吉村 典也
吉村 典也

日本の製造業を強くするためのコンサルティング会社、外資システム会社などを経て、通信販売(ダイレクトマーケティング)、Eコマースの事業運営・CRM/購買体験購買後体験)運用・フルフィルメントサービス運用のアドバイザーとして、CS&BPOセンター(CX設計・運用からシステム設計・運用まで)の新規立上・受託までを担ってきた。通販基幹システム・Eコマース・オムニチャネル/OMO・CRM+MAシステムのマーケティングセールスから、業務設計・運用までをコマース・小売事業会社ととも一緒にアクション&グロースしてきた。

追跡情報と購買後体験のデータ フルフィルメント編 パートナー選定チェックリストPart3

3PL フルフィルメント

 D2C・eコマース・OMOビジネス

D2C・eコマース・OMOビジネスのためのフルフィルメント・発送代行の選定チェックリスト:ケーススタディから Part3

前回の、フルフィルメント編 パートナー選定チェックリスト:ケーススタディから Part2 では、サービスレベルを維持して提供してくれるための、関連システムの重要なポイントについてお話をしてきました。

今回は、何故それがブランドの事業の成長に役立つのかをご案内していきます。

顧客とのコミュニケーション

顧客体験の重要性が増している中で、顧客に荷物の最新情報を自動的に提供することができることが求められてきます。

注文品が発送されると、自動的に出荷データ(お問合せ番号)や、荷物の配送ステータスをeコマースプラットフォームに返送し、eコマースプラットフォームは荷物の追跡情報を顧客に転送してコミュニケーションできるようになっているはずです。

これは、ケース3でも実施しましたが、マイページでの確認もできるようにするとかも重要になります、このコミュニケーションプロセスを提供することを通じて、「お買い上げ書・納品書」の廃止など顧客との双方のメリットが出てくるような施策などが設計できるようになります。

また、カスタマーセンターが、顧客から注文に関する質問を受けた場合にも、最新の情報を迅速かつ自信を持って回答することができます。
(この業務そのものを、相対コミュニケーションでする顧客層は限られてきますけど。0にはなりません。)

 *ノンボイス対応がこれからの重要なサービスポイントになります。

顧客とのコミュニケーション

データ

わたしたちD2Ceコマース事業者は、技術力のあるフルフィルメントサービスを選定したいです、それはデータが重要だからです。

  • トレンドの特定
  • ボトルネックの発見
  • 在庫管理の改善
  • 顧客の需要への対応
  • 配送にかかる費用と時間の節約に役立つ情報

などフルフィルメントパフォーマンスの追跡に役立つデータを提供してくれる必要性が増しています。

これは、手動でレポートを送信するだけでなく、可能であればデータ連携していて、いずれかのシステムのダッシュボードや、クラウドのBI・BAツールでこれらの情報をオンデマンドで利用できるようにしたいです。
フルフィルメントプラットフォームが取得するデータの種類を知ることで、そこから得られる分析やインサイトの種類を理解することができることは、D2Cの単品通販では大して複雑性が無いかもしれませんが、SKUの多い少ないに限らず、ますます重要になってきます。

  • 在庫回転率
  • 長期的な注文量
  • 注文ごとのアイテム数
  • 平均出荷ゾーンエリア
  • 注文から出荷完了までのリードタイム・平均輸送・配送時間(OMOなどでは特に)
  • 全体的な物流コスト(SCMの全体と、返品・交換など含む)
  • 在庫会計(監査対応など)
  • および顧客満足度に影響を与える他のKPI

など、主要なフルフィルメント指標を追跡することが重要になってきています。

アナリティクスやレポーティングツールは、以下のような一般的なD2C・eコマース物流の疑問・課題に対する洞察・インサイトを提供できる必要があると考えています。

  • - どの郵便住所・店舗に最も多くの注文を出荷しているか?
  • - どの注文がまだ配送されていないのか?
  • - フルフィルメントセンター(各倉庫・拠点・店舗)には現在どのくらいの在庫があるのか?
  • - 過去の在庫量はどの店舗・倉庫のどの時点のものか?
  • - あるSKUが在庫切れになるまで、あと何日あるのか?
  • - 各商品の在庫をいつまでに再注文する必要があるのか?
  • - 配送方法別の平均的なカートの価値と送料はいくらなのか?
  • - 在庫を置くフルフィルメントセンターの場所を変えた場合、どのくらい送料を節約できるのか?
  • - 任意の場所での任意の時点での過去の在庫レベルはどのくらいだったのか?
  • - 各商品はどのくらいの頻度でチャネル間を移動して販売されているのか?
  • - 自分サイトなどでフラッシュセールを実行した場合、在庫レベルにどのように影響するのか?
  • - 商品の需要は前の期間と比較してどうなのか?
  • - 季節や月によって売上はどのように影響を受けるのか?
  • - ベストセラー商品は何なのか?
  • - 売上を上げておらず、高い保管料が発生しているアイテムはどれなのか?

