Shopifyを利用して自社ECサイトを運営するうえで、
「物流業務に時間がかかる」
「適切な物流サービスの選び方が分からない」
このように悩む方も多いでしょう。
物流面で課題を抱える方にとって、Shopifyとの連携は魅力的な選択肢のひとつです。世界175か国以上で利用されるShopifyは、店舗数170万を超えるECプラットフォームで、物流面のサポートも充実しています。
本記事では、Shopifyを活用する際に直面する物流の課題や施策を詳しく解説します。
Shopifyにおける物流管理の流れ
EC業界では商品の注文を受けてから顧客の手元に届くまでの物流管理の一連のプロセスを、フルフィルメントといいます。Shopifyにおけるフルフィルメントには、主に次のような業務があります。
- 入荷管理・検品作業
- 商品の保管
- 受注処理
- ピッキング・流通加工
- 梱包・発送
- 返品処理・顧客対応
順番に解説していきます。
入荷管理・検品
ECサイトで販売する商品は、卸売業者やメーカーなどの仕入れ先から物流倉庫に入荷します。その際、検品作業を通じて商品数が正しく入荷されているかを確認します。
近年では、バーコードとハンディターミナルを導入する企業が増加傾向です。システムによる商品管理は、過剰在庫や欠品のリスクを防ぎ、コストの削減につながります。
商品の保管
入荷管理が終わった商品は、種類別に指定の棚に格納します。この一連の工程を「棚入れ」と呼びます。
棚入れは、後工程であるピッキングや配送作業で、ミスが起きないよう正確性が求められる工程です。商品の大きさによってラックやパレットを用いて保管したり、ピッキングしやすいように配列方法を工夫したりと、商品に合わせた保管方法が求められます。
受注処理
受注処理は顧客からの注文を受けて、出荷準備を行う業務です。在庫管理システムと連動した受注管理システムを導入しておくと、スムーズな出荷指示が可能になります。
ピッキング
ピッキング業務とは、出荷指示に従って在庫から必要な商品をピックアップする作業です。この工程では、正確性とスピードが求められます。
入荷管理と同様、バーコードを利用したハンディターミナルや、タブレットと台車を組み合わせたタブレットピッキングなど、作業効率を向上する技術の導入が進んでいます。
流通加工
流通加工とは、商品が出荷される前に行う一連の加工作業のことです。例えば、検針、タグ付け、箱詰め、ラベル貼り、ラッピング、ネーム入れなどが含まれます。
流通加工には商品の付加価値を高める目的があり、他社との差別化により顧客のリピート数や商品レビューにも大きく影響するため、質の高いクオリティが求められます。
梱包・発送
梱包・発送作業は、商品を顧客に安全かつ確実に届けるための重要な工程です。梱包作業では、破損を防ぐために緩衝材を用いたり、開封しやすく環境に配慮した梱包資材を採用したりと、細やかな配慮が求められます。
また、次回購入時に利用できる割引クーポンや試供品などを同梱し、リピート率を高める工夫も必要です。発送業務では、注文時に取得した顧客情報をもとに宛名ラベルを作成し、適切な配送方法を選択します。
返品処理・顧客対応
返品処理や顧客対応も、フルフィルメント業務のひとつです。返品や交換業務が発生した際は商品の状態を確認し、スムーズに返品処理を行う必要があります。
また、商品の不具合やクレームへの対応は、ブランドイメージの信用性にも大きく影響するため、真摯な対応が求められます。
<関連記事>「フルフィルメントとは?今さら聞けないEC物流の基礎知識」
ShopifyでEC運営する際の物流の課題
Shopifyの運営では企業規模や取り扱う商品によって、次のような物流の課題が発生するケースがあります。
- 課題1.コストの負担が大きい
- 課題2.人的ミスが発生しやすい
- 課題3.配送に時間がかかる
- 課題4.専門の物流知識が必要になる
課題の内容や原因を詳しく解説します。
課題1.コストの負担が大きい
ShopifyでEC運営をする際、コストの負担が大きいことが物流課題の一つです。EC物流ではスタッフの人件費のほか、倉庫の保管費用やシステム運用費、梱包、ラッピングの資材費などのコストが発生します。
ECで取り扱う商品数や出荷量が増えると、物流業務も比例して増加するため、その分人件費もかかります。また、商品の種類によって繁忙期や閑散期が発生し、人員配置の調整が難しくコストが膨らみやすいことも問題点と言えるでしょう。
課題2.人的ミスが発生しやすい
手作業の多い物流業務では、人的ミスが発生しやすいことが課題です。特に衣服やコスメなど、カラーや種類が細分化されたSKUが多い商品は、誤発送や数量違いといった人的ミスが起こりやすくなります。
