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【D2C/eコマース/OMO ビジネスモデル編】
Written by 中島 布美子
DtoC(D2C)とは?
DtoC(D2C)とは「Direct to Consumer」の略で、製造者が直接顧客と取引することで、仲介業者を介さないということです。2000年後半頃から、米国を中心にスタートアップ企業が展開するビジネスモデルとして、このDtoC(D2C)を採用する企業が増えてきました。
DtoC(D2C)を採用している企業の多くは、TwitterやInstagramなどのSNSを利用し広告代理店等や仲介業者を挟まず顧客とコミュニケーションを取るので、より濃密に顧客との関係性を築いているのが特徴なので、インターネット、SNSの普及とともに盛り上がってきているビジネスモデルがDtoC(D2C)といえます。
DtoC(D2C)を理解するためにメリットやハードル、ポイントを整理したいと思います。
DtoC(D2C)とECの違いについて
DtoC(D2C)=ECと理解している方が多いように思いますが、厳密には違います。
ECとは流通の手段であり、リアルに店舗を持たない、仲介業者を通さず直接売ることを指しており、楽天市場、Amazonなどのマーケットプレイスや自社サイト、SNS等で商品について訴求をし、自社サイト内で購買へ結びつけます。
一方で、DtoC(D2C)はECに加えて、原則としてメディアを介さずに、ストーリーやブランド情報を顧客に直接伝え、ブランドへの共感や愛着を顧客に拡散させ、さらなる購買やファンの醸成へ繋げていくモデルとなっています。
DtoC(D2C)とBtoC(B2C)の違いについて
BtoC(B2C)「Business to Consumer」の略で、BtoC(B2C)は企業と顧客の取引全般のことです。流通小売業やデパートなどもBtoC(B2C)にあたります、DtoC(D2C)は製造者が顧客に直接販売しているという意味では、DtoC(D2C)を採用している企業もBtoC(B2C)を行っていることになります。DtoC(D2C)のメリットとデメリット
メリット1.消費者からの意見をダイレクトに商品開発などに取り入れられる
DtoC(D2C)では顧客とのやり取りを直接企業が行うため、顧客の詳細なパーソナルデータ(顧客の属性・購入の動機や履歴・サイト内での顧客導線……など)を直接得ることができ、コミュニケーションを取る機会も多いので、企業と顧客の距離が自然と近くなります。また、どの企業もSNSなどを使ってインタラクティブなコミュニケーションにも力を入れており、顧客の声を直接聞いて、商品開発等に役立てることが可能になっています。
顧客にとっても、自分の声を企業が取り入れてくれる姿勢に更にロイヤリティーが上がります。
メリット2. 中間マージンや手数料等のコストの削減で、利益率が高い
製造業者が直接顧客に販売するモデルですから、仲介業者などに支払う中間コストが削減できます。
ECサイトのみを比較してみても、楽天市場、Amazonなどへ出店すれば出店料、販売手数料、クレジット決済代行費用等々が発生しますが、それらの中間手数料は発生しません。
メリット3. 顧客データの蓄積が可能
DtoC(D2C)は、楽天市場、Amazonなどのショッピングモールに出店せず自社ECサイトを利用するため、顧客の詳細なパーソナルデータ(顧客の属性、サイト内での滞在時間や離脱ページなど……)を蓄積することが可能になるので、より効率的にPDCAサイクルを回すことが可能になります。一方、ショッピングモールで販売する場合は、販売管理データ以外は企業の財産として残らないことが多いので注意しましょう。
メリット4. 自社の想いやビジョンを素直に伝えられる
自社サイトやSNSを利用し、自社のビジョンや魅力、商品作りに込めた想いや開発の背景などを発信すると、他の競合商品と価格で比較されることは少なくなります。ショッピングモール等に出店すれば、競合他社製品と並列され、訴求性が下がり価格で比べる人も出てきますが、DtoC(D2C)のメリットは他社製品と比べられることが少ないということもあるでしょう。
小売店が入れば価格をディスカウントする可能性もありますし、自社の想いと違う形で販売される可能性も秘めていますが、顧客に直接販売するDtoC(D2C)では、商品イメージやビジョンを製造者手動で伝えることが可能です。
デメリット1.初期投資がかかる
