吉村 典也
吉村 典也

日本の製造業を強くするためのコンサルティング会社、外資システム会社などを経て、通信販売(ダイレクトマーケティング)、Eコマースの事業運営・CRM/購買体験購買後体験)運用・フルフィルメントサービス運用のアドバイザーとして、CS&BPOセンター(CX設計・運用からシステム設計・運用まで)の新規立上・受託までを担ってきた。通販基幹システム・Eコマース・オムニチャネル/OMO・CRM+MAシステムのマーケティングセールスから、業務設計・運用までをコマース・小売事業会社ととも一緒にアクション&グロースしてきた。

分散保管・分散出荷など立地選定 フルフィルメント編 パートナー選定チェックリストPart4

3PL フルフィルメント

D2C・eコマース・OMOビジネス 

D2C・eコマース・OMOビジネスのためのフルフィルメント・発送代行の選定チェックリスト:ケーススタディから Part4

前回は、フルフィルメント編 パートナー選定チェックリスト:ケーススタディから Part3 顧客購買体験の視点から、フルフィルメントのポイントについて、お話をしてきました。
今回は、オムニチャネルコマース/OMOへの展開も見据えたDCセンターと店舗とのロケーションの関係性などについてお話をしていきたいと思っています。

フルフィルメントセンターの立地を賢く選ぶために

ブランドが初めてフルフィルメントを委託する際によくある間違いは、「近くにあるから」「紹介で聞いたから」という理由で倉庫を選んでしまうことかも知れません。

それよりも、多くの顧客に効率的に商品をお届けするためには、平均的な輸送コストと輸送時間を削減できる場所を選ぶべきです。

今日のオンラインショッピングでは、手頃な価格で迅速な配送が求められています。配送方法が顧客の期待に応えられない場合、カート放棄率が大幅に上昇する(さらには、リピート購入率は低下する)可能性があると想像できます。(むしろリピートに影響が大きいですが)。

また、在庫を保管するフルフィルメントセンターの場所は、配送能力(および収益)を左右する可能性があると思ってください。

と、言っても日本ですので、エリア限定、特定顧客層限定のマーケティングをしないのであれば、首都圏が需要の50%以上を占めるはずです。

 Voice:D2Cコスメ 商品管理部門長

首都圏にはフルフィルメントパートナーがいたので、売上が本格的に伸びる前の最初の3年はそれでよかったのです。しかし、成長の最初の変曲点(月間の出荷数)を迎えたとき、配送コストや経費を削減できるパートナーを探す必要がありました。複数のパートナーに委託することも検討しましたが、業務品質から鑑みて、出荷コストと経費を削減することができる単一か、東西1社ずつのパートナーを探す必要がありました。

 Check Point

★フルフィルメントセンターを2箇所にすることのメリット・デメリットとして考えた内容

<メリット>

  • 1日の出荷処理能力が1拠点だと3,000件であったが2箇所にすることにより1日の最大出荷処理能力が2倍以上になり、売上拡大に繋がる。
  • フルフィルメントセンター会社を1社にして2拠点で管理することにより双方のセンターと私たちと同時にミーティングでのやり取りが容易でキャンペーン施策や突発的な対応も柔軟にできるセンター構築が可能となる。
  • 同一フルフィルメントセンター会社なのでサービスレベルも統一できる。
  • 受注から到着までのスピード配送が可能となる。
  • 出荷配送料の削減が見込める。

<デメリット>

  • 2拠点にすることによりOEMからの配送料と在庫数量は3倍になった。
  • 各拠点在庫管理と受注データの振り分け作業が増えた。

出荷地域・在庫を分散させる

フルフィルメントサービスパートナーは、顧客のため(しいては、わたしたちのため)に割引料金を交渉できる配送業者との関係を持っています。(過去系で、いましたかも知れません)。

しかし、手頃な価格での配送のための最大のコスト削減は、在庫をフルフィルメントセンターに分散させることで実現することが可能かもしれません。(返品・交換や、OMOには特に効いてくる可能性があります。)

分散在庫とは、複数のフルフィルメントセンターに在庫を保管することで、顧客に最も近い倉庫から各注文を発送することができる機能です。これは、最適な倉庫に、各注文をルーティングするシステム設定を通じて行われています。
顧客が全国各地に地理的に分散しており、数字を分析してコスト削減を図る場合は、在庫を複数の拠点に分散させることになります。 
*詳細は、富士ロジテックホールディングスサービス機能一覧にて

ケース3では、メインとなる商品は首都圏の倉庫から、その他の商品と店舗への配送は倉庫保管費用の安い倉庫からの設計になりました。

顧客と店舗がどこに分散しているかで設計することになります。日本の配送費用は地帯別(エリアブロック別)で、荷主に対して個別提示されます。(だれでも一緒ではありません)

