SHEIN シェイン からみるファストファッションの未来 Part01
SHEINとはどの国のアパレルファッション企業か?危険性や安全性について解説します
Written by 植島 寛子
SHEIN(シーイン)は、世界のファストファッションの歴史を変える可能性を秘めている企業です。
世界のZ世代が注目するSHEINについて、今回は特徴やどこの国の通販か、危険性や安全性をご紹介していきます。
SHEINとは?
SHEINとは、アメリカを中心に世界220か国に展開しているグローバルファストファッションサイトです。
中国のZARAと呼ばれることもあり、特にZ世代(1990年代後半から2012年前後に生まれた世代) から支持を集めています。
SHEINの大きな特徴は、
- 低価格
- 商品が多い
- 次々と新しいデザインが登場
- 実際の店舗はなくオンライン上で展開
- 越境EC企業
- 他のファッションブランドが廃棄した反物を利用
- 全世界の従業員約10,000名
- 従業員の58%が女性
- 少量のみ生産に対応
- 宣伝はSNSのインフルエンサーによる情報発信が中心
などが挙げられます。
米ブルームバーグの報道によると、SHEINの評価額はH&MとZARAの時価総額合計820億ドル(約10兆1400億円)を超える1000億ドル(約12兆3700億円)です。
引用元:36Kr Japan
世界では洋服素材の廃棄が問題になっています。
SHEINはことで他社が不要になった反物を上手く取り入れることで、驚きの安さを実現しました。
日本では、2021年から展開しています。
SHEINはどの国のファッションブランドか
SHEINの本社は、2021年6月よりシンガポールにあります。SHEINを立ち上げた中国南京市でITエンジニアをしていたクリス・シュー氏も、シンガポールの市民権を得ました。シンガポールに移動した理由は、ニューヨーク取り引き場への上場を計画しているからともいわれています。前身となる南京希音電子商務は、2008年に広州市で誕生しました。そのため中国発の越境ECと言う見方が大半です。
中国発といわれるSHEINですが、中国国内ではほとんど展開していません。
中国国内で商品の企画から販売までサプライチェーンを構築し、主にアメリカのZ世代をターゲットにしてきました。
SHEINは当初からアメリカでの販売に力を注いでいたこともあり、アメリカ発のファッションブランドとして紹介されることもあります。
SHEINの国籍に様々な国が登場する理由は、グローバル展開しているからといえるでしょう。
SHEINの危険性や安全性に対するネガティブな意見
SHEINの危険性や安全性に不安を感じる声も少なくありません。
セキュリティ対策が不十分
SHEINには、セキュリティ対策が不十分だという懸念があります。過去には、ユーザー642万人の個人情報を流出させたこともありました。その際専門家からセキュリティ対策が脆弱だと指摘されています。
デザインの盗用問題
SHEINは、デザインを盗用されたと数多くのアーティストやファッション小売業者から訴えられてきました。デザインの種類が多いことで知られるSHEINでは、多国籍のデザイナーを抱えています。
推定500人以上いるデザイナーの内半分は従業員で、デザイナーの制作効率を挙げることに力を入れています。
洋服のデザイン作成の一例は、以下の通りです。
- SEOやネット巡回を通じていち早くトレンドを察知
- ライバル会社の商品をチェックして色合いを決める
- 材料からデザインをしていく
スピード感やトレンドを重視する余り、似たデザインや人権や宗教に配慮していないデザインが出ることも少なくありません。
クオリティ
洋服のクオリティは、値段相応という意見が大半です。ただ安っぽくみえる商品もあり、十分見極めて利用しないといけません。
また洋服の安全性にも懸念が残ります。
SHEINの幼児用ジャケットにカナダで定められている安全基準の約20倍の鉛が入っていると指摘されたこともありました。
洋服の安全性を犠牲にして、コストを削減して良いわけではないです、安全性を担保したサプライチェーンの構築をこれからどう図るかもポイントになってくるでしょう。
労働問題
SHEINの工場には、週75時間以上働いている従業員がいるという疑惑があります。イギリスやオーストラリアでの奴隷禁止法にSHEINが違反しているという指摘もされてきました。
SHEINは国際的な就労環境を守っていると主張していますが、労働環境の悪さが世界的な不買運動に繋がるリスクもあります。労働力の搾取は社会的な問題になっており、今後の動向が注目されます。
まとめ
SHEINは、越境ECとして大成功を収めています。SHEINが世界的なファストファッションを凌ぐ存在になるのも時間の問題でしょう。
現在本社はシンガポールにあり、アメリカでの上場を狙っているともいわれています。
SHEINには危険性や安全性への問題が指摘されることがあるものの、越境ECの成功モデルとして注目に値する存在といえます。
次回は、