
物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。
3PL実装チェックリスト:プロバイダーの評価方法

サードパーティロジスティクス(3PL)サービスは、在庫管理、注文処理、返品対応といった重要な物流業務を代行してくれるため、EC事業者が自社の核となる業務に集中できるようサポートします。
このコラムでは、3PLが自社に適しているかどうかを判断する方法や、最適なプロバイダーを選ぶためのチェックポイントを解説します。
3PLは私のECビジネス(オムニチャネル)に向いているか?
3PLサービスは、大規模なエンタープライズ企業だけのものではありません。以下のような課題に直面しているなら、3PLの導入を検討すべきタイミングかもしれません。
- 月間注文数が100件以上に達している。
- 急な需要の増加に対応できていない。
- 注文量が波状的に変動している。
- 返品処理が煩雑になっている。
- 注文処理ミスや配送遅延が頻発している。
- 配送コストや倉庫保管費用が増加している。
- 倉庫スペースが不足している。
- 海外展開を計画している。
多くの業界で3PLを活用する企業が増えており、eコマース・オムニチャネルコマースでもその例外ではありません。Shopifyなどのプラットフォームを利用しているビジネスでも、適切な3PLを選べば、業務効率を高め、事業の成長を加速させる基盤を築けます。
3PLを導入するメリット
信頼できる3PLプロバイダーを選べば、次のような具体的なメリットを享受できます:
- 配送コストの削減:注文あたりの送料が抑えられる。
- 配送エリア(翌日配送エリア・オムニチャネル対応)の拡大:国内外を問わず、広範囲に対応可能。
- 処理・発送スピードの向上:納期を短縮し、顧客満足度を向上。
- 顧客体験の向上:リピーターの増加やロイヤルティの強化。
- ピークシーズンや突発的な混乱への対応力:ホリデーシーズンや規制変更、自然災害などにも柔軟に対応。
ただし、これらのメリットを最大限に活用するためには、適切な3PLパートナーを慎重に選ぶ必要があります。
リサーチや打ち合わせ、料金交渉を行い、自社のニーズに合ったプロバイダーを見つけることが重要です。
3PL選び 専門家のアドバイス
このコラム記事では、物流やサプライチェーン管理の分野で40年以上の経験を持つ専門家の意見を基に、3PL選定のポイントを紹介します。
Amazonなどの物流経験を持つベテランの専門家が、実際の成功事例と失敗例を踏まえたアドバイスを提供してくれています。
専門家の声
複数のShopifyストアのサプライチェーン管理を担当する専門家は、次のように語っています:
「過去に間違ったパートナーを選んだ経験があります。適切でない選択をしてしまった場合、在庫を完全に統合する前に、そのミスマッチをできるだけ早く認識することが重要です。」
包括的な3PLチェックリスト
「プロバイダーを事前に徹底的に検討することで、時間とコストを削減し、ブランドに最適なサービスを選ぶことができます。」
市場には多種多様な3PLプロバイダーが存在し、それぞれが異なる機能や料金、配送オプション、割引プランを提供しています。
以下は、3PL導入を成功させるために押さえるべきポイントです。
1. 顧客体験の向上を最優先に
「3PLサービスの選択は、顧客体験に大きく影響します。」
顧客がECサイトを離れる主な理由には、配送の遅れや高額な送料、配送時間の不透明さがあります。3PLは、こうした課題を解決するための多様な配送オプションを提供し、送料無料が最適な戦略かどうかの判断もサポートします。
2. リバースロジスティクス(返品処理)
返品対応のスムーズさは顧客体験に直結します。以下の点を確認することを勧めています:
- 標準操作手順(SOP)の有無:顧客満足度を高め、チャージバックを最小限に抑える。
- 返品在庫の管理方法:補充、修理、再販、または廃棄を適切に行う。
- 迅速な返金・交換対応:タイムリーな処理で顧客の信頼を確保。
返品プロセスを見直す際には、マージンを守る方法を常に意識しましょう。
3. 倉庫のロケーション
「倉庫の場所は非常に重要な要素です。」
主要市場からの距離は、配送時間や送料に大きく影響します。
例えば、首都圏市場向けに商品を販売する場合、首都圏の倉庫か、翌日配送エリアの送料の安い倉庫を持つ3PLを選ぶことで競争力を高められます。
また、配送手順や梱包オプション、コスト、遅延時の対応ポリシーについても確認しておくことが重要です。
4. スケーラビリティと柔軟性:3PLプロバイダーがビジネスの成長にどう対応できるか
EC事業が成長し、需要が拡大するにつれ、3PLプロバイダーにもそれに応じた柔軟性と対応力が求められます。
複数のShopifyストアを管理した経験から、3PLを選定する際に確認すべき重要なポイントを以下のように挙げています。
確認すべきポイント
- 成長への対応:3PLプロバイダーは、事業拡大や注文量の増加に対応できますか?
- 柔軟な対応力:注文量の変化や、繁忙期の需要急増に適応できますか?
- 幅広い商品対応:商品・製品タイプが多様化しても処理可能ですか?
- サブスクリプション対応:定期購入商品や特殊な配送スケジュールにも対応できますか?
- キッティングのサポート:複数の商品を1つのSKUとしてパッケージ化する作業に対応していますか?
-
柔軟な契約条件:ストレージ容量や価格体系に柔軟性はありますか?