などなど。

 Voice:食品通販 カスタマーセンター長

私たちは非常にデータドリブンであることに努力しています。富士ロジテックが提携しているLogilessの分析ツールは素晴らしいものです。各マーケットプレイスの在庫の照合を見ることができたり在庫分配の推奨ができたり、SKUが多いなかでOMS処理できたり、配送情報を更新通知できたり、ができます。

Logiless_Logo

*Logilessの導入を検討されたい場合は、弊社までお問合せください。

■インタビュー記事
D2C時代に求められる、一人ひとりに合わせたEC物流を、人手を増やさず実現

 Check Point

1.食品は倉庫内の衛生環境が必須になり、5Sの徹底、防虫防鼠管理、塵やほこりなどが入らないための作業環境や服装が求められます。

2.食品は賞味期限管理は必須になり、倉庫側では入荷時の賞味期限照合やLOT毎のロケーション管理、返品管理が重要となります。

3.出荷ではバーコードチェックだけではなく、賞味期限までチェックしていただき、受注番号で出荷したLOTを管理しております。

4.在庫では賞味期限が3ヵ月を切るとアラーム通知をだしていただき、対象ロケーションを出荷止めにする。また、商品が定点数量を切ってもアラームがなります。

5.返品では受注データを元にして検品して、WMS上で返品処理、共有レポート作成してCSと連携し対応しております。

一貫性と正確性

フルフィルメントネットワーク全体でサービスの一貫性と正確性を維持することをおろそかにしていませんか?

フルフィルメントに限らず、パートナーには、適切なシステムテクノロジー、ワークフローとプロセス、そして、わたしたちD2C・eコマース事業者の規模に応じたオペレーションの再現性がほしいと考えています。

わたしたちの、おかれたビジネスモデル・フェーズで求める機能に対する期待値や、重要度は絶えず変化していますので、それを理解してサポートしてくれるかがポイントです。でないと、スタッフにとっては、ストレスでしかありません。

確実で効率的なオペレーション

あたり前で基本的なコア業務である。商品を入庫、検品して、在庫を安全に保管し、タイムリーな方法で注文を出荷するパートナーです。

そのためには、

および、それを相互に運用して、それを検証するための、サービスレベルアグリーメント(SLA)と、それを保持するためのワークフローとプロセスを上記要素と組み合わせてサービス提供してほしいのです。
(これを、出せるところって以外と少ないです。)

いくつかのフルフィルメントサービスは、与えられた注文処理作業はするけど、ワークフローの改善は提案しない。ことは当然のようになっています。

これは、できない、これは、使ったことがない、これは、ミスが発生するので、と言い訳だけをするパートナーは替えるべきです。

わたしたちが求めているものは、

  • こうすればできる。
  • 使ったことがないけどPOC回してみます。
  • ミスが発生するのでこうワークフローを変えてください。
  • システムを変えてください。(コストが追加になるけど確認ください)

などだからです。

例えば、ケース3のようなOMOの事例では、組み合わせのために理想的なパッケージサイズを計算することによってフルフィルメントコストの一貫性を確保することはとても重要です。

コマースシステムで出来ないのであれば、または、WMS側の方で対応することで利便性が高まるのであれば、箱選択アルゴリズムを使用して最適化を図ってほしいです。

出荷される商品の寸法と重量、およびD2C・eコマース事業者が事前に設定されたパッケージのサイズに応じて、適切なサイズの箱を決定することを期待しています。(ワンサイズ上がるだけでコストは相当違ってきます。)
これで、寸法重量を減らしながら使用する最適なパッケージを知ることができ、改善できるはずです。

現場では、ピッキングルートの最適化による倉庫作業の改善や、一緒に注文されることが多い商品を近くに保管するなど、品質を落とさずにプロセスを高速化する方法を模索してくれているはずです。
(ロボット化などが重要で必要なら、わたしたちもコスト負担はするべきです。永遠に、時給〇〇円で〇〇人のスタッフが、1日〇〇時間だけ働いてくれるわけではないことは気づかれていると思います。)

手間と時間をかけて効率化を図ることが何よりも重要であると考えて業務を請け負ってくれるか、パートナーとして膝を突き合わせてくれないかで、同じコスト積み上げの作業でも大きな差がついてきます。

