田中なお
田中なお

物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

発送代行の選び方が5分でわかる!料金相場や個人で使えるサービスも紹介

フルフィルメント 倉庫管理システム・WMS 物流代行 発送代行 配送・発送サービス

発送代行サービスは、物流に関する一連の業務を外注できるサービスです。EC事業を運営していて誤出荷やリードタイムの遅れ、リソースの確保に悩むことはありませんか。

当記事では発送代行の特徴や料金相場、業者の選び方、おすすめの業者タイプまで解説します。これだけ読めば、物流代行サービスを検討しやすくなるはずです。

発送代行サービスの特徴

まずは発送代行の概要を見ていきましょう。

発送代行とは|保管・梱包・出荷・配送のアウトソーシング

発送代行とは、物流に関わる以下の業務をアウトソーシングできるサービスを指します。

  • 保管
  • 梱包
  • 出荷
  • 配送

ネットショップ、テレビ通販、カタログ通販などで在庫を持つ事業者に利用されています。これまで利用者は、大量の在庫を抱える比較的大きな企業が中心でしたが、昨今では個人でも利用しやすいサービスが増えています。

 発送代行サービスのサポート範囲は「ネット通販の発送代行の対応範囲」の記事でも詳しく解説しています。

発送代行のニーズが拡大する理由

画像出典:​​令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査):経済産業省

近年、発送代行サービスは積極的に活用されています。とある調査では、329人に調査した結果、37.1%が物流代行サービスを利用していると回答しました。

ECの市場規模拡大に伴い、出荷数の増加および慢性的な人手不足が生じているからです。物販系ECの市場規模は2020年〜2021年の1年間だけを見ても、12兆2,333億円から13兆2,865億円と、1兆円以上の伸びが見られました。

その結果、発送作業や配送手配は外注化して、プロの手を借りる考え方が普及してきています。

発送代行の料金相場・比較

発送代行の料金相場は非常に比較しづらいでしょう。ここではまず比較しやすく、料金負担の比重が重い配送料を比較してみます。配送料が明確に開示されている3社を見てみましょう。

 

富士ロジテック

ホールディングス

STORES

倉庫サービス

 

ヤマト運輸フルフィルメントサービス

ポスト投函便

320円

402円

230円

宅急便コンパクト

580円

 

 

60サイズ

620円

765円

500円

80サイズ

700円

875円

560円

100サイズ

800円

985円

600円

120サイズ

950円

1,073円

700円

140サイズ

1,000円

1,337円

940円

160サイズ

1,100円

 

1,000円

※離島料金が別途かかります

同じサイズでも100円単位で配送料に違いがあります。60サイズで500〜700円前後が費用相場といえるでしょう。ただし、ここに保管料と付加サービス料金が加算されます。料金の考え方とその他観点でのサービスの選び方も確認していきましょう。

発送代行業者の選び方

発送代行業者を選ぶ際、配送料金がわかりやすい指標になりますが、他の観点も重要です。

必要な業務が頼めないと後から気付き、代行業者を変更するのは大変な作業になります。事前にしっかり確認しておきましょう。

1.料金

物流代行の料金表には主に以下のような明細があります。

  • 配送料
  • 保管料
  • 入庫料
  • ピッキング料
  • 梱包料
  • シール貼り作業量

これらの明細が分かれている場合もあれば、込みの料金表示の場合もあることが比較しづらい原因です。

また配送料が安く設定されていても、ピッキング料が高いケースもあります。自社の商材を1ケース保管、出荷するのにいくらかかるのか相見積もりを取ってみると良いでしょう。

