日本の製造業を強くするためのコンサルティング会社、外資システム会社などを経て、通信販売(ダイレクトマーケティング)、Eコマースの事業運営・CRM/購買体験+購買後体験)運用・フルフィルメントサービス運用のアドバイザーとして、CS&BPOセンター(CX設計・運用からシステム設計・運用まで)の新規立上・受託までを担ってきた。通販基幹システム・Eコマース・オムニチャネル/OMO・CRM+MAシステムのマーケティングセールスから、業務設計・運用までをコマース・小売事業会社ととも一緒にアクション&グロースしてきた。
顧客購買後体験:顧客との購買後のコミュニケーションは、購入後からがとても重要で差異化価値があります。
わたしたち顧客は、日々の購買行動の中で、自身の購買行動をさまざまな場面で評価しています。この評価をするタイミングは、
- 商品を購入する前での 商品とサービスとコミュニケーションについて
- 商品を受け取る前での サービスとコミュニケーションについて
- 商品を受け取った(および/または使用した)後 商品とサービスとコミュニケーションについて
の3つの異なるタイミングです。今回は、顧客に影響を与える要因について焦点を当ててみましょう。
- 顧客購買体験とはどんなことでしょう。
- 購買(購入)後の顧客体験の評価とはどうなっているのでしょう。
- 購買(購入)後の体験が重要であるのはどうしてでしょう。
- 購売(購入)後の体験を顧客にとって最大化するためにはどうしたらよいでしょう。
について、「顧客購買後体験が大切な理由と成功するための6つの施策と視点」をご一緒に考えていきましょう。
Point1:商品を購入する前での商品とサービスとコミュニケーションについて
マーケティングファネルとしては、スタート、最初として位置づけられているのですが、実は、コミュニケーションファネルとしては、購買後の結果からの展開になりますので、今回は奇をてらってではありませんが、最後でお伝え出来ればと思っています。
それは、SNSなどの外部評価などを参考にして購入決定に大きく影響されているのであれば、購入していただいた顧客の評価が高くなければ、拡散・グロースしないからです。購入いただいた顧客の購買体験が基点だと思っています。
前段では、ここのコラムでの共通認識としてみなさんと一緒におさえておきます。
「顧客は本当に正しいものを買いたいと思っています。」
それでは、顧客となって一緒にカスタマージャーニーを辿ってみましょう。
1:購買後の顧客体験とは
わたしたち顧客は、
なにかしらの理由・課題などで、商品を購入して何かを実現したいと考えています。
すみません、逆でした、何かを実現したいと意識してか、しないかは別として、
- 商品・サービスを利用して、
- その課題・欲望を埋めて、行動(体験・他者からの評価)して、
- 満足・不満足として購買体験の一部として商品を評価して
います。
わたしたち顧客は、
そうなのです、何をすべきかを、いままでの経験、体験から知っているよりも、
多くの選択肢に恵まれているとともに、それを取捨選択することに晒されている時代になっています。
「探しよう」がいくらでもありますし、あらゆる情報ソースからプッシュされ続けています。
わたしたち顧客は、
すべての、あらゆる努力(商品詳細をこまめに読んだり、レビュー探索したり、Instagramでその商品の利用者の画像でフィット感などを確認したり、また、ブランドを信用したいために、ブランドストーリーを確認したり)したにもかかわらず、
最も知識のある顧客となったと思っていても、またそのような顧客でさえ時々間違いを犯してしいます。
間違ったものとの評価と、それを買うことになったとき、あなたならどうしますか?...
- わたしはこの商品に満足していますか?...
- わたしは返品・交換・払い戻し・返金を受けるべきですか?...
と、思ったこと、悩んだこと、実施したことはありますよね。
わたしたち顧客にとっては、
そうなのです、購入後の評価段階が重要な満足への影響ファクターとなっています。
購入後の体験・評価についてどのようなことができるかを考えてみましょう。
2:顧客の購買行動における購入後の評価とは
購入後(購買後)とは、
「商品またはサービスが購入されて使用された後、顧客の購入した商品・サービスが、顧客の期待に応えたか、期待を上回ったか、または失望したかを振り返る段階。」
ここでの重要なポイントの1つ:不協和音について
D2Cブランドとしては、無くしたい購入後の価値不一致による顧客期待値との不協和・不調和。(シンプルに、不協和とします。)
これは、顧客が購入を真剣に後悔し始め、その結果、あなたのD2Cブランドに対して否定的な行動を取る可能性がある場合です、双方にとって楽しくない購買体験が発生している状況です。
顧客が後悔するのを防ぐのは簡単シンプルだということのために、もっと深く掘り下げましょう。
購入後の期間に顧客が商品やD2Cブランドをどのように評価するかを考える。
わたしたち顧客が、
eコマースでの購入後(リアルでも当然起こりえますが、リアルでは、発生理由のいくつかがその購買ポイントで解消されているので少ないはずです。)の不協和音について確認していきましょう。
購入後の不協和音は、Eコマースで顧客が購買体験を開始したときや、OMOで購買体験したときでも、真剣に取り組むべきサイレントキラーな要因です。ここでは、この不協和音を解消するためのヒントについて検討してみましょう。
3:購入後の認知的不協和とは
顧客購買体験を振り返ってみながら、顧客の購買体験について前提条件を考えてみましょう。
はじめてのD2Cブランドであればあるほど、オンラインで商品を購入する際に、「購入ボタン」を押した後に顧客の購買体験には、数多くの何かが起こっています。
わたしたち顧客は
「購入ボタン」を押した後に、どう感じましたか?
