アメリカ留学の経験を活かし、貿易事務員として9年間従事。商社・メーカー・フォワーダー・通関業者にて輸出入業務を経験。現在はIT系企業にて営業サポートとして働きながら複業ライターとして活動中。
マケプレプライムとは、自社配送の商品をAmazonでプライムマークをつけて出品できるプログラムです。
マケプレプライムを利用することで、日本に約1,460万人の加入者がいるといわれているAmazonプライム会員に対して、商品の訴求力アップが期待できます。
本記事では、そんなマケプレプライムの参加資格の獲得方法や利用条件、メリット・デメリットについて詳しく解説します。また、厳しい条件クリアを支援するパートナー企業も紹介しますので、マケプレプライムの利用を検討している方の参考になれば幸いです。
マケプレプライムとは自社で出荷する商品に「プライムマーク」を付けられる仕組み
マケプレプライムは、自社で出荷する商品を「Amazonプライム対象商品」として販売できるプログラム。Amazonプライム対象商品は「プライムマーク」が付き、購入者が商品を検索した際にAmazonのページで上位表示や売上アップが期待できます。
Amazonプライム対象商品として販売するには、原則としてフルフィルメント by Amazon(以下FBA)を使った出荷が必要です。
しかし、マケプレプライムを利用すれば、FBAと同等の配送品質を守ることを条件に自社で出荷する商品をAmazonプライム対象商品として販売できます。そのため、配送の仕組みや出荷オペレーションを変えずにAmazonで出品が可能です。
特に温度管理が必要な商品などのFBAでは取扱いできない商品や、流通加工が必要な商品を販売する場合は、マケプレプライムを検討するとよいでしょう。
マケプレプライムの参加資格を得る条件は「マケプレプライム トライアル」で実績を積むこと
初めてマケプレプライムに参加するには、まず「マケプレプライム トライアル」で実績を積む必要があります。マケプレプライム トライアルとは、マケプレプライムに参加するためのテストです。
マケプレプライム トライアル期間中は、Amazonプライムマークは対象商品に表示されません。
マケプレプライムの参加資格を得るには、以下の3つの条件をクリアする必要があります。(通常配送やお急ぎ便も含む)
- 追跡可能率:94%以上(Amazonにて追跡できた割合)
- 出荷前キャンセル率:1%未満(出荷通知前に出品者がキャンセルした割合)
- 注文即日の出荷率:99%以上(注文締め時間までの受注分を当日出荷した割合)
参考:amazon seller central
通常配送やお急ぎ便に関わらず、注文の締め時間内に受注した商品は、すべて当日中の出荷が必要です。さらに、出品者都合による出荷前キャンセル率や、荷物の追跡可能率も規定のパーセンテージを遵守しなければいけません。
直近で出荷する10件について、上記3つの条件を達成できれば、マケプレプライムの参加資格を獲得できます。
マケプレプライムの参加資格停止を回避する6つの条件
マケプレプライムへの参加資格を得るための条件と参加資格を維持するための条件は一部異なります。
マケプレプライムの参加資格を維持するには、過去7日間の実績が、以下のパフォーマンス指標を満たす必要があります。
- 追跡可能率:94%以上
- 出荷前キャンセル率:1%未満
- 期日内配送率:96%以上(お届け予定日までに配送が完了した割合)
- 配送時間指標:マケプレ当日お急ぎ便とマケプレお急ぎ便の標準サイズ、大型サイズ商品が対象
1、2は同様ですが、参加資格条件にある「注文即日の出荷率:99%以上」のパフォーマンス条件は除外になります。さらに以下の条件も追加になります。
- 標準サイズのプライム対象商品はすべて全国配送の対象とする
- 土日を含む週7日間の配送(祝日は除く)
参考:amazon seller central
注文があれば、ほぼ毎日出荷が必要なうえ、エラーも許されない厳しい条件が課されます。
マケプレプライム対象商品の条件5つ
マケプレプライム対象商品は、以下の5つの条件を満たす必要があります。具体的な条件は以下のとおりです。
- 対象地域へ「お急ぎ便」の提供をする
- プライム対象地域のプライム会員は配送料を無料にする
- Amazon上で追跡できる配送方法を利用する
- Amazonの規定に従って返品・返金対応する
- 購入者からの問い合わせや返品受付はAmazonのカスタマーサービスに任せる
条件をクリアできない場合、マケプレプライムの利用を停止される可能性があるため、一つずつ詳しく見ていきましょう。
対象地域へ「お急ぎ便」の提供をする
マケプレプライム対象商品は、決められた地域へ「お急ぎ便」の提供をする必要があります。お急ぎ便とは、14時時点で発注が確定している商品を、決められたお届け日までに提供するサービスです。
