ソーシャルメディア、画像から動画へ マルチチャネル・オムニチャネル時代の顧客購買行動を理解する
ファシリテーション&ライティング
株式会社富士ロジテックホールディングス
通販営業部 部長
西間木 智
ソーシャルメディアのサポートからコンサルティング
西間木
DNVBとしては、ソーシャルメディアは多面的に重要なチャネルですが、ここでの顧客体験での、画像、動画のトレンドやポイントについて教えていただけますか。
インタビュー動画はこちら
株式会社AirPhoto CEO 坂田 裕希 様(以下:坂田 様)
SNSにおいても、リスティング広告会社などが活躍しており、自社のブランドをアピールするための戦略が重要になっていると喧伝されています。
特に、インスタグラムはSNSの中でも主要なプラットフォームの一つであり、多くのスタートアップのブランドが利用していることは説明するまでもありません。
しかし、自社サイト用に撮影した自社のブランドを前面に押し出すような写真をアップするだけでは、商品を知らないユーザーには興味を持ってもらえず、人気を得ることができません。おしゃれな写真を撮影することも大切ですが、商品の魅力を伝えるためには、より効果的な戦略が必要です。
写真画像から動画へ、ユーザー側の観点がポイント
写真だけでは効果がない場合があるため、動画を活用することが重要になってきています。
以前はリール動画が再生回数を増やすことができましたが、現在は、TikTokをはじめとする動画プラットフォームで、自社のブランドを訴求することが重要になってきています。作り手側(ブランド)の観点だけでなく、ユーザー側の観点が重要であり、どのような動画コンテンツを提供することで、ユーザーに訴求できるかがポイントになっています。
最近では、コスメの撮影も行っており、ポイントを訴求するために商品メイク動画をTikTok上にアップすることも検討して実施をサポートしています。
自社サイト・マーケットプレイスやSNSにおいて、動画を活用することで、それぞれのチャンネルに合わせた伝えたいメッセージを購入者やターゲットユーザーに効果的に伝えることができます。
撮影方法やカットの選択など、それぞれのチャンネルに適した映像を作ることで、売り上げにも影響を与えることができます。
特に、ブランドに興味を持ってもらうために、コンバージョン率の向上に直結する要素として、画像をどのように用意するかを考える必要があります。
あらかじめ売れることを保証することは難しいですが、弊社の事例では、撮影した写真を変更したことで、売り上げが2.7倍になった事例や、広告画像を弊社が撮影したものに変更したことで、クリック率が1.7倍になった事例があります。
売り上げに直結する写真をご用意することは、可能だと考えています。
また、ファーストビューは非常に重要であり、インパクトのある写真が必要ですね。
西間木
いま、お話しいただいたユースケースは、AirPhotoさんのホームページにいくといくつか掲載されているとのことですので、確認してみてください。
あと、コンサルティングもされているとのことですので、ご相談をされてみてください。
マルチチャネル・オムニチャネル時代の顧客購買行動を理解して利用する
西間木
佐々木さんにチャネルでの顧客行動の特徴などについてお聞きします。
コロナ禍以降、スピードが加速していますが、オムニチャネル、ECとリアル店舗の融合がキーワードとなってきています。私たち富士ロジテックホールディングスのクライアントでも、オムニチャネル物流(リアル店舗への配送と、顧客へのダイレクト発送)の進化が進んでいます。
ECで購入して、店舗で受け取るのか(BOPIS)、店舗で確認してECで購入するという形で、いろいろと購買体験が変化していますが、unisizeのサービスでオムニチャネルでの導入事例と顧客とブランド(クライアント)のメリットについてお伺いさせてください。
株式会社メイキップ 営業 兼 VSOP 佐々木 隼人 様(以下:佐々木 様)
アパレルのクライアントさんとは、当然ながらEC側に対するサービス提供をしている中で、よく最近言われてるクロスユースでリアル店舗でも買ってもらえる、ECであってほしいという声を聴きます。
これは店舗だけで買ってる顧客ですが、それはやはりそれなりの顧客数があります。メイキップのunisizeサービスでそこをサポートするために、実店舗で購入いただいたデータを取り込めるようにしています。
当然、顧客・会員IDが一元化されてることが前提になるのですが、実際、コロナに入って店舗が閉まりました、ECでしかアイテムが販売できないというときに、やはり店舗のデータを取り込めないということがありました。
店舗での購入データが取り込めるようになって、店舗でしか買ったことなくても、EC上で顧客フィットサイズの中で、比較対象アイテムをレコメンドするデータとして使うことで、今まで店舗で買っていた商品とオンライン上で比較ができるようになります。