- 届いて使用するまでの、わくわく感、うきうき感に浸っていてとても楽しみ。
- 購入したが、届いて手にとって確かめるまで心配。
わたしたちも、顧客として同じように、さまざまな不確実性を感じていたはずです。これは、購入したときの最大の高揚感から始まるカスタマーエクスペリエンス(CX)であることはご同意頂けるものと思っています。
購入後の行動における認知的不協和を解決しようとしているのは、まさにこの不安感の解決・解消なのです。
D2Cブランドにとって、それを重視する大きな理由は次の通りです。
- - 返品を防ぎ、交換を提案するため(時間とコストの節約になる、利用頂けることはマスト)
- - リテンションを強化するため(満足した顧客はより多く、より頻繁に購入してくれる)
- - D2Cブランド全体の価値強化(良い体験=良いレビュー+α)のため
顧客にとっての購入後の幸福を実感するために、購買後にコミュニケーションすることとそのタッチポイントをオムニチャネル化することは、eコマース・OMO・オムニチャネルの新たなコミュニケーションフィールドで重要な要因なのです。
あなたが経営者であろうと、マーケティング担当者であろうと、eコマース担当者であろうと、店舗運営マネージャーであろうと、店舗スタッフ担当者であろうと、誰であろうと関係ありません。
顧客の購入後の行動と、認知的不協和に対応する必要性を認識してください。
幸いなことに、D2Cブランドがこのコンセプトに相応しい配慮と運用を始めて改善していけば、莫大な効果を得ることから、成果(顧客数の増加からの売上と利益の確保)が期待実現できます。
■マーケティング神話を思い出してみます。
「新規顧客を獲得するには、すでに獲得している顧客を維持するよりも5倍のコストがかかる」
ということをお聞きになったことがあると思います。
今後、デジタルコマースへの参入事業者が増えるということは、マーケティングコストに結果的に反映され、対2桁の増加は避けて通れないと言われていますので尚更です。
このことは、セルフビューティコスメティック、マルチビタミンのようなサブスクリプション(リピート)購入の観点から考えると、特に重要な事業構造の変化と懸念です。(昔の単品リピート通販などの事業テンプレートは捨ててください。)
今日のようなマーケット環境では、顧客が問題を抱えているときに対応するだけで十分だった、5年前、10年前のダイレクトマーケティングのビジネスモデル常識は通用しません。それは、そのサービスレベルで良いと理解している顧客世代に対してだけ有効性が残存しています。
今の、顧客対象となる世代や、あなたのD2Cブランドが支持してほしい顧客オーディエンスにとっては、D2Cブランドは、顧客に対して、プロアクティブ(積極的)でなければならないのです。それ以上に、購入後の不安を事前に解消するためには、心を読む、行動を汲み取る必要があります。
4:購入後の不協和音の事例
わたしたち顧客の
現実に戻ってみましょう、
- 返品したいと思った商品を少なくとも1つはキープしていませんか?
- 更には、使わない、利用しない、商品はいくつありますか?(仕方なく利用しているものも含めて、断捨離対象)
- 例えば、あなた自身に聞いてみてください。「着ないシャツをクローゼットの奥にしまうたびに」、何が思い浮かびますか?