オーダーの精度

テクノロジーを利用することは、どうしたいかをコントロールできるようにすることだとわたしたちは期待しています。

  • ピッキング
  • 梱包
  • 出荷

の精度を向上させることができるはずだと信じています。

例えば、エラーや注文が間違って出荷される可能性を減少させるために、次のようなカバー手段を提供してくれるかを、フルフィルメントマネジャーや、現場のリーダーにヒアリングしてみてください。(営業は信じないでください、日本の組織権限の悪いところですので)

  • - ウェアラブルデバイスを含む独自の機器・システムを倉庫で使用し、フルフィルメントプロセスの各段階を通過する際に各商品をスキャンし、各注文のタイムライン全体を把握している。
  • - 商品の写真やビデオをアップロードして、スタッフに見せることができる。
  • - 商品をピッキングまたは梱包するたびに、フルフィルメント・アソシエイトにデジタル検証や、サンプルチェック、作業ロットチェックをしているか。
  • - バーコード、チェックルール、および精度を高めるためのその他の機能を追加することができるか
  • - 注文後のオーダー編集やキャンセル、サブスクなどでの住所の更新、チェックアウト時に顧客が犯したミスの修正などが可能かどうか。
  • - SKUレベルでのパッケージ設定や、その他の商品情報の設定が可能かどうか。
  • - 返品・交換への対応と、ワークフローと作業手順はどうなっているのか。
  • - フルフィルメントのパフォーマンスやSLA、注文状況や在庫数などのデータを詳細に把握することができ、離れた場所からでもトラブルシューティングや監視を行うことができるかどうか。
<メリット>
  • 1日の出荷処理能力が1拠点だと3,000件であったが2箇所にすることにより1日の最大出荷処理能力が2倍以上になり、売上拡大に繋がる。
  • フルフィルメントセンター会社を1社にして2拠点で管理することにより双方のセンターと私たちと同時にミーティングでのやり取りが容易でキャンペーン施策や突発的な対応も柔軟にできるセンター構築が可能。
  • 同一フルフィルメントセンター会社なのでサービスレベルも統一できる。
  • 受注から到着までのスピード配送が可能となった。
  • 出荷配送料の削減が見込める。

<デメリット>

  • 2拠点にすることによりOEMからの配送料と在庫数量は3倍になった。
  • 各拠点在庫管理と受注データの振り分け作業が増えた。

次回は、
フルフィルメント編 パートナー選定チェックリスト:ケーススタディから Part4

ロケーション・分散出荷のメリットなどについてお話をしていきます。

 執筆者:吉村 典也 プロフィール
吉村典也_note

日本の製造業を強くするためのコンサルティング会社、外資システム会社などを経て、通販、Eコマースの事業運営・CRM運用・フルフィルメント運用のアドバイザーからBPO受託までを担ってきた。OMOシステム設計・運用の視点まで含めて事業会社ととも一緒にグロースしてきた。

現在は、やずやグループの基幹CRMシステムの外販のための導入サポート業務委託を終え、そこで出会った事業者とのコミュニケーションから、まだまだ、日本のDNVBビジネスには成長の可能性、未知のカテゴリーがあると確信しつつ、1社でも多くの30億、100億円事業にグロースするためのアドバイス・サポートを提供している。

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D2Cブランドのユーザーからの選定理由などをベースにしてポイントをお伝えしています。

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吉村 典也

監修者

アドバイザー

吉村 典也

日本の製造業を強くするためのコンサルティング会社、外資システム会社などを経て、通信販売(ダイレクトマーケティング)、Eコマースの事業運営・CRM/購買体験購買後体験)運用・フルフィルメントサービス運用のアドバイザーとして、CS&BPOセンター(CX設計・運用からシステム設計・運用まで)の新規立上・受託までを担ってきた。通販基幹システム・Eコマース・オムニチャネル/OMO・CRM+MAシステムのマーケティングセールスから、業務設計・運用までをコマース・小売事業会社ととも一緒にアクション&グロースしてきた。
大手通販グループの「単品リピート(サブクリプション)/通販基幹CRMシステム」外販・導入サポート業務を通じて出会った事業者とのコミュニケーションを通じて、まだまだ、日本のDNVB・D2C(DTC)ビジネスにはチャネルとしてではなく、「顧客中心」としてのホネストビジネスとして、再成長の可能性、未知のカテゴリー、オムニチャネルコミュニケーションからのオムニチャネルコマース体験がある、それを支えるコマース事業者のインハウス化が必要であること、そして柔軟に迅速にその業務を支持・運用できる、MACHコンポーザブルタイプのシステムを広めることが大切と確信しつつ、1社でも多くの30億、100億円事業にグロースするためのアドバイス・サポートを提供している。

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