実例から学ぶ
過去にある3PLプロバイダーが温度管理を必要とする食品や化粧品、さらには高価値商品を扱うブランドを適切にサポートできなかった例を挙げています。
このような状況を防ぐためには、プロバイダーが提供できる機能と、自社の短期的・長期的なニーズが一致しているかどうかをしっかり確認する必要があります。
さらに、注文量が増えるほど交渉力も高まり、コスト削減のチャンスが生まれるそうです。
また、
「大量出荷を前提とした契約は、送料やストレージコストの割引交渉に有利になります」
と述べています。
5. テクノロジー:効率と統合性を高めるために
3PLサービスを導入する際、そのプロバイダーが提供するテクノロジーの質と柔軟性は、事業運営の効率性に大きな影響を与えます。特に、使用しているeコマースプラットフォームやツールとスムーズに統合できるかが重要です。
確認ポイント
(1)プラットフォームとの統合
l ストアとシームレスに接続できるAPIや事前に構築された統合機能はありますか?
l 注文管理を自動化するための電子データ交換(EDI)に対応していますか?
l プロバイダーが使用している倉庫管理システム(WMS)は信頼性がありますか?
l リアルタイムでの在庫更新、注文の同期、配送状況の追跡が可能ですか?
(2)テクノロジーへの投資
現在の機能だけでなく、将来的なビジネスの成長や変化にも対応できるよう、プロバイダーが革新的なテクノロジーを導入しているかを確認しましょう。
たとえば:
- ロボティクス:作業効率を大幅に向上させる。
- 人工知能(AI)や機械学習(ML):需要予測や在庫最適化を支援。
- 予測分析:データに基づく意思決定を可能にする。
(3)レポート機能
3PLプロバイダーが提供する分析レポートも重要な要素です。
現在のニーズだけでなく、将来的に追加のレポートや機能が必要になる可能性も考慮してください。これらが追加料金の対象となる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
テクノロジーの効果
「適切なテクノロジーの導入は、運用の効率を高めるだけでなく、時間とコストの大幅な削減をもたらします。」
効率化によりクロスセルを改善し、平均注文額(AOV)の向上にも寄与します。
6.フルメント&在庫管理
EC事業を展開するにあたって、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)プロバイダーがどのようなシステムを採用しているか、またそのシステムの拡張性がどの程度あるかは非常に重要なポイントです。
自社のショッピングカートや他のツールとどの程度スムーズに統合されるか確認する必要があります。統合性が高いほど、動作が効率化され、エラーを減らすことが期待できるのです。
優秀な3PLパートナーであれば、「在庫の管理、注文の履行、返品の処理、インバウンド注文の受け取り管理」を基本業務として提供するのは当然のことです。
「これらの機能はすべての 3PL サービスのベースラインです。」
「堅実で柔軟なシステムの導入が、事業の成長に向けて重要な要素である。」と強調しておきます。拡張性の高いシステムを採用することで、事業規模の拡大や新しい市場への発展にも柔軟に対応できます。
7.商品・製品の種類と数量
3PLプロバイダーを選ぶ際には、短期商品の種類や性質、そして数量についても評価する必要があります。 特に、商品・製品のサイズや重量、脆弱性、傷みやすさといった特性に対応できるかどうかを確認しましょう。
「商品・製品の性質に応じて適切な取り扱い能力があるかどうかを認識することが重要です。」
さらに、季節による必要の変動も考慮すべきポイントです。
例えば、プロバイダーが繁忙期やホリデーシーズンのピーク需要に対応できる体制を整えるかどうかを確認しましょう。
また、ピッキング&パッキング、キッティング、バンドルといった付加価値サービスを提供しているかどうかも評価の基準になりますこれらのサービスを活用することで、商品をより効率的に顧客へ届けることが可能になります。
8.コストと交渉
「3PLの契約は、自社でフルフィルメントを行う場合と比較して高額になる場合があります。」
まず、サービス内容に見合ったコストであるところがしっかりとあることが必要です。
料金プランには、インバウンドコスト(入庫費用)、保管コスト、アウトバウンドコスト(出荷費用)、プライス、カスタムパッケージング、返品処理費用などが含まれることが一般的です。また、適正価格であることを確認することも重要です。
さらに、以下の点も確認してください:
- 毎月の注文数に最大値が設定されるか。
- 繁忙期や特定のシーズンで料金が変動するか。
- 梱包材やその他の付属品に追加費用がかかるのか。
また、リバースロジスティクス(返品処理)については、サービスの内容や料金設定がどのようになっているかも重要です。
「返品はリサイクル、再利用、再販、または寄付といった形で処理される」これらの処理方法については、契約で明確にしておくべきです。」
適切な3PLパートナーを選ぶことで、結果的にカスタマーサポートの負担を軽減することが可能です。交渉に関しても、「3PLの料金はすべて交渉可能です。市場競争を活用し、最適な条件を引き出してください。」
9.契約とリーガルチェック
3PLプロバイダーとの契約に関しては、事前にしっかりと契約内容を精査することが大切です。以下のチェックリストを参考にしてください:
- 価格や改正注文制限:料金の値上げや請求の仕組みについて契約で明確にされていますか?
- オンボーディング計画:最初の商品・製品受け入れや顧客の注文発送までのスケジュールは契約に記載されていますか?
- 損害賠償責任:損害が発生した場合の責任の所在や保険条件はどうなっていますか?
- 契約期間と更新条件:契約はどのくらいの期間有効で、自動更新条項が含まれていますか?
また、パートナーシップの条件や在庫管理に関する条項、終了条件(契約解除の要件)も確認しておくことが重要です。
3PLプロバイダーの選定は、EC事業の成功に直結する重要な決定です。信頼できるパートナーを見つけ、効率的なフルメントフィル体制を構築しましょう。
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発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。

監修者
株式会社富士ロジテックホールディングス
西間木 智 / 通販営業部 部長
物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。
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