西間木 智
西間木 智

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

EC通販における返品処理とは?返品処理の重要性と流れ

返品・交換

EC通販において購入された商品は、実店舗で購入された商品と比べて返品率が高いのが特徴です。ECサイトでは商品を実際に確認できず、色やサイズなど実際思っていたものと違う可能性が多いためです。ECサイトにおいて顧客満足度を上げるためには、スムーズに返品対応することが求められます。返品対応の質によって、売上高に影響が出るといっても過言ではありません。

EC通販における返品処理とは

EC通販における返品処理とは、顧客が商品の返品を希望したときにEC通販者がおこなう一連の業務フローのことです。返品の依頼を受けたあとの返品商品の受け取りや返金、交換などが含まれます。

EC通販における返品率

EC通販での商品返品率は5%〜10%となっている業者が多いことがわかっています。EC通販では、顧客が実店舗のように商品を実際に手にとることができません。そのため、カラーやサイズ、商品のイメージなどが違ったことからEC通販は顧客都合による返品が多い特徴があります。

参考: EC/通販の商品返品率は5~10%がボリュームゾーン。年商10-100億円未満の事業者では、5%以上の返品率が6割を占めており3段階の年商別で高返品率が目立つ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000007894.html

運営者都合の返品

間違って異なる商品を発送してしまったり、届いた商品に傷があったりするなど運営者都合で返品処理が必要な場合があります。早急に事実を確認したうえで、丁寧に謝罪をすることが重要です。さらに、正しい商品を発送する可能性があるため、すぐに在庫を確認する必要があります。顧客から荷物が返品されたら商品を確認して、運営者側のミスを把握できたら早急に返品処理をおこなってください。

顧客都合の返品

EC通販では購入前に商品を画像で確認したものの、想像していた商品と違った、購入してから気が変わったなどの理由で顧客都合により返品要求をされる場合があります。返品における規定の期日や条件を満たしているか確認することが重要です。さらに、商品を確認したうえで返品対応をします。

通販販売はクーリングオフの対象ではない

通販販売はクーリングオフの対象ではありません。そのため、特例で返品不可と明記することで顧客都合での返品に対応する必要はありません。

通信販売には、クーリング・オフ制度はありません。

返品の可否や条件についての特約がある場合には、特約に従うことになります。特約がない場合には、商品を受け取った日を含めて8日以内であれば返品することができますが、その場合、商品の返品費用は消費者が負担します。

引用: クーリング・オフ(独立行政法人国民生活センター)
https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html

しかし、EC通販において顧客都合による返品受付をすることが一般的となっています。返品受付をすることで顧客満足度向上が期待でき、結果的に売り上げ増加につながる傾向にあるためです。

EC通販における返品処理対応

EC通販における返品処理には次のような特徴が挙げられます。

  • スピーディかつ丁寧な対応が必要
  • 特定商取引法によって定められていること
  • 返品時に顧客ニーズを確認することが可能

スピーディかつ丁寧な対応が必要

返品処理にはスピーディーかつ丁寧な対応が必要です。どのような理由であっても、返品処理に時間がかかってしまったら顧客満足度を下げる要因となります。返品処理をできる条件にあてはまっていない場合でも、対応できない理由と最適な提案を顧客に対して丁寧に説明をすることが重要です。

特定商取引法によって定められていること

通信販売の広告表示において、特定商取引法で返品に関する事項を表示することが必要とされています。送料負担や返品の期間条件、返品はできるかどうかなどを明確にすることが必要です。さらに、返品特約がある場合は最終申込み画面をはじめにわかりやすく記載しなければいけません。特定商取引法において商品の引き渡しから8日間以内であれば顧客は返品できます。

返品時に顧客ニーズを確認することが可能

スマートフォンやインターネットの普及により、顧客は必要な情報をいつでも入手することが可能です。そのため、顧客一人ひとりのニーズにあった商品やサービスを展開することが求められます。返品時に理由を確認することで、色が思っていたのと違う、サイズが小さすぎたなどといった顧客のニーズを確認できます。顧客の意見をもとにして、商品やサービスを改善することで他社に差別化ができるのです。