一般的には、首都圏、関西以西、追加で北海道か、配送費用が首都圏より相対的に安い地方に置くのが定石です。地方に置く場合は、雪害など自然災害時の対応は考慮してください。首都圏なら良いのかについてですが、残念ながら首都圏で災害が起きていればそもそも配送出来ないですので、顧客の理解は比較的容易です。地方災害は首都圏の顧客には理解できないです。

それは、大阪の顧客が、東京の災害を理解出来ないとの同じです。(情報に触れないので理解できないのは、人の性です。)

 また、在庫を複数の倉庫に分散させることで、特定のフルフィルメントセンターから注文が出荷できない場合(異常気象の場合や、波動対応力など)、運送業者がある場所で集荷できない場合に備えることができます。BCPと言われています。

ケース1のような、商品の出荷量がまだ多くない、スタートアップの場合などは、最初から在庫を分散させることは、すべての人にとって費用対効果が高いとは言えません。
*スタートアップ事業者むけ限定プラン

しかし、オンラインビジネスが成長するにつれ、フルフィルメントセンターのネットワークを持つことで、より多くの顧客に効率的にアプローチすることができるようになりますので、優れたパートナーはこのデータを提供してくれるはずです。

Voice:D2Cアパレル 代表

私たちのアパレルブランドのウェブサイトで購入する際の顧客の購買体験をAmazonプライムと同様にしたいと考えています。 送料を非常に高くすることなくこれを実現するために、商品を国内3つのフルフィルメントセンターに在庫を保管しています。顧客・店舗のベースとうまく対応しているのと同時に、返品・交換サービスのコストメリットが発揮されています。
*顧客購買後体験を最大化する
「返品・交換 物流フルフィルメントサービス」

 

Check Point

主要都市に倉庫(フルフィルメントセンター)拠点を保有している物流会社を選定しました。
売上が伸びるとその分、返品・交換も増えるので購入者から近いフルフィルメントセンターへ戻していただき、出荷時も最寄りのセンターからの発送するので配送コストの削減に繋がります。

越境フルフィルメント

海外への発送はコストがかかり、輸送時間も大幅に長くなります。もちろん、最終顧客に注文を送るたびに、税金や輸入税を処理するのは頭痛の種です。
海外発送のグローバルな展開をより簡単に行うことができるかはこれからのポイントでもあります。

今回は、解説からは除いています。

その他の検討事項

フルフィルメントサービスパートナーを選ぶ際の重要な基準ですが、ワークフローなどのカスタマイズから返品・交換処理まで、わたしたちD2C・Eコマース事業者がフルフィルメントサービスパートナーに求めるサービスは他にも様々あります。
ここでは、フルフィルメントサービスパートナーを選択する際に留意すべき点と、その他の検討事項や質問事項をご紹介します。

これからの課題を探して要望を整理整頓する

わたしたちのビジネスの要望(RFPです)整理整頓のためには、サービス、テクノロジー、倉庫の場所、価格など、「必要なもの」のリストを作るとよいことはご存知かと思います。また、スコアカードや比較表など、各フルフィルメントパートナーの長所と短所を単なる〇×ではなく具体的な数値で評価することが重要です、サービス内容を把握するための方法を考えておくとよいでしょう。

これは、今の業務ではなく、3年後、5年後を見据えての課題を提示することが重要なのは、ビジネスではあたり前です。

ここから、逆引きすることです。

 Voice:フェムテックサプリメント 女性社長

リプレースのためにフルフィルメント会社を探し始めたので、比較するためにスコアカードを作成しました。迅速かつ安価に配送する必要性を高くウエイトしました。
評価する際には、2つの必須条件がありました。
1つ目は、規模の大きいブランドへサービス提供していること。
2つ目は、パートナー信頼できるものでなければなりませんでした。私たちは、まだまだ成長しているフェムテックというマーケットカテゴリーで競争をしているので、パートナーとなる人々が信頼できるものであれば、他の会社に比較して追加料金を払っているかも知れませんが安心という満足を得ています。

 Check Point

・フルフィルメント会社のコンテンツや過去の実績、情報を常に発信し新しい仕組みを取り入れているか。
などでD2Cブランドの私たちと伴走できるかを判断材料としています。

・物流会社としては有名だが、eコマースに慣れていないと私たちの想いが伝わらないので、より高いサービス構築が出来ないと思っています。

払った分だけ得をする

もうひとつ注意しなければならないのは、最も安い選択肢が必ずしも最良の選択肢ではないということです。 最安値のためのトレードオフには注意が必要です。また、比較対象となるサービスをよく見比べて自分自身に問いかけてみてください。

