アメリカ留学の経験を活かし、貿易事務員として9年間従事。商社・メーカー・フォワーダー・通関業者にて輸出入業務を経験。現在はIT系企業にて営業サポートとして働きながら複業ライターとして活動中。
Amazon・楽天・ヤフーは3大ECモールと呼ばれ、他のモールと比較しても圧倒的な利用率を誇っています。
選択肢が多いと、出店する際に何を基準としてモールを決めたらよいか悩みますよね。
そこで本記事では、出品者と消費者の視点の両方から、各モールの違いについて解説します。自社の商品に合うモールを見つける参考になれば幸いです。
【出品者視点】Amazon・楽天・ヤフーを7つの項目で比較
「Amazon」「楽天」「ヤフー」を以下の7つの項目で比較します。
- ユーザー数
- ユーザーの特徴
- 出店形式
- 出店数
- 配送代行サービス
- サポート体制
- 出品手数料
ユーザーの傾向を掴み、売上を最大化するために一つずつ確認していきましょう。
1.ユーザー数
ユーザー数は楽天とAmazonが多く、ヤフーは約半分です。以下の表は楽天、Amazon、ヤフーのそれぞれの2021年12月における月間ユーザー数を示しています。
ECモール |
月間ユーザー数(2021年12月) |
楽天 |
5,104万人 |
Amazon |
4,729万人 |
ヤフー |
2,288万人 |
※出典:ニールセン デジタル株式会社 2021年12月Monthly Totalレポート
また2023年12月に941人を対象に実施された別の調査でも、「頻繁に利用するECモールは?」の問いに対して、「楽天市場」(41・6%)、次いで「Amazon」(37・4%)、「ヤフー」(10・8%)という結果になりました。
※出典:X.Y.Z世代のECモールの利用状況に関する調査|株式会社リンクアンドパートナーズ
ユーザーが多いほど、多数の消費者が自社商品を見つけてくれる可能性が高まります。しかし、競合も増えるため、他社と差別化する方法を考えなければいけません。
2.ユーザーの特徴
ECモール |
ユーザーの特徴 |
楽天 |
・28~58歳の利用率が最多 ・50歳以上の利用者も多い ・女性がやや多い ・回遊して買い物を楽しむ傾向 |
Amazon |
・15〜27歳の利用率が最多 ・男性がやや多い ・早く商品を手に入れたい ・商品名やブランド名で検索する傾向 |
ヤフーショッピング |
・利用者の年代に大きな差がない ・男女比率はほぼ同じ ・PayPayの利用ユーザーが多い |
※出典:X.Y.Z世代のECモールの利用状況に関する調査|株式会社リンクアンドパートナー
ユーザーの特徴で大きく異なる点は、買い物の傾向です。楽天ユーザーは買うモノを明確に決めず、買い物自体を楽しんでいる傾向で、女性が少々多めです。
一方、Amazonは買うモノが決まっていて、商品の納品スピードを重視しており、男性が少々多めの傾向です。
ヤフーショッピングは10代が比較的少ない傾向ですが、利用者の年代や性別に大きな差がない傾向です。5,500万人(2023年2月時点)を超えるPayPay利用者がヤフーショッピングを使う可能性があります。
出品する商品に合ったユーザーが利用しているECモールを選びましょう。
3.出店形式
出店形式は「マーケットプレイス型」と「テナント型」の2種類があります。
各ECモールによって形式が決まっているため、それぞれの特徴を以下の表で押さえておきましょう。
ECモール |
出店形式 |
販売方法 |
特徴 |
Amazon |
マーケットプレイス型 (出品型) |
商品単位で販売 |
・商品の基本情報の登録のみで販売可能 ・他社商品との差別化が難しい |
ヤフー 楽天 |
テナント型 (出店型) |
自社の店舗で販売 |
・カスタマイズが自由 ・販売ページ作成や更新が必要 |
Amazonのようなマーケットプレイス型は、商品ページのフォーマットが決まっているため、手軽に商品販売できます。一方で、商品の差別化が難しいため、価格競争になりやすいことも特徴です。マーケットプレイス型は、競合の価格チェックや、Amazonの仕様変更に対応する必要があるため、柔軟に対応する力が求められます。