物流工程による人的ミスは、売上に大きく影響するため注意が必要です。例えば、ミスが原因で返品作業が増えると、返品対応に人的リソースを割かれるだけではなく、返品費用の負担も増加します。
そのため、バーコード管理の導入や作業フローの見直しなど、ミスを防ぐ仕組みづくりが必要です。
課題3.発送までに時間がかかる
EC物流では、発送までに時間がかかることも課題の一つです。物流業務には、入荷、保管、ピッキング、出荷、顧客対応など、多くのプロセスが生じます。
例えば、ピッキング作業では先入れ先出しや正確なロット管理が必要です。また、梱包作業では、ギフト用のラッピングやメッセージカードの同梱など、顧客のニーズに対応する必要があります。
顧客満足度を向上させるためには、スピード感を持って出荷できる管理体制が求められます。
課題4.物流の専門知識が必要になる
ShopifyでEC物流を効率的に進めるうえで、物流の専門知識は欠かせません。例えば、以下のような商品の特性に応じた専門的な知識が求められます。
- 複数の送付先に分ける分割発送
- 冷凍、冷蔵品の取り扱い
- 販売ペースに合わせた在庫管理など
物流面での課題を防ぐには、スタッフへの研修や物流システムの導入など、さまざまな対策が必要です。
Shopifyで物流システムを連携する方法
Shopifyでは、物流のサポートが充実しています。そうしたサポートを受ける際には、システム連携が必要です。ここでは、Shopifyと物流システムを連携する方法を紹介します。
- Shopifyアプリで連携する
- CSVで連携する
Shopifyアプリで連携する
Shopifyでは、8,000以上のアプリが提供されており、あらかじめ連携すれば、必要な機能を追加できます。その中には物流システムも多数あり、活用によって利便性の向上や効率化が可能です。例えば物流関連では、以下のようなアプリが連携できます。
- 配送アプリ
- 送料設定アプリ
- 物流アプリ
配送アプリでは出荷伝票の出力から配送日指定、追跡番号の反映などが行えます。また、日本の大手配送会社に加え、海外配送にも対応できるアプリもあります。
送料設定アプリを導入すれば、発送地域や発送方法などの条件に応じて、国内外の配送料金を細かくカスタマイズできます。送料に関するトラブル防止に役立つでしょう。物流アプリでは、Shopifyにおける物流業務全般をアウトソーシングできます。
そのため、ECストアが拡大し、コスト面や人員不足など物流に課題を抱える事業者におすすめのサービスと言えるでしょう。
CSVで連携する
Shopifyの物流に関するデータを、CSVで連携する方法もあります。CSV連携とは、エクセルやスプレッドシートなどのCSVファイルを通して、物流業務を連携する方法です。
CVSの連携はテキストデータで行うため、データの取り込みや反映が早い特徴があります。多くのシステムが標準でサポートしており、導入しやすい点がメリットです。
また、一括でデータを更新でき、大量のデータ変更もスピーディーに編集できます。システムによってCSVファイルを出力する際の文字コードが異なるため、連携する際は注意が必要です。
Shopifyと物流システムを連携するメリット
Shopifyと物流システムを連携すると、次のようなメリットが得られます。
- 物流業務の効率化
- 低コストで導入可能
- 人的ミスの防止
- 顧客満足度の向上
- マーケティングの強化
順番に解説します。
物流業務の効率化
Shopifyと物流システムを連携するメリットは、物流業務の効率化が図れることです。そのひとつに物流プロセスの自動化が挙げられます。在庫情報が受注処理とリアルタイムで同期され、在庫切れや過剰在庫のリスクが減少します。
加えてピッキングや梱包、配送などの各プロセスに関する物流業務の効率化やアウトソーシングによって、受注処理が迅速に進められます。
<関連記事>「ロジレスとShopifyを連携して出荷を自動化!メリットや料金、注意点を解説」
低コストで導入可能
Shopifyアプリで物流システムを連携する場合、多くのアプリは初期費用が無料で、10ドル程度からの月額料金制または従量課金制となっており、低コストで運営できる点が魅力です。
配送面を充実させる配送アプリ、入庫から出庫までトータルで管理してもらえるアウトソーシングサービスなど、ECサイトの規模や課題に応じて柔軟に選べることもメリットにつながります。
人的ミスの防止
Shopifyと物流を連携すると、人的ミスやトラブルを回避できることがメリットです。物流プロセスを自動化するシステムにより在庫管理や注文処理、ピッキングの精度が向上し、誤発送や梱包ミスが減少します。
これにより、返品やクレーム対応、手作業の負担を軽減できるでしょう。
顧客満足度の向上
Shopifyと物流システムを連携すると、物流業務が効率化され発注から納品までのリードタイムが短縮できます。また、ギフト対応や配達日指定など、顧客のニーズにも柔軟に対応できるため、顧客満足度の向上にもつながります。
