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EC歴25年 元運営責任者が語る「ECに投資する前にこれだけは知ってもらいたいこと」第三章 【中山茂マーケティングデザイン」

eコマース インタビュー 通販

中山式KPIメソッド

Written By 中山茂マーケティングデザイン株式会社
 代表 中山 茂

第一章、二章ではオムニチャネルへの流れ、またその中での概念の落とし穴について書いてきましたが
この第三章は

オムニチャネル時代での正しいECの向き合い方

に関してお伝えしてゆきたいと思います。

第二章でチャネル毎の個別対応はマーケティング的に大きなロスを生むと書きましたが実際の現場では以下のような現象が起きています。

1、リアル店舗とECが競争関係になってしまいスタッフ間に壁が

 ・自社ECは自分の売上げ目標にとって脅威だ
 ・店舗に在庫がなくてもわざわざECを紹介しない
 ・このままでは自分の雇用が心配だ

俯瞰して見て見ると「同じ会社内でいったい何をやっているんだ」という状況ですがこういった状況はごく当たり前に起きています。

2、リアル店舗とECが独自にお客様にアプローチ

 ・同じお客様にそれぞれのチャネルが施策を立案、個別にアプローチ
 ・施策自体の連携がなく担当のチャネルでしか適応されない
 ・同時期に同様な施策を行いお客様が混乱してしまう

 

中山3回目画像①.pngのサムネイル画像

 

完全にカニバリを起こしています。前章でお話したようにユーザーからすると、どこで情報を受け取っても、どこで決済しようとも関係ないと思っているのに、企業は「俺が!俺が!」と自分の部署で売上げを上げようと同じユーザーの取り合いをしているのです。当然、協力関係はなく社内の雰囲気はギスギス、過剰な販促費をかけてしまうこともあります。このような状況に対して企業といえば

 ・ECの売上げをどう管理すればよいかわからない
 ・売上げが計上されている部署の評価システムは売上げ数字なのでどうしようもない
 ・店舗でのお客様とECのお客様が完全に紐づけできないので融合できない

もう完全に企業の都合でしかありません。お客様起点で考えるとこんな会社都合なんて本当にどうでもいいことにも関わらず今までと違うからという理由で言い訳は沢山出てきています。

本当に改善や改革は不可能なのでしょうか。現在が完璧に回っているように感じているがゆえに改善も完璧にやろうとしていませんか?リアル店舗のお客様情報とECのお客様情報を完璧にすべて連携できている例なんてありません。でも徐々に紐づけられていますし今後10年、20年先はどうでしょう。未来に目線を向ければ現段階から動くべきではないでしょうか。一度に変えるのではなく少しずつ変えてゆくことが大事なのです。

解決策

まずは以下の2点からの解決策としては
1、 チャネル単位での売上げを個別最終目標にしない(数値は取る)

  →売上げ管理を一本化する
  →チャネル単位ではなくユーザー(お客様)単位で目標値を決める

2、 売上(決済)単位ではなく売上げ貢献度で社員を評価する
  →KPIでも信用できる数字を設定する

 すべての販売チャネルの売上げ目標と権限を統括し経営陣直轄で現場論理に惑わされない俯瞰的マーケティングを実施することです。これが実現できれば末端の販売チャネルごとの現場の競争論理は通用しません。またお互いのチャネルにお客様を誘導することも評価対象にできるような上位概念で評価が行われればチャネルを超えて社員が協力し合いながら評価されますので社員の不満も起きません。さらにリアルとネットでのデータ管理や物流、分析、販促などの社内インフラも整備できます。

あくまで理想論かもしれませんが実はこういった概念になれるかどうかがオムニチャネルの一番大きな壁なんです。システムや仕組み以前社員全員にネット社会の概念が浸透するかどうかが重要と言えるでしょう。各種セミナーで話されていることやマーケティング本なので書かれている内容も表現は違えどもこのような正しい道を示しています。ただ、問題は現実的にどう具体的に動けばあるべき姿に近づけるのか?ということだと思います。

成功体験や商習慣、評価体制を一新するには「勇気」が必要

過去の成功体験や商習慣、評価体制を一新するには「勇気」が必要です。ではなぜその「勇気」が振り絞れないのか・・・それはひとえに

 変化することにリスクばかり感じてしまう
 ネット社会の消費者行動の本質的変化を理解しきれていない
 自信を持って部下や上司に説明できない

からだと思います。またこれは経営者だけが理解すればよいというものではなく、

 経営者も現場の社員も全員が現状変化を認識し、あるべき姿を理解しなければなりません

いままでの文化を壊したり捨てたりする必要はありません。今まで成功してきた企業理念や文化はそのままに会社全体で「新しい社会を理解」すればよいのです。

そのことによって末永く「よいお客様」とよい関係を築くには既存概念の「販売」を基点にするのではなくどうユーザー起点と接してゆくためには

  •  お客様はあなたの会社に何を望んでいるのか
  •  今、会社はどうすべきなのか
  •  自分にできることは何なのか
  •  どうすれば部署ごと協力してゆけるのか
  •  成果をどう可視化できるのか

中山3回目画像②.png

 

と、必然的に具体的やるべきことが見えてきて、現状の業務でできることは何なのかを経営者だけでなく社員全員が個々の正しい理解のもと自ら考え、できるところから小さい規模でも実行してゆくことかと思います。

まずは社員全員がそのような指向で業務に臨み、実行できる環境づくりから始めてはいかがでしょう。まだ売上げ別の部署になっていたとしてもその枠組みを超えてお互いのチャネルにお客様相互送客してリアル、ネットに関わらずどうお客様に接するのかを実感するところから始めてみましょう。さらにそれらと並行して運用を形づくる組織体制の構築やフルフィルメント、評価制度、分析の仕方やお客様対応等仕組みを経営陣も実感と学びの中から創りあげてゆけばよいかと思います。

 第四章はこちら

 第四章 オウンドメディアのポジショニング

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中山茂マーケティングデザイン株式会社
http://nakayama-md.co.jp/
090-1676-4407

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