西間木 智
西間木 智

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

EC物流の需要拡大!今後のEC市場見据えた物流倉庫の選び方

物流代行 発送代行

 

 EC事業において、EC物流はビジネスを左右する重要な要素です。EC市場規模が拡大する中で、競争は激しさを増しています。

EC物流を見直して改善を図ることで、今後のEC市場でも長期的かつ安定的な事業展開が期待できます。そのために必要なのは、自社のEC物流を支えるのに最適な物流倉庫を選ぶことです。

本記事では、EC市場の最新動向や今後の成長予測、EC物流の需要が拡大している理由など、EC市場全体について説明します。

EC市場について踏まえたうえで、EC物流を外注するメリットや、EC物流倉庫の選び方のポイントをお伝えします。

自社に合った物流倉庫を選び、EC物流の最適化に役立てていただけますと幸いです。

EC市場の最新動向

引用元:令和3年度 電子商取引に関する市場調査  報告書 

 経済産業省が2022年8月に発表した「令和3年度電子商取引に関する市場調査」によると、2021年における国内BtoC-EC市場規模は20兆6,950億円で、2020年の19兆2,779億円より1兆4,171億円増加しました。

分野別の伸長率は、物販系が8.61%、サービス系が1.29%、デジタル系が12.38%で、すべて2020年より伸びていることがわかります。

国内BtoC-EC市場規模は2020年にほぼ横ばいとなりましたが、2013年の11兆1,660億円から拡大しており、上昇傾向が続いているといってよいでしょう。

EC市場の今後の成長予測

 

引用元:NRIメディアフォーラム:「ITナビゲーター2021年版」

野村総合研究所が2020年12月に公表した「ITナビゲーター2021年版」では、2026年のEC市場規模が29.4兆円に達すると予測されています。

今後のEC市場規模に大きく影響すると考えられているのが、実店舗の役割変化です。

商品購入の場がオフラインの実店舗ではなく、オンライン上に変化していることが理由として挙げられます。

またEC販売には固定コストが少ないなど事業者にもメリットがあるため、より多くの企業が参入することで、さらなるEC市場規模の拡大が見込まれます。 

EC物流の需要が拡大しているわけ

引用元:令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査) 

