田中なお
田中なお

物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

P2Cのビジネスモデルとは?D2Cとの違い・インフルエンサーの成功事例も紹介

D2C 成長のためのTips 物流代行 発送代行


近年、Eコマースで流行しているのが、小売店・卸を挟まず商品を販売するD2Cのビジネスモデルです。そんな中、さらにD2Cから派生した「P2C」という手法が注目を集めています。「P2Cって何?」「すぐに新しいビジネスモデルが出てきて、わからない」そんな方のために今回はP2Cとはどんなビジネスモデルなのか、D2Cとの違い、成功事例について解説します。

P2Cとは?



まずはP2Cの概要を確認していきましょう。

P2Cのビジネスモデル

P2CとはPerson to Consumerの略称です。個人が商品の企画・開発・宣伝・販売まで一貫して行うビジネスモデルを指します。ここでいう個人とは、とりわけ影響力を持つインフルエンサーを指すのが主流です。

インフルエンサーはInstagramや TwitterなどのSNS、YouTube、オンラインサロン、ブログ、メールマガジンといった発信ツールを通じて、ブランド立ち上げから商品販売までの過程を発信。ファンは、その発信を追うことで、商品にもグッと心惹かれてしまうのです。

P2CとD2Cの違い

P2CとD2Cの違いは、インフルエンサーが企画・開発まで携わっている部分です。

そもそもP2CはD2Cの派生系。顧客へ直接販売する手法であることには変わりありません。これまでのD2Cでも、インフルエンサーを起用した販売手法(インフルエンサーマーケティング)はありましたが、企業が商品の”宣伝のみ”を依頼していたという点に違いがあります。

影響力が強い個人が主体的に企画・開発することにより、商品の魅力やブランドの世界観、ストーリーにより思い入れを込めて発信活動ができるのがP2Cです。

P2Cに注目が集まる背景

P2Cが注目される背景には、SNSやYouTubeで発信する個人の影響力の高まりが影響しています。
もとより、デジタルネイティブであるミレニアル世代が商品の購買層になった今、オンライン上で商品を購入するEコマースやD2Cが盛んになっています。その流れを汲み取った影響力を持つ個人が物販ビジネスを始めたことにより、P2Cに注目が集まり始めました。

さらには、広告収益が頭打ちになったYouTuberたちが新たなマネタイズとしての参入。個人でもオンラインショップを開設しやすいShopifyやBASEといったカート機能の流行などもP2Cの追い風になっています。

P2Cのメリット・デメリット



次にP2Cのメリット・デメリットをチェックしましょう。

メリット

P2Cの最大のメリットは、潜在顧客へのアプローチが、事業開始前から行われていることです。

多くの場合、P2Cはフォロワーを抱えるインフルエンサーが行うため、既に集客できている状態といえます。そのため広告費および集客コストをかける必要がありません。潜在顧客であるフォロワーと直接コミュニケーションを図り、商品企画に必要な生の声を集めるのも容易です。

またフォロワー数やインプレッション数などにより、ある程度の需要予測が立つので、無駄のない生産・販売計画の立案が可能でしょう。
P2Cの特徴を活かし、コストとリスクを最小限に抑えたビジネスモデルの構築ができます。

デメリット

一方でP2Cの特徴である「個人の影響力への依存」がデメリットになる場合もあります。

事業の主軸が個人のため、責任やリスクもまた個人が負うことになるでしょう。発注元と折衝をしたり、商品の保管・梱包、景表法や薬機法などの法令に関わる知識も必要となったり、とやるべきことが多岐に渡ります。そのような工程を発信し、かつ炎上を起こさないよう細心の注意を払わなければなりません。

個人の影響力に頼るビジネスモデルである以上、応援される人であり続けなければなりません。専門知識が必要な部分はサポート企業や代行サービスを活用するのも一つの手でしょう。

P2Cブランドの成功事例3選



では次に、インフルエンサーによるP2Cブランドの成功事例を5つ紹介しましょう。各フォロワー数は2021年12月現在の数字を参考にしています。

成功事例1.YouTuberヒカルさん

(動画)


(インスタグラム)


YouTuberヒカルさんのアパレルブランド「ReZARD(リザード)」はP2Cのビジネスモデルの中で、大きく成功した事例です。

フォロワー数
・Instagram65.6万人
・YouTube461万人

フォロワー数を誇るヒカルさんならではの、爆発的影響力でブランド立ち上げ初年度25億円の売上に達したと発表しています。

また靴の通販サイト「ロコンド」とコラボしたスニーカーは、発売から1週間で約6億円を売り上げ、サーバーが一時ダウンするほど注文が殺到。販売に至るまでに、LOCONDO.jpの田中社長と交渉する様子や商品のアピールポイントをYouTubeで配信してきた戦略が勝因の1つといわれています。

成功事例2.プロ総合格闘家 朝倉未来さん

(動画)


(インスタグラム)


圧倒的な強さで格闘家として注目を集める朝倉未来さんもまた、P2Cの成功事例を作りました。「MATIN AVENIR(マタンアヴニール)」は、アスリートならではの「動けるおしゃれ」がコンセプトのアパレルブランドです。

朝倉未来さんは格闘家でありながら、発信活動にも力を入れています。

フォロワー数
・Instagram54.9万人
・YouTube211万人

フォロワーが増加した背景にはブランディングの成功があるといえるでしょう。自分にしかできない発信でファンを増やし、生い立ちや自身の考え方などのバックグラウンドを発信することで、さらに心を惹きつけることに成功。YouTubeは研究して運営されているといいます。

「MATIN AVENIR(マタンアヴニール)」の商品は価格が比較的高いものの、発売の告知がされれば即日完売になる商品もあります。朝倉未来さんの熱狂的なファン作りが売上に影響しているといえるでしょう。

成功事例3.タレント ゆうこすさん

(動画)


(インスタグラム)



「モテクリエイター」の肩書きを持つタレントゆうこすさんは、P2Cを意識した発信により、自身のブランドを数々成功させている事例です。

フォロワー数
・Instagram50.2万人
・YouTube85.7万人

ほかSNSを含め総フォロワー190万人を抱えています。友達と話すように誰でもが参加できる「オープンコミュニケーション」を積極的に行っているのが特徴。生配信では、コメントに対して丁寧に回答したり、お酒を飲みながら素の姿を見せたり、とコアなファンの増やしています。
また、ゆうこすさんと店頭で会えるポップアップストアの開催も行っているのもポイントです。直接コミュニケーションと体験を駆使し、ミレニアル世代にリーチしています。
コスメブランド「YOAN」の他、プロテインやカラーコンタクト、ルームウェアのプロデュースをプロデュース。

P2C成功のポイントは発信者の影響力



D2Cの中でも、P2Cの分類に括られるビジネスモデルの成功は、発信者にかかっています。現在では、既にSNSのフォロー数が多いインフルエンサーが主力ですが、P2Cを目標とした無名の個人が名をあげていくことも考えられるでしょう。その際には、マーケティングを意識したYouTubeやその他SNSでの発信活動が必須です。

富士ロジテックでは、物流業務をすべてお任せいただけるフルフィルメントサービスを提供しています。何かと手のかかるのP2CおよびD2C事業を、物流の視点からサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。

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田中なお

ライター

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物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

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