安定した物流環境を整えることで、リピート率の増加や口コミ評価も上がり、ECサイトの信頼性も高まるでしょう。
<関連記事>「Shopify 物流」(近日、公開予定)
Shopifyと連携できる物流代行サービスの選び方
Shopifyでは物流代行サービスとの連携も可能です。物流代行サービスを選ぶ際は、以下のポイントを押さえることが大切です。
- 対応対応の柔軟性はあるか
- 小ロットからの対応が可能か
- 費用対効果が期待できるか
- 安全な保管管理体制が整っているか
- 顧客の細かいニーズに対応できるか
ここでは、選び方のポイントを解説します。
対応の柔軟性はあるか
物流代行サービスの中には、BtoB取引専用のサービスもあります。そのため、BtoC対応もできる、柔軟な物流代行サービスを選びましょう。
また、発送作業を外注できるだけでなく、受注やコールセンターの業務までアウトソーシングできるフルフィルメントサービスもあります。そのほか、流通加工への対応幅も物流代行業者によって大きく異なるため、自社のニーズに沿った対応ができるかどうか注意が必要です。
小ロットからの対応が可能か
小規模からEC運営を始めたい事業者は、小ロットの対応が可能かどうかもポイントのひとつです。物流代行業者によっては、最低出荷数が設けられているケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
費用対効果が期待できるか
物流のアウトソーシングには多くのメリットがありますが、導入や運用コストがかかるため、費用対効果が期待できるかも重要なポイントです。保管料や出荷料に関する料金設定は、物流代行業者によって詳細が異なります。
そのため、商品の取扱数や人件費、配送料を含めた総合的なコストを比較検討し、自社に合ったプランを選びましょう。
安全な保管管理体制が整っているか
Shopify運営では、取り扱う商品の特性に応じた適切な保管管理が求められます。例えば、生鮮食品や加工食品・チルド商品を扱う場合は厳密な温度管理、化粧品を扱う場合は化粧品製造業許可が必要です。
安心、安全な商品を顧客に届けるためにも、保管管理体制が整った物流代行業者を選ぶことが大切です。
顧客の細かいにニーズに対応できるか
顧客の細かいニーズに対応できるかどうかも、物流代行業者を選ぶ際のポイントのひとつです。例えば、梱包や配送業務では以下のようなケースもあります。
- ギフトラッピング
- 定期購入商品
- 複数の送付先への分割配送
- クーポンやチラシの同梱
- セット組
このような顧客のニーズに柔軟に対応できる物流業者を選ぶことで、顧客満足度も高まり、リピート率の向上につながります。
<関連記事>「EC物流代行サービスとは?おすすめの代行会社15選を紹介」
Shopify利用者が物流をアウトソースするタイミング
Shopify利用者が物流をアウトソースする場合は、以下のタイミングがおすすめです。
- 注文数が増加し自社対応が追いつかなくなった時
- 倉庫スペースが不足していると感じた時
- 複数拠点からの配送が必要になった時
- 新商品の開発やマーケティングに集中したい時
アウトソーシングが必要になるタイミングは、注文数の拡大や倉庫スペースの不足だけではなく、企業規模や経営方針によっても異なります。自社の状況に応じて適切なタイミングを見極め、すぐに導入できる準備をしておくことが大切です。
Shopifyの物流代行なら富士ロジテックホールディングスがおすすめ
EC運営では、事業拡大にともない物流面の課題も多くなる傾向です。Shopifyと連携可能なアプリや物流代行サービスを活用することで、物流面の課題を解決し効率的な運営が可能になります。
富士ロジテックホールディングスでは、Shopifyをはじめとするコマースストアやオムニチャネルに対応したフルフィルメントサービスを提供しています。Shopifyアプリにある受注管理システムと連携可能なため、物流の自動化を実現可能です。スタートアップ向けのサポートプランを用意しており、低コストで事業をスタートしたい事業者にもおすすめです。
事業規模の拡大や急な出荷量の増加にも対応できるため、必要なタイミングに備えて物流代行サービスを検討しておきましょう。
発送代行完全ガイド
発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。
ライター
森恵
貿易事務と物流代行営業の経験を活かし、専門知識に基づいた記事作成を行っています。お客様に寄り添い、分かりやすく役立つ情報を提供します。
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