SHEIN ファストファッションの未来 Part02 ビジネスモデルの秘密
前回、SHEIN ファストファッションの未来 Part01 では
SHEINとはどの国のアパレルファッション企業か?危険性や安全性について解説しました。
今回は、
SHEINはなぜ安い?ビジネスモデルの秘密を解説
Written by 植島 寛子
SHEIN(シーイン)は、特に安いと評判の中国発のファストファッションブランドです。
SHEINはなぜ安いのか、メインの価格帯、安さを実現するビジネスモデルの秘密を解説していきます。
SHEINはなぜ安い?
SHEINが安い理由は、大きく3つあると考えられます。
- 徹底したコスト管理
- 生産から販売まで一貫している
- 原料を安く手に入れている
それぞれを詳しくご紹介していきます。
徹底したコスト管理
SHEINは実際の店舗がなく、人件費や店舗維持費がかかりません。
また洋服作りも人ではなく、機械が行っています。
他にもSHEINでは、ファッションブランドがコストを掛けるトレンド分析もAIが行っています。
徹底したコスト管理が、SHEINの安さに繋がっているといえるでしょう。
生産から販売まで一貫している
サプライヤーを中国広州市番禺区に、集中させることで、新商品の企画から出荷まで平均2週間と、競合するグローバルファストファッションブランドはおよそ3週間といわれていて約半分となるリードタイムを実現しています。
トレンドの真っ最中に人気の服を市場に投入できるので、他のファストファッションのように大量生産して廃棄費がかかるという悪循環にはなりにくいです。
自社で生産設備を持たないかわりに、1500社近いサプライヤーを抱えて、独自の「SCMシステム」で商品の販売状況をリアルタイムで生産現場と共有しています。
売れ行きに応じて自動的に在庫調整や生産を指示する仕組みを導入しています。
これも安く多品種少量生産が実現している理由といます。
原料を安く手に入れている
SHEINの洋服に使われている布は、他の業者が廃棄する予定だった布です。
SHEINでは、他の業者の商品に使われている質の良い布を安く手に入れています。
原料が安いので、商品自体の価格も抑えることに成功しました。
SHEINが世界の工場と呼ばれる中国にあるので、実現したといえるでしょう。
ITシステム
ビッグデータとAI(人工知能)を駆使したデータ分析に基づくマーチャンダイジングとサプライチェーン管理システムがこのビジネスを支えています。
知衣科技(ジーイー)が開発したSaaS「AIアシストデザイン」で、デザインや生地、色彩などのトレンドを予測しています。
このシステムの詳細はこちら
AI活用進むアパレル業界、トレンド予測で商品開発支援 在庫リスクも削減
SHEINのビジネスモデル
SHEINは単に安いだけで、ZARAを超える評価額になった訳ではありません。
徹底したテストマーケティング
SHEINでは、テストマーケティングに力を注いでいます。特にオンラインテスト、国ごとのプロモーション戦略は高く評価されています。実際の店舗のないSHEINでは、オンラインでの売り上げがデータですぐ確認可能です。店舗のあるブランドよりも、SHEINはスピード感を持って売れ筋商品を確認できます。また、SHEINでは商品のテストをアメリカで行い、データを取ることが一般的です。人種のサラダボウルと呼ばれるアメリカは、多様なデータを取得することもできます。アメリカでの反応を確認後、国ごとに商品を微調整して発売しています。SHEINのこまやかなマーケティングは、アメリカだけでなく欧米でも人気の理由といえるでしょう。
1日で2万5000点を超える新製品を投入することもあると言われています。これはファストファッション大手ZARAの1年間の新商品数に匹敵するとも。新商品の数と展開スピードは圧倒的で、これが若い消費者の支持を集めているようです。自社サイトで販売している商品数は60万点以上とも言われています。(どう数えるのか興味あります。)
プロモーション戦略
SHEINでは、インフルエンサーを使ったプロモーション戦略を積極的に行っています。
インフルエンサーは、SHEINのターゲット層であるZ世代が身近に感じるような方を厳選してきました。
addisonraee
Souce:https://www.instagram.com/addisonraee/
日本人インフルエンサー例https://www.instagram.com/miho.a.nico/
またSNS運用も積極的です。
日本ユーザー向けのSNSも展開していて、日本の消費者の好みにあった写真を多くアップしています。
Souce:https://www.instagram.com/shein_japan/
SHEINの創業者である許仰天氏はもともとSEOのプロだったこともあり、その手腕が発揮されています。
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SHEINを真似たビジネスモデルも
中国では、SHEINに続いて成功を収めようとする動きも見られます。
例えば、allyLikesはアリババがSHEINを意識して立ち上げた越境ECブランドで話題になりました。
Souce:https://www.allylikes.com/
URBANIC というファストファッショブランドを展開している、2018年設立の「禾観科技」
インド市場をターゲットにして、AIによる売れ行き予測などのデジタル技術をベースに在庫管理を行い、SHEINと同様の低価格施策を実施しています。
Souce:https://www.urbanic.com/
スポーツ系ブランド「Halara」を手掛けている2020年設立の全量全速科技
20ドルから40ドルまでの価格帯でコスパの高い製品の提供しています。
また中国で初めてShopify Plus Partnerに選ばれたFastlaneもSHEINを意識した経営支援サポートをブランドに対して行っています。
FastlaneではSHEINと同じくローカライゼーションに力を注ぎ、越境型ECブランドの支援も行っています。
「Made in China → Brand from China」
Fastlaneが支援しているブランドのGMVが約100億円を突破するなど、注目度も上がっています。
今後さらに似た、海外市場でのシェア拡大を図っていき、アパレル関連の越境ECが増加するのに伴って、中国発の有力ブランドが誕生することも予想されます。ビジネスモデルやデジタル技術の活用など共通点が多い企業が増えるとも予想されるので、中国の越境型ECの動きに注目が集まってきました。
まとめ
SHEINはコスト管理や生産販売などに工夫した結果、驚きの安さで商品を提供しています。SHEINのビジネスモデルの後に続こうとする中国の越境ECも少なくありません。SHEINの今後の動向から目が離せません。
一度、サイトで体験されることもお勧めします。
次回は、
SHEIN ファストファッションの未来 Part03
SHEINが届くまでの流れを解説!どのくらいで届く・関税についてもまとめ
についてお届けします。
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業界人が期待するほどにはシーインの知名度も利用率も高くなかった
サマリー
10代女性に支持されているという点においては「Z世代ガー」は勢いづくかもしれないが、アメリカと違って日本のZ世代は人口が少ない。40代以上に支持された場合と異なり、そこまで売上高は伸びにくい可能性が高いと考えられる。
とはいえ、いずれ中高年層は死に絶えるから、Z世代の取り込みは必要不可欠だが、アメリカ市場でのような成長曲線は日本国内では描けないだろう。
ちなみに、心斎橋の期間限定店で見た限りにおいて、シーインの商品は多くは生地のクオリティが低く、あれならジーユーの値下げ品でも買った方がマシであると当方は断言する。
中国発EC「SHEIN」本当の実力 東洋経済
急成長する中国発EC「SHEIN(シーイン)」。しかしその実態はベールに包まれたままだ。独自取材で本当の実力に迫る。