オガミキヨ
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国内外のECをはじめ、リユース、美容・健康、音楽などあらゆるジャンルで執筆中のフリーランスライター。中国への留学経験を生かし、13年間、繊維製品や楽器、雑貨の輸入業務に携わる。現在はライター業のかたわら、個人で越境ECのセラーとしても活動中。

物流アウトソーシングとは?メリット・デメリットや費用、導入事例を紹介

物流代行

物流アウトソーシングとは?メリット・デメリットや費用、導入事例を紹介

近年、EC事業の拡大にともなうリソースや商品保管場所の不足から、物流アウトソーシングを検討する企業が増えています。

アウトソーシングは入念な打ち合わせにより予算やニーズに合う委託先を見つけることが重要です。コストの削減や事業の拡大が実現できれば、高い費用対効果が得られます。

本記事では、物流アウトソーシングのメリットとデメリット、依頼のポイントとおすすめのアウトソーシングサービスまで紹介します。

自社で導入を検討している方は、アウトソーシングによりどのような効果が得られるか、記事を読み参考になさってください。

物流アウトソーシングとは?

物流アウトソーシングとは?

物流アウトソーシングとは、自社でおこなう物流業務の一部もしくはすべてを外部委託する形態です。

一般的には、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)企業と位置づけられる物流のプロに委託します

物流アウトソーシングの種類

物流アウトソーシングには、定額系物流サービスとカスタム系物流サービスの2種類があります。以下、それぞれ簡潔に解説します。

1)定額系物流サービス

1つ目は委託できる業務内容が限られており、一律料金が設定されている物流アウトソーシングです。小規模事業者でも手軽に物流アウトソーシングを始められるメリットがあります。その一方で、個別の対応は行っておらず柔軟性が低いといったデメリットも。定額系の物流サービスは、細かいこだわりのない方や初心者の方向けのサービスです。

2)カスタム系物流サービス

2つ目は委託したい業務を3PL企業と相談のうえ、自由にカスタマイズできる物流アウトソーシングです。
自社のニーズに合わせた柔軟性のあるサービスを求めるなら、こちらが向いています。ただし定額系物流サービスのように料金設定が明確でないケースがあります。費用対効果を慎重に検証しましょう。

依頼できる業務内容

物流アウトソーシングで依頼できる業務内容をおおまかに分けると、以下の通りです。

依頼できる業務

内容

入荷〜検品

倉庫に商品が入荷した後、数量や損傷の有無を含む検品をおこなう

保管

バーコードやRFIDを付けたうえで保管

帳票の発行

出荷帳票・納品書・送り状などの発行

流通加工

ラベル貼りやセット組、ギフト梱包などの加工

ピッキング〜梱包〜出荷

受注した商品を保管場所から集め、梱包、仕分け、出荷

アフターフォロー

返金・返品処理、交換対応、商品の再加工など

上記の業務に加えて、受注処理カスタマーサービスも委託できるサービスも存在します。これをフルフィルメントサービスと呼びます。

物流アウトソーシングにかかる費用のめやす

物流アウトソーシングにかかる費用のめやす

物流アウトソーシングにかかる費用の相場は、以下の通りです。

あくまでも、おおよその目安としてご参照ください。

固定費

基本料金
またはシステム使用料
(1カ月あたり)

30,000〜50,000円

 

保管料
(1坪・1カ月あたり)

4,000円~8,000円

変動費

入庫料
(1個あたり)

10~40円

デバンニング料
(1コンテナあたり)

20ft:15,000~25,000円

40ft:20,000~50,000円

検品料
(1個あたり)

10~100円

ピッキング作業料
(1個あたり)

10~30円

梱包料
(1個あたり)

100円〜400円

発送料
(1個あたり)

400円〜1,500円

 

物流アウトソーシングを依頼するメリット

物流アウトソーシングを依頼するメリット

物流アウトソーシングの利用で得られるメリットを、大きく以下3つに分けてお伝えします。

  1. 物流コストが削減できる
  2. 物流作業の品質が向上する
  3. 本来やるべき業務に集中できる

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

1)物流コストが削減できる

物流アウトソーシングを利用すれば、人件費や保管費、人材育成費、システムの導入費用を抑えられる可能性があります。

たとえば自社で物流をおこなう場合、出荷量が少ない閑散期にも保管費や人件費は固定費として発生し続けます。物流業務をアウトソースすれば、物量の分だけ倉庫や人員を確保できるため、人件費や保管費が変動費になり物流コストの削減につながるでしょう。