「早く次のシャツを買いたい」でしょうか。
これらの顧客体験は、ほぼ確実に購入後の不協和音を経験しているということです。
■顧客とのコミュニケーションで、心理的・物理的価値不一致の原因を軽減すべき理由
D2Cブランドが、顧客との不協和音を気にする理由はここにあります。
ここで重要なのは、不協和は、顧客が購入した後の期間に発生する、してしまうということです。
ここで注意してほしいのは、「購入後すぐ」という意味だけではないということです。
購入後の期間を全体的に考えると、実はいくつもの段階があります。(購入直後の評価なども含む)。
ジョーイ・コールマン「Never Lose a Customer Again」の中では、カスタマーエクスペリエンスの8つのフェーズについて語っていますが、そのほとんどが購入後に行われているといいます。*詳しくは検索してみてください。
- Assess 評価
- Admit 認める ここが購入ポイント
- Affirm 肯定 ここからが購入後体験の始まりです。
- Activate 活性化
- Acclimate 順応させる
- Accomplish成し遂げる ここがマイナスから0になってHappyな状態
- Adopt 採用する ここからは・・・・・
- Advocate 提唱する
悲しいことに、大半のD2Cブランドは、顧客が購入に至るまでの意思決定プロセスに焦点を当てています。
わたしたち顧客は、
顧客の購入後に起こることが同様、それ以上に重要だと考えています。より、差異化として、活かしようがあると考えています。
5:購入後の不協和音が発生するポイント
購入後のカスタマーエクスペリエンス(CX)では、購入後の不協和音が発生するポイントはどんなときでしょうか? ご一緒に暫し考えてみてください。
例えば、
以下のようなことを想定してみましょう。
- - 顧客は、その商品を嫌うような新しいレビューや情報源を見つけるかもしれません。
- - 顧客が、価格やコストパフォーマンス、デザイン、機能などがより良い別の商品・サービスを見つけるかもしれません。
- - 顧客は、商品が自分の望んでいた機能を果たしていないことに気付き、商品に失望することもあります。
「他にどんな経験がありますか? 是非教えてください。」
ほとんどのD2Cブランドでは、不協和音は購入後、返品可能な期間が終了するまでの間、いつでも発生する可能性があります。
また、その影響は購入後もずっと続きます。
不協和音への対応(詳細は後述)を怠ると、
その場限り、1回かぎり、それまで限り、の顧客ばかり
になってしまう可能性が高まります。多分そうですね。
しかし、その対応を優先させれば、一生の顧客を獲得することができます。
■buyer's remorse"バイヤーズ・リモース(顧客の反省・後悔)は認知的不協和かどうか?
ちょっと待ってくださいと、気づかれたかたも数多くお見えかとおもいます、
「これは単なる顧客の自責の念ではないか」
と思われるかもしれません。
確かに、バイヤーズ・リモースは、顧客購買決定後の不協和の一例です。しかし、それは購入後の不協和音とは違います。これは、全く別の角度から顧客心理に焦点を当てています。
例えば、次のような場合は顧客の反省・後悔を経験しているかもしれません。
- - より適切な時期に購入したのではなく、今購入してしまった。(もっと安くなるのでは?とか)
- - 倫理(親などに内緒とか、)に反する購入をした。
- - 借りたお金で商品を購入した。
などなどが理由で要因です。
また、顧客満足度の不協和理論と呼ばれる心理学的研究では、「人が矛盾する2つの意識を抱えたとき、強い不快感を覚えることを、心理用語で「認知的不協和」といいます。この認知的不協和を解消するために、人は無意識に自分の態度を変えるというもあります。これらの理論は興味深いものですが、ここでは深堀しませんので、興味があれば検索して調べてみてください。
つまり、
D2Cブランドが直接コントロールできない顧客の行動、要因に広く焦点を当てているということです。
購入後の不協和音についても、顧客心理が関わってくるのは当然ですが、焦点の当て方が違います。
これは、
D2Cブランドが絶対的にコントロールできるものである顧客体験にのみ焦点を当てているということです。
Point2:顧客はどのようにして購入後の不協和音を解消するのでしょうか?
また、また、わたしたち自身を顧客として振り返ってみましょう。
実は、顧客は自ら購入後の不協和音を減らしたいと考えています。
なぜでしょうか?
買ったものに対して嫌な思いをしたい顧客はいないでしょう。
わたしたち自身として考えてみると、顧客が不協和音を避けようとする方法・行動はたくさんあります。
- レビューやブログ記事を読む。
- 専門家の意見を参考にする。
- ソーシャルメディアをチェックする...。
- そして、昔ながらの「生身の人間に聞く」
ということもするかもしれません。
8割近い顧客は、友人や家族からの個人的な推薦と同じくらいオンラインレビューを信頼しているというデータもあるそうです。
わたしたち自身がオンラインで商品を購入するときのことを考えてみてください。
もし、あなたがAmazonで5つの商品を購入したら、そのすべての評価について友人に、家族に確認するでしょうか。
おそらくしないでしょう。
しかし、レビューは必ずチェックするはずです。
顧客は自分で不協和音を防ぐために、とても多くのことをしているのかもしれません。
購入後の顧客体験の中で不協和音を管理することはD2Cブランドの運用設計にかかっています。
ここでも、お気づきかと思いますが、
顧客の購買行動としての声を参考に、別の顧客が購買行動を確認しているということです。
だからこそ顧客の不協和音を減らしていくことがポイントで、「正の循環」を創りあげていきましょう。
Point3:購入後の不協和音を軽減する(無くしたい)方法(6つのヒント)
顧客の購入後の意思決定プロセスを真摯にコミュニケーションして評価することで、D2Cブランドは多くのことを知ることができます。
ここでは、以下のことを確認していきましょう。
- - 購入後の不協和音が発生する条件とは?
