国内外のECをはじめ、リユース、美容・健康、音楽などあらゆるジャンルで執筆中のフリーランスライター。中国への留学経験を生かし、13年間、繊維製品や楽器、雑貨の輸入業務に携わる。現在はライター業のかたわら、個人で越境ECのセラーとしても活動中。
レンタルビジネスは環境に優しく経済的なビジネスモデルです。モノが溢れ人々の価値観が所有からシェアに移行しつつある現代、幅広い世代から支持を得ています。
商材は有形から無形のものまでアイデア次第で無限に可能性が広がっているため、これから参入をお考えの方も多いかと思います。
本記事では、
「レンタルビジネスに資格は必要?」
「開業したいけど、何から始めたらいいか分からない」
とお悩みの方に向け、開業までのステップや必要な準備について詳しく解説します。
記事を読み、レンタルビジネス開業までの全体像を把握しましょう。
レンタルビジネスに資格は不要(例外あり)
レンタルビジネスを始める前に気になるのが、許認可や資格は必要かどうかだと思います。
基本的に、レンタルビジネスの開業には一部の例外を除いて資格や許認可が不要です。
例外としては、DVDやカーシェアリング、中古品などがあげられます。
商材 |
必要な資格・申請 |
申請先 |
CD・DVDレンタル |
著作物の利用許諾 |
CD:レンタル用CDをおろしている業者に申請
|
カーシェア |
自家用自動車有償貸渡業許可 |
運輸局 |
中古品 |
古物商許可 |
(営業所所在地を管轄する) 警察署の生活安全課保安係 |
中古品に関して、レンタル商材を仕入れる時点で新品であれば古物商許可は必要ありません。
レンタルビジネスを始める5ステップ
次に、レンタルビジネスを始める手順を以下の通り大きく5つのステップにわけてお伝えします。
- ステップ1:商材の設定
- ステップ2:ターゲットの設定
- ステップ3:資金を調達する
- ステップ4:プラットフォームの選定(または店舗の準備)
- ステップ5:集客する
ステップ1:商材の設定
レンタルビジネスにおいて、商材の見極めは最も重要です。
なぜなら、レンタルは貸出し回数が多ければ多いほど利益が増えていく仕組みだからです。反対に回転率が悪ければ、原価も回収できないリスクがあります。
たとえば家電などは現行モデルが型落ちすれば、レンタル回数が落ちる可能性が高い商材です。回転率を上げ、なるべく早く収益化する必要があります。
一方、トレンドに大きく左右されない高級腕時計やスーツケースなどは長期に渡り継続した収入が見込めるでしょう。
また一時的に必要なものもレンタルに向いています。
代表的な商材は、赤ちゃんが数ヶ月だけ使用するベビーベッド、幼児用の玩具、冠婚葬祭で限定的に使用するドレスやスーツ、着物などです。
<関連記事>「サブスクとレンタルの違い|ビジネスモデル3つの分類と事例を解説」
ステップ2:ターゲットの設定
商材の選定と同様に重要なのが、それを使うターゲットの設定です。商材のニーズがあるのはどのような顧客なのか、ライフスタイルや年齢層、悩みなどを細かく設定しましょう。細かくターゲット設定することでニーズが明確化し、扱う商材の絞り込みとレンタルに付加するサービスも浮き彫りになります。
空き家などのスペースを貸し出すレンタルや店舗を構える場合は、ターゲット設定に合わせた立地の選定も重要です。
ステップ3:資金を調達する
まとまった開業資金が必要な場合の調達先は、日本政策金融公庫がおすすめです。
事業計画書や資金繰り予定表を作成し評価されれば、大きな金額の融資も受けられます。そのためには顧客単価や売上の予測、コストなど細かい設定が必要です。
また社会貢献や新しい発想により賛同者を集められそうなレンタルビジネスの場合、クラウドファンディングで資金を募るのもひとつの方法です。
一例として、ペットの介護用品レンタルや高級バイクのレンタルなどがあります。
クラウドファンディングについて詳しく知りたい方は、
「失敗しないクラウドファンディングのやり方!12の手順を詳しく解説」もあわせてご覧ください。
ステップ4:プラットフォームの選定(または店舗の準備)
ネットショップでレンタルビジネスを開業する場合は、プラットフォームを選定します。実店舗を構える場合は、店舗の準備をします。
ネットショップの場合、代表的なプラットフォームは以下3通りです。
- ASPカートを利用
- モールにレンタルショップを出店
- 自社ホームページ
1つ目のASPカートとは、ECサイトに必要なカートや決済システムなどの機能があらかじめ備わっているプラットフォームです。
利用料が発生しますが、ITスキルがなくても気軽にショップを開設できます。レンタルに対応するASPカートに、STORES、BASE、aishipRENTALがあります。
2つ目は、Yahoo!ショッピングや楽天市場などのモールに出店する方法です。月額利用料や広告費などのコストがかかりますが、モールに多くのユーザーがいるため、集客力が高いメリットがあります。
3つ目は、自社でホームページや予約フォームを作成する方法です。
Wordpressにプラグインという機能を追加すれば、プログラミングの知識がなくても簡単に作れます。
デザインに独自性を持たせたい、自由にカスタマイズしたい場合は専門業者に制作を依頼してホームページを立ち上げるのもよいでしょう。
実店舗の場合は、仕入れや内装、ディスプレイなどを進めます。
実店舗のショップにも、お店の場所やコンセプトを伝える目的のウェブサイトがある方が集客に有利なのでおすすめです。
ステップ5:集客する
ターゲットや予算に合わせて、集客の方法を選択します。
Web集客では、ターゲットによるディスプレイ広告やリスティング広告、SNSなどの使い分けがポイントです。