ヤフーや楽天が採用しているテナント型は、お店の特徴を伝えられるため、ファンを獲得しやすい形式です。ただし、ファンを獲得するには、お店の魅力が伝わる店舗ページの作成やメンテナンスを行わなければいけません。テナント型は店舗構築力と企画・運営力が求められています。
出店形式によって必要となる対応が異なるため、ストレスの少ない方法を選んでチャレンジしてみましょう。
4.店舗数
各モールの出店数は以下のとおりです。
ECモール |
店舗数 |
Amazon |
約15万店舗(事業者数) |
ヤフー |
120万店舗 |
楽天 |
約5万7,000店舗 |
出典:楽天公式HP
ヤフーの店舗数が一番多く、次いでAmazon、楽天と並びます。ただしAmazonは店舗数ではなく事業者数のため、注意が必要です。ヤフーと楽天は複数の店舗を同じ出品者が運営している場合があります。また、実際には休止している店舗が存在するため、アクティブ店舗数の割合は明確ではありません。
店舗数が多いモールは、出品手数料が安い傾向にあります。詳しい手数料については「出品手数料」にて後述します。
5.出品手数料
出品手数料は各モールで以下のように異なります。
ECモール |
手数料 |
ヤフー |
・初期費用:無料 ・月額システム利用料:無料 ・売上ロイヤリティ:無料 ・ポイント・キャンペーンの原資:1%~15% |
Amazon |
・小口出品:100円/商品 ・大口出品:4,900円/月 |
楽天 |
・がんばれ!プラン:19,500円/月額 ・スタンダードプラン:5万円/月額 ・メガショッププラン:10万円/月額 |
圧倒的に出品手数料が安いのは、基本料金が無料のヤフー。発生する手数料は、顧客が購入時に利用したポイント分のみです。
Amazonの出品手数料は2つのプランに分かれています。毎月49点以上の商品を販売する予定があり、商品の広告を出したり、レポートをみて分析したりしたい方は、大口出品がマッチするでしょう。
楽天は以下のとおり3種類のプランがあり、それぞれ以下内容に違いがあります。
- 登録商品数
- 画像容量
- システム手数料
高いプランになるほど登録商品数や、商品ページの画像容量が大きくなり、システム手数料は安くなっていくシステムです。加えて、すべてのプラン共通で初期登録料6万円や楽天ペイ利用料などの各手数料がかかります。
店舗運営が初めての方は、手数料がかからないヤフーから始めると、コストを気にせずに挑戦できます。出店するECモールにお悩みの方は、楽天とヤフーで月額利用料をシミュレーションできるので試してみてください。
6.配送代行サービス
各モールでは面倒な商品の保管から発送などを、出品者の代わりに対応してくれる配送代行サービスが用意されています。それぞれのサービスの特徴は以下のとおりです。
ECモール |
配送代行サービス |
特徴 |
Amazon |
FBA (フルフィルメント by Amazon) |
・商品がAmazonプライム対象で当日配送ができる ・海外67か国以上に配送可能 |
楽天 |
楽天スーパーロジスティクス |
・あす楽で翌日配達が可能 ・配送費が100サイズまで全国一律380円 |
ヤフー |
ピック&デリバリーサービス フルフィルメントサービス |
・翌日優良配送ができる ・Yahoo! JAPAN IDとクロネコメンバーズIDの連携が可能 |
3社すべてが在庫の保管から発送まで対応しており、翌日までの迅速な発送サービスを用意しています。
Amazonのみ当日お急ぎ便で当日中の配送に対応しており、配送スピードに力を入れているのがポイントです。
楽天は配送料が100サイズまでの商品の場合、全国一律で380円とシンプルな料金プラン設定になっています。
ヤフーは、Yahoo! JAPAN IDとクロネコメンバーズIDの連携により、顧客が発送状況の確認や、受け取り場所の指定ができるのがポイントです。
ターゲットの需要に合わせて配送代行サービスを選びましょう。
<関連記事>「AmazonFBA納品の手順や料金、禁止商品、梱包ルールを徹底解説!」
7.サポート体制
それぞれのモールのサポート体制は以下のとおりです。
ECモール |