また物流業務を自社から切り離すことで、物流に関わる人材育成費の削減も可能です。

そのほか、3PL企業の倉庫管理システムを使用すれば、自社でシステムを導入する初期費用も節約できます。

2)物流作業の品質が向上する

物流作業をプロの3PL企業に委託すれば、作業効率が上がり、人的ミスや納期遅れを解消できます。

物流アウトソーシングを請け負う大手3PL企業のなかには、ロボットやシステムを導入している企業も少なくありません。たとえばピッキングや搬送をロボットの活用で自動化すれば、人的ミスが減少して、作業品質の向上と効率化が実現します。

これらのソリューションを自社で導入するには多くの場合、初期投資が必要になります。物流業務をアウトソースすることで最新の技術を低コストで利用可能です。3PL企業には豊富な人材とシステム、経験があります。繁忙期にも高品質なサービスを提供できるのが、大きなメリットです。

3)本来やるべき業務に集中できる

アウトソーシングの利用により生まれた余力で、本来やるべきコア業務に集中できます。

物流業務は、伝票処理やピッキング、梱包など煩雑な作業が多いため、出荷量が増えるほど多くの人員と時間を要します。物流業務で手一杯になってしまい、利益を向上するためのコア業務が手付かずになってしまうケースは、成長中の企業において珍しくありません。コア業務には、たとえば商品開発や新規顧客獲得のためのマーケティング施策などがあります。

物流アウトソーシングでコア業務に注力する余力を生み出せば、事業の拡大につながる可能性があります

物流アウトソーシングを依頼するデメリット

物流アウトソーシングを依頼するデメリット

物流アウトソーシングで得られるメリットが分かったところで、デメリットについても理解しておきましょう。

1)自社物流より柔軟な対応が取りづらい

物流アウトソーシングのデメリット1つ目は、イレギュラーが発生した際、柔軟な対応を取りづらい点です。

注文の変更や追加、梱包の変更など細やかな指示をスタッフに直接できないのが自社物流との大きな違いです。

また、イレギュラー対応には追加のコストがかかる場合もあります。3PL企業に柔軟なサービスを求めるケースが増加すれば、コストの上昇は避けられないでしょう。

2)自社にノウハウが蓄積されない

物流アウトソーシングの2つ目のデメリットは、社内に経験値が蓄積されなくなる点です。

自社から物流作業を切り離し3PLに丸投げすれば、作業の効率化やコスト削減が期待できる一方、ノウハウは得られません。ノウハウが蓄積されないままアウトソーシングをやめてしまうと、業務が停滞するおそれがあります。

対策として、自社の担当者が委託先と密にコミュニケーションを取り全体像を把握しておくことが求められるでしょう。

<関連記事>「EC物流アウトソーシングのメリット・デメリット!おすすめ企業3選も紹介

物流アウトソーシング導入までの流れ

物流アウトソーシング導入までの流れ

次に、物流アウトソーシングを導入するまでの具体的な流れをお伝えします。

1)自社物流の現状と課題を洗い出す

物流アウトソーシングを依頼するには、まず自社の課題の明確化が重要です。課題が分かれば不必要な業務まで委託し、無駄なコストを支払う心配がありません。

2)複数の業者に問い合わせる

課題が明確になったら、複数の業者に問い合わせします。

自社商材の取り扱い実績も確認しながら選定するとよいでしょう。

3)見積もりと提案書の作成依頼をする

ニーズに合いそうな業者から、見積もりと提案書の作成を依頼します。

「求めるサービスを依頼可能か」「イレギュラー対応は可能か」「予算にあっているか」などの条件をもとに、自社のニーズに合った業者を選びましょう。

4)アウトソーシング業者の比較、選定

見積もりや提案を比較すると同時に、実際に倉庫を見学するのも重要です。

遠方の場合は、オンラインでの倉庫見学が可能な企業もあります。

5)契約を締結し、委託する

倉庫見学まで終えたら、業者を選定し委託契約を結びます。

担当者とのコミュニケーションの取りやすさなども考慮しましょう。

物流アウトソーシングを依頼する際のポイント

物流アウトソーシングを依頼する際のポイント

ここからは、物流アウトソーシングを依頼する際のポイントを以下の通り解説します。

  1. 実績が豊富な業者を選ぶ
  2. 対応可能な業務を確認する
  3. 自社システムとの連携ができるかを確認する

実績が豊富な業者を選ぶ

物流アウトソーシングの委託先には、実績が豊富な企業を選びましょう。

通販、EC物流の取り扱い実績はもちろん、自社の取り扱い商材の実績も確認が必要です。企業によって得意分野が異なる場合があります。

実績豊富な企業なら、トラブル発生時にも蓄積されたノウハウによりスムーズな対応が期待できるでしょう。

対応可能な業務を確認する

自社で洗い出した物流課題を解決できるサービスがあるかどうか、必要なサービスを網羅しているかも確認しましょう。

確認事項の一例として、ギフトラッピングなど流通加工への個別対応、商品の返品・交換対応などがあげられます。

自社システムとの連携ができるかを確認する

自社ですでに使用しているOMS(受注管理システム)がある場合、委託先で使用するWMS(倉庫管理システム、在庫管理システム)との連携が可能かどうかを確認しましょう。

