西間木 智
西間木 智

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

D2Cモデルで検討すべきフルフィルメント設計とインクルードアイテム設計のニューノーマル

ビジネスモデル フルフィルメント 成長のためのTips

【D2C ビジネス 運用Tips フルフィルメント編 】

D2Cモデルを採用している事業者で、従来型のフルフィルメント設計や、インボックス設計を採用している事業者がとても多いです。理由を尋ねても、成功している●●ブランドが実施しているから、エージェント、コンサルタントからの提案があったからが大方の理由です。自分自身のブランドとしての価値観や、ストーリーをお届けして、コミュニケーションを交わして、共感と顧客体験を共有していただくことが、ブランディングの1つであるとすればとても勿体ないことです。
今回のコラムでは、フルフィルメント設計とインボックス設計についてD2Cとして検討すべき点について考察していきます。

フルフィルメント(fulfillment)設計

フルフィルメントとは、D2Cビジネスにおいて、
一般的には
1:受注から配送までの業務
 ・受注処理: 受注確定・受注保留解消
 ・在庫管理: 入荷・検品・棚要・商品保管
 ・梱包: ピッキング・発送検品・同梱物セット
 ・発送: 配送会社への出荷処理・出荷発送データの取込
 ・受渡し確認: 配送ステータス・配送完了確認
 ・代金回収: 後払いデータ処理と請求書発送同梱・代金引換支払
 業務プロセス全体のことになります。

2:顧客に商品をお届けしたからの業務
   ・苦情処理
   ・問い合わせ対応
   ・返品・交換対応
「顧客購買後体験を最大化する返品・交換 物流フルフィルメントサービス」

   ・代金督促
*購買後体験についてはこちらのシリーズをご確認ください。

3:広義には
 ①受注までの商品情報(DAM/PIMに関連する)業務
 ②撮影・採寸・原稿作成などのささげ業務

 ③顧客とのより良い関係のための
   顧客データ管理・分析
 などの関連業務までを差す場合もあります。

同梱物(Included items:In-boxing)設計

顧客にD2Cブランドの商品をお届けする時は、とても大切な顧客とのタッチポイントでもあり、顧客の購買体験のピークの1つでもあります。
このタッチポイントで、通販・ECの時代から商品とともにお届けしている様々なマーケティング&コミュニケーションツールがあります。
これを、広義に「同梱物」として定義してします。
具体的には、下記のようなコンテンツが展開されていると思います。

①納品書(御買い上げ票)後払い振込票との一体型も多い
②領収書(納品書と一体が多い:書であって、証ではないことは注意)

③あいさつ状・メッセージカード
  ・初回購入時が基本、2回目以降入れないこと。
  ・商品購入のお礼状
  ・2回目以降での、コミュニケーションとして実施。
  ブランドブックや、商品のご利用方法、ユーザーボイス

サブスクリプション・リピート通販の場合
・初回:継続を促し、モチベーションを維持するためのリーフレット
・2回目以降:購入(お届け)回数に応じた、継続利用のための、フォローコミュニケーションツール

④クロスセルを訴求するパンフレット
⑤都度購入から、定期への移行メリット・ベネフィットを訴求するパンフレット
⑥キャンペーンを訴求するパンフレット・クーポン
⑦取り扱い商品の一覧などを掲載したパンフレット
⑧商品サンプル
⑨継続プレゼント・サプライズプレゼント
⑩情報誌・紙、会員専用コミュニケーション誌・紙

これらのコンテンツを、
1:顧客の状態(デモグラフィック・購買履歴・コミュニケーションへのレスポンス・ペルソナなど)
2:購入商品
3:初回・購入回数別
4:キャンペーン
などで、セグメント(分類)を実施して。
同梱ルールやキット順などや注意点をピッキングリスト(出荷指示書)に出荷情報ともに指示をして出力します。(マーケティング・CRM担当による設計と、システム上でのデータ登録などの要件を満たしていること)、その指示書を元に、梱包・配送担当が、キッチングして顧客へお送りしてお届けしています。

フルフィルメント&インクルード施策の目的と課題

では、なぜ、フルフィルメントの一部として同梱物の展開をするのでしょうか?