サポート内容 |
金額
|
Amazon |
・マーケットプレイスコンサルティングサービス (大口出品のみ) |
月額16万円+ 前月分売上合計の0.3%(税別) |
楽天 |
・新規出店コンサルタント ・店舗オープンアドバイザー ・ECコンサルタント |
初期費用に含まれている |
ヤフー |
・Yahoo!ショッピング専門コンサルサービス |
3,828円〜11万円 |
Amazonは専任のコンサルタントがヒアリングし、出品者の意向に合わせたプランの提案や、1対1の定例ミーティングがあります。料金は比較的高く、最低加入期間が6ヶ月と定められていることに注意してください。
楽天も新規出店からコンサルタントがつき、出店に関する不安から販売戦略の提案まで支援しています。サポート料金は出品手数料に含まれているため、サービスを受けられる期間に定めがありません。
ヤフーはサポートサービスが6種類あり、1案件のみのサポートから対応可能です。利用できるツールや検索対策を実施する回数によって料金が異なります。
サポート範囲やコストを考慮してサービス利用を検討しましょう。
【消費者視点】Amazon・楽天・ヤフーの違いを3項目で比較
ここからは、以下のポイントから消費者視点で各モールの違いを比較します。
- ポイント制度
- 返品・交換対応
- キャンペーン
売上向上のために、消費者の利益になるポイントを把握してモールを選ぶことも大切です。一つずつ詳しく見ていきましょう。
ポイント制度
それぞれのECモールで買い物をすると、以下のポイントが付与されます。
ECモール |
付与されるポイント |
Amazon |
Amazonポイント |
楽天 |
楽天ポイント |
ヤフー |
PayPayポイント |
ポイント付与率はAmazonと楽天の場合は原則1%。ヤフーが0.5%です。
AmazonはAmazon Mastercardや、Amazon Prime Mastercardを利用すると還元率を1.5〜2%上げられます。
楽天は、楽天電気や楽天モバイルなどの関連サービスを利用すると、最大で16.5%のポイントアップが可能です。
ヤフーはポイント付与率が0.5%と一番低いですが、PayPay残高やPayPayカードを使って決済すると、還元率を1~2%に上げられます。
各モールのキャンペーン期間にポイント還元率が上がります。タイミングを狙って、戦略的に商品を販売しましょう。
返品・交換対応
返品・交換については以下のとおりです。
- Amazon:商品到着から30日以内の返品・交換に対応
- 楽天・ヤフー:ショップごとに異なる
Amazonは運営元が返品・交換対応をしてくれるため、顧客も気軽に相談できます。また、開封済みの商品でも、 商品代金(税込)の50%の返金対応が可能です。
一方、楽天とヤフーは顧客が直接、購入したショップと交渉が必要なため、返品・交換のハードルが高い傾向です。各ショップの返品についてのポリシーは、ショップの概要ページを確認する必要があります。場合によっては返品・交換ができない可能性があるため、購入前にショップの規定をチェックしてもらうことが必要です。
キャンペーン
キャンペーンやセールは定期的に開催され、売上向上を狙えるタイミングのため、チェックしておきましょう。各モールのキャンペーンは以下のとおりです。
ECモール |
キャンペーン・セール |
Amazon |
・初売りセール ・新生活セール ・プライムデー ・ブラックフライデー ・サイバーマンデー ・タイムセール |
楽天 |
・お買い物マラソン ・楽天スーパーSALE |
ヤフー |
・超PayPay祭 ・5のつく日キャンペーン ・ゾロ目の日クーポン |
キャンペーン期間は、通常よりもお得に買い物できたり、多くのポイントをもらえたりする機会のため、ユーザーが集中しやすい期間です。売上の最大化を目指すために、キャンペーンに備えて商品の準備をしておきましょう。
Amazon・楽天・ヤフーのおすすめモール【タイプ別】
出品者のタイプに合わせて、おすすめのモールを表で紹介します。
ECモール |
おすすめのタイプ |
Amazon |