顧客視点でクロスユース率を上げたい
一方でちょっと面白い話があって、例えば、店舗でめちゃくちゃ購入してくれている人が、ECでは購入してくれてない。ただし、ECサイトには毎日見に来てる。
この顧客を、今まではどうやってECで買わせようかということを考えていたんです。
結論、「そんなことしちゃ駄目なんです。」
ECには、気持ち良く店舗で買っていただくためにECに毎月来ていただいてるだけなので、こういう顧客に無理くりECに持ってきて買わせよういうのは、やはり、あんまり施策としてよろしくないということも、データを見ると実はわかるというような事例がありました。
EC化率、クロスユース率などを上げたいのはわかるけど、そういう購買体験を楽しむ顧客と、してはいけない顧客もいるということです。やはり、リアル店舗でしっかりサービス提供をしていく顧客として見ていかないといけないということです。
西間木
マーケットプレイスの顧客が自社ECに訪問される顧客行動はどのようなものですか。
佐々木 様
これは実際クライアントさんからの声として、ケースは2つにわかれます。
自社で買ってもらえてないのに、何かサービスを提供していて損してるっていうケースと、
いやいや、別にうちの商品を買ってくれてるんだからどこで買って頂いても良いというケース
にわかれます。正解はないです。
個人的に考えると、やはりそのブランドを買ってくれていることであれば、お客様に無理くり自社で買わせようとしてはいけない。
やはり、ポイント経済圏であれば、僕からすると、ポイントを消費したいと思います。消費するためであって、その商品が欲しくて買ってる人じゃないケースもある。
ちょっとでも、施策を間違えるとユーザーが離れてしまう。
メイキップのunisizeのサービスは、自社ECむけのサービスですが、やはり商品画像と同じようにマーケットプレイスで買いたいけどサイズ感わかんないから自社ECのunisizeのサービス使って、こんな感じかと確認されて、マーケットプレイスで買おうというユーザーもやはりいらっしゃいます。
最終的には、その会社様の購買チャネルのどこで売れても会社の売り上げになるから、「売り上げがあがるよね」ということだと思っています。
西間木
unisizeサービスを入れることによってどのぐらい売り上げが変わってきましたという事例を教えていただけますか。
佐々木 様
具体的に商品ページに来てから購買に繋げられるかっていうところを一番サポートしているサービスですので、そういう意味では、unisizeを利用して購入する人とのコンバージョンレートの差で言うと250%以上のケース。
データとしてみたら、本当に利用していただける顧客は、購買意欲が上がりやすいので利用者を増やしていただく、コマースサイトに来たら、まずは使ってもらうぐらいな感覚で導入・運用いただくことですね。
全てのことに関わってくると思うのですけど、これから導入していく企業さんは、顧客を増やす=売り上げという視点になります。
成功、グロースハックしているブランドさんが、みんなやってくれるところなんですが、顧客体験の施策の一つとして全体的にどうしていくか、結構意識しているのは、ツールを入れた後です。
顧客行動や、サイズデータが取れるために、それに対してどうするかという運用だったり、オペレーションだったり、あと分析であったり、こういうところにウエイトを入れていくことがポイントです。
商品を正しく伝えることで返品は削減できる
西間木
EC・デジタルコマースに限らず、リアル店舗でも商品が自分に合わない場合、返品や交換が発生することがあります。最近の富士ロジテックホールディングスのクライアントでも、その際に、返品された商品について、グレーディングをして少しでも早く再販できるようにされるケースが増えてきています。
unisizeをご利用されるブランドの場合、返品や交換が減少したというお声は多いのでしょうか。
佐々木 様
実際我々のサービスを導入する目的の一つに、その返品を減らしていきたいという要望は実は多いです。2024年物流の問題はもちろんですが、サステナビリティ的にも会社としてやはり取り組まなきゃいけないというお話もありテーマとしてはニーズが高いです。
返品に理由に関して分解していくと、「サイズ」「素材感」が、ほとんどなのですが、これはECであることで、商品に触れないというところから避けようがありません。そのため2つの理由・原因のうちの一つ・サイズの問題をいかに抑えていくために、unisizeで「返品率が減ったよ」という事例は沢山あります。
物流外でいきますと、一番は新しい商品を出すことは、コストを抑えてと言えば抑えることができるのよ。しかし、返品で戻ってくるとどうしてもコストがやはり発生してしまいます。
西間木