上昇傾向にあるEC市場規模の中で、著しく成長したのがEC物流です。

経済産業省の「令和2年度電子商取引に関する市場調査」によると、2020年における物販系分野の国内BtoC-EC市場規模は、12兆2,333億円に達しました。

伸長率は21.71%で、物販系分野のEC市場規模が大幅に拡大していることがわかります。

また国土交通省の調査では、2020年の宅配便取扱個数が約48億個で、前年度より約11.9%増加していることがわかっています。

国土交通省の調査

EC物流の需要が拡大しているのは、前述した実店舗の役割変化に加え、EC‎事業者による配送サービスを充実させる取り組みが理由の一つです。

ほかにもスマートフォンの普及などにより消費行動のEC化が進み、EC物流への需要が高まっていると考えられます。

EC物流とは

 EC物流とは、オンライン上で扱う商品の管理方法を示す言葉です。具体的には、入荷・保管・検品・発送など、商品が倉庫から顧客の元に届くまでの一連の流れを指します。

 EC物流を見直すことで、顧客満足度の向上や業務効率化、コスト削減などが期待できます。EC市場規模が上昇傾向にある今、EC物流の改善を図ることは、とても重要です。

EC物流を外注化するメリット

 EC物流にはさまざまな課題がありますが、物流代行サービスや発送代行サービスを利用することで、物流業務の効率化が期待できます。

EC物流を外注化する具体的なメリットは、以下のとおりです。

物流品質を高められる

 物流代行サービスの業者には、多くの経験から培われたノウハウやスキルがあるので、高い水準での業務遂行が可能です。

出荷時のミスや欠品などが続くと、顧客からの信頼を失い、売上や利益の低下につながるおそれがあります。

EC物流の外注により物流品質を高められるので、顧客との良好な関係を築き、長期的な事業展開が期待できます。

物流コストの削減につながる

 EC物流業務を自社で担っていると、人件費などの物流コストが生じます。毎月発生する固定費として、経営を圧迫するおそれもあります。

物流代行では商品数によって費用が変わることが多く、物流コストの最適化が可能です。物量が少ない場合は費用を抑えられるため、物流コストの削減につながります。

主要業務に専念できる

EC事業の規模が大きくなると、物流業務に多くの時間や人材を割かなければならず、自社の主要業務がおろそかになる可能性が出てきます。

代行サービスを利用すれば、物流業務を自社だけでこなす必要はありません。

社内リソースにも余裕が生まれるため、新商品の開発やマーケティング戦略の立案など事業発展のための業務に専念できます。

繁忙期の負担を減らせる

EC物流を外注化すれば、繁忙期のリソース不足にも対応可能です。

 繁忙期に急に注文が増えた場合、人材確保が難しいことがあります。限られた人員だけでは対応しきれず、発送スピードが落ち、顧客満足度が下がってしまうかもしれません。

物流代行および発送代行サービスには十分なリソースがあるため、繁忙期における人材確保や物流業務にかかる負担を減らせます。

物流業者の専門知識を生かせる

 物流代行や発送代行の業者は、物流業務に関する多くのノウハウを有しています。

 専門的な知識や最新の業界トレンド、最適なツールなどを活用することで、売上や利益拡大が期待できます。

特に自社の業界に詳しい物流業者を選べば、代行サービスの効果を最大限に引き出せるでしょう。

EC物流倉庫とは

 EC物流を見直すうえで重要なのが、EC物流倉庫です。

 EC物流倉庫とは、EC通販事業に特化した物流倉庫を指します。主に消費者向け商品を取り扱い、多くの種類の在庫管理が可能です。

 ほかにも迅速な出荷や流通加工、アフターフォローの充実などの特徴があります。

今後のEC市場見据えた物流倉庫の選び方

前述したとおり、今後もEC市場は引き続き成長すると予測され、物流倉庫の選び方が重要となります。

この章では、食品類に対応したEC物流倉庫を例に、物流倉庫の選び方について解説します。

食品類(食品、飲料、酒類)のEC物流は成長の余地が大きく、今後は顧客へ商品を届ける最後の区間、いわゆるラストマイルの配送網がより重要です。

食品類の配達には、幅広い温度帯への対応や、受け取りまでの時間をより短くすることが求められます。

顧客の宅配ニーズに応えるのに必要なのが、自動化設備などのテクノロジーや、管理システムによるデジタル化です。

物流倉庫で導入されるのは、マテリアルハンドリング(マテハン)機器とロボットのいずれかです。

管理システムによるデジタル化が進めば、在庫状況や出荷状況をリアルタイムで確認できます。

自動化設備や管理システムにより、大幅な業務効率化が期待できます。

食品類を取り扱う方はもちろん、EC物流業務の効率化を図りたい場合は、今後のEC市場を見据えたうえで、最新テクノロジーを備えた物流倉庫を選ぶとよいでしょう。

EC物流倉庫の種類

 EC物流倉庫の種類は、以下のとおりです。

販売を主体としたタイプ

 販売主体の倉庫は、注文受付から発送手配、返品処理など、幅広いEC販売業務のサポートが可能です。

 代表的な例としてAmazonの「フルフィルメント by Amazon」が挙げられます。自社で担う販売業務を効率化でき、高い費用対効果が期待できます。

 しかしルールが画一化されており、柔軟なカスタマイズが難しい点に注意が必要です。

業種に特化しているタイプ

 業種に特化した倉庫には、特定の商品に対応可能な機能が備わっています。たとえば食品や医薬品では適切な温度管理が、アパレル商品では補修やアイロンがけが必要です。

特定の商品を扱う場合は、自社で設備や機械をそろえなくてすむため、コストを抑えることができます。

倉庫サービスがメインのタイプ

 倉庫サービスがメインとなる物流倉庫は、優れたカスタマイズ性が特徴です。商品の保管や流通加工など、ニーズに合った運用が可能となります。

 物流品質を高めたい場合におすすめですが、要望が多いとコストも高くなるので注意しましょう。

システム会社が提携しているタイプ

 システム会社から紹介された物流倉庫に対し、業務を外注する形となります。運用がシステム化されているため、コストを抑えられるのがメリットです。

 しかしシステム会社を経由するため、物流倉庫と直接やりとりできず、トラブルが生じる可能性があります。

 カスタマイズが難しいというデメリットもあるため、業務の流れがシンプルな場合におすすめです。

EC物流倉庫を選ぶ際のポイント

 EC物流倉庫の選び方は前述しましたが、ほかにも以下の点を押さえておきましょう。

自社商品に適したサービス内容か

 自社商品に合ったサービスを提供しているか、確認しましょう。

EC物流倉庫を選ぶ際には、在庫量や商品の種類、管理方法、流通加工、発送頻度など多くの要素を考える必要があります。

自社商品に適していないEC物流倉庫を選んでしまうと、物流品質が下がり、EC物流の改善につながりません。

可能であれば実際に倉庫へ足を運び、問題がないか確認してから判断することをおすすめします。

立地条件が適切か

 物流コストや配送スピードに大きく影響するため、EC物流倉庫の立地条件は重要です。

 交通の便が良い場所に倉庫があれば、配送料や配送時間を節約できます。災害時のリスクも考え、複数拠点を設けられる立地を選ぶのもよいでしょう。

 ただし都心部など立地条件の良い場所は、コストが高くなるおそれがあります。

 立地とコストのバランスを考えて選ぶようにしましょう。

システムなどの設備が整っているか

 EC物流倉庫に備わるシステムも、EC物流に関わる重要なポイントです。

 在庫管理システムや物流システムが整っていると、商品の受発注や在庫管理、返品処理などの効率化が可能です。

 物流業務の効率化を重視したい場合は、システムなどの設備が整ったEC物流倉庫を探しましょう。

セキュリティ対策は万全か

 倉庫のセキュリティ対策にも注意しましょう。倉庫内での事故や自然災害への対策ができていると、リスクを最小化できます。

 また食品や医薬品などで適切な温度管理が必要など、セキュリティ対策は商品状態の管理にも関わります。

 事業を安定させるためにも、セキュリティについて十分に検討しましょう。

サポートが充実しているか

 トラブルが生じた際に迅速に対応可能か、サポート体制もチェックしましょう。すぐに連絡をとれる体制が整っていると、大きな問題に発展させずにすみます。

 また自社の基幹システムと連携できるかも重要です。システム連携により、倉庫内の在庫情報をリアルタイムで把握できるので、誤発注などのミスを防げます。

EC物流についてのまとめ

 今後ますます伸びていくEC市場においては、自社に合ったEC物流倉庫を選ぶことが大切です。

 EC物流の外注には、顧客満足度の向上や業務効率化、コスト削減など多くのメリットがあります。

 最適な物流代行サービスや発送代行サービスを選び、EC事業をさらに発展させていきましょう。

 

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西間木 智

監修者

株式会社富士ロジテックホールディングス

西間木 智 / 通販営業部 部長

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

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