・EC販売をすぐに始めたい人 ・個人もしくは少人数で運営したい人 ・家庭用品や生活必需品を売りたい人 |
楽天 |
・集客力を求める人 ・ECサイト作成に力を入れてファンを作りたい人 ・楽天カードユーザーを狙いたい人 |
ヤフー |
・コストを抑えたい人 ・EC販売が初めての人 ・PayPayユーザーを狙いたい人 |
Amazonは商品ページのフォーマットを埋めるだけで販売ページが完成します。そのため、サイト構築や運営のための人員を確保する必要がなく、個人や少人数ですぐにEC販売したい人に向いています。また、配送スピードが売りのAmazonは、アマゾン・プライムデーに家庭用品や生活必需品の売上が好調な傾向です。日用品の販売を検討している方は、アマゾン・プライムデーなどのイベントを活用しましょう。
楽天はショップの特徴が伝わるECサイトを作成し、ファンを作る戦略で商品を売りたい人に向いています。サイト構築や運営はコストがかかるため、売上の見込みと費用を確認しておきましょう。また、約3,000万枚発行されている楽天カードユーザーを狙いたい方も楽天での出店がおすすめです。
ヤフーは他のモールと比較して出品手数料が安いため、とにかくコストを抑えたい人や、初めてのEC販売に挑戦してみたい人に向いています。加えて、登録数が6,000万人を超えるPayPayユーザーを狙いたい方は、ヤフーを利用してください。
ユーザーが配送に求めるレベルが高まっている
ユーザーの「安く、早く」という声が高まっており、出品者は「365日配送」に対応する努力が求められています。各モールは、以下のように翌日配送サービスを提供しており、多くの顧客の声に応えようとしている傾向です。
- Amazon:Amazonプライムの当日お急ぎ便
- 楽天:あす楽(2024年6月、配送品質向上制度導入予定)
- ヤフー:優良配送
出品者にとって365日の翌日配送は負担が大きいため、できる限り避けたいですよね。
しかし、各モールは翌日配送に対応をしている出品者を優先的に検索上位に表示させる施策を行っています。効率的に売上を上げるには、検索上位の表示が重要なため、大変でも対応を検討する必要があります。
さらに国土交通省の調べによると、配送スピードや価格に加えて、顧客に直接対応する配送員のホスピタリティも求められている傾向です。顧客にとっては、商品の購入から手元に届くまでが「買い物」と認識されているため、「会社の顔」となる配送員の対応も重視されていることがわかりました。
顧客のすべての要望に応えるには、商品の保管から発送まで依頼できるフルフィルメントサービスの利用がおすすめです。
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EC販売はAmazon・楽天・ヤフーや物流倉庫のフルフィルメントサービスを利用しよう
出品するモールを選ぶ際は、売りたい商品やユーザーの年齢、傾向に合わせることが重要です。また、自分に合った出店形式を選び、出品手数料の費用対効果を確認しておきましょう。
「より早く、より安く」を求めるユーザーの声に応えるには、フルフィルメントサービスの利用がおすすめです。
Amazon・楽天・ヤフーはそれぞれフルフィルメントサービスがあります。しかし、対応範囲を厳格に定めることで、大量の納品と出荷を実現しているため、柔軟な同梱などの対応は難しい傾向です。
柔軟に対応できるフルフィルメントサービスを利用したい方は、富士ロジテックをご利用ください。創業100年以上の実績を持つ物流会社で、低価格かつ柔軟な対応力を強みとしています。全国各地に倉庫や物流センターが50拠点があり、分散出荷が可能です。迅速な出荷対応はもちろん、出荷量増加にも柔軟に対応できます。
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ライター
東ゆずほ
アメリカ留学の経験を活かし、貿易事務員として9年間従事。商社・メーカー・フォワーダー・通関業者にて輸出入業務を経験。現在はIT系企業にて営業サポートとして働きながら複業ライターとして活動中。
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