Voice:コスメ 女性社長

わたしたちも、自信のブランドには誇りをもっています。顧客にもプレミアム商品にはプレミアムを支払うことを厭わないでほしいと願っています。多くのフルフィルメントパートナーは経費の予測をほとんど不可能にする複雑な価格設定モデルを利用しています。

富士ロジテックホールディングスは明確な価格設定モデルを持っているので、私たちは請求されるものを正確に知っていますし、理解しています。そのため、コストダウンするためには何をすればよいかをお互いに知っています。ワークフローのコストは現場スタッフの人件費です、これは下がることはないのでそのコストをカバーするための商品設計を初めています。

富士ロジテックホールディングスの料金体系

 Check Point

  • 発送用の資材や緩衝材を変更することで作業単価は下がります。
  • ダンボールをワンタッチ式にしたり、商品に合わせた資材にすることにより工数が減り作業生産性が上がることにより作業単価が下がります。
 

Voice:コスメ カスタマーセンターマネージャー・女性

いつでも電話やチャットですぐに対応してもらえることが気に入っています。

顧客のために注文をキャンセルする作業にように、わたしたちでしかできない細かい業務に週に最大4-5時間を費やすだけで済むようになりました。
D2Cチャンネルのための保管などのフルフィルメントを完全にアウトソースすることができます。

 Check Point

  • 立ち上げの時には、まだ不慣れでしたWMSの使用方法から設定方法、受注データで誤って送信した内容までチェックしていただき、スタートアップには安心してお任せできます。

*スタートアップ事業者むけ限定プラン

 

 Voice:コスメ 経理マネージャー・女性

シンプルかつ簡単で、わかりやすい価格のオプションなので、請求の検収も簡単です。

 Check Point

  1. 毎月月末在庫(オプション)も月初には報告いただき安心してお任せできます。
  2. 化粧品製造業と医薬部外品製造業の許認可があるので入荷した時には商品ラベル貼りを依頼させていただき、しっかりと東京都へ申請していただいております。


ここまで、全4回に亘って、顧客の声を交えてフルフィルメントのチェックポイントを解説してきました。
最後に、実際の見積・提案書などを参考にして具体的な詳細を解説していきます。
フルフィルメント編 パートナー選定チェックリスト 参考見積書

 執筆者:吉村 典也 プロフィール
吉村典也_note

日本の製造業を強くするためのコンサルティング会社、外資システム会社などを経て、通販、Eコマースの事業運営・CRM運用・フルフィルメント運用のアドバイザーからBPO受託までを担ってきた。OMOシステム設計・運用の視点まで含めて事業会社ととも一緒にグロースしてきた。

現在は、やずやグループの基幹CRMシステムの外販のための導入サポート業務委託を終え、そこで出会った事業者とのコミュニケーションから、まだまだ、日本のDNVBビジネスには成長の可能性、未知のカテゴリーがあると確信しつつ、1社でも多くの30億、100億円事業にグロースするためのアドバイス・サポートを提供している。

D2C・eコマース・OMOビジネス フルフィルメント編 パートナー選定チェック コンテンツリスト

D2C・eコマース・OMOビジネス フルフィルメント編 パートナー選定チェック コンテンツリスト

D2Cブランドのユーザーからの選定理由などをベースにしてポイントをお伝えしています。

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吉村 典也

監修者

アドバイザー

吉村 典也

日本の製造業を強くするためのコンサルティング会社、外資システム会社などを経て、通信販売(ダイレクトマーケティング)、Eコマースの事業運営・CRM/購買体験購買後体験)運用・フルフィルメントサービス運用のアドバイザーとして、CS&BPOセンター(CX設計・運用からシステム設計・運用まで)の新規立上・受託までを担ってきた。通販基幹システム・Eコマース・オムニチャネル/OMO・CRM+MAシステムのマーケティングセールスから、業務設計・運用までをコマース・小売事業会社ととも一緒にアクション&グロースしてきた。
大手通販グループの「単品リピート(サブクリプション)/通販基幹CRMシステム」外販・導入サポート業務を通じて出会った事業者とのコミュニケーションを通じて、まだまだ、日本のDNVB・D2C(DTC)ビジネスにはチャネルとしてではなく、「顧客中心」としてのホネストビジネスとして、再成長の可能性、未知のカテゴリー、オムニチャネルコミュニケーションからのオムニチャネルコマース体験がある、それを支えるコマース事業者のインハウス化が必要であること、そして柔軟に迅速にその業務を支持・運用できる、MACHコンポーザブルタイプのシステムを広めることが大切と確信しつつ、1社でも多くの30億、100億円事業にグロースするためのアドバイス・サポートを提供している。

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