物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。
左:株式会社YOUR LABO 代表取締役社長 河野 剛 様
今回は、2022年3月26日に薬用保湿クリーム「Wrinkle White Skin Cream(リンクルホワイト スキンクリーム)」を公式販売スタートされたばかりの、株式会社YOUR LABOの代表、河野 剛様に、D2Cスタートアップでのビジネスモデルの構築のポイントである、商品開発、マーケティングや、バックオフィスの設計などについてお伺いしていきながら、YOUR LABOブランドの特徴や、商品の優位性を紐解いていきます。
D2Cコスメブランドとしてスタートアップビジネスの立上げについて
富士ロジテック:西間木 智(以下:西間木):
YOUR LABOブランドのスタートおめでとうございます。まだ公式サイトでの販売が開始されて間もないですが、D2Cコスメブランドとしてスタートアップビジネスの立上げについてお伺いしてブランドや商品などの特徴についてフォーカスしていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。ところで、ローンチ後の顧客の反応は如何ですか。
株式会社YOUR LABO 代表取締役 河野 剛 様(以下:河野 様):
ありがとうございます。1/11~3/9まで応援購入サービスMakuakeにて先行予約販売を行いまして、お陰様で応援購入額219%を達成し、3/26以降の一般販売でもとてもご好評を頂いています。お客様の反響も徐々に頂けております。
西間木:
それでは、その初速が好評な理由について深堀していきたいと思っています。
D2Cスタートアップでは、通常3C分析をされて事業を企画・開発・ローンチされますが、先ずは、顧客分析についてお伺いしてもよろしいですか。
D2Cブランドにとっての3C分析:顧客分析
河野 様:
私と妻の2人でYOURLABOを立上げたのですが、まず、私の経験、経歴としては、大手化粧品会社さんへのメディア&マーケティング企画営業及び動画コンテンツの企画・監修の実績から、その後単品リピート通販コスメ会社(2社)での広告宣伝を兼任しながらPR部署の管理職や社長室長としてブランド全体のブランディングからマーケティング・CRM・商品企画までに携わって数十億円超えをスタッフと一緒に協奏して実現してきました。
顧客の声をお伺いする機会に恵まれただけではなく、皮膚科医や美容家さん、エステティシャンなど権威者のご意見を伺いする機会がとても多くて、女性のお肌の悩みの分析や当時、化粧品メーカーが提供している商品についての不満点などをお聞きして、課題の仮説がとても明確になって成長していきました。
西間木:
女性顧客といっても幅広いですが、どのようなオーディエンスで、どのようなお悩みが集まったのですか。
河野 様:
お客様は、主に40代から60代の女性が中心ですね。やっぱり通販、ダイレクトマーケティングでご購入される顧客層はこのオーディエンスが多いですね。
そこで商品の購入動機、顧客の課題(悩み)、ペインですが、「シミ」「シワ・ほうれい線」「頬のタルミ」「白髪」がTOP4です。
一方で、皆さんが、どんな化粧品を利用されているのかをお聞きすると、一つのブランドや一つのスキンケア商品を固定的に何年もご利用されている顧客が本当に少なく…常に変えていますし、探し続けているという購買行動があるのですよね。
一つのブランドをずっと使い続ける顧客は、10人に2人ぐらいでした。女性は納得してご利用されていても、さらにもっと良いものがあるのではないかと、探し続けることを30代後半からされている方が多いようですね。
西間木:
なるほどですね、他のブランドさんからもよく女性の「購買体験」として、自分の商品に出会う旅についてはお伺いします。
正価で購入したくないけどサンプルは無いし、またモニター購入の広告ギミックが怖いし、であれば、使いかけのもので試してどうか、という心理も働いているとお伺いしています。
今回の、商品開発では顧客の声のリサーチをあらためてされているとお伺いしていますが、どのようにされたのですか。
河野 様:
はい、首都圏、大阪、名古屋、福岡の30歳から60歳までの女性600人にネット調査でリサーチ調査をしています。
若い世代で一番多いのは、「毛穴の開き」とか「肌の乾燥」でしたが、年齢が上がるにつれて、このランキングがどんどん下がっていって「ほうれい線が深くなったとか」、「頬のシミ」、そして「目元のシワ」、「おでこのシワ」とか、お悩みが変化していきました。
西間木:
ありがとうございます。興味深いですね、後々商品コンセプトで詳細をお伺いしたいと思います。