- - 購入後の不協和音を防ぐためにできることとは?
ここでは、顧客の不協和音を早く解消するために、以下の6つのコミュニケーション施策(ヒント)に絞って説明していきます。
- トランザクションメールを使いこなす
- 購入後のオムニチャネルコミュニケーションの流れ(コンテキストとストーリ)を作る
- 返品・交換ポリシーを隠さない、正直であること
- 顧客に聞かれる前に、積極的にコミュニケーションをする
- 不協和音の原因を突き止める
- お届け箱を開けたときの体験を最大化する(感動Unboxing:開封の儀)
1. トランザクションメッセージを使いこなす
これは、購入後の不協和音を軽減する上で、最も重要なポイントです。幸いなことに、これは非常にシンプルです。顧客は何かを買うとき、最低限、次のようなことをコミュニケーションされることを期待しています。
①.注文を受け取り(受付)ました。
②.いつ発送・到着します。
好き嫌いは別にして、Amazonはこの点で素晴らしいワークフローを顧客に提供をしていますし、顧客の行動の変容を促しています。そのために啓蒙、教育のプロセスを惜しんでいません。
Amazonはトランザクションメールでの素晴らしいワークフローでコミュニケーションをしているので、顧客は、オンラインでコマースサービスを提供しているすべてのブランド事業者に同じレベルのサービスを期待しています。別の要因にも関係してきますが、避けて通れないベンチマークです。敵対する必要はありません。
トランザクションメッセージの活用ですが、最初から拍子抜けかも知れませんが、メッセージの内容は何でもいいのです。
ポイントは、顧客の期待値の枠を超えて考えることです。(ZapposのWao体験です。)
顧客は、「購入した商品がいつ届くかを教えてほしい」と最低限は思っています。
しかし、商品が届く前日に、商品の利用や活用のヒントが書かれたメッセージを受け取ることは期待していないかもしれません。
例えば、このようなことです。
心の平穏を得るためにデザインされたパーソナルウエルネスのD2Cブランドのヨガマットのケースです。
- この商品には実は穏やかではない側面があります。それは新鮮なプラスチックの匂いが残っていることがあることです。
- 顧客が、届いたばかりの新しいマットを、新鮮な気持ちで使ったとき、そしてあるヨガポーズをとったときに、胸の中がプラスチックの香りでいっぱいになったら?どう思うでしょうか。
そこに、購入後の不協和音がある(起こる)ということです。
さあ、あなたならどうしますか。あなたなりの解決策を、暫し考えてみてください。
- 届いたときに、同梱物に、取り扱い説明書を入れて、対策を記載する。
- トランザクションメッセージに、臭いを消すために、ヨガマットを1日外に干しておく方法を記載してコミュニケーションする。
どちらを選択しますか。
また、それ以外にどんなコミュニケーションの方法を考えつきましたか。
どちらが、どれが、顧客にとってやさしいでしょうか。
さて、さらにサプライス(WAO体験)まで考えるならどうしますか。
例えば、マットと一緒に、マットを干すときに使えるクリップを同梱するのもアイデアかもしれません。
このようなちょっとした、顧客からの声に基づいた配慮は、あなたのD2Cブランドを競合他社から大きく引き離すことができると思いませんか?。
だからといって、Amazonのような事業規模でもないD2Cブランドにとって、コミュニケーションのために、システムに莫大な予算が必要なのでしょうか。
そんなことはありません。世の中には、eコマースシステムや、メッセージ配信プラットフォームがたくさんあります。最適コストで、選定して利用することを検討してください。
結論としては トランザクショナルメッセージは、まだまだ日本では十分に利用されていない領域でもあります、顧客は購買後すぐに後悔していきます(熱量が下がってしまいます)。このメッセージの最適化にまだ時間をかけていないのであれば、まずこの作業を行ってください。
2. 購入後のオムニチャネルコミュニケーションの流れ(コンテキストとストーリ)を作る
トランザクションメッセージは、購入後の体験のほんの一部に過ぎません。本当に、顧客と長期にわたって必要なコミュニケーションは、購入後の包括的なメッセージフロー(コミュニケーションデザイン)であり、顧客が商品を受け取った後もずっと続くものです。
正直なところ、購入後のメッセージはトランザクションメッセージよりもはるかに厄介です。
購入後のメールを重要なものにする: エンゲージメント、収益、ロイヤルティを高めるための 14 のヒント
多くのD2Cブランドは、コミュニケーションは、「少ないほうがいい」と考えているのではないでしょうか。確かにその通りだと思います。
新規顧客に対して、クロスセリングのオファーや、なんでも割引などのジャンクメールを大量に送りつけるのであれば、「少ない方がいい」というのは確かにそうです。
