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【D2C/eコマース/OMO ビジネスモデル編】
Written by 植島 寛子
病院の薬を処方箋なしで買える零売ですが、利用は対面での販売が原則です。しかし、外出を避けたい、忙しくて病院に行く時間がない場合、病院の薬をオンラインで入手したいと考えている人もいるでしょう。今回は、薬とオンラインの関係についてご紹介していきます。
日本の現状
日本では、2014年6月の改正薬事法施行により全ての「一般用医薬品」はインターネットで購入できるようになりました。しかし、以前として効果の高い医療用医薬品や医療用から一般用に移行したばかりの要指導医薬品はネットで購入できません。
また医療用医薬品の中には、医師の処方箋なしに薬局で購入できる零売制度を利用して購入できるものもあります。しかし零売は対面が原則で、ネットで購入できません。
日本では、以下の2点の利用で医療用医薬品の対面での販売を原則にしています。
- 体に及ぼす影響が大きい
- 重篤な副作用が生じるかもしれない
- 偽薬の横行
しかし世界的なパンデミックの影響で、初診でもオンライン診療の利用が20年4月から認められました。実際にオンラインで診察から宅配処方薬を一貫して提供するサービスも登場しています。
例えば
ジェイフロンティア株式会社が提供するSOKUYAKUでは、オンラインで診療を受け、そのまま服薬指導を受けて、宅配で処方された薬を最短で入手できるサービスを始めました。自宅やオフィスで手軽に診察を利用できるので、オフィスワーク中や子供が小さく出かけるのが難しい層から支持されると予想されます。
ただし日本では初診でもオンライン診療可はコロナ禍における一時的な措置であり、コロナ終了後は対面診察しか認められない可能性もあります。そのため、処方薬に関してもサービスが後退する可能性もあります。
[零売]とは?メリット・デメリットと今後について
海外の事例は?
中国中国では、医療面に関してもオンライン化の進展が進んでいます。20年2月には公立病院で初となるインターネット専門病院が登場しました。上海市の復旦大学付属中山徐匯雲病院では、スマホのアプリを使えば初診でもビデオチャットで診察を受け、処方される薬については、受け取り場所を自宅か最寄りの指定薬局か選べます。支払いにアリペイやWechatPayなどのオンライン決済ツールを利用できて手軽です。
オンライン診療を売りにするサービスは2015年頃からスタートしており、今後も中国で発展を続けると予想されます。
アメリカ
アメリカでは、オンライン薬局の信頼性が米国連邦政府FDAのサイトに記載されています。さらに日本でもお馴染みのネット通販大手、アマゾン・ドット・コムは、オンライン処方薬注文サービスを開始しました。利用したい場合は、事前にアプリで情報を登録し、医師などを通じて処方箋の情報を送れば、日用品を買う感覚で薬がオンラインで注文できます。数日で処方薬が配達されるので、外出を避けたい、外出が難しいという層から人気です。今後も薬を自宅で受け取りたいというニーズは高まりを見せると考えられるので、さらにサービスが便利になる可能性が高いでしょう。
フランス
フランスでは日本と同じく、医師による処方箋が必要な薬は基本的にはオンラインで購入できません。外出が難しい場合は、パリでは薬局のスタッフに処方箋を手渡し、薬局から配達してもらうサービスを利用することが一般的でした。しかしフランスもコロナ禍によってオンライン診療に対する保険適用を認め、急速にオンライン化が進んでいます。しかしオンラインだけの診療で誤診が起き物議を醸しています。日本と同じくコロナ禍が終息すれば、再びオンライン診療の対する規制がかかる可能性があります。オンライン処方に関しても、少女が安定している慢性患者に対し、同じ薬を処方するケースだけにするようにという慎重派の声も少なくありません。フランスはアメリカや中国に比べて日本の状況と酷似していて、今後の動向に注視するといいでしょう。
エストニア
エストニアでは、2010年頃から99%の処方箋が電子薬剤処方です。日本のマイナンバーにあたる電子身分証明証「electronic ID」の番号と紐づけされていて、医師は処方箋や診察カルテなど複数の医療機関のデジタルデータを確認できます。さらに同じ薬が欲しい患者は電子メール、Skype、電話で医師に連絡をとるたけで、医師は繰り返し処方箋を書いてくれるので、患者はelectronic IDを提示するだけで最寄りの薬局で薬を受け取ることが可能です。エストニアでは、ヘルスIT企業、スタートアップの参入も盛んで、日本も参考にしたい所です。
最後に
今回は零売からさらに便利に薬を手に入れる手段としてオンラインでの取り扱い状況をご紹介してきました。諸外国では、オンライン診療とセットで処方箋を購入できる事例が増えている様子です。ただし初診をオンラインにすることで誤診に繋がった悲しい医療事故も発生している様子です。日本でも懸念すべき点はあるものの、オンライン化できる部分は進めていく必要があるでしょう。薬や診察のオンライン化が加速すれば、高齢化や過疎化が進み外出が難しい人の救世主になる可能性があります。今後、日本の薬事法の動向に注目です。
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