1つめのC:顧客の悩みを抽出してからの、2つ目のC:競合分析、商品デザイン、マーケティングなどについて教えていただけますか。
D2Cブランドにとっての3C分析:競合分析
河野 様:
そうですね、わたしの妻も化粧品会社(広告・CRM)の出身なので競合ブランドは認識しておりましたが、あらためて、いろいろな化粧品会社さんの「商品」を購入させていただき、自分たちで使って試したり、他社商品のクチコミやSNSをリサーチさせていただきました。
定期商品におきましては(初回~2回目、3回目…の同梱物)までも体験させていただきました。
西間木:
通常は、このフェーズなどでの商品コンセプトがまとまると、OEM・ODM会社様にお声がけするのですが、成分選定も含めてどうされたのですか。
河野 様:
そうですね、通常はOEM・ODMメーカーさんとかに、一括でまとめて依頼することが一般的ですが、
私たちは、中身のバルクから、パッケージ容器から化粧箱とかもう全部OEM・ODM会社さんにお願いして出てくる商品を選らという従来型ではなくて、本当にいいものをやろうというところで、1つ1つの要素を各メーカー(OEM・ODM・容器・化粧箱など)さんを探してそれぞれ選定し、相談させていただきながらアレンジしていきました。
これも、それを本当に、顧客と向き合って開発することが重要だと知っていましたので友人・知人・モデルさんや権威者(医師・美容専門家・エステティシャン)などを通じて、開発ボイスメンバーとして、対象オーディエンスの30代から60代の100人ぐらいに絶えずヒアリングして修正、構築していっています。
西間木:
どのようなご意見がありましたか。
河野 様:
今回のファーストアイテムのベースでもあるのですが、アイクリーム(シワ改善用)のカテゴリーに顧客の不満が集まっていることがフォーカスされました。
それは、とても重要な課題であるのですが、市場の商品には、容量が15~20グラムしかなくて、価格が1万円から1万5000円とかするのもあり、目元や口元のみのポイントケア用なので不満がありました。
そこで私たちは目元だけではなくほうれい線やオデコなどお顔全体のシミ・シワ対策ができる保湿クリームがあれば使い易いのではないかと考えました。そしてこっくり濃厚でありながら伸びのよいテクスチャーを、エアレス容器にすることで菌の繁殖や酸化を防止し、片手でプッシュして使える手軽さにもこだわりました。
商品として「医薬部外品」を選択した理由
西間木:
顧客の要望から「シワ改善・シミ予防(美白)」「テクスチャーの課題」「衛生面」を、それを全て解決できる商品ということですね。そこで、「医薬部外品」として開発されることはD2Cではとても珍しいのですがどうしてでしょうか。
河野 様:
薬用「医薬部外品」でないと、対象となる顧客の課題・ペインを解決するということがお伝え出来ないのですね。
それに、顧客が迷走している態様をヒアリングしていますから、最初にちゃんと効果を少しでも期待としても体感できるようにしたかったですし、実は、ここが「顧客購買体験」からのポイントでもあります。
西間木:
化粧品やサプリメントのいくつかのD2Cブランドさんとも定例的にお話させていただいていますが、法律の改正にともなって訴求が、顧客にとって本来あるべきものに収斂されていっています。一方で、人間の身体としての本来の周期があるので、ある一定期間は利用・使用いただかないと、本当に成分配合していても「体感」いただけないジレンマがあることもよく知られたことですね。
編集部:
こちらに化粧品の商品開発に関するコラムがあります。
ご一読ください。
【D2C/eコマース/OMO 商品開発編】
D2C ブランド・ビューティ&スキンケアコスメティックス(化粧品)の企画方法 :
シリーズ1:製造費用(コスト)編 最小ロットは、費用はどれくらい必要
シリーズ2:ブランドデザインのポイントなど
シリーズ3:パッケージ(容器・化粧箱・外装箱)のデザインポイント
ここからは、3つめのC 自社分析になりますが、更にくわしくお話頂いてもよろしいでしょうか。
D2Cブランドにとっての3C分析:自社分析
河野 様:
そうですね、しっかりと課題、成分、作用機序、ベネフィットとそのプロセスをご理解頂ける商品とサービスの提供することが、弊社のD2Cとしての本来あるべき姿です。
ブランドのコンセプトでもある、「貴女(あなた)のためのビューティー&ヘルス総合研究所〝YOUR LABO〟」を実現していきたいです。
そのためには、商品の使い方だけではなく、シワに効果のあるフェイスマッサージを推奨してよりよく体感、効果を実感いただきたいとお伝えしています。
