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リードタイムとは、作業工程の開始から終了までにかかる時間や日数のことです。リードタイムの具体的な内容は業種によって異なります。リードタイムの短縮は生産性や収益の向上や顧客満足度向上につながるため、物流業をはじめ多くのビジネスシーンで重視されています。
本記事では、物流業におけるリードタイムの定義を解説したうえで、リードタイムの短縮メリット・注意点・短縮方法について解説します。
リードタイムの定義
一般的に、プロセスに着手してから終了するまでに要する時間(期間)を「リードタイム」と呼びます。業種に限らず、ビジネスシーンでは「Lead time」を省略して「L/T」と英語で表記されることもあります。
物流業界におけるリードタイムとは「調達・製造・出荷・輸配送」までの各作業工程で発生する時間・期間のことです。
リードタイムは、経過時間(期間)に応じて顧客満足度向上が左右されるといわれています。短いリードタイムで作業ができれば、注文商品をいち早く消費者に届けられるため、顧客の満足度向上につながるのです。
消費者に選ばれるためには、リードタイムの短縮が重要だといえるでしょう。
物流業におけるリードタイムの種類
リードタイムには、業務によってさまざまな種類があります。ここからは、物流業に絞ってリードタイムの種類を紹介します。
- 【調達】リードタイム
- 【生産・製造】リードタイム
- 【出荷】リードタイム
- 【輸配送】リードタイム
1.【調達】リードタイム
調達リードタイムとは、商品の生産に必要な原料などの購買オーダーを出してから、納品までにかかる時間です。
また、調達リードタイムは発注数量を判断する材料にも活用されています。具体的には、世界情勢の影響により、調達リードタイムが長期化することが予想される場合は「通常よりも発注数を2倍に増やす」などです。
発注数を増加させることで在庫を抱えるリスクや保管するリスクは伴いますが、販売機会損失も避けなければなりません。調達リードタイムを参考に、あらゆるリスクを想定した調達が必要となります。
2.【生産・製造】リードタイム
生産開始から製品の完成までにかかる時間を、生産・製造リードタイムと呼びます。生産・製造リードタイムには作業そのものにかかる時間だけでなく、各工程の「停滞時間」もリードタイムも含まれることが特徴です。例えば、運搬時間や検査時間、待ち時間などが挙げられます。
生産・製造リードタイムは、製造工程ごとに要する時間を示す「工程リードタイム」と、工程を構成する実作業時間を示す「作業リードタイム」に分かれます。
リードタイムの短縮には、この2つのリードタイムの見直しを行うことが必要不可欠でしょう。
3.【出荷】リードタイム
出荷リードタイムとは物流倉庫が出荷指示を受けてから、倉庫内でピッキング・梱包・出荷するまでにかかる時間のことです。委託する物流倉庫の出荷締め時間や生産性などによって、リードタイムが左右されます。
自社物流の効率化について、「倉庫の作業を効率化する9つの方法!課題から見る改善のアイデアを解説」の記事で紹介していますのであわせてご覧ください。
4.【輸配送】リードタイム
輸配送リードタイムは物流倉庫より荷物を受け取った配送業者が、お届け先までの商品配送にかかる時間を指します。
物流倉庫の配置によっては輸配送リードタイムが長くなることもあるため、リードタイムを短縮するうえでは、物流倉庫を複数拠点配置する方法なども有効です。
「物流拠点を最適化する方法とは? ポイントや取り組み事例を解説!」の記事で詳しく触れています。
リードタイム・納期の違いとは
「リードタイム」と「納期」は同義として使用されることがありますが、実は意味が異なります。
リードタイムは、作業工程の開始から完了までに要する「期間」を指す言葉です。具体的には「リードタイム1週間」の作業は、作業が完了するまでに7日間かかることを意味します。
一方で納期とは、完成品を納入すべき「期限」のことです。「8月31日までに納入」など、明確に期限日が定められています。
納期の場合は、さまざまなリードタイムを加味したうえで作業を進めていく必要があり、作業工程の遅れによって納期遅れが発生するリスクがあります。先方より指定された納期がタイトな場合は、あらかじめ納入までに発生するリードタイムを明確にしたうえで交渉する必要があるでしょう。
リードタイムを短縮するメリット
リードタイムの短縮メリットは、以下3つが挙げられます。
- 生産性・収益が向上する
- コスト削減が期待できる
- 顧客満足度向上につながる
生産性・収益が向上する
リードタイムを短縮する取り組みによって作業効率が改善するため、生産性や収益の向上が期待できます。作業工程の見直しや改善により、多くの商品を生産・販売できるためです。
また、リードタイムを短縮することで短期間で出荷・輸送が可能となり、販売機会の損失を防げることも収益が向上する理由の一つです。
コスト削減が期待できる
リードタイムを短縮できれば生産性が向上します。極端な余剰在庫を削減できるため、在庫保管スペースが減り、保管料コストの削減につながるメリットがあります。