しかし、購入後の価値あるメッセージについてならこれ以上のコミュニケーションはありません。
「購入後の顧客を教育し、商品の到着に向けて準備をさせている」「購入後の顧客と課題を共有して、解決のために、コミュニケーションとコミュニティとアクションを共有する」のであれば、(顧客に)迷惑をかけているわけではありません。
結論から言うと購入後にもっとパーソナライズされた体験(ブームですね。)を、顧客が期待するようになるのは、そう遠いことではないでしょう。
*詳細は、こちらの記事 コミュニケーションタイミング をパーソナライズ #2 D2C/Eコマ―ス/OMO 成長の基盤 コラムにて
3. 返品・交換ポリシーを隠さない、正直であること
リアル店舗オンリーのブランドでは、返品・交換は当然で顧客サービスだと思っています。OMOを展開している事業者はどうでしょうか。
eコマースオンリーのD2Cブランドは、返品を敵とみなしています。
そのため、多くのD2Cブランドは返品・交換ポリシーを分かりにくくしています。
- eコマースサイトのフッターに、「Shipping & Return」 「ご利用ガイド」「特商」などに曖昧な文章、複雑なプロセス、煩雑なコンタクト方法で書かれていませんか。
- カートボタンの下、前、メールの下に小さな文字で書かれていませんか。
さて、再び、顧客の立場に立って考えてみてください。
わたしたち顧客が
購入しようとしているブランドの、返品・交換ポリシーが曖昧で見つけにくかったら、顧客はどんな気持ちになるでしょうか。
それが、安心と購入決定の自信につながると思いますか?
それとも、購入後の不協和音に向かって滑りやすい坂道を下ることになるでしょうか。
自信を持つとことは、人間全体に共通する資質であると言われています。
各ページからリンクされる専用ページに返品・交換ポリシーを堂々と表示することで、
「私たちは自分たちの商品を信じています、あなたも信じてください」
ということを、D2Cブランドが顧客に伝えるには完璧で、最初にするべき方法です。
一番のポイントは、収益を継続的に生むためには、肝心・要なポイントは長期的なスパンで考えることで、短期的な1回1回の取引の収支だけで考えることではないということです。
- あなたが自社の商品を、自信をもって支持すれば、顧客はあなたの商品を信用、支持するでしょう。
- あなたが顧客を信用すれば、顧客はあなたのブランドを信頼するでしょう。
ということです。
*都市伝説の、「おきゃくさまは、かみさまではありません」。(ダメなものはダメ、顧客とコミュニケーションして、気づかないことを気づかせる、お互いにメリットのある顧客体験を創りだしていくことです。)
*そして、「おもてなし」も必要ではありません。
この返品・交換のメリットについては別記事 CXと購買後体験とは 顧客体験の重要ポイントと10の施策 コラムにて
Narvar の購買後体験で、返品・交換を収益化する
で具体的な事例を確認してみてください。
4. 顧客に聞かれる前に、積極的にコミュニケーションをする
不協和音を防ぐためには、心を読む力が必要だと言いました。そのためには、積極的にコミュニケーションのメッセージの交換を提案することです。
例えば、
新規の顧客があなたのオンラインショップで、アパレルファッションのあるアイテムを購入したとします。
購入した商品を受け取り、リビングで試着をして、クローゼットアイテムとのコーディネイトしたり、アクセサリーとのコーディネイトを試しては、自撮りしてみたりしています。
......そのデザインは良いのですが、カラーが嫌いになってしまいます。
誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか?。
顧客の何かの体験のプロセスをかなり犠牲にしていることもあります。しかし、心配しないでください。収益を維持し、顧客の不満を最小限に抑えることができる解決策があります。
例えば、
商品が到着した日に(これは配送データから連携できますね。)、顧客に試着、コーディネイトの感想を尋ねるメッセ―ジを送ります。そのメッセージの中で、色に不満があれば、他のカラーに、デザインに不満があれば、同色の他のSKUとの交換を積極的に提案します。購入したアイテムが気に入らなかった顧客のためだけではなくても、別の顧客のInstagramの投稿を紹介する欄を設けてもいいでしょう。
また、自撮り写真アップしていただいて、近くのリアル店舗のスタッフのアドバイスや、交換の提案、店舗での試着の提案もありかもしれません。
*コスメでも、サプリでも同じです。ただし、法律順守なので顧客にとっては不充足感が残る可能性があります。
一度、試着した、着用した商品をどうしようかと考えている顧客もいるかもしれませんが、真に提案のチャンスです。