お届け日は都道府県単位で異なり、以下のように定められています。
- 本州・四国・九州:翌営業日
- 北海道・沖縄・離島:翌々営業日
マケプレプライムを継続するには、注文のお届け予定日までに96%以上の商品を配送することが必要です。そのため、確実に翌日もしくは翌々日に商品を提供できる体制が求められています。
プライム対象地域のプライム会員は配送料を無料にする
プライム対象地域のAmazonプライム会員に対して、配送料を無料にすることが条件になっています。プライム対象地域とは、沖縄・北海道・離島以外の都道府県です。
また、通常会員に対しては無料ではなく、出品者が任意で配送料を決められます。
Amazon上で追跡できる配送方法を利用する
マケプレプライム対象商品は、Amazon上で追跡可能な配送方法を利用する必要があります。購入者が注文した履歴から商品の発送状況を確認できるようにするためです。
マケプレプライムで利用可能な配送会社と配送方法は以下のとおりです。
- ヤマト運輸:宅急便、宅急便コンパクト、ネコポス
- 日本郵便 :ゆうパック、レターパック(ライト/プラス)
出荷した当日中に荷物の追跡番号を入力し、出荷通知の徹底をしなければいけません。追跡可能率もマケプレプライムを継続する条件の一つに定められているため、必ず対応しましょう。
Amazonの規定に従って返品・返金対応する
マケプレプライムを利用するには、Amazonの規定に従って返品・返金をすることが条件の一つです。原則、商品が到着してから30日以内の返品・交換リクエストには対応しなければいけません。
ただし購入者の都合の場合、生花や電動歯ブラシなどは返品・交換の対象外になっています。返品にかかる配送料は、基本的に出品者の負担です。
しかし、購入者の都合で返品・交換する場合は、購入者が返品にかかる送料を負担します。商品が返品されたら、2営業日以内に購入者への返金処理を行うことが重要です。
購入者からの問い合わせや返品受付はAmazonのカスタマーサービスに任せる
マケプレプライム対象商品について購入者から問い合わせがあった場合は、Amazonのカスタマーサービスに対応を任せましょう。
配送状況について購入者から問い合わせがあった際は、出荷通知を送信する時に出品者が入力した追跡番号でAmazonのカスタマーサービスが回答します。また、返品・返金についてもAmazonのポリシーに基づいてAmazonカスタマーサービスが対応する仕組みです。
出品者が一定の期間までに購入者に返金しない場合は、Amazonカスタマーサービスが返金処理を行います。Amazonカスタマーサービスが立て替えた返金処理分は、出品者の売上から差し引かれるシステムです。梱包や商品の状態に関する問い合わせは、出品者が対応する可能性があります。
マケプレプライムを利用する3つのメリット
マケプレプライムを利用するメリットは以下のとおりです。
- 多くの購入者に商品を見つけてもらいやすい
- 配送料無料でお得感をアピールできる
- 購入者の対応をAmazonに任せられる
売上の拡大や業務の効率化に繋がるため、一つずつ見ていきましょう。
多くの購入者に商品を見つけてもらいやすい
マケプレプライムを利用するメリットは、多くの購入者から商品を見つけてもらいやすいことです。検索結果の上位に表示されるように設定されているマケプレプライム対象商品は、購入者がすぐに商品を閲覧できます。
2007年にNHKでGoogleを取り上げた特集では、”検索エンジンの上位に表示されなければ、あなたのホームページは存在しないも同じ”と表現されているほど上位表示は重要です。ホームページ同様、Amazonの検索順位も上位に出てこなければ、購入者が商品を見つけてくれる可能性が低くなります。
マケプレプライムを利用した商品の露出力向上は、売上のアップにも繋がります。
配送料無料でお得感をアピールできる
配送料無料でお得感をアピールできることもマケプレプライムを利用するメリットの一つです。国土交通省の調査によると、通信販売を利用する際に購入者が許容できる送料の金額は以下のとおりでした。
- 送料無料:38.6%
- 送料500円以下:32.0%
- 送料1,000円以下:11.0%
送料が無料と500円以下はわずかな差ではありますが、購入者は送料が無料でないと通信販売を利用しない傾向の方が高く見られます。顧客へのアピールポイントとして、マケプレプライムの送料無料は有効でしょう。
購入者の対応をAmazonに任せられる
マケプレプライム対象商品は、購入者からの問い合わせに対して、Amazonカスタマーサービスが24時間365日対応してくれます。
購入者対応をAmazonに任せられると、業務負担の軽減や、売上アップの施策を行うリソースができます。商品の問い合わせに一つひとつ対応する必要がないため、個人や少人数のチームでも大量の商品販売が可能です。