店舗を持たずにスタートできるのはDtoC(D2C)のメリットですが、ECサイトの構築やSNSアカウントの開設などの初期投資は必要になります。ECサイトの構築方法も手法により大きく費用が変わりますが、Shopify等を使えば比較的安価にECサイトを開設することも可能です。
また、顧客に商品を届けるための物流全般に関するシステムも費用になり、それらにかかるコストと時間が発生することを覚悟する必要があります。
そのため、コストもリソースも乏しい企業の場合はDtoC(D2C)でスタートするよりも、楽天市場、Amazonなどのショッピングモールを利用する方が現実的という時もあります。
デメリット2.自社およびブランド認知に労力が必要となる
すべて自由にコントロールできるのがDtoC(D2C)のメリットということは、集客もすべて企業手動で行う必要があります。顧客に商品を購入してもらうために、まずは自社のブランドやサービスを知ってもらうために、宣伝活動やマーケティングは、かなり重要で力の必要な要素になります。
自社ブランドに関心を持つターゲットのペルソナを設定し、彼らに響くストーリーを作りブランディングをしていくことが重要で、マーケティングに精通した人材を雇う、もしくはアウトソーシングする必要があります。
デメリット3.個別できめ細やかな対応が要求される
顧客との距離が近いのがDtoC(D2C)のメリットではありますが、その分きめ細やかな対応が必要で、それは非常に手間のかかる作業です。また、実際の店舗を持たないわけですから、顧客は実際に商品を手に取ることはできません、そのためチャットシステムを設ける、返品保証制度を設ける、写真だけではなく、ビデオで商品を掲載する、ライブコマースを計画するなど……実際の接客と遜色のない情報をオンラインで伝え、交換や返品、クレームを1件でも少なくする努力をする必要があります。
SNSで情報が瞬時にして拡散する昨今では、良い情報も悪い情報も拡散の可能性を秘めていて、ブランドイメージを傷つけないためにも、注意をする必要があります。
DtoC(D2C)を成功させる3つのポイント
ポイント1.顧客との交流を図り強いつながりを作る
「Direct to Consumer」の名称の通り、消費者とダイレクトに接点を持つことが最大の特徴なので、顧客を作るということを意識するよりも、ファンの獲得とつながりの強化を意識してSNSなどを活用し、ブランドや商品への愛着心の強いファンを育てましょう。少子化の影響もあり、新規の顧客獲得は今後ますます難しくなってきます。
だからこそ、これからの時代は、長期的にブランドを愛してくれるファンとの絆作りがますます重要です。
ポイント2.商品ではなく世界観を売る
DtoC(D2C)を立ち上げる際は、商品を売ることや、ECサイトを作ることに注力するよりも、自社のブランドイメージやコンセプトを明確に作り、正確に伝えることのできるようにしておきます。
ブランドの世界観やイメージを大切にするため、ヴィジュアルに力を入れるのは当然のことですが、ECサイトやSNSでは、どのDtoC(D2C)事業者も、きれい、美しい、かわいいヴィジュアルを使用しています。
しかし、おしゃれなECサイトは山のように存在し、またおしゃれなだけでは、消費者を引き込むことはできません。
商品の世界観やストーリー(この商品の背景)、が伝わるようにビジュアルをデザインし、世界観を伝え、それらに合わせたライフスタイルまで提案してます。
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ポイント3.Webやマーケティングの専門知識をつけよう。
DtoC(D2C)をよく理解していない事業者が「製造業者がECサイトを立ち上げること」と理解し、ECサイトを作り、売れないと悩む方がいらっしゃいますが、ECサイトを作り上げた後の詳細な分析を用いた施策や、Twitter、InstagramなどのSNSを利用した集客は情報の拡散、ファンの醸成こそDtoC(D2C)に必要なモノになります。
DtoC(D2C)を成功させるためにはWEBやマーケティングの知識は不可欠と言っていいでしょう、良い製品があり、ブランド力もストーリー力もある商品をお持ちであれば、WEBマーケティングの知識のある人材を新たに採用する、もしくはアウトソーシングすると言った選択も考えましょう。
参考対談記事
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