それは検品の上、マーケットプレイス変えて、または、顧客を限定して、ダイナミックプライスで少しずつ価格を調整して売るという手法やアイデアもあります。これは、顧客の維持と利益の最大化を同時に実現する、一石二鳥の手です。
リコマースの台頭 お気に入りの D2C ブランドが再販プログラムをする理由
まだまだ、商品到着から土日を挟んでの平日の夜とかに、着用して、周りからの評価感想はどうだったか。変化のあるコーディネイトの提案などもできます。
スキンケアコスメであれば、体感はどう感じるものなのか。合わなければ返金に応じる旨を積極的に提案して、ターンオーバーの28日間(実は42日ですが)のトライを進めてみたり
ウエルネスであれば、悩みや課題が解決しないのであれば、個別カウンセリングを提案するとか。
いくらでも、思いつきます。それは、顧客がいやなことはしない。(自分がいやなことはしない)顧客がこまっていることを聞き出す。(自分がこまっていることを聞いてほしい)が基本です。
一生の顧客にすることができるか、永遠に顧客を失うことになるかは、ちょっとした工夫ですし、ちょっとした驚きを顧客と共有することです、あなたのD2Cブランドは交換・エクスチェンジ、返品・リターンというサービス体験を提供することで、いままでのような、単純な返品業務をコストセンターからプロフィットセンターに変えることができると思いませんか。
これは、別記事 「購買後体験・返品・交換が重要・差異化ポイントになる理由とその方法」 コラムで詳細に解説します。
5. 不協和音の原因を突き止める
顧客とのコミュニケーションの核心は、データです。それは本当にデータであり、しかも大量の、多様なデータです。
(この詳細は、OMOシステムの記事コラムにて)
不協和音を減らすことを、目的の1つとするのであれば、顧客から得られるインサイトは宝の山となります。そのデータを使えば、
例えば、
商品や商品説明を改善するための実用的なアイデアを得ることができます。
これが、しっかりしていれば、(顧客視点で提供されていれば)、顧客が期待通りの商品を手に入れることができるようになれば、人々(顧客は当然ですが、スタッフ(ここはとても重要)も、パートナーも、ブランドも、です)はより幸せになるでしょう。
すべてのデータを拡大して見ることと、1人の顧客を深く知ることは、D2Cブランドがカスタマーエクスペリエンス(CX)を微調整して昇華するのにとても役立ちます。
例えば
その素晴らしいデザインと環境に配慮した素材のFemale D2CアパレルブランドのMDマネージャーは、多くの女性の顧客から、パンツサイズが合わずに戻ってきていることに気づきました。
さあ、ここからが、あなたが、D2Cブランドである見せ場です。
あなたならどうしますか? 暫し一緒に考えてみましょう。
やむを得ないことですよね。
アパレルファッションアイテムの返品理由の半分がサイズの問題であることは自明ですよね。
- 合うサイズに出会うまで返品・交換を続けます。(交換しないという選択肢は、ここでのテーマではないので割愛します)
- ささげデータを充実したり、サイズ表を充実させたり、よりフィットできるサイズを選択できるように情報を充実させます。
- VR/ARを活用してFittingをできるようにします。
多くのD2Cブランドはそこで終わりにしています。
他に実行できそうなことはないでしょうか。そうです。お気づきですよね。
顧客が返品・交換プロセスを開始するたびに、理由詳細やコメントを尋ねることから始めてみませんか。
(サイズが合わないだけではなく、どこの? どうして合わないと思う、感じる? 購入時にはサイズ表は確認した?普段のフィットしているブランドのサイズは?・・・)
(リアルインタビューは別として)
そして、ほとんどすべてのコメントに目を通すことを習慣にしてみませんか。
コメントを読み、データを見ることで、多くの顧客にとって、このようなことが発見できるかも知れません。
サイズを1つ上げても、1つさげても、問題は解決しないことがわかりました。
そこで、商品の設計デザインレベルでのシンプルな解決策を検討しました。
解決策としては、より伸縮性のある生地を導入することです。
購入後のカスタマーエクスペリエンス(CX)をすべての顧客にとって有益なものにするために、すべてのストリームからのデータを考えること、データと(顧客隠れた声、表現できない声)を中心としたアプローチをとることで、顧客との不協和音を防ぎ、返品・交換を減らす方法を見つけ出せたのかも知れません。
解決策が全てあるわけではないですし、直ぐに見つかるわけではないです。これは解決策のテーマをインプットしているから、アウトプットに視点がいくので、そのヒントに出会えるということです。
わたしたちがよく言うことに、
「意識して行動していることが、無意識にするようになると答えが見つかると」
6. お届け箱を開けたときの体験を最大化する(感動Unboxing:開封の儀)
