西間木 智
西間木 智

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

EC向け発送代行(物流代行)サービスの需要が拡大している理由

物流 物流代行 発送代行 配送・発送サービス 3PL

 

新型コロナウイルス感染症の流行による巣ごもり需要の拡大や、それにともなう小売業者のEC参入などにより、EC市場全体が拡大傾向にあります。

その結果、ECショップの物流部門を受託する発送代行(物流代行)ビジネスの売上も上昇。3PL(サードパーティロジスティクス)フルフィルメントサービスといわれる物流部門全体を代行するサービスの需要も伸びています。

こちらの記事では、EC発送サービスの需要の広がりと、今後の注目点をまとめました。 

発送代行サービスの需要が拡大している背景

 EC発送代行の需要が拡大する背景には、ECの市場規模の拡大があります。巣ごもり消費により全国的にEC利用が当たり前になり、リアルの店舗に出かけるようになっても買い物をECショップで済ませる方が増えました。

EC市場規模の拡大は、物流業界にダイレクトに影響します。

特に大量の販売を実現している物販系のECショップは、発送代行を利用する店舗も増加。需要はますます膨らんでいます。

宅配便取扱実績は増加傾向にある 

国土交通省によると、2021年の宅配便取扱実績は495,323万個。前年度と比較すると11,676個の増加、2.4%の伸びです。いわゆる巣ごもり消費の増大により、2020年に11.9%の大幅な伸びを記録したあとも、個数は増加傾向が続いています(*)

宅配便の取扱個数が増加している背景には、ECショップの市場規模の増加があります。

(*)「令和3年度 宅配便取扱実績について」(国土交通省2022)

https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000255.html

物流代行の利用者は37%

 

発送代行(物流代行)の利用者は、ECショップ事業者の3割以上です。

ECのミカタ」の運営会社MIKATA株式会社が2020年に実施したECアンケート調査によると、37%(*)EC事業者が物流代行を利用しています。以前利用したことがある、検討したことがある層を合わせると66%です。

ECショップが、発送代行(物流代行)を利用することが一般的になったことを示しています。

一定の売上を超えると自社での発送、物流をミスなく管理することは困難です。発送代行サービスならば、物流のプロが蓄積したノウハウにより対応しますので、安定した発送品質を保つことが可能。

ショップのデザイン改善や商品紹介ページの充実など、ショップのブランディングや顧客満足度向上というコア業務への集中が可能になるため、発送代行を検討する事業者が増えています。

(*)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000029558.html

物流施設特化型REIT 

物流の拡大とともに、その資産としての価値も評価されています。

そのひとつの表れとして、不動産を投資対象とする不動産投資信託REIT(リート)の商品のなかで、物流施設を対象とした物流特化型REITが盛況です。

REIT(リート)とは、不動産投資による投資信託のことで、投資対象によりオフィス、住宅、商業施設、ホテル、物流施設・インフラなどの種別があります。物流施設対象のREIT商品は、比較的高水準の利回りを実現しています。

これは、ECの好況が影響しているもので、物流施設のニーズが急拡大していることを示しています。

EC発送代行が成長する理由

 

上で見てきたように、EC発送代行(物流代行)は成長していますが、その背景にはECショップの好況があります。

商材がマスコミで取り上げられ話題になると、取引が急増し1日で1,000件以上の処理が必要になることも。そうなるとECショップが物流を自社対応することは困難になるでしょう。

ECショップ市場規模が拡大するほど、EC発送代行や物流代行のニーズは増えていきます。それでは発送代行が成長している理由を確認していきます。

EC市場の拡大

経済産業省によると、2021年のBtoC(事業者による消費者向け販売)分野の市場規模は206,950億円で、前年度に比べ拡大。はじめて20兆円を超えました。(*) 

なかでも物販分野の伸び率は高く2020年から2021年にかけて8.61%増加しています。

今後、巣ごもり消費の定着や、スマートフォン普及などを背景に、EC市場はますます拡大するといわれています。

物販系分野では、食品・飲料・種類が25,199億円、生活架電・AV機器・PC・周辺機器が24,585億円、衣類・服装雑貨等が24,279億円、生活雑貨・家具・インテリアが22,2752億円と、上位4分野でのきなみ2兆円を超える売上を実現しています。

