梅山茜
梅山茜

物流会社でEC発送代行のバックオフィス業務に従事する複業ライター。好奇心旺盛な性格で、過去に営業職や販売職、医療ソーシャルワーカーなどを経験。豊富な経験を活かして物流、医療・福祉、資格、ライフスタイル記事など幅広い分野の執筆を担当する。カテゴリー問わず、便利で使いやすい商品やサービスを求めて、ネットサーフィンを繰り返す日常を送る。趣味は旅行とレトロモダンなカフェ巡り。

ロジスティクスと物流の違いとは?仕組みや重視される理由を具体的に解説!

物流代行 発送代行

ロジスティクスとは、商品を効率的に生産・流通させることを意味します。近年では、ECサイト上で気軽に商品が購入できる環境も相まって、消費者ニーズが多様化している状況です。売れ筋商品の移り変わりが激しく滞留在庫や欠品など、在庫管理に悩まされている企業も多いのではないでしょうか。

消費者に円滑に商品を供給するためには、ロジスティクスを機能させることが重要とされています。ロジスティクスをうまく活用し市場動向を正確に把握することで、生産から流通までの一連のフロー効率化が図れるでしょう。

本稿では、ロジスティクスと物流の違い、ロジスティクスの仕組みや重視される理由をわかりやすく解説します。

ロジスティクスの概念・機能

ロジスティクスとは商品を効率よく生産し、円滑に流通させるために需要と供給の適正化を図る仕組みのことです。ロジスティクスの概念には、生産・保管・出荷・輸配送のほかに、コスト管理や環境保全、安全対策などの社会的な課題に対処するための経営管理まで含まれます。

生産段階から管理するため、商品ごとに必要な在庫数の把握が可能になり、過剰な在庫を抱えるなどの「ムダ」を大幅に削減できます。さらに、消費者へ迅速な出荷や輸送ができるため、顧客満足度の向上にもつながる戦略です。

「ロジスティクス」と「物流」は同じ意味のように使われることがありますが、実は意味が異なる言葉であり、同義ではありません。

ロジスティクスとは、物流全体の供給プロセスを最適化・効率化できるよう一括管理することと定義されます。具体的には、原材料の調達から生産、販売までを指し、生産・流通に関わるすべての事柄が対象です。

一方で物流は、商品を生産地から消費者に届けるための包装・荷役・保管・流通加工・輸配送情報処理の一連の過程と定義されており「物の流れ」のみを指します。

つまり、ロジスティクスは物流よりも広義の意味で使用されており、物流はロジスティクスを機能させるための一部なのです。

ロジスティクスが重視される理由とは

ロジスティクスが重視されるのは、需要に対して供給が追いついていない事態を改善させる手段の一つであるためです。

ECサイトの充実によって、インターネット上で気軽に商品を購入できるようになり、配送の物量が年々増加傾向にあります。その一方で、配送を担うトラックドライバーの人手不足が深刻化。需給のバランスが崩れつつあることが課題に挙げられます。

<関連記事>「物流業界の人手不足が深刻化!現状と原因、対策を解説【2023年最新】

さらに、2024年には働き方改革関連法適用により、トラックドライバーの時間外労働の上限が規制されることが決まっている状況です。供給の担い手が不足する事態はさらに深刻化することが予想されます。こうした背景もあり、効率よく商品を生産・流通できる「ロジスティクス」が重視されているのです。

<関連記事>「2024年問題とは?物流業界の課題に挑む働き方改革とその対応策を解説

ロジスティクスが機能していない場合、人手不足などが原因で生産から輸配送までの業務が追いつかなくなるリスクも高まります。業務が滞ると商品発送の遅延が発生し、消費者に商品が届かない事態が頻発するおそれも。

ロジスティクスの運用がうまく機能すれば、物流全体の最適化・適正化が図れるため、これから訪れる深刻な事態にも対処できる体制が整えられるでしょう。

ロジスティクスの運用目的

ロジスティクスの運用目的は、次のとおりです。具体的に確認していきましょう。

  • 業務効率化・生産性の向上
  • 物流コスト削減
  • 在庫管理の適正化
  • コア業務への注力

業務効率化・生産性の向上

ロジスティクスの一環として配送手段やルートを適正化することで、効率的な生産や販売、在庫、輸送計画などが立てられるメリットがあります。

正確な需給予測によって市場ニーズに合った商品生産ができるため、過剰生産を防ぐことにもつながります。また、物流拠点の見直しによって在庫移動のための輸配送などの手間も削減できるでしょう。

<関連記事>「物流拠点を最適化する方法とは? ポイントや取り組み事例を解説!

