通販・D2C・Eコマース事業者の
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第四章ではもう少し具体的に自社におけるオウンドメディア展開に関して述べてゆきたいと思います。ネット時代になって販売チャネルとしてネットチャネルを増やしてゆこうという考え方はお客様とのタッチポイントを充実させるという点でも重要となってきます。
ただ、前章までにもお伝えしたようにネットにおけるEC展開はひとつの効率的な仕組みのひとつではあるけれどゴールではありません。あくまでネット対応は買ってもらうまでの「強力な情報ツールであり、結果としてそのままネットで購入できれば便利」という手段でしかありません。自社でECを展開する時の選択パターンとして
・楽天やAmazon、Yahooショッピングなどのモールに出店する
・自社ECサイトを独立させて運用する
・ショッピングモール出店と自社ECサイト両方とも展開する
などいくつかありますがこれは単にタッチポイントをいかに多く持つかというよりお客様がどのように使い分けるのか、自社としてどのような使い分けをして欲しいのかというお客様との関係のシナリオによって選択することになります。
またさらに重要なことは今までリアル店舗などもタッチポイントのひとつでありお客様の視点からすると並列なひとつの選択肢に過ぎません。ところが企業側からすると組織体系や商品管理、担当人員、マーケティングなどがかなり違いますのでどうしても部署は別にならざるを得ないし総合的なマーケティングは困難な状況がほとんどでしょう。部署が分かれてしまうのは仕方ないにせよ、ここでどうコントロールするか、総合的なマーケティングを社内に浸透させるかが経営者の力量というところではないでしょうか。
ではここで店舗も含め各オウンドメディアのポジショニングを確認してゆきましょう。ポジションングは業界、商材、規模、ビジネススキームによって様々ではありますがここでは
「アナログ時代で店舗が数店舗以上ありネット時代でECを始めた企業」
をモデルに説明していきましょう。
第一段階 店舗に加えてECモールに出店
代表的なパターンとしてネット時代になったのでECを始めたい。でも自社ECまで作る知識も経験もないことからまずはショップモールへの出店というパターンです。
自社ECの場合完全にオウンドメディアですから単独で直販できるため効率は良さげに見えますが、多分ご想像より構築費、維持費がかかるうえまず集客することがかなり大変です。ですからネット参入の第一歩としてECモールへの出店はよい選択のひとつかと思います。
・ECモールでは購買意識の高いお客様が集まっている
・モール内検索リストに自社の名前とロゴが表示されるだけでも認知度を上げられる
・手数料がかかるとはいえ維持費、構築費、集客費用を考えると経済的
・知見と経験がない段階でもネットマーケティングを学ぶことができる
確かにECショップ内ではリアル店舗との顧客情報のやり取りはできませんので純粋な自社ECサイトと同じ様な連携はできませんがブランドが立っている場合お客様からすると「店舗で買うか or ECで買うか」という選択ができるようになります。
第二段階 店舗、ECモールに加え自社ECサイトを構築
念願の自社ECサイトの構築です。ECモールで培ったネットマーケティングを活かして満を持しして構築される企業が多いことでしょう。手数料もかからない直販ですから特に卸業務が中心だった企業からするとかなり期待されているのではないでしょうか。でも残念ながら最初から上手くいく自社ECサイトも多くはありません。・ECモールと違って集客の難易度が高い
・整備されたECモールと違ってショップとして劣化ECモールになりやすい
・お客様にとって自社ECサイトで買う理由が明確でない(差別化できていない)
・やっと自社ECサイトに来てもらっても結局ポイントのつくモールで買われてしまう
どうしてもこうなってしまうかというと、
お客様の心理的カスタマージャーニーを考慮せずに
企業視点で自社ECを構築してしまう
ことが原因となります。企業側からするとこちらが本家本元という自信があるのでしょうが、ユーザー側からすると欲しい商品が手に入ればどのサイトでもよいですしさらに店舗であっても便利で買いやすくお得であればどこでもよい、というのが本音です。もし他サイトより買っていただきたいのであれば「差別化」と「ポジショニング」が必要になるのです。
確かにECモールのようにポイントや集客で差別化は難しいのですが、自社サイトは「オウンドメディア」であるという強みがあります。単に自社商品を販売している販売チャネルとしてではなくこの点を強く意識することが重要です。ではオウンドメディアである自社サイトの強みはなんでしょうか。
・自社ブランドにおいて圧倒的にオーガニック検索に強く上位に表示される
・他社商品混在のECモールと違い自社ブランディングの中で商品が紹介できる
・新商品の紹介、商品にまつわる情報など重要な情報が丁寧に紹介できる
・店舗がある場合徹底した店舗情報との連携が可能
・店舗からも自信をもって自社サイトを紹介できる
・商品のファンから企業のファンになった時点で第一選択サイトになれる
要は自社ECを「単なる販売チャネル」としてとらえずにECモールにはないネット上での商品情報のハブとすべきなのです。そしてそこにはEC機能もありお客様がそこで買うのがよいと思った時に買うことができる機能がついている、という存在が重要なのです。仮に情報を自社ECサイトで見た後、ポイントに魅かれてECモールで買う場合もあるでしょう。それで十分!と考えるべきです。それだけでもECモール単体で十分な情報なしで比較検討されるより全然ましなのです。
集客ルートに関してもお客様は最初ECモールで購入するかもしれませんが、もしその商品が気に入って再度買おうを思ったりそのブランドをもっと知りたいと思った場合のユーザーの行動としては検索エンジンで商品名やブランド名を検索するでしょう。その場合検索結果の上位に表示される自社ECサイトに着地する可能性が高く、そこで商品を思いっきり紹介することが可能です。せっかくそうやって自社ECサイトに来てもらっても劣化ECモールのように単に商品が羅列されている状況ではあまりに勿体ないというものです。
自社ECサイトでの当初の評価軸は「売上げ」ではなく「アクセス数」「再訪数」「回遊数」に求めるべきです。そのためには情報のクオリティが高く、買うとか買わないとか以前に魅力的なコンテンツであるかどうかが問われます。またこういった数値があがることによって検索エンジンの評価も高くなってゆきます。ですから自社サイトの最重要目標は
売上げではなくアクセス数を求めよ
が正解だと思います。ポジショニングとしては認知度をあげ売上げでも貢献できるECモールと魅力的なコンテンツで商品を紹介しつつファンを育てる自社ECサイトという差別化をすることで結果的に自社ECサイトの売上げは上がり、かつファンが集うためLTVが高いサイトとなるのです。
第三段階 情報のハブとしてのECサイトのポジショニング
上記の流れは最初から完成された形で構築できるものではありません。部署の壁を越えお客様視点で各メディア、販売チャネルを連携させそれをお客様に認知してもらうまで愚直に進めてゆかねばなりません。それを継続してゆくことで- すべてのタッチポイントで自社の提供価値を直接伝えることができる
- 有益な情報がお客様に早く届けることができる
- どの販売チャネルでもお客様の意志によって最適な形、タイミングで購入できる
- 商品のファンから企業のファンに醸成することができる
ネット社会は「販売チャネル合戦」ではなく「情報戦」です。重要なのはどこで買うかよりもお客様に魅力的な情報をいかに自然に伝えることができるか、オウンドメディア最大限利用できるか、ということなのです。
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