マケプレプライムのデメリットは参加条件が厳格なこと
マケプレプライムのデメリットは、参加資格の獲得や維持の難易度が高いことです。前述のとおり、マケプレプライムを利用するには、FBAと同等の配送品質を守ることが必須とされています。
FBAと同等の配送品質として定められている条件を一つでも満たしていなければ、マケプレプライムの利用資格は停止されます。
特に、注文即日の出荷率99%以上や土日祝日出荷に対応する出品者の負担は大きいでしょう。
マケプレプライムを使って販売し続けるには、すべての厳格な規定を遵守する必要があります。
AmazonはマケプレプライムではなくFBAの利用を促したい傾向
Amazonの意向としては、マケプレプライムではなくFBAの利用を促したい傾向が見られます。
米Amazonは2023年の10月1日から自社配送の出品事業者に対して、新たに2%の手数料を課す決定をしました。日本のAmazonでも自社配送の出品事業者に対して、新たな手数料が追加される可能性もゼロではありません。
2020年には、Amazonプライムが求める品質を提供できていない自社配送事業者が増えたことを理由に「Seller Fulfilled Prime」プログラム(日本のマケプレプライムと同じ制度)の登録を一時停止していたこともあります。
Amazonで商品販売を開始する際は、マケプレプライムを利用する場合とFBAを利用する場合の手間やコストを事前に比較することが必要です。
また、事業を始めようと思ったタイミングでマケプレプライムの新規登録を受け付けているかを確認しましょう。
<関連記事>「FBA納品代行おすすめ10選!利用の流れ、メリット・デメリットも解説」
<関連記事>「AmazonFBA納品の手順や料金、禁止商品、梱包ルールを徹底解説!」
マケプレプライムの厳しい条件クリアを支援するパートナー企業
マケプレプライムの厳しい条件クリアを支援している以下の企業を紹介します。
- 富士ロジテックホールディングス
- シッピーノ
マケプレプライムに挑戦するにあたり、安定的な出荷対応や業務の効率化をしたい方はぜひチェックしてください。
富士ロジテックホールディングス
富士ロジテックホールディングスは商品の在庫管理や梱包から配送において、すべての作業を代行して行うフルフィルメントサービスを提供しています。
また、FBAで制限されている温度管理が必要な商品の取り扱いも可能です。商品の品質を保持するための施設が充実しており、食品についてはチルドや冷凍などの温度をプロが徹底管理しています。
富士ロジテックホールディングスは、柔軟な対応力を強みとしており、マケプレプライムの厳格な規定を遵守できるシステムがあります。出品者の多くが気がかりとなっている土日や祝日の出荷も行っており、状況に合わせて臨機応変に対応してくれることがメリットです。なお、FBA納品もサポートしています。
日曜日と祝日に出荷対応が必要な場合は、富士ロジテックホールディングスに事前に相談しておきましょう。
<関連記事>3温度帯とは?4温度帯との違いや冷凍・冷蔵倉庫の温度について解説
シッピーノ
シッピーノはECモールと物流サービスを連携し、出荷を自動化するシステムを提供しています。具体的には、以下の作業をシッピーノで代行可能です。
- 注文情報の確認
- サンクスメールの送信
- 在庫確認
- 物流サービスへ出荷依頼
- 出荷完了メールの送信
複数の物流倉庫の併用ができるため、FBAと物流倉庫の両方を利用できます。FBAにて入庫可能な商品と、温度管理が必要な商品で倉庫を使い分けたり、ちょっとした手間を省けたりすることがシッピーノのメリットです。積み重なる小さな手間を自動化して、リソースを最大化したい方は利用を検討するとよいでしょう。
マケプレプライムの厳しい条件をクリアするには業務をアウトソーシングしよう
マケプレプライムは、自社の配送の仕組みや出荷オペレーションを変えることなく、商品にプライムマークをつけてAmazonで出品できるシステムです。
マケプレプライムを利用すれば、FBAでは取り扱えない食品や医薬品、動植物の販売を実現できるのがメリット。一方で利用規約は厳しく、定められた条件のパーセンテージが下回っているなどの理由で、マケプレプライムの利用を停止されている利用者の声も散見されます。
厳格なマケプレプライムの条件を遵守しながらビジネスを継続するには、富士ロジテックホールディングスのサービスをぜひご利用ください。
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ライター
東ゆずほ
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