物流コスト削減

ロジスティクスを機能させることで、物流コスト削減も目指せます。市場ニーズが把握できれば過剰生産を防ぐことにつながり、結果として倉庫保管料や品質保持にかかる諸経費の削減が図れるためです。

また、在庫を保管するには、倉庫の保管料や従業員にかかる人件費や光熱費などの維持コストが発生します。商品数を厳選したうえで、適切な在庫数で管理を行えれば、過剰にコストがかかる事態を防げるでしょう。

在庫管理の適正化

ロジスティクスが機能すると、リアルタイムで正確な販売予測数の算出や在庫管理の適正化が図れるメリットがあります。発注漏れなどによる欠品防止や過剰生産防止にもつながります。

ECサイト上で簡単に商品購入ができる現代では、消費者が求める商品の移り変わりが激しいものです。そのため、商品が売れ残るリスクが高まり、不良在庫や滞留在庫になる可能性も高くなります。

ロジスティクスによって在庫管理の適正化を図ることで、過剰な在庫を抱えてしまうリスクも低減できるでしょう。

コア業務への注力

ロジスティクスが機能していない企業の場合、営業担当者が在庫管理を兼任していることも珍しくありません。在庫管理業務は正確さが求められるため、兼任している場合は担当者の業務負担量も必然として大きくなります。

ロジスティクスを機能させることで生産・在庫管理の適正化ができれば、営業担当者が兼任する必要がなくなり、本来の業務に集中できるでしょう。営業活動に注力できるため生産性を高められ、商品の売上アップも期待できます。

ロジスティクスを最適化するためには

ロジスティクスを効率よく最適化するうえでは、次の要素が重視されています。

  • 消費者ニーズの把握
  • 物流システムの確立

消費者ニーズの把握

消費者ニーズを正確に把握することで、売れる商品・売れていない商品を明確に判別できるようになります。売れている商品を中心に生産や販促活動ができるため、販売数の増加につながり、売上アップも期待できるでしょう。

また、市場で売れている商品在庫が充実していれば「売り切れ」「入荷待ち」など売れない期間が発生することなく、販売機会損失の予防にもつながります。

物流システムの確立

ロジスティクスを最適化するには、さまざまなデータが一元化できる物流システムの確立も有効な手段といわれています。顧客情報やニーズを正確に把握するためには、複数のデータが必要なためです。

生産・入出庫・トラック動態・在庫・購買データなど、取得できる情報を活用しましょう。昨今では、手軽に導入できるクラウド型物流システムが多く台頭しています。それらのシステムの連携や自社システムの確立による、情報の一元管理が有効です。ロジスティクスの最適化が目指せます。

今後のロジスティクスに期待されること

消費者の需要に応えるためには、ロジスティクスを機能させることが重要です。ここからは、今後のロジスティクスに期待されていることを解説します。

  • SCM(サプライチェーンマネジメント)との連携
  • 最新技術の導入
  • 省人化・省力化への取り組み

SCM(サプライチェーンマネジメント)との連携

ロジスティクスの今後の戦略の一つに、サプライチェーンマネジメント(以下、SCM)が改めて注目されています。SCMとは、物流全体(材料調達、生産、販売、輸送までの一連の過程)の流通を最適化することを意味します。

ロジスティクスは「物の流れ」を最適化することに特化した戦略ですが、SCMはサプライチェーン全体を最適化する戦略です。ロジスティクスはSCMの大きな枠組みの一部であり、物流全体の最適化を叶えるためには、ロジスティクスを機能させることが重要な柱となるでしょう。

最新技術の導入

ロジスティクスを最適化する手段の一つに、物流業務を一元管理できるソフトウェア「倉庫管理システム(WMS)」の活用が有効とされています。しかし今後は、loTやAIなどの新たな技術による自動分析も重視されています。最新技術の活用により、消費者のニーズをより細かく分析できるためです。

消費者の動向をloTやAIによって自動分析することで、生産管理や在庫管理なども自動で必要在庫数の算出ができるようになります。人為的な作業が大幅に削減されるため、非効率な業務の削減が期待されています。

省人化・省力化への取り組み

ロジスティクスを機能させるためには、物流DX化も重視されています。物流DX化とは、機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革することを指します。

物流ロボットや自動運転の導入によって、アナログであった物流業務プロセスを機械が担えるようになるため、人員が足りていない現場において「省人化・省力化」が期待できるでしょう。

また、物流ロボットや自動運転による機械化は省人化・省力化に効果的なだけでなく、入出荷データや実績データ、作業時間などをデジタル化したデータの蓄積も可能になります。

蓄積されたデータは、作業単価・作業時間・リードタイム・配車計画などの業務フローの見直しをする際に重要な根拠となるものです。これらのデータを活用し、従来の物流サービス内容を見直し、新たに最適化されたサービスを提供できれば、企業全体の収益改善の一歩につながるでしょう。

ロジスティクスの円滑な運用にはフルフィルメントサービスが効果的

ロジスティクスとは、消費者の需要に円滑に応えるために、商品の生産・流通を効率化することを指します。細かく市場動向を把握することで、ニーズに合わせた商品供給が可能になる有効な手段です。

二―ズが多様化している現代で需要に応えていくためには、ロジスティクスを機能させることが必要不可欠でしょう。

富士ロジテックホールディングスでは「入庫・検品、保管、流通加工、梱包、出荷、受注処理から決済処理、カスタマーサポート」をすべて代行するフルフィルメントサービスを提供しています。ロジスティクス運用の見直しもお気軽にお問い合わせください。

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梅山茜

ライター

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