時指定など配達日指定はできません。
しかし、ゆうパケットでは着払いが可能であるほか、事前の契約をすれば、当日配達や配達日指定の付加サービスも利用できます。
発送方法の違い
クロネコゆうパケットとゆうパケットでは、発送方法にも違いがあります。クロネコゆうパケットでは、ヤマト運輸の営業所への持ち込みや、担当セールスドライバーによる集荷が必要です。
一方、ゆうパケットではポスト投函で手軽に発送できる点が特徴です。そのため、近隣にヤマト運輸の営業所がない場合や、簡単に発送を済ませたい方は、ゆうパケットの方が便利でしょう。
補償制度の違い
クロネコゆうパケットでは、荷物の紛失や破損に対する補償制度が設けられています。補償額は、荷物1個につき3,000円(税込)を上限としています。
一方、ゆうパケットでは損害賠償制度がないため、補償が必要な場合はクロネコゆうパケットを選ぶと安心です。クロネコゆうパケットの補償制度には、以下のようなルールがあります。
- 荷物が破損していた場合は、荷物を受け取った日から14日以内にヤマト運輸へ通知を行う
- 荷物を送る際は、荷物の性質や大きさ、重量に適した梱包を行う
梱包が不適切な場合は、損害補償の対象外となる可能性があるため、梱包には十分注意しましょう。
<関連記事>「クリックポストとは?送り方や配達日数、料金、追跡を完全解説」
クロネコゆうパケットの利用時のメリット
クロネコゆうパケットを利用する際は、次のようなメリットがあります。
- 配達の精度が高い
- 配送費用が抑えられる
- 1ヶ月分の配送費を掛払いできる
- 不在による未配達が防げる
- 土日も配達できる
- 配送状況を一元管理できる
それぞれのメリットを解説します。
配達の精度が高い
クロネコゆうパケットの強みは、日本郵便の配送網を活用した配達精度の高さです。日本郵便では、全国でバイクを約8万2000台、軽車両は約3万台、小型貨物自動車は約2000台を配備し、ポスト投函向けの小回りの利く配送体制を整えています。
さらに、日本国内のほぼすべての世帯や事業所の所在情報、転居先情報を保有しており、正確で効率的な配送が可能です。このような高度な配送網により、遠方の地域やアクセスが難しい場所にも確実に荷物を届けられる点が、メリットと言えるでしょう。
配送費用が抑えられる
クロネコゆうパケットのメリットのひとつは、配送料が抑えられる点です。料金形態は全国一律料金で分かりやすく、厚さに応じた料金設定が採用されています。
これにより、遠方への発送もコストを気にせず利用できるため、特に、小さな荷物が多く配送料を抑えたい事業者にとっては魅力的な配送方法です。
1ヶ月分の配送費を掛払いできる
クロネコゆうパケットを利用するには、ヤマト運輸と法人(掛売り)契約が必要です。掛売りとは、1か月分の送料を後払いとしてまとめて支払う仕組みです。
また、支払方法も、銀行振込、口座引落、クレジットカード払い、振込票など柔軟に選択できます。そのため、発送の度に料金を支払う手間が省け、経理業務の負担を軽減できます。
不在による未配達が防げる
クロネコゆうパケットのメリットは、不在による未配達が防げる点です。基本的に荷物はポストに投函されるため、受取人が不在でも配達が完了します。
そのため、受取人は荷物の到着を気にせず外出ができ、再配達の手間も発生しません。ポストに入らないなど特殊な事情がない限り、配達員にも受取人にもメリットがある便利なサービスです。
土日も配達できる
クロネコゆうパケットは、土曜日、日曜日および休日も配達しています。一方、厚さ3cm以内、重量1kg以内で発送できる同規格の定形外郵便は、土日の配送には対応していません。
そのため、週末にも商品を届けられるクロネコゆうパケットは、利便性の高いサービスと言えるでしょう。
配送状況を一元管理できる
配送状況を一元管理できる点も、クロネコゆうパケットの大きなメリットです。クロネコゆうパケットの法人契約では、ヤマトビジネスメンバーズへの登録が必要です。
ヤマトビジネスメンバーズでは、以下のサービスが利用できます。
- 送り状発行システムB2クラウド
- Web請求書サービス
- 集荷依頼
- 送り状、荷扱いシール、資材の注文
このシステムでは、Web上で発送伝票を発行や発送履歴の管理が可能で、配送状況を一元管理できるため、業務の効率化が図れます。また、ヤマトビジネスメンバーズへの登録や年会費が不要な点もコスト削減につながります。
<関連記事>「EC事業者必見!ポストイン配達で再配達・対面不要!配送サービスを比較」
クロネコゆうパケットを利用する際の注意点
クロネコゆうパケットを利用する際の注意点を解説します。
- 日本郵便を経由するため配送日数が長くなる
- 配送完了の通知サービスはない
- ポストに入らない荷物は持ち戻りになる
- コンビニや営業所での受け取りはできない
日本郵便を経由するため配送日数が長くなる
クロネコゆうパケットは、従来のサービスであるネコポスより遅いという声もあります。ネコポスはヤマトで受け取った荷物を直接配送するのに対し、クロネコゆうパケットは日本郵便を経由するためです。
特に離島や遠方地域への配送の場合は、通常より時間がかかる可能性があります。急ぎの荷物を送る際は、他の配送方法を検討しましょう。
配送完了の通知サービスはない
クロネコゆうパケットでは追跡機能はありますが、配達完了の通知サービスはありません。受取人に配送状況を伝える場合は、日本郵便の追跡システムを使って確認する必要があります。
ポストに入らない荷物は持ち戻りになる
クロネコゆうパケットの荷物がポストに入らない場合は、持ち戻りになる可能性があります。さらに、ポストに投函できないサイズで受取人が不在の場合は、不在票を基に再配達を依頼しなければなりません。
再配達を依頼せずに7日間の保管期間を過ぎると、荷物は発送元に返送されるため、注意が必要です。
コンビニや営業所での受け取りはできない
クロネコゆうパケットは、コンビニエンスストアやヤマト運輸の営業所での受け取りはできません。受け取り場所として利用できるのは、原則として自宅のポストです。
郵便局で受け取る場合は、発送時に郵便局留めを指定するか、再配達の際に郵便窓口での受け取りを希望する必要があります。
<関連記事>「【2024年9月】宅急便・宅配便・郵便の料金比較!送料が安い業者は?」
業務委託なら多様な発送方法に対応した富士ロジテックホールディングスがおすすめ
クロネコゆうパケットは配達精度が高く、コストを抑えて配送したい方におすすめのサービスです。
取り扱う商品が多く、配送物の厚さが混在する事業者には、倉庫管理から発送までの業務委託がおすすめです。
物流業務を委託すると、正確なロット管理や在庫管理やスムーズな配送により、日々の発送業務の負担を軽減できます。富士ロジテックホールディングスでは、ポスト投函便や宅急便コンパクト、宅急便など多様な発送方法に対応しています。
運賃はわかりやすい全国一律料金で、小ロットからの利用も可能です。配送コストを抑えて、効果的にEC物流を運営していきましょう。
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ライター
森恵
貿易事務と物流代行営業の経験を活かし、専門知識に基づいた記事作成を行っています。お客様に寄り添い、分かりやすく役立つ情報を提供します。
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