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物流とDX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)

物流 配送・発送サービス 3PL


                                            Written by 株式会社リンクス 代表取締役 小橋 重信

【物流コラムシリーズ】

物流コンサルタントの株式会社リンクスの小橋です。今回のテーマは、「物流とDX(デジタルトランスフォーメーション)」についてです。今やバズワードのようにDXが取り上げられていますが、皆さんの会社ではどうでしょうか? その定義についてもいろいろと取り上げられています。

物流領域でも、ロボティクスやAI、IOTなどテクノロジーの話をよく聞くようになりました。ただ、実際のところはどうですしょうか? 何か変化はありましたか? 相変わらず人に依存した現場で、スタッフが走り回っており、変わったと言えば、「働き方改革」で残業がしづらい環境になったくらいではと思います。

物流におけるDXとは・・・その本質は何なのでしょうか? テクノロジーの進化が騒がれるなかで、物流現場は相変わらず、労働集約型で、人に頼った運用になっているところが多いのではと思います。そんな物流現場の実情と対策についてお伝えします。

物流とDX

物流におけるDXとは、どのような事を言うのでしょうか? まずは、DXの定義について整理すると、DXはデジタイゼーション、デジタライゼーションの進化した姿です。

デジタイゼーション:これまでのアナログ情報をデジタル化して局所的に改善する活動
デジタライゼーション:そのデジタル化を局所的な領域から、プロセス全域に広げて
新たな価値を創造する活動
デジタルトランスフォーメーション:その結果としてビジネスモデルや企業文化・風土を変革し社会的な影響を及ぼす活動

これを物流に置き換えると、
①のデジタイゼーションは、これまでの紙ベースのアナログ情報をWMS(Warehouse Management System::倉庫システム)などの物流システムなどを活用して、データ化して、在庫管理や照合確認などを処理することで、効率化と精度化になります。
②のデジタライゼーションは入出荷などの作業工程単位でのシステム活用からプロセス全体を統合して、倉庫内だけでなく、仕入製造から販売までの製・配・販の情報をつなぐことで需要にあわせた在庫コントロールを実現します。まさにサプライチェーンの垂直統合になります。
③のデジタルトランスフォーメーションは、垂直統合されたサプライチェーンそのものを水平展開による共同物流や共同配送になどによるその業界構造のあり方を変える考え方ではと考えます。なので、ロボットによる省人化はそのプロセスにおける一部であり、ロボットを導入したからDXと考えるのは間違いです。

ZARAと物流

物流の領域をサプライチェーンにまで広げて、ビジネスモデルにおけるプロセスを変革した代表的な企業が、アパレルでは「ZARA」です。物流費を安く抑えることに注力するのではなく、製造から販売までのスピードにとことんこだわりました。多くの企業がセールによる値下げや、大量廃棄をする中で、売り切るビジネスモデルは、製造から販売までのプロセスを変革し、プロダクトそのものを変革させてモデルではないかと思います。

ZARAは早いタイミングで、RFIDなどの電子タグを導入し、POSの販売実績データだけでなく、フィッテイングに持ち込まれた情報などから、デザインをおこし、予め手配していた生地を使って、QRで商品を生産し、遠隔地でも38時間以内、日本などの世界各地へは、48時間以内にお店に届ける。

アパレル業界では、すでにベンチマークになる企業も存在するのに、昔ながらの発注製造方式から抜け出せていないです。アパレル業界のディスラプション(破壊的変革)について書かれた本も多く出版されているので、この状況を打破するために、構造改革を進めてもらいたいと熱望しております。

物流におけるデジテル化

また、物流のデジタル化が求められる時代背景としては、労働人材の不足と、高齢化があげられる。日本では人口減少が続き消費そのものも減少するので、その問題を楽観視する考え方もあるが、インターネットでの購入機会は今後増えることを考えると、商品が届けるインフラが機能しなくなると日本経済をさらに悪化し、グローバル化が進む中で、日本の復活がさらに遠のくことになるのではと危惧しています。

その解決策のひとつが、ロボットによる省人化や、これまで、部署毎にバラバラだったアナログ情報をデジタル化して繋ぎ、AIなどによって分析し最適化することです。これまでの人口増加で、市場が成長していた時代に通用したことが、人口減少などによって通用しなくなっている、そもそも物流現場では人の雇用すら難しくなっている。働き方改革も、残業の廃止、時短などがクローズアップされていますが、効率や生産性が改善するような仕組みを考えないと、人員不足はさらに悪化し、企業そのものの体力を奪う結果になる。

なので、物流におけるデジタル化やロボティクスの導入は、これからの時代を生き残る為には必須事項です。
物流部門はこれまで上流である製造部門の延長として考えらることや、マーケティングや営業部門の売上げを実現するための商品供給を遂行する部門として裏方に徹してきました。

その物流がこのコロナ禍の状況下もあり、重要になってきています。DXが必要なのは、物流からなのではと思うことがあります。「宅配クライシス」と騒がれた社会問題は、今も解決できていないどころか悪化している状況です。

その中で、大手食品メーカー8社が共同物流会社としてF-LINE(Food Logistics Intelligent Network)を立ち上げました。各社の物流分野での過度な競争を避け、持続可能な物流網を構築するため、「競争は商品で、物流は共同で」を掲げています。物流こそDXによる構造改革を進め、持続可能な社会の実現が求められていると思います。


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【コラム連載】

 

株式会社リンクス 代表取締役 小橋 重信
https://www.linkth.co.jp/

アパレル会社在職中に上場から倒産までを経験し、在庫が滞留することの怖さを知る。その後IT企業での実務経験を経て、物流会社にて100を超える企業のEC物流の立ち上げや物流現場のマネジメントを行い、現在は、物流コンサルとし企業の物流戦略見直しや、物流会社の業務支援、オムニチャネル協会の 物流アドバイザリーやセミナー講師として活動中。企業ミッションは「物流ですべの企業を元気にする!」

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