2.サービスの範囲

サービスの範囲も選び方の大事な基準です。

  • カスタマーサービス
  • セット作業
  • 返品作業
  • ギフト包装
  • その他流通加工

以上のような付加サービスも委託したいのであれば、対応可能な代行業者を選定しなければなりません。

また、DMサイズや180サイズ以上の商品も取扱いがないケースもあります。

3.実績

発送代行業者の実績や口コミも重要です。中には「物流を外注したにも関わらず、誤出荷が多く、かえってカスタマー業務の負担が増えてしまった」という声も聞かれます。

実績のある会社であれば、その分作業スタッフもベテランが揃っています。物流にありがちなイレギュラーにも柔軟に対応してくれるでしょう。

発送代行会社の選び方」の記事ではさらに発送代行会社を選ぶ基準詳細に解説しています。

タイプ別おすすめの物流代行業者

一見、同じように見える物流代行業者ですが、バックグラウンドをみると得意とする分野がわかります。3つに分類してチェックしましょう。

【セット組の他イレギュラー業務も委託したい】個別倉庫タイプ

倉庫会社が運営しており、流通加工や配送先に関するイレギュラー業務も対応がスムーズです。

温度管理の必要な商品や業許可の必要な医薬品や化粧品なども扱える可能性が高くなります。

ただし消費者に対するカスタマーサービスには対応していないケースも多いでしょう。

【全国の拠点に委託したい】3PLタイプ

3PLとは、物流戦略やシステム構築を含む物流業務全体の委託を指します。

個別倉庫タイプの特徴も兼ね備えながら、全国各地に拠点を持っています。分散して拠点を持てることで、リスク管理とリードタイムの短縮が可能です。

倉庫が遠方になる可能性もあるため、コミュニケーションが取りづらい場合もあるでしょう。

【あるECモール・カートだけ委託したい】特化型フルフィルメントセンタータイプ

FBAやRSL、ヤマトフルフィルメントなど、各ECカートやモールの公式フルフィルメントセンターもあります。配送料が安い傾向にあるでしょう。

ギフト対応やセット品としての販売は行っていない、もしくは料金が高い可能性があります。

発送代行サービスを利用するメリット・デメリット

発送代行サービスを利用するメリット・デメリットも知っておきましょう。

メリット|効率化と品質の向上

発送代行サービスを利用するメリットは、効率化と品質の向上です。以下のような効果があります。

  • 人件費を削減できる
  • 1日に対応可能な出荷数が増え、売り上げが伸びる
  • 誤出荷や紛失などのトラブルが減り顧客満足度が向上する
  • 仕入れ・企画などのコア業務に注力できるため、事業を拡大できる

季節やセールの波動にも対応しやすくなり、スタッフの採用や教育も必要ありません。様々な視点でメリットは大きいといえます。

デメリット|業務が不透明になる

発送代行サービスを利用するデメリットは、物流業務が不透明になることです。以下の注意点があります。

  • 情報漏洩リスクがある
  • 物流のノウハウが身につかない

自社物流と比較すれば、業務委託先がどのような流れで、どのような管理をしているか毎日確認することは難しいでしょう。セキュリティーの甘い会社では、スタッフによる情報漏洩がないとはいい切れません。またいざという時に、自社に物流スタッフが育成されていないことはリスクとも取れます。

一方でデメリットにはコストが想像されるかもしれませんが、代行業者は個人で運送会社と契約するより安い運賃表を持っています。配送費に関しては外注した方がかえって安くなり、トータルコストで考えたときに大きなデメリットにはならないでしょう。

​​発送代行のメリットとデメリット」の記事でさらに詳しく解説しています。

発送代行サービスを導入したいタイミング

どのようなタイミングで発送代行サービスを導入するのが最適なのでしょうか。物流のアウトソーシングで事業に良い影響が出た事業者は、共通して以下のような課題を抱えています。

誤出荷や紛失のトラブルが増えた

誤出荷や紛失のトラブルが増えたのは、物流業務に無理が生じている証拠です。

スタッフの教育や作業手順の策定、マニュアルの整備で改善する可能性はありますが、社内に物流チームを育成するには手間がかかります。

カスタマーサービスにかかってしまうコストも加味すれば、トラブルの増加はプロの手に任せるべきタイミングです。

出荷が間に合わずリードタイムが伸びがち

当日出荷に間に合わず、リードタイムが伸びてしまっては顧客満足度の低下を招きます。販売機会の損失にも繋がるでしょう。スタッフを増やせば、対応できるかもしれませんが、固定費の増加は懸念事項です。

発送代行は「売れた分だけ」の従量課金制がほとんどのため、物量の波動に対応が必要なタイミングで導入するのも良いですね。

物流業務に追われている

たとえ日々の出荷作業が何とか間に合っているとしても、物流業務だけで手一杯になってしまっている状況が良いとはいえません。事業拡大のために余力は必要です。

受注業務と出荷作業の繰り返しで1日が終わってしまっているのであれば、物流代行サービスを検討するタイミングです。

富士ロジテックの発送代行は小ロットや個人のお客様にも!

当社富士ロジテックホールディングスは、全国に拠点を持つ創業から100年以上の倉庫会社です。EC事業専用のフルフィルメントサービスを展開しており、ShopifyやBASEを始めとする各ECカート・モールや受注管理システムとの連携も充実。オムニチャネルの最適化を目指す事業者様に最適です。

物流面だけでなく、カスタマイズ次第でワンストップのサポートも可能です。

  • サイト構築
  • マーケティング
  • CSセンター
  • 物流運用代行
  • 店舗物流

実績があるからこそ、業許可が必要な商品、ギフトや流通加工にも柔軟に対応できます。スタートアップ限定プランもご用意しているため、低価格かつ明瞭な料金体系で小ロットや個人のお客様にも安心してご利用いただけます。

きめ細かい物流支援をお求めの方は、お気軽にご相談ください。

 

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発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。

田中なお

ライター

田中なお

物流ライター。青山女史短期大学を卒業後、物流会社に14年間勤務。現場管理を伴う、事務職に従事する。その後、2022年にフリーライターとして独立し、物流やECにまつわるメディアで発信。わかりやすく「おもしろい物流」を伝える。

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