美しくなることは、いろいろな身体の部位や機能が作用・関与していますのでそれをストレスなく実現できるようにCRMコンテンツを通じてお伝えしていきます。
西間木:
成分だけではないポイント、容器や、化粧箱、外装箱にもこだわりを感じているのですが詳しく教えていただいてもよろしいですか。
河野 様:
顧客のライフシーンもお伺いするなかで、容器についてですが海外商品も調べている中で、成分がよくても、顧客のドレッサーでの保管されている状態や見栄え、品質保持がポイントだと気づきました。容器は品質保持に影響が大きいので、エアレスボトル仕様を採用しています。空気に触れない仕様のため菌の繫殖や酸化の防止ができ、最後まで衛生的に使用が可能です。これも、1~3か月の使用テストを実施して、液漏れ、つまり、残存容量などを確認しています。そこで行き着いたのが、韓国の容器を扱うメーカーさんでしたね。
化粧箱の封入も開封の面倒なシールタイプではなくワンタッチでオープンできる仕様を採用したりしています。
西間木:
今回のYOURLABOさんの商品は、宅急便コンパクトでお届けできるサイズでもありましたので、顧客にとっても利便性が高まっていますね。
河野 様:
配送コストも低減できるので顧客にその分、成分や商品デザインなどで還元できていることも弊社の強みと特徴でもあります。
外装箱もデザイン工夫していますので、顧客からUnboxing体験の感動のお声も頂いています。
編集部
こちらに、梱包・デザイン・配送・Unboxingに関する顧客体験デザインのコラムがあります。ご参考にしてください。
開封の儀:Unboxingが顧客購買後体験で重要・差異化ポイントになる理由とその方法 Part1
開封の儀:Unboxingが顧客購買後体験で重要・差異化ポイントになる理由とその方法 Part2
クラウドファンディング・Makuakeについて
西間木:
わたしたちは、YOURLABOさんが、Makuake(マクアケ)でクラウドファンディングをされているフェーズからもフルフィルメントのお手伝いをさせていただいているのですが、クラウドファンディングを選択された理由をお伺いしてもよろしいですか。
河野 様:
オーディエンスへのヒアリングなどをして、商品開発はしましたが、それが本当に顧客に受け入れて頂けるかは別問題ですので、まずは、テストマーケティングをするためにマクアケで先行予約販売のステップを採用しました。
Souce:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000092092.html
西間木:
クラウドファンディンだけならよくあるパターンですが、伊勢丹新宿でのPOP-UPも展開されていましたがこれはどうしてですか?
また、効果はどうでしたか。
Souce:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000092092.html
河野 様:
マクアケさんと相談している中で、「ISETAN×Makuake Project」に当社商品を推薦していただき、三越伊勢丹様の選考・審査により弊社のみ”伊勢丹新宿店 本館2階TOKYOクローゼット Makuake展示スペース”に展示させて頂きました。
これは、伊勢丹さんの選考・審査もあってかなりハードルは高かったのですが、嬉しいことに採用されて展開ができました。伊勢丹新宿の担当者の方からもYOURLABOの世界観・コンセプトと伊勢丹新宿(2F)のコンセプトに似ており共感し選考したとのことです。おかげさまで、展示(ショップカード)からのクラウドファンディングでのご購入もありまして、やはりリアル体験も大切な顧客体験だとあらためて認識しました。
もう1つは、お陰様でMakuakeでのクラウドファンディングでは219%は達成したのですが、期待値としては、1000%以上持っていきたかったのですが・・・
やはりというか、今までないような商品コンセプトだったので伝わりづらかったのかなとかの課題が見えてきたことも重要でした。
D2CブランドとしてのEコマース展開
西間木:
クラウドファンディングとPOP-UPを経て、3月26日に自社Eコマースでローンチされたわけですが、マーケティング施策について教えていただけますか。
河野 様:
これは、わたしたちは、顧客の声を実現するための、D2Cコスメブランドですので、SNSでの顧客オーディエンスとのコミュニケーションをメインに展開していきます。いままでの経験から、BtoCの化粧品の広告クリエイティブは、顧客のもっている、感じる、ニュアンスなどうまく表現していくことが重要なポイントです。
データ広告も、バナー一つも、ランディングページでもトータルです、FacebookとInstagram広告、リスティング広告でタッチして、SNSで確認するという顧客の行動をサポートしていきます。