その費用というは、顧客から頂くことがしずらいので、事業者さんが負担しないといけない。なおかつ戻ってきたら、検品して、再販するためのワークが必要になってきます。クライアントとしてはどうされていますか。
佐々木 様
クライアントさんによっては、アウトレット品に入れてしまうケースもありますし、私がちょっと聞いてびっくりしたのは、「返品された商品は絶対に売らないで廃棄します」というブランドさんもあります。やはりそれぐらい品質に対しては厳しくされています。
ただやはり、ロスに繋がりますので、最近はリユースに流すとか、自社でリユースを始めるブランドさんも増えてきています。
ですので、私たちからすると返品というのは完全悪ではない。その商品のことを考えると、戻ってきて、また違う顧客に渡すっていうのは何となくちょっと気持ちがよろしくないですが、リユースマーケットを活用する流れは必要だと思っています。
西間木
リユース品は、個品管理になりますので商品撮影も重要になりますが、これはどうワークされているのでしょうか。
佐々木 様
そうですね。弊社のクライアントでも、自社でやってる事例は最近増えてきています。大手さんになると、自社で回す仕組みを持っていて、機械的に速く処理されています。
一方でこれからリユース始めますとなると、点数が多いと、一点あたりに時間かけていられないので、結構多いパターンとしては、商品画像が本当にスマホでパシャっというパターンもある。商品一覧ページで見ると結構わかりますが、あんまり魅力的な写真ではないというケースはあります。
AirPhotoさんのサービスも対応できると良いかも知れませんね。
坂田 様
特に先ほどおっしゃった、商品を並べた場合に、光の当たり方がバラバラだと思うのですけど、例えば、背景を同じ白でバラバラに見えないように処理するとかをすれば良いですね。
社内の内製化ができない場合であれば、まとめて送っていただいて同じ光できちんと商品撮影をして、すぐに送り返すということも可能です。
西間木
先ほどからのお話しで、商品画像によって売り上げが変わるといったところもありますし、実際には、料金というところもありますが、やはり事業者として考えたらAirPhotoさんの方に送ってすぐ対応できるというメリットを検討されると良いですね。
今回は、ありがとうございました。EC・オムニチャネルで基本であり基礎となる、商品を魅力的に顧客に届けるための、写真撮影のポイントとメリットをAirPhoto 坂田様から、顧客の一番の不安感でもある、サイズをどう伝えるかそのためのサービスの活用方法について、メイキップ 佐々木様から、ご案内いただきました。
どちらも、顧客中心の購買体験をテーマしたサービスで絶対に必要なコンテンツ情報でもあります。折角の自社の商品を正しく 「伝えるのだけではなく見せて」いくことの大切をご理解いただけたと思っています。
みなさん、是非ご相談してみてください。
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株式会社AirPhoto CEO 坂田 裕希 様
スタイリング写真とは?
『スタイリング写真』とは、ブランドイメージや使用イメージを効果的に伝えるための写真で、『イメージ写真』とも呼ばれます。
AirPhotoでは、以下の写真を『スタイリング写真』と呼んでいます。
- スタジオ又はお客様ご指定の小物を1つ以上用いて撮影する写真
- 白以外の背景(カラー背景紙、ハウススタジオ等)を用いて撮影する写真
- お客様の商品を3個以上レイアウトした写真
- 商品を浮かせたり吊り下げたりして撮影する写真
AirPhotoにお問い合わせ
株式会社メイキップ 営業兼VSOP 佐々木 隼人 様
その後大手ヘッドハンティング会社、EC構築ベンダーにて人事責任者を経て2018年4月に株式会社メイキップへ参画。サイズレコメンドエンジン「unisize」を中心に、ファッションEC展開企業様へVSOPとして対外的なコミュニケーションとセールス、採用全般を担当。
unisize(https://cl.unisize.makip.co.jp/)はネットで洋服を買うときに、より身体に合ったサイズを推奨するレコメンドエンジンです。最短1分の簡単なアンケートに答えるだけで、メジャーで測ることなく自分に合ったおすすめのサイズを確認したり、機械学習アルゴリズム(AI)を用い、お手持ちのスマートフォン端末で撮影した正面と側面の全身写真から、腕の長さや肩幅などの体型を採寸して、サイズを確認することができます。従来のような専門知識やメジャーを用いて採寸するような手間をかけずとも、自分に合うおすすめサイズを確認できます。また、過去に買った洋服と比較する購入履歴比較機能なども併設し、ユーザーの持つ情報に合わせてサイズを確認することができます(※特許取得)。
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