連携方法によっても、作業効率が変わります。自動連携、API連携、CSV連携のうち、どの方法で連携するかあわせて確認してみてください。

楽天市場・Shopify・Yahoo!ショッピング・Amazonほか、複数のECサイトを運用している方は、これらのシステムを一元管理できるかどうかも作業効率化のために確認すべきポイントです。以下の記事で詳しく解説しています。

【ロジレス連携倉庫が語る】システム活用によるEC受注〜出荷自動化のススメ

物流アウトソーシングサービス企業3選と導入事例

物流アウトソーシングサービス企業3選と導入事例

物流アウトソーシングサービス企業のおすすめ3選と、それぞれの導入事例をご紹介します。

  1. 【倉庫事業100年の実績豊富な大手3PL】富士ロジテックホールディングス
  2. 【ささげ業務まで対応可能】株式会社スクロール360
  3. 【冷凍・冷蔵食品に強い】株式会社ミラク

【倉庫事業100年の実績豊富な大手3PL】富士ロジテックホールディングス

富士ロジテックホールディングスは、実績が豊富な3PL企業です。20年で100社以上のEC・通販事業者様の物流をサポートしてきました。

アパレルや雑貨をはじめ、家具や食品など多種多様な業種形態に対応しています。

導入事例1:ベビー用品・アパレルのA社

カタログ通販からEC販売に主軸を移行する際、EC物流に対応するシステム構築をアウトソーシングしました。現在、出荷数が1日2,000件〜3,000件になるまで事業の拡大に成功しています。

導入事例2:化粧品・コスメ販売B社

化粧品の新規事業で発注数が1,000件を超えた時点で、物流アウトソーシングを導入。保管拠点を地方に移転し、配送コストを削減しました。

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【ささげ業務まで対応可能】株式会社スクロール360

株式会社スクロール360は、EC・通販事業者のささげ業務を含む物流工程のほか、マーケティングまでサポートが可能な3PL企業です。

ささげとは、撮影・採寸・原稿の頭文字の略称です。アパレルなどの商品情報登録作業を指します。

導入事例1:アパレルメーカーA社

BtoCに特化した3PL企業を求めてスクロール360へアウトソーシングを依頼。受注・問い合わせ対応・後払い、ささげ業務までワンストップで委託しました。細かい業務が手放せたのと同時に作業スピードも向上し、本来やるべき販促業務に集中できるようになりました。

導入事例2:手芸用品販売業E社

自社保管場所とリソース不足により、物流アウトソーシングを導入。

保管や発送のみならずECモールへの商品登録業務を委託しました。その結果、モールのレビュー評価が4.6から4.82にアップし、サービスの品質が向上しました。

【冷凍・冷蔵食品に強い】株式会社ミラク

株式会社ミラクは、超低温冷凍・冷凍・冷蔵・定温対応の倉庫を完備した食品の物流に強みを持つ3PL企業です。

導入事例1:冷凍食品・スイーツ販売業T社

冷凍のEC出荷に対応できる環境が整っていたため、アウトソーシングを依頼しました。温度差により商品が傷む心配がないため、安心して細かい作業を任せられ、作業が効率化しました。

導入事例2:サービス業D社

冷凍・冷蔵の知見が少なかったので、冷凍倉庫の保管サービスがあるミラクにアウトソーシングを依頼。適正な温度での保管が実現したと同時に、倉庫管理システムの導入も委託し、作業効率がアップしました。

<関連記事>「発送代行のおすすめ業者8選!依頼できるサービスや料金・選定のポイント

物流アウトソーシングは最適なタイミングで利用しよう!

物流アウトソーシングを検討するタイミングは、企業によって異なります。以下は、代表的な例です。

  • 出荷量が増え、自社のリソースや保管場所が不足しはじめた
  • 出荷対応が追いつかず、発送遅延やクレームが発生した
  • 物流業務に人員と時間を取られ、商品開発やマーケティングがおろそかになっている
  • 梱包・配送コストが増加している
  • 今後の事業拡大に備えて物流機能を整えたい

課題が大きくなりすぎると、業務の進行に支障が出るおそれがあります。

上記のような課題は放置せず、早めに3PL企業に相談しましょう。

 

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