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠に表示されます。年齢や性別などユーザーの属性を絞り込んで表示でき、たくさんの人の目に触れるのがメリットです。その分、費用は高額になります。
リスティング広告とは、Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンの検索結果に表示されるWeb広告です。消費者の検索キーワードに連動して表示されるため、購買意欲が高い人に表示できる特長があります。キーワードによって、費用に差が出ます。
SNS広告は少額からでも始められ、費用対効果が高いのがメリットです。あくまで一例ですが、10〜40代の女性ユーザーがメインの場合はInstagram、40〜50代ならFacebookというように、ターゲットに合わせて選定します。10代〜20代にサービスの認知度を上げたい場合はTikTokの広告も選択肢のひとつになります。
また着物などで50〜60代をメインターゲットにする場合、オンラインだけでなくオフラインのチラシ制作も検討しましょう。
実店舗営業の場合は、Googleマップ上での店舗の広告も効果的です。
【その他】レンタルビジネスを始めるのに必要な準備
レンタルビジネス開業の手順が分かったところで、その他のレンタルビジネスに必要な準備についても解説します。
- 動産総合保険への加入を検討
- 運送会社と特別契約を結ぶ
以上2点について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
動産総合保険への加入を検討
レンタルビジネスでは、顧客がレンタル中に商材を破損してしまうリスクがあります。備えとして動産総合保険への加入がおすすめです。
動産総合保険とは、自社所有の物品に対して掛けられる保険です。対象範囲が広く、レンタル業者も使えます。
顧客がレンタル中に商材が破損した場合に、保険が適用されます。盗難には適用されません。
運送会社と特別契約を結ぶ
レンタルビジネスでは、発送と返送の両方で運送会社を利用します。
売り切り型のビジネスより運送料がかさむこともあるため、運送コストの削減が必要です。返送時にはトラックにまとめて同一箇所に商品を運搬できるので、割引運賃の適用が期待できます。
ひと月にまとまった数のレンタル数がある場合は、運送会社の営業担当と直接価格の交渉をしてみましょう。
レンタルビジネス成功のポイント
ここからは、レンタルビジネスを成功に導くポイントを解説します。
- サービスで付加価値をつける
- レンタル回転率をあげる
- レンタル品購入サービスも検討
- レンタルモデルに合わせた物流の整備
サービスで付加価値をつける
レンタルビジネスは少ない人員や商材から始められるため、競合他社が増えやすい傾向にあります。
他社との差別化を図るには、サービスにより付加価値をつけることがポイントです。
たとえば、「返却にかかる手間を最大限に省く」「商材の使い方をチャットやメールでアフターフォローする体制を整える」などが考えられます。
ターゲットのニーズや悩みを深堀りし、付帯できるサービスはないか模索してみましょう。
レンタル回転率をあげる
レンタルビジネスは、1商品につき何度もレンタルしてもらうことで収益が発生します。
商材が多数ある場合は、それぞれの回転率を上げなければ収益が上がりにくいのがデメリットです。
回転率を上げるには、商材ごとのステータス管理を徹底する必要があります。商品が返却されたらすぐにメンテナンスをおこない、次の顧客にレンタルできる体制を整えましょう。
レンタル品購入サービスも検討
レンタルビジネスは、商品を購入する前のお試しとして利用する消費者が多い特徴があります。
商品に満足してもらえれば購入への障壁が格段に下がるため、購入に繋がりやすいでしょう。
レンタルだけでは原価回収まで時間がかかりますが、購入してもらえれば収益が早くあがります。人気のある商品は、レンタルと購入の二通りで収益を伸ばすことも可能です。
レンタルモデルに合わせた物流の整備
レンタルビジネスでは、貸出中、返却済、メンテナンス中などひとつの商品につきステータスが複数あります。
ステータス管理が適切でない場合は、次の顧客にレンタル可能な商品が把握できず、機会損失に繋がります。
リアルタイムにステータス管理ができる在庫・入出庫管理システムの導入も検討しましょう。
<関連記事>「レンタルコマース&レンタルサブスクを展開するメリットと物流フルフィルポイント」
中古品や高額品にも対応!富士ロジテックホールディングスの物流代行サービス
富士ロジテックホールディングスは、レンタルビジネス特有のステータス管理にも対応できる物流ソリューションをご提供します。
一般的に受け入れが難しいとされる高額品や中古品も、弊社ならお預かり可能です。
在庫管理や入出庫管理システムも活用しながら、万全の体制でレンタルビジネスをサポートします。
まずは無料相談より、お気軽にご相談ください。
<関連記事>「【成功事例あり】レンタルビジネスのメリット・デメリット」
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ライター
オガミキヨ
国内外のECをはじめ、リユース、美容・健康、音楽などあらゆるジャンルで執筆中のフリーランスライター。中国への留学経験を生かし、13年間、繊維製品や楽器、雑貨の輸入業務に携わる。現在はライター業のかたわら、個人で越境ECのセラーとしても活動中。
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