オンラインでの買い物は、顧客に高揚感を与えるとご説明してきました(日常品でなければそうですよね)。これをさらに顧客視点で、体験に高揚感を維持、増進できるように、推し進めてみましょう。入念に作られた開封体験(Unboxing)は、「もうひとつのドーパミンラッシュになる可能性がある」と言われています。
開封の喜びは、顧客が期待するものを提供するだけではありません。eコマースの性質上、アンボックス(Unboxing)は、さらに重要であっても良いと考えています。(それは顧客から顧客自身へのプレゼントでもあります。)
何故でしょうか。暫しご一緒に考えてみましょう。
顧客はリアル実店舗に行って商品に直接触れることはありません、開封の儀(Unboxing)はD2C・eコマースビジネスが提供でき、D2Cブランドがコントロールして、頼ることのできる唯一の体験的な瞬間のひとつとなります。
また、顧客との対面の時でもあります。
例えば、
Appleを考えてみてください。Appleは実際には、多くの豪華な、リアル店舗を展開しています。顧客は好きなだけApple製品を、タッチ&トライで遊べるようにしていますが、それでもアンボックスのプロセスには多大な投資をしていることに気づきませんか。
Apple製品を買ったことのある人なら知っていることかもしれませんが、
- パッケージ
- 匂い
- 箱を開ける音
- オープントップのメッセージ
- 充電されたスマートフォン本体
など、すべてが箱を開ける瞬間(Unboxing)にドーパミンの放出を最大化するように注意深く設計されています。
これが非常に高いハードルに思えるなら、次のことを考えてみてみましょう。
ほとんどのブランドは、お届け(梱包・配送)箱を開けるときの体験を高めるために、大たことは何もしていません。
お届け(梱包・配送)箱の外面に、ブランドロゴを入れたり、便宜的に「ドライバー宛てのメッセージ」を入れたり
開封したときに、同梱物を入れていたり(もしかしたら、納品書(お買い上げ票)が振込票とともにトップに入っていたりするかも知れません)
これはこれで、とてもスタンダードな取り組みです、あとちょっとしたことが重要なのです。
開封の儀(Unboxing)は「つながりの瞬間を生み出す」と考えてみてください。D2Cブランドが、顧客との不協和音の発生を防ごうとしているとき、これは非常に重要なポイントの1つです。
これはどのようなものでしょうか?商品カテゴリーによって異なりますが、アンボックシング(Unboxing)のアイデアでサプライズなプレゼンの方法についていくつか一緒に考えてみましょう。
- - お届け(梱包・配送)箱の中にキャンディを入れてみますか。
- - アパレルブランドは、アイテムのそれにあった、SDG‘sな洗剤を添えてみますか?
これは、実際に展開するかとか、必要性は別です。D2Cブランドの商品について、顧客購買体験を裏切らない最低限のことについて深く考えてみようの一環です。
D2Cブランドの商品や顧客のことをよく考えて、顧客に特別な気持ちになってもらうために、どんな小さな工夫ができるでしょうか?
お届け(梱包発送)箱を開けるときの体験を向上させるためのほんの少しの努力で、顧客があなたのD2Cブランドに対してより良い印象を持つことができて、不協和音も防ぐことができるということなら考えて実行しない手はないと思います。
間違えないでくださいね。
〇〇購入者には、××がついていますとか。〇〇回には××をお送りしますは、Unboxingではないです。
また、サブスクリプションモデルで毎回感動ストーリーを変えることも必須ではないです。
一方で、Unboxingは、SNSなどで共有・拡散されます。それを期待する顧客がいるでしょうし、それが当然として既知の認知としている顧客もいます。これにめげないでD2Cブランドとしてのメッセージ、コミュニケーションを継続することが重要です。
まとめ
ここまで、
- 顧客購買体験とは
- 購買後の体験が重要であること
- 購買後の評価での不協和音とは、それを無くすためのには
を、ご一緒に考えてきました。
少しはお役に立ったでしょうか、わたしたち顧客としての体験から明らかなように、顧客の購買後の体験を最大、最適化することで、D2Cブランドが購入後の不協和音を防ぐ方法は無限にあります。不協和音がどのように発生するかを顧客の立場になって理解し、情報(データと声)に裏打ちされた、企画と施策と運用の手順を構築することで、悪い体験を1つ1つ無くして、全体的な顧客維持のプロセスとして変えることができるということです。
購入後の体験を次のフェーズ・レベルに引き上げたいと考えている、スタートアップのD2C事業者さん、グロースが停滞しているeコマース事業者さん、規模の大きい、そして大きく成長させたいD2Cブランド、OMOを展開している小売・製造メーカーさんで、これまで、ご案内してきた、カスタマイズされた購入後体験がどのようにして顧客の不協和音を終わらせることができ、顧客ロイヤリティを向上させることが可能かをより知りたい、そしてそれを、実現したい場合や。