EC通販において返品処理の重要性

EC通販において返品処理の重要性が次の理由において高まっています。

  • ECサイトの評価が高まる
  • 顧客満足度が上がる
  • 顧客都合の返品を認める

ECサイトの評価が高まる

ECサイトの特徴として、返品率が高いことが挙げられます。そのため、返品処理の方法によって顧客評価が変わる可能性が高くなります。返品処理が遅くなったり、手間がかかる仕組みであったりしたら顧客評価が下がりやすくなるのです。ECサイトの評価を高めるためには、返品できる条件が明確かつ顧客にとっての手続きが簡単であることが求められます。

顧客満足度が上がる

返品対応が良ければ顧客に対する印象度が良くなり、満足度が上がる可能性があります。スムーズに返品対応できるプロセスを築いておくことで、購入頻度の増加が期待できるのです。返品処理の対応をスムーズにおこなうことによって、長期的に顧客との関係作りにつながります。

返品処理の対応が遅くなれば、このECサイトは利用したくないと思われたり、レビューにネガティブなコメントを書かれたりする可能性があります。返品処理の複雑さは複雑であることから、スピーディーな対応は決して容易ではありません。しかし、返品処理が正確かつスピーディーであれば顧客から信頼される可能性が高まる可能性があるのです。

顧客都合の返品を認める

従来のEC通販では、顧客都合による返品は一切認めていないケースがほとんどでした。しかし、近年では返品期間のように条件を設定して返品を認めていることが増えています。顧客都合の返品を認めることによって、顧客満足度が上がり売上高や集客を増やせるとEC通販運営者が判断しているのです。

EC通販においては、顧客は購入前に商品を見たり触れたりできません。そのため、実際に商品が届いてから、思ったものと違うと感じる場合があります。顧客都合の返品を認めないと顧客離れが起きるリスクが高まるため、多くのEC通販では顧客都合の返品を認めているのです。

EC通販において返品処理の流れ

EC通販においての返品処理は、ECサイト運営者都合と顧客都合によって異なります。

  • ECサイト運営者都合のケース
  • 顧客都合のケース

ECサイト運営者都合のケース

ECサイト運営者都合での返品とは、間違った商品を送ってしまった、送った商品が破損していたなどの理由が挙げられます。顧客から返品の依頼を受けたら早急に事実確認し、迅速に顧客に謝罪をすることが必要です。ECサイト側の問題であれば、送料は一般的にECサイトが負担します。

顧客都合のケース

顧客都合で返品が発生する場合、商品が思ったような色やイメージではなかった、間違って注文をしてしまったなどの理由がほとんどです。顧客都合とはいえ、スムーズな返品処理をおこなうことが重要です。顧客から返品の依頼を受けたら、購入した商品や日付を確認して、返品を受け付けます。返品期日や返品できる商品であるかどうかを確認することが大切です。問題なく返品できる場合で代金の支払いが済んでいる場合は、返金処理をおこなう必要があります。

まとめ

EC通販において、色やサイズが合わなかったなど顧客は商品を見ないで購入するため、返品処理の機会が多いという特徴があります。丁寧でスピーディーな返品処理をすることで、顧客満足度を向上させ、他サイトとの差別化につながる可能性があるのです。EC通販を長期間運営するためには顧客が満足する返品処理が求められます。

返品処理に対して十分なリソースがない場合は、アウトソーシングをする方法があります。返品処理におけるノウハウや知識を十分に持った専門業者に依頼することによって、顧客満足度の向上以外にもEC通販運営者がコア業務に集中できるメリットがあるのです。

 