また在庫量が適正化されることで、在庫管理費の削減にもつながります。煩雑な在庫管理が容易となり、手が空いた人材を作業が滞っている箇所に充てられるため、作業効率化も期待できるでしょう。
顧客満足度向上につながる
リードタイム短縮の取り組みにより、作業工程全体の作業効率が向上するため、消費者に円滑に商品が届けられる好循環な仕組みが整いやすくなります。
消費者が欲しい商品をいち早く手元に届けられるため、顧客満足度が向上しやすい点がメリットです。また、消費者に届くスピードの違いは、競合他社との差別化につながります。
顧客満足度向上が図れれば、顧客に選ばれる企業となり、リピーター顧客の獲得も期待できるでしょう。
リードタイムを短縮する際の注意点
リードタイム短縮によって得られるメリットは大きいでしょう。しかし、明確な対策もなく単純に作業工程を削減するだけでは、作業員に多大な負荷をかけることとなり、さまざまなリスクを伴います。
「リードタイムの短縮」を目的とするのではなく、無駄な工程の見直しや適切な人員配備などを目的に対策を検討する必要があるでしょう。
- 品質低下のリスク
- コスト増加のリスク
1.品質低下のリスク
リードタイムの短縮にこだわりすぎると、作業工程に無理が生じるリスクがあります。
作業スピードの向上を意識するあまり、適切な作業工程が踏まれていない・人員が足りないといった作業員への作業負担過多によって、品質の低下や人為的ミスによるトラブルが発生するリスクがあるためです。
改善を検討する際は、商品の品質が保てる範囲内でテコ入れするとよいでしょう。
2.コスト増加のリスク
次に、コスト増加のリスクも懸念されます。リードタイム短縮の取り組みとして、作業速度を向上させるために人員増加やAIなどの最新機器を導入する手段があります。
とはいえ、シミュレーションせずに人員・設備の導入をしてしまうと、費用対効果が得られずコストだけが増加するリスクがあるため注意が必要です。
導入前にはコスト以上に、効果が得られるかのリサーチや分析、ヒアリングをしたうえでのシミュレーションが必要不可欠でしょう。
リードタイム短縮は生産性・収益の向上、顧客満足度向上を目指す手段の一つのため、QCD(品質・コスト・納期)のバランスを保ちながら改善を進めることが大切です。
物流のリードタイムの短縮方法
ここからは、物流のリードタイムを短縮する具体的な方法を解説します。
- 人員の追加
- 作業フローの見直し
- システム導入による自動化
1.人員の追加
作業量の増加により作業が追いついていない状況下では、人員増加で生産性向上が目指せます。ただし、人件費のコスト増加は避けられません。
一時的な作業量の増加であれば、期間限定の派遣スタッフを雇うなど、人員数のコントロールが容易な雇用をするなどの工夫が必要です。
もしくは、作業量の増減に柔軟に対応できる物流倉庫に業務委託する手段も有効でしょう。
2.作業フローの見直し
現状の作業フローに無駄な工程が含まれていないかを確認することも大切です。具体的には、倉庫管理・ピッキング・検品・梱包方法の見直しが挙げられます。
ミスが発生しやすい手順はないか、作業に時間がかかりすぎていないか、入出荷時の導線に合わせたレイアウト構築がされているかなど、一連のフローを確認しましょう。
見直しをするうえでは、一括読み取りが可能なハンディターミナルを活用した出荷検品やピッキングを導入したり、作業効率を高める資材・梱包方法の採用をしたりするなど、新しい取り組みも大切です。
3.システム導入による自動化
人が担っていたアナログ作業はシステムの導入で、作業が円滑になりリードタイムの短縮が期待できます。
具体的には、受注管理や在庫管理が一元管理ができるシステムの導入が挙げられます。導入コストが発生するものの、受注管理から入出荷までのデータ連携が自動化できるため、手作業で行う業務が大幅に削減可能です。
システム導入によって、リードタイムの短縮が図れるだけでなく、人的ミス防止にも役立ちます。
関連記事:「【ロジレス連携倉庫が語る】システム活用によるEC受注〜出荷自動化のススメ」
リードタイムの短縮には物流業務のアウトソーシングも効果的!
リードタイムとは、作業を初めてから完了までに必要な時間・日数のことです。リードタイムの短縮を図ることで生産性・収益向上や顧客満足度向上につながるといわれています。
リードタイムの短縮方法はさまざまな手段が存在しますが、物流業務をすべてEC物流のプロにアウトソーシングする方法も有効な手段の一つです。
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ライター
梅山茜
物流会社でEC発送代行のバックオフィス業務に従事する複業ライター。好奇心旺盛な性格で、過去に営業職や販売職、医療ソーシャルワーカーなどを経験。豊富な経験を活かして物流、医療・福祉、資格、ライフスタイル記事など幅広い分野の執筆を担当する。カテゴリー問わず、便利で使いやすい商品やサービスを求めて、ネットサーフィンを繰り返す日常を送る。趣味は旅行とレトロモダンなカフェ巡り。
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