OMOはわかるが、実際のフルフィルメントとSCMの設計と運用を相談したい場合は。
お互いの時間を予約して、1つ前に進みましょう。顧客は待っています。
今回はアウトラインで課題の提示と方向性までになっていますが、下記の各項目については別記事コラムで詳細のご案内の予定です。
- トランザクションメールメッセージを使いこなす
- 購入後のオムニチャネルコミュニケーションの流れ(コンテキストとストーリ)を作る
- 返品・交換ポリシーを隠さない、正直であること
- 顧客に聞かれる前に、積極的にコミュニケーションをする
- 不協和音の原因を突き止める
- お届け箱を開けたときの体験を最大化する(感動Unboxing:開封の儀)
楽しみにお待ちください。また、リクエスト・ご意見も合わせてお待ちしております。
<ファシリテータープロフィール>
代表 吉村 典也
やずやグループの「基幹CRMシステム」外販導入サポート業務委託を通じて出会った事業者とのコミュニケーションと課題を通じて、まだまだ、日本のDNVB・D2Cビジネスには成長の可能性、未知のカテゴリーがあると確信しつつ、1社でも多くの30億、100億円事業にグロースするためのアドバイス・サポートを提供している。
【D2C・eコマース・OMO 顧客体験シリーズ】
D2C・eコマース・OMO 顧客体験シリーズ
顧客体験を最大化してブランド成長するため方法
「基本的なことをしっかりやって失敗するビジネスはほとんどない」
■顧客の購買行動の変化について
■顧客の購買後体験が重要になってきている
■データはモニタリングと未来予測のためにある
■オムニチャネルコミュニケーションとタッチポイントの重要性
■商品と決済と顧客データのワークフローがポイント
■顧客がEコマースに慣れ親しむにつれて増す4つの重要なポイント
ポイント①:Discovery:ディスカバリー
ポイント②:Browsing:閲覧
ポイント③:Purchasing.:購入
ポイント④:Experience.:経験
◆対談の前に:
・顧客の購買体験についてのおさらい
・購入後のカスタマージャーニーにおけるカスタマーエクスペリエンス:ポストパーチェスCXとは
・顧客の購入後の評価プロセスとは
・生涯の顧客になっていただけるためにする方法
●対談内容:
購入後の評価とは
1:ウェルカムメッセージ:Welcome Message
2:サイト離脱・放棄メッセージ:Browse abandonment Message
3:カート放棄メッセージ:Cart abandonment Message
4:トランザクションメールメッセージ:Transactional Message
5:ロイヤルカスタマーメッセージ:loyal Customer Message
6:アニバーサリーやマイルストーンメッセージ:Anniversary(Birthday:etc) and milestone Message
7:ウインバック・再エンゲージメントメッセージ:Winback・Re-engagement Message
発送代行完全ガイド
発送代行に関しての基礎知識が全てわかる徹底ガイドです。発送代行サービスを検討されているEC事業者様は是非ご覧下さい。
監修者
アドバイザー
吉村 典也
日本の製造業を強くするためのコンサルティング会社、外資システム会社などを経て、通信販売(ダイレクトマーケティング)、Eコマースの事業運営・CRM/購買体験+購買後体験)運用・フルフィルメントサービス運用のアドバイザーとして、CS&BPOセンター(CX設計・運用からシステム設計・運用まで)の新規立上・受託までを担ってきた。通販基幹システム・Eコマース・オムニチャネル/OMO・CRM+MAシステムのマーケティングセールスから、業務設計・運用までをコマース・小売事業会社ととも一緒にアクション&グロースしてきた。
大手通販グループの「単品リピート(サブクリプション)/通販基幹CRMシステム」外販・導入サポート業務を通じて出会った事業者とのコミュニケーションを通じて、まだまだ、日本のDNVB・D2C(DTC)ビジネスにはチャネルとしてではなく、「顧客中心」としてのホネストビジネスとして、再成長の可能性、未知のカテゴリー、オムニチャネルコミュニケーションからのオムニチャネルコマース体験がある、それを支えるコマース事業者のインハウス化が必要であること、そして柔軟に迅速にその業務を支持・運用できる、MACH・コンポーザブルタイプのシステムを広めることが大切と確信しつつ、1社でも多くの30億、100億円事業にグロースするためのアドバイス・サポートを提供している。
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