■目的

顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客への感謝の気持ちをお伝えするとともに、ご購入頂いた商品についてより理解を深めていただき、ご利用体験についてより顧客ひとり一人にとっての満足な体験をいただき、リピート購入(継続・他の商品)を促し、LTVを向上したいためです。
そのために、メールなどでのCRM施策だけではなく、開封率100%と言われている同梱物施策が効果的であると考えられています。

*顧客の購買体験の状況を見極めて、どのような施策やステップを踏むか、その結果からのアクションをどうするかは、こちらのサービス詳細説明をご確認ください。

OMO/D2C・ポストパーチェスCEMサービス

具体的には

①御礼・感謝:ご購入頂いてありがとうという気持ち

②ブランド・コーポレイトミッション理解促進:コーポレイトミッションを通じて、信頼・信用・正直で、安心して商品をご購入頂けることの共有と共感促進

③商品理解促進・深耕・醸成:顧客オケージョンに添った、商品ベネフィットと、それを実現するプロセスと他にはない特徴、顧客の購買体験が、間違っていなかったことや、ペインを解決して実現したいスタイルを投影してくれる思いをフォローするための、商品を購入して利用しているユーザーボイスやレビュー

④商品の利活用促進:正しく適切な使用量、使用方法をコミュニケーションすることで、ご提供するベネフィットを、顧客に利活用体験・体感を実感頂けるようにすること。

⑤行動喚起:顧客に促したいアクションとして、アンケートへの回答、SNSなどの公式アカウントのフォロー、SNSなどへの体験の投稿、拡散、友達・知人への紹介、キャンペーンへの参加、リピートや買い回りに向けてのサイトへの来訪


などのコミュニケーションとアクションを通じての、ブランドオリジナリティ価値の創造と商品価値の共有と拡大を実現したいとことだと考えています。

■課題

目的は壮大ではありますし、実施することは、顧客にとっても嬉しいことであれば、実施するべきです。顧客が嫌がることは実施しないがCRM・CXの基本です。(事業者はその結果を享受する立場であることを忘れがちになります。)

①納品書(後払い振込票との一体型でない場合もあり)と発送伝票の名寄せの煩雑化(納品書・発送伝票・指示書の一体型パターンもあり)と、名寄せ作業ミスの発生(個人情報の漏洩リスク)


②ピッキング作業の細分化に伴う、作業効率の低下=相対的なコストアップ

③肥大化する制作コスト
 プリンティングメディアの制作コストとしては、下記のような費用が想定されます。
  ・企画制作費用
  ・コピーライティング
  ・デザイン費用
   参考価格例:相談依頼するパートナーにより変動します。
   DM(A3二つ折り)4P 仕上A4 :480,000〜
   DM(A3・片観音)6P 仕上A4 :660,000〜
   同梱チラシ(A4ペラ1枚˾)両面 :200,000〜
   会報誌・情報誌(A4)24P :2,400,000〜
   コンセプトブック(A5・16P) :1,280,000〜
   挨拶状(A5・ペラ˾) : 50,000〜
   リーフ́ット(A5・二つ折り)4P :320,000〜
  ・印刷費用
   
  ・その他追加付帯業務費用
商品・モデ̀撮影   :400,000〜 撮影内容によって変動
取材撮影 : 80,000〜  撮影に掛かる諸経費は別途
取材費 : 30,000〜  取材に掛かる諸経費は別途
ヘアメイク(モデ̀ル撮影1日) :130,000〜
ヘアメイク :70,000〜
スタイ˿スト(イメージ撮影) :100,000〜
デジタルコミュニケーションの施策・コンテンツでも共有できる費用もありますが、オフライン(アナログ)メディア特有のコストも多々あります。

④同梱物在庫・発注点管理
  各制作物を管理するに当たって
  ・制作物 :タイトル
  ・管理コード(JANなど)
  ・有効期限
  ・ロット
  ・発注点管理
 ・論理在庫と理論在庫(実棚卸のタイミングと方法)
  などを、管理する必要があります。すべてが同一に発送・利用されるわけではないので管理は重要なポイントになります。

D2C デジタルプラットフォームでのCXとしての考えかた

フルフィルメント、同梱物管理についての課題について列挙してみましたが、従来・旧来の通販・Eコマースのビジネスモデルを踏襲(とうしゅう)する意味・目的は何でしょうか?
あらためて、CRM・CXの観点も含めて検証していきます。

問いかけ①:

納品書って顧客は詳細に見ているか、そして必要とされているのか
 顧客は納品書を、しっかりと確認しているのか
 顧客は納品書を必要としているのか
 必要としているのであればなんのため

こうしたら良いのでは提案①:

注文確認メールでもご連絡・確認しているのになぜ必要。
 確認が必要なら、マイページや、お問い合わせフォーム、LINEなどのメッセンジャーで 確認していただけるようにすれば良いのでは。

 SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」を意識していないブランドには厳しくなる価値観も醸成されつつある中、その1つでもある環境にも優しくなる点からも、顧客にお伝えすれば良いコミュニケーションになるのでは。

問いかけ②:

送料は無料ではない
 送料を「無料」として表記しているけど。本当は無料ではないよね。
 それが、商品コストに含まれていることは、顧客も知っているはず。

こうしたら良いのでは提案②:

送料表示はして、一定金額以上は値引き・サービスとして明確に表示するか、弊社負担表示が正直な姿勢では。

D2Cとして、送料分のコストを製品改良・原価として利用した方がより良い商品が提供できる点もしっかり訴求すべきだと考えるし、
 送料を別建てにして、商品代金を下げることの方が、顧客にとっては、購買体験、プロセスが明確化されて体験としてのベネフィットがあると考えるのが正直では。

問いかけ③:

決済手数料は無料ではない
 後払いの決済手数料も「無料」ではないですよね。
 これも商品コストの一部、クレジットカードもそうですが。(基本:クレカは手数料を別請求出来ない)
 後払い払込票も、同梱・同送することは、
 ・名寄せミスの原因なのと
 ・作業プロセスが輻輳化・煩雑化するので、別送が確実です。
  無理して入れる必要は無いのでは。

こうしたら良いのでは提案③:

後払い決済も、デジタル請求できるサービスがどんどん出ているので、顧客視点から言えば、紙で送られなくても、スマフォで支払いが出来る方が購買体験として良いと考えるけど。
 紙でほしい顧客は、そちらを選択出来るようにすれば良いはず。
 決済システムとコマースシステムと連携して、多様な決済サービスを導入して、利便性を上げて、相対的に、紙での決済利用件数を下げて行けば良いのでは。

 余り訴求はしたくは無いですが、デジタル決済を利用する顧客の方が、継続率も高いとのデータもあることだし。
 代引き決済も、様々な事業・業務視点などから、決済手段から無くしているD2C事業者も多くなっていますね。

問いかけ④:

挨拶状・メッセージカード以外の同梱物って必要
 顧客にとってオフラインメディアってどう捉えられているか考えてみた?。
 接触する回数・時間って、果たして?
 保管されて、再読されている?
 オフラインメディアって、顧客体験が事業者に伝わってこないし、相互インタラクティブではないし。


こうしたら良いのでは提案④:

挨拶状・メッセージカードに、
 オウンドコンテンツ、公式SNSのご案内、誘導があれば
 各メディアでのコミュニケーションで充分なオモテナシがご提供出来るのでは、
 コンテンツ企画や制作コストを、よりデジタルに重点的に投下できるので、より深く・幅広くコミュニケーションが出来るようになる理由は、シンプルに理解出来る。

 本当に、オフラインメディアを、CRM・CXの基盤の顧客コミュニケーションとするなら、
 真摯に同梱物に向き合って頂けると考えていたのが、旧来の通販モデルの成功のファクターだったはず。
 メールや、メッセンジャーなどで、同じようなコンテンツやコミュニケーションは展開しない方が、顧客にとって散漫にならないと考えるけど。

 更には本当に顧客へのひとり一人のパーソナライゼーションには一番遠いメディアだと捉えています。


これから
CRM・CXは顧客の態様によってどんどん変化していくべきもの。
今回は、フルフィルメントや、同梱物について考察してみましたが、折角のD2C事業を展開しているのであれば、顧客視点でのコミュニケーションが実施できるように設計することで、顧客購買体験をよりよいものに変容できるし、それが結果としてコストダウンになるので、顧客に商品価格や、品質(商品だけではなく、コミュニケーションも品質)として還元出来るので再設計・再構築しない手は無いと考えています。

いつでも、お気軽にご相談ください。

 

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西間木 智

監修者

株式会社富士ロジテックホールディングス

西間木 智 / 通販営業部 部長

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

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