EC化率をみると、書籍・映像・音楽ソフト分野が46.20%、生活家電・AV機器・PC周辺機器分野が38.13%、生活雑貨・家具・インテリアが21.15%です。

ECショップが増加することで、物流部門をアウトソーシングする事業者も増加。結果として発送代行や物流代行の需要は高まっています。

(*)「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2022年 経済産業省)

https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005-h.pdf 

ECショップの発送品質

 現在、ECショップの発送に求められる品質は高くなっています。翌日発送、当日発送など迅速な対応が求められ、送料無料のショップも多いです。また、据え置き配達への対応など、新型コロナウイルス感染症の流行にともなって生まれた新しい配送の基準にも対応しなければなりません。

消費者は、購入する際に、発送の品質で選ぶことも増えていますので、利益を圧迫すると知りながらこの水準のサービスをせざるを得ないショップも増加。このような環境で、自社で大量の物流を行うことは大きな負担となってしまいます。

ECショップ向けの発送代行(物流代行)は、個人にも対応するプランを持っていますので、検討や導入をすすめるショップも増加しています。

アウトソーシングニーズの高まり

ECショップの事業者にとって、物流部門は企業のコア業務ではありません。

安定して将来性のあるショップ経営の継続には、商品開発やWEBサイトの改善、商品紹介ページの工夫などブランディングに関わる業務にもしっかりと時間と労力をかける必要があります。

そのため、もっとも手間と時間のかかる倉庫業務、発送業務などの物流部門をアウトソーシングして、本来注力すべきコア業務に力を入れたいショップが増えています。

ECショップが忙しくなると、倉庫業務や発送業務、配送管理などの仕事量が大きく膨らみ人件費などの固定費が経営を圧迫するようになります。また、優秀な人材を受注管理や倉庫管理に充てることも必要です。企業のリソースは無限ではありませんから、ショップのブランディングや商品開発など経営課題を解決する業務に十分な人材と時間を振り分けるのは、物流をアウトソーシングするのは懸命な選択でしょう。

ECショップを経営の軸に考える事業者ほど、発送代行(物流代行)を活用し自社の負担を軽減する傾向にあります。

EC発送代行の新しいトレンド

ECによるBtoB取引の市場拡大にともない、物流業界、発送代行サービスの需要も拡大しています。

ショッピングモールへの出店が中心だった物販系のECショップも、さまざまな形態、チャネルの拡大などでさらに販売力を伸ばそうとしています。

その際、複雑化する注文や発送を管理するためにも、発送代行サービスも進化。ここでは代表的なECのトレンドをみていきましょう。

越境EC

 海外の消費者に向けECによる物販を行うのが越境ECです。越境ECの対象国は主に米国と中国。どちらもECの利用者が多く他国のECショップからの購入に苦手意識の少ない国です。

日本製品の品質に対する評価は依然高く、価格が高くても購入に抵抗ない層の人々にニーズが高まっています。

地方自治体のなかには、新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない2019年に3,188万人とピークだったインバウンド観光が、コロナ禍で縮小してしまったのを補うため、越境ECに活路を見出すところも。一部の小売店事業者にとっても、売上拡大に向けた改革のひとつとし注目されています。

発送代行(流通代行)サービスのなかには、越境ECに対応し海外への発送業務、配送手配と管理までを行う業者もあり、ECショップにとって、それらは大きな力です。

今後、越境ECへの参入が本格化するにつれ、EC発送代行の需要はより一層高まるでしょう。

オムニチャネルへの対応

スマートフォンの浸透により、ECショップもシングルチャネルからオムニチャネルへと拡大する傾向があります。海外では当たり前に行われているInstagramを活用したECや、YouTubeなど動画アプリを活用したライブコマースも盛んになるでしょう。

AmazonYahoo!ショッピング、楽天など大型ショッピングモールへの複数店舗出店はもちろん、BASEShopifySTIRESというようなECプラットフォームでの販売なども行うショップが増えています。

それらの注文を一括管理し発送までを管理できるサービスが、今後の発送代行サービス選びのポイントになりそうです。

EC向け発送代行(物流代行)サービスの需要が拡大している理由のまとめ

 BtoC向けECの市場拡大にともない発送代行(物流代行)サービスの需要も拡大しています。新規参入する事業者やEC事業を拡大する事業者にとって、プロが提供する高い発送品質は大きな助けになるでしょう。

発送代行サービスが求められる背景には、EC市場の拡大とともにECに求められる発送品質の高さ、消費者が求めるサービスの多様化があります。

今後、越境ECECショップの多様化にともないショップ数が増加すると、EC事業者の要望に応えるサービスが求められるようになり、発送代行へのニーズはますます高まるでしょう。

殿堂入り記事
発送代行完全ガイド

発送代行完全ガイド

発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。

西間木 智

監修者

株式会社富士ロジテックホールディングス

西間木 智 / 通販営業部 部長

物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。

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