<関連記事>

顧客購買後体験を最大化する「返品・交換 物流フルフィルメントサービス

殿堂入り記事
発送代行完全ガイド

発送代行完全ガイド

発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。

西間木 智

監修者

株式会社富士ロジテックホールディングス

西間木 智 / 通販営業部 部長

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

あなたはこちらのコラムにもご興味がおありかもしれません おすすめコラム

【2024年9月】宅急便・宅配便・郵便の料金比較!送料が安い業者は?
【2024年9月】宅急便・宅配便・郵便の料金比較!送料が安い業者は?
ヤマト運輸や佐川急便に続き福山通運など各宅配業者や日本郵便の値上げが相次いで実施されています。配送に安い手段を選んでいるつもりが、いつの間にか他社と料金の安さが逆転しているケースもあるかもしれません。この記事では2024年9月時点で最...
続きを読んでみる
Shopifyのメリットとは?注意点やスムーズな運用のポイント
Shopifyのメリットとは?注意点やスムーズな運用のポイント
Shopify(ショッピファイ)を利用することで得られる具体的なメリットを知りたい方は多いのではないでしょうか。 Shopifyは誰でも手軽にECサイトを立ち上げられる便利なプラットフォームですが、運用する際にはいくつかの注意点もあり...
続きを読んでみる
【最新】冷凍倉庫とは?種類や市場規模、課題から見る打ち手
【最新】冷凍倉庫とは?種類や市場規模、課題から見る打ち手
冷凍倉庫は、冷凍製品を保管する際に活用されています。食品を長期保存できるため、冷凍倉庫の需要は拡大する一方で、設備の老朽化やカーボンニュートラルの要請を受けて、課題を抱えています。 冷凍倉庫の利用を検討するにあたり、この課題感を知って...
続きを読んでみる
【2024年9月最新】楽天の最強配送とは?獲得条件と現状・対策法
【2024年9月最新】楽天の最強配送とは?獲得条件と現状・対策法
楽天市場の最強配送ラベルについては、仮称「配送認定ラベル」として以前から何度か規制緩和や調整が実施されてきました。そのため最強配送ラベルの認定制度について情報収集が追いつかず、具体的に何をすればよいのか分からないという方も多いのではな...
続きを読んでみる
化粧品物流の特徴とアウトソーシングする物流倉庫の選定ポイント
化粧品物流の特徴とアウトソーシングする物流倉庫の選定ポイント
化粧品物流は、品質管理や法律規制、マーケティング施策の観点などにおいて留意しなければならない点が多くあります。そのため、その他の品物を取り扱う場合と比較して、物流に専門的な知識を要します。 安全性と生産性を確保するために、化粧品物流の...
続きを読んでみる
通販とEC、何が違うの?クリアな理解のための基本解説
通販とEC、何が違うの?クリアな理解のための基本解説
通販とEC(電子商取引)が日常に浸透し、私たちの買い物の形は大きく変化しました。しかし、これら二つの言葉はしばしば混同されがちです。一体どのような違いがあるのでしょうか?この記事では、通販とECの基本的な違いから、それぞれのビジネスモ...
続きを読んでみる
冷蔵倉庫を利用する3つ方法と大手おすすめ5選
冷蔵倉庫を利用する3つ方法と大手おすすめ5選
共働き家庭の増加や、在宅ワークの増加により、手軽に調理できる冷凍食品の需要は拡大の一途をたどっています。冷蔵・冷凍が必要な商品を扱う企業が増えるなか、保管場所の確保が急務です。 本稿では、冷蔵倉庫の概要と、選び方、冷蔵倉庫を所有する大...
続きを読んでみる
物流コストとは?内訳と推移、削減への6つのアイデアを解説
物流コストとは?内訳と推移、削減への6つのアイデアを解説
物流コストの正確な把握は、適正化への第一歩です。サプライチェーン上の多くの工程で、物流コストが発生しているため、見落としなく算出するには、詳しい内訳を知っておくことが重要です。 当記事では、まず物流コストの内訳や分類を解説。そのうえで...
続きを読んでみる

タグ一覧

カテゴリー