それは、商品開発のアンケート調査にご協力いただいたみなさんへのメッセージのお返しでもあります。
ブランドとしては、アンバサダー施策を続けています。美容に特化した人を中心に採用させていただいています。美容家、エステシャン、ヘアメイクアーティスト、モニターさんなど、実際権威者の方々に愛用して頂きまして大人ニキビや、赤肌荒れ系などの悩みがあったそうで、商品を使用後に改善できたというリアルなお声も多数頂きました。
お陰さまでアットコスメでも評価は高いですね。
*編集部:詳細はこちらのリンク先でご確認ください。
https://www.cosme.net/product/product_id/10218443/top
編集部:
こちらに化粧品の商品開発に関するコラムがあります。
ご一読ください。
Make Beauty & Skin Beauty Cosmetics を取り巻くD2C市場環境
海外展開について
西間木:
日本だけではなく、海外への展開も視野に入れているとお伺いしていますが、そのポイントについてもお伺いできますか。
河野 様:
当初から、海外でも通用をするようなブランドにしたかったので、ブランドロゴ、パッケージ、メインビジュアルのディレクションとデザインは、グローバルに活躍するアートディレクター・グラフィックデザイナーの「中谷ゆり」氏にお願いして、評価通用されるように一緒に創りました。
ブランド名も、あなたのためのビューティー&ヘルス総合研究所〝YOUR LABO〟(=YOUR LABORATORY)にしたのも、海外では、健康から、美容までが一緒であると広く認知されていますのでそれを意識しています。
今回はクリームがスタートしていますが、将来的には一応ラインで、化粧水・美容液・クレンジングなどインナービューティ・美容サプリメントなどへどんどん広げて、女性の肌変化にそっと寄り添い、本来の健やかさへ導く効果にこだわり、サポートできる存在でありたいです。
西間木:
まだまだ、お話はつきないですが、次回にとっておきたいと思っています。日本ではD2Cという言葉が先行していましたが、本当に顧客の声を聴きながら、商品をデザインして、コミュニケーションして一緒に育っていくブランドだとあらためて感じました。
わたしたちも、ご一緒にお手伝いができてとてもうれしく思っています。これからも顧客のご意見をいただきながらフルフィルメントから顧客購買体験を改善して、お役に立てればと思っております。
本日はありがとうございました。
リンクル ホワイト スキンクリーム のご購入はこちらから
<プロフィール>
株式会社YOUR LABO
代表取締役社長 河野 剛
1972年東京生まれ。前職・現在に至り大手化粧品会社からD2C化粧品会社のマーケティング・広告宣伝・PR・商品企画などメーカーの立場、メディア・広告代理店の立場から計15年以上、美容・化粧品業界で多岐に渡り携わってきました。
その中で、30代から60代の数千人以上の年代別の女性のお肌や心の悩みなど化粧品、美容/美肌について、たくさんのリアルなお声を聞かせて頂く事ができ、世の中の女性の美容や健康に対する課題を一緒に解決していきたいという強い思いから、1年半かけてゼロから商品を企画し…2021年6月に化粧品メーカー出身の妻と、株式会社YOUR LABO(ヘルススキンブランド『YOUR LABO』)を設立しました。
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本取材は株式会社富士ロジテックによる協賛で行われています。
*D2Cブランド、注目している、気になる取材先のリクエストを、自薦・他薦を問わずお待ちしております。フォームはこちらから
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発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。
監修者
株式会社富士ロジテックホールディングス
西間木 智 / 通販営業部 部長
物流会社で20年経験しD2C EC スタートアップから中規模、大規模のeコマース事業者へフルフィルメントサービスの提供や物流の見直し・改善、スピード配送、複数拠点展開を設計して提唱している。 事業者様の売上貢献するために 「購買体験」 「リピート施策」 「Unboxing」 やOMO対応での「オムニチャネル」 「返品交換物流」 を提案し、事業者と常に